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備品の勘定科目は?消耗品費との違いや仕訳方法などを解説

オフィスや店舗、工場などの備品を購入した際には、その費用を経費として計上できます。ただし、備品に用いる勘定科目は、物品の性質によって異なります。購入した備品の使用可能期間や金額によっては、「備品」ではなく「消耗品費」として処理することになるため注意しましょう。備品の購入費用を正しく仕訳するためには、どのようなときに、どの勘定科目を使うのかを把握しておくことが大切です。
本記事では、「備品」と消耗品費の違いや備品の仕訳に用いる勘定科目の種類、仕訳方法を解説します。

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備品に用いる勘定科目は、購入費用によって異なる

備品とは、業務のために備え付けられる物品を指しますが、会計処理上の「備品」は、やや定義が異なります。オフィスや店舗などの備品にはさまざまな種類があり、それぞれ金額・耐用年数などが違います。そのため、会計処理においては、備品の使用可能期間と金額に応じて適切な勘定科目を選択し、正しく仕訳しなければなりません。

備品の勘定科目には、主に「備品」(または「工具器具備品」)と消耗品費の2種類があります。どちらの勘定科目を使うかは、その備品の使用可能期間と金額によって変わります。「備品」の勘定科目を用いるのは、固定資産として計上するモノが対象です。通常は使用可能期間が1年以上で、取得価額が10万円以上の備品を固定資産として計上します。この要件に該当しない、使用可能期間が1年未満または取得価額が10万円未満の備品は消耗品費などの勘定科目として処理することができます。消耗品費に該当する備品は、購入費用をその年の経費として一括計上できます。その一方で、「備品」として固定資産に計上する場合は、税法上定められた耐用年数(法定耐用年数)に応じて減価償却が必要です。
なお、企業によっては、事務関係の備品を別で管理するために「事務用品費」の勘定科目を用いる場合もあります。

「備品」と消耗品費の違い

「備品」と消耗品費は、使用可能期間や取得価額が異なります。
長期間使用できる備品のうち、取得価額が10万円以上なら「備品」、10万円未満なら消耗品費として処理するのが一般的です。取得価額には、原則として、備品の購入費用のほか、その備品を事業に使用するために直接かかった費用も含まれます。例えば、運送費や購入手数料、関税など、購入に際して要した費用はいずれも取得価額の一部として計上可能です。なお、「取得価額10万円」の判断が税込価格か税抜価格かは、企業の経理方式によって異なります。税込経理方式を採用しているなら消費税込みの金額、税抜経理方式であれば消費税抜きの金額で判定するため注意しましょう。

また、購入した備品が消耗品費に該当する場合は、購入費用を当期の費用として一括計上できます。その一方で、「備品」に該当する場合は、固定資産と見なされ、法定耐用年数に応じて減価償却が必要になります。減価償却とは、資産を購入・所有した際に、取得価額の全額を一度に経費計上せず、耐用年数に応じて分割計上することです。

消耗品費と事務用品費の違い

消耗品費と事務用品費では、計上する費用の種類が異なります。
消耗品費は、使用可能期間が1年未満または取得価額が10万円未満の備品全般を処理する勘定科目です。短期間に消耗する少額の物品を購入したときに用いる勘定科目で、事務用品のほか、掃除用具や事務用机、椅子なども、取得価額が10万円未満なら消耗品費に該当します。

それに対し、事務用品費は、消耗品費のうち、事務用品にかかる費用を計上する勘定科目です。具体的には、ノートやメモ帳、ファイル、ペン、コピー用紙、封筒、伝票など、日常的に使われる事務用品が該当します。つまり、事務用品費は消耗品費の一部ということです。
また、企業によっては、事務関連の費用を事務用品費として消耗品費とは別に計上する場合もあります。事務用品費と消耗品費を個別に計上することで、それぞれの項目でどれだけ費用が発生しているかを把握しやすくなり、コスト管理に役立つでしょう。

備品に用いる勘定科目の種類

備品に用いる勘定科目は、主に「備品」と消耗品費です。また、企業によっては、事務用品費の勘定科目を使用することもあります。それぞれの勘定科目について、どのようなときに用いるのかを、確認しておきましょう。

