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固定資産台帳とは?記載する項目や作成するポイントなどを解説

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固定資産台帳とは?記載する項目や作成するポイントなどを解説

事業者が保有する固定資産の管理のために作成する帳簿が、固定資産台帳です。固定資産台帳は、固定資産の取得から減価償却の状況、売却や使用を終了した資産の除却・譲渡に至るまでを詳細に管理する帳簿であり、決算書の作成・税務申告にも関わります。固定資産台帳の作成に当たっては、記載すべき項目や減価償却のルール、押さえておきたいポイントなどがあります。

本記事では、固定資産台帳に記載する項目や作成するポイントなどについて解説します。

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固定資産台帳とは、企業が所有する固定資産を管理するための帳簿のこと

固定資産台帳とは、企業が事業で使用する固定資産を管理するための帳簿です。会計帳簿のうち「補助簿」に該当し、確定申告の際に必要になる他、税法で7年、会社法で10年間の保存が義務付けられています。

固定資産台帳は、事業者が所有する固定資産を正確に把握するために作成されるものです。固定資産のうち、建物や車両、機械設備といった減価償却資産については、取得価額を耐用年数に応じて費用化する減価償却を行います。

減価償却を行うには、固定資産の取得時期、各年度の償却額、残存未償却額などを個別に把握しなければならないため、資産ごとに管理できる固定資産台帳の作成が必要です。

固定資産台帳には、取得時の情報、減価償却の履歴、期末時点の未償却残高などが記載されます。固定資産台帳を作成し、固定資産の状況を正確に把握することは、正確な会計処理や税務申告を行うために不可欠です。

会計における固定資産とは、企業が長期保有する資産のこと

会計上、固定資産とは、以下に当てはまるものを指します。

会計上の固定資産の定義

  • 販売目的ではなく、自社で使うために保有するもの
  • 使用期間が1年を超える
  • 取得額が一定以上の金額

固定資産に該当するのは、業務での使用を目的として保有しているものです。例えば、不動産会社が販売目的で所有する土地などは商品なので、固定資産にはあたりません。

固定資産は貸借対照表に計上され、「有形固定資産」と「無形固定資産」の2つに大別されます。有形固定資産とは、土地や建物、車両、パソコンなどの、形がある固定資産のことです。それに対して、無形固定資産は、特許や営業権などの権利、ソフトウェアといった、物理的な形のない固定資産を指します。

また、固定資産は、時間の経過によって価値が減少していく「減価償却資産」と、時間が経っても価値が下がらない「非減価償却資産」に分けられます。このうち減価償却資産については、毎期減価償却を行うことが必要です。

固定資産については、こちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

減価償却とは固定資産を耐用年数に応じて経費にすること

減価償却とは、固定資産の取得価額を耐用年数に応じて分割し、経費として処理する会計上の手続きのことです。減価償却が可能なのは、業務で使用され、時間の経過と共に価値が減少していく減価償却資産であり、建物や機械設備、車両などが該当します。

原則として、取得価額が10万円以上の減価償却資産は、購入費をすべて当年度の費用として計上することはせず、税法上定められた耐用年数に応じて分割して計上する必要があります。

ただし、青色申告をする中小企業等や個人事業主は、税法上、取得価額が30万円未満の減価償却資産を取得した際、合計額300万円を限度として一括で経費計上できる「少額償却資産の特例」の適用が可能です。それに対して、取得価額が10万円未満の資産については、1年以上使用する場合でも減価償却の対象とはせず、消耗品費等として全額を一括費用計上することが可能です(個人事業主の場合。なお、法人の場合には、損金経理することにより、一括費用計上することができます)。

減価償却の主な目的は、費用と収益の適正な対応を図ることにあります。そもそも固定資産は長期間にわたって使用される資産であり、取得した年だけではなく、それ以降も継続して収益に影響を与え続けるものです。

固定資産を取得した年に一括して費用計上してしまうと、その資産が複数年にわたって実際に収益に与えた影響が会計に反映されず、財務状況を適切に把握できなくなります。減価償却によって、固定資産の取得価額を耐用年数に応じて配分することで、企業の財務状況を正確に反映できます。

なお、土地や借地権など、時間が経っても価値が減少しない固定資産は非減価償却資産と呼ばれ、減価償却の対象にはなりません。

減価償却については、こちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

固定資産台帳に記載する項目

ここからは、固定資産台帳に記載する項目について、具体的に解説していきます。固定資産台帳の書式には法的な定めはありませんが、記載すべき基本項目は概ね共通しています。固定資産台帳の基本的な記載項目は、以下のとおりです。

資産名称、資産番号

固定資産を取得したときには、各資産の具体的な名称を記載し、一つひとつに資産番号を付けます。後で特定しやすいように、製造元や型番なども記入するといいでしょう。

同じ固定資産を複数所有する場合は、アルファベットと数字を組み合わせたり、枝番を付けたりして資産番号を区別すると管理しやすくなります。また、固定資産台帳に記載された資産番号と現物を一致させるために、固定資産そのものに番号シールなどを貼り付けておくのもおすすめです。

資産の区分や種類

固定資産台帳に固定資産の区分や種類を記載すると、減価償却費の計算と貸借対照表の作成に役立ちます。

減価償却資産の種類として一般的なものは、建物、建物附属付属設備、構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具備品、無形固定資産(ソフトウェアなど)です。資産の区分や種類を仕訳の際