「備品」:使用可能期間が1年以上かつ取得価額が10万円以上の物品を購入した場合に用いる

「備品」は、一般的に使用可能期間が1年以上かつ取得価額が10万円以上の物品を購入した場合に用いる勘定科目です。「備品」は固定資産として計上され、貸借対照表の資産の部「工具・器具・備品」に記載されます。会計処理にあたっては、購入時には取得価額を「備品」として資産計上し、決算時に法定耐用年数に応じて分割計上する減価償却を行います。
なお、税法上の耐用年数は、資産の種類ごとに定められているので、誤りのないように注意しましょう。資産の種類や細目ごとの法定耐用年数は、財務省の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令新規タブで開く」に定められているほか、国税庁が定めた「主な減価償却資産の耐用年数表新規タブで開く」でも確認できます。「備品」に該当する主な物品と法定耐用年数は以下のとおりです。

主な「備品」の法定耐用年数

品目 耐用年数
事務机、事務椅子、キャビネット(主に金属製のもの) 15年
事務机、事務椅子、キャビネット(金属製以外) 8年
応接セット(接客業用のもの) 5年
応接セット(接客業用以外) 8年
ラジオ、テレビ、レコーダーその他の音響機器 5年
冷房用・暖房用機器 6年
パソコン(サーバー用のものを除く) 4年
カメラ 5年
看板 3年

消耗品費:使用可能期間が1年未満または取得価額が10万円未満の物品を購入した場合に用いる

消耗品費は、使用可能期間が1年未満または取得価額が10万円未満の物品を購入した場合に用いる勘定科目です。減価償却が必要な「備品」とは異なり、消耗品費は、購入費用の全額を当期の費用として計上します。消耗品費に該当する主な物品は以下のとおりです。

消耗品費に該当する主な物品(いずれも取得価額10万円未満のもの)

ジャンル 品目の例
事務用品 ノート、メモ帳、ファイル、ペン、コピー用紙、封筒、印鑑、ハサミなど
パソコン用品 キーボード、マウス、ケーブル、モニター、USBメモリ、ソフトウェアなど
日用品 電球、蛍光灯、ゴミ袋、洗剤、石けん、タオル、掃除用品、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、観葉植物など
工具・器具 机、椅子、ロッカー、棚、電話、時計など
その他 ガソリン、灯油、非常食など

なお、期中に経費処理した消耗品などのうち、決算時において未使用のものがある場合には、「貯蔵品」の勘定科目で資産に計上します。事務用品や梱包材料などのほか、切手・収入印紙の未使用分も、決算時には貯蔵品として資産に振替します。ただし、事務用品については、事業年度ごとにほぼ一定量を購入し、かつ経常的に使用しているのであれば、決算時の未使用分を貯蔵品にせず、購入時の費用として計上してかまいません。

事務用品費:消耗品費のうち、事務用品にかかる費用を計上する場合に用いる

事務用品費は、消耗品費のうち、事務用品にかかる費用を計上する場合に用いる勘定科目です。企業によっては、文具や文書作成に必要な備品などを個別に管理するために、事務用品費の勘定科目を使用する場合があります。消耗品費と事務用品費を分けるかどうかは各企業の任意です。ただし、企業の会計処理には「継続性の原則」があるため、一度決めた勘定科目は翌期以降も継続して使用しなければなりません。

「備品」の仕訳方法

ここでは、「備品」の仕訳方法について解説します。「備品」と消耗品費の仕訳方法について、それぞれ仕訳例と共に見ていきましょう。

「備品」の仕訳例

購入した物品が「備品」に該当する場合は、購入時にいったん資産として計上し、決算の際に減価償却を行います。なお、減価償却の計算方法には、毎年一定額の減価償却費を計上する「定額法」と、毎年一定割合ずつ減価償却費を計上する「定率法」の2種類がありますが、ここでは定額法を適用します。

仕訳例:40万円のパソコンを購入し、代金を現金で支払った

借方 貸方
備品 400,000円 現金 400,000円

パソコンの法定耐用年数は4年です。そのため、事業年度ごとの減価償却費は10万円となります。減価償却の仕訳方法には、大きく分けて「直接法」と「間接法」の2種類があります。直接法は、減価償却費を固定資産の取得価額から直接差し引いていく仕訳方法です。その一方で、間接法は、減価償却の額を固定資産の取得価額から減じるのではなく、減価償却費の累計を計上します。どちらの仕訳方法を採用しても納税額は同じになります。直接法と間接法の仕訳例は以下のとおりです。

仕訳例:決算時の直接法での仕訳

借方 貸方
減価償却費 100,000円 備品 100,000円

仕訳例:決算時の間接法での仕訳

借方 貸方
減価償却費 100,000円 減価償却累計額 100,000円

消耗品費の仕訳例

購入した備品が10万円未満であれば、消耗品費として購入時に全額を費用計上します。

仕訳例:9万5,000円のパソコンを購入し、代金を現金で支払った

借方 貸方
消耗品費 95,000円 現金 95,000円

備品を経費計上する方法

取得価額が10万円以上の備品を経費計上するには、原則として減価償却が必要です。ただし、備品の金額によっては、「一括償却資産」または「少額減価償却資産」として一括で経費計上できる特例があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

減価償却

減価償却は、使用することで価値が減少する固定資産を、その資産の耐用年数に応じて分割して経費に計上する会計処理の方法です。
使用可能期間が1年以上で、取得価額が10万円以上の備品は、税法上定められた耐用年数に従って減価償却が必要になります。減価償却の対象になる資産のことを減価償却資産と呼び、10万円以上の備品のほか、設備や機器、建物、車、ソフトウェアなども該当します。これらの固定資産は、使用しているうちに徐々に価値が下がっていくため、取得価額の全額を購入した年の費用として計上すると、収益と費用の関係が正しく反映されません。そのため、取得価額が10万円以上で1年以上使用する資産については、減価償却による経費計上を行う必要があります。なお、取得価額が10万円未満であれば、1年以上使用する場合でも減価償却はせずに、一括で経費計上できます。

一括償却資産

一括償却資産は、減価償却に関するルールの1つで、「取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産を、法定耐用年数にかかわらず3年間で均等に経費計上できる」というものです。
取得価額10万円以上の備品を購入した場合は、原則として法定耐用年数に応じた減価償却が必要ですが、一括償却資産を適用すると、使用を開始した年から3年間にわたって取得価額の3分の1ずつを経費に計上できます。一括償却資産とするか、通常の減価償却を適用するかは、事業者が任意で選択可能です。20万円未満の備品を一括償却資産として扱うと、減価償却費は取得価額の3分の1となり、3年で取得価額の全額を損金に算入できます。ただし、法定耐用年数は資産の種類ごとに異なるため、必ずしも一括償却資産の方が有利になるとは限りません。また、何らかの事情で該当する減価償却資産を廃棄や売却などした場合でも、一括償却資産として扱う場合、引き続き3年間は均等に経費計上する必要があります。

少額減価償却資産の特例

少額減価償却資産の特例とは、取得価額10万円以上30万円未満の資産を取得した際に、取得年に一括で経費計上できる特例のことです。以下の条件を満たす中小企業や個人事業主は、少額減価償却資産の特例を利用できます。

少額減価償却資産の特例を利用できる事業主の条件

  • 青色申告をしている個人事業主または法人
  • 常時雇用する従業員が500人以下の個人事業主または法人
  • 資本金または出資金が1億円以下の法人(大規模法人が株主である場合など一部を除く)

少額減価償却資産の特例を利用すれば、30万円未満の備品の購入費用をまとめて経費計上してその年の利益を圧縮し、節税につなげることができます。ただし、少額減価償却資産の特例には、1年につき300万円という上限があるので注意しましょう。事業年度が1年に満たない場合は「300万円÷12×事業を営んだ月数(端数は1か月に換算)」が上限です。例えば、事業を開始してから6か月間であれば、「300万円÷12×6か月=150万円」がその事業年度における取得価額の上限となります。

青色申告をしているなど、上の条件を満たす事業主は、取得価額10万円以上30万円未満の備品を購入した場合、減価償却、一括償却資産、少額減価償却資産の特例のいずれかを選択できます。なお、減価償却や一括償却資産を適用した備品の取得価額は、少額減価償却資産の特例の上限300万円には含みません。

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「備品」と消耗品費の違いに注意して正しく仕訳をしよう

備品に用いる勘定科目は、使用可能期間や取得価額によって、「備品」と消耗品費の大きく2つに分かれます。また、企業によっては、事務用品費の勘定科目を用いることもあります。消耗品費や事務用品費は、取得価額を一括で当期の経費にできますが、「備品」に該当する場合は原則として減価償却が必要です。

減価償却は通常の経理処理とは違った計算が必要になるため、間違いのないように慎重に計上しなければなりません。仕訳を効率良く行うには、会計ソフトの利用がおすすめです。「弥生会計 Next」などの会計ソフトを活用して、仕訳業務の効率化を実現しましょう。

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この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。

著書『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’21~’22年版新規タブで開く

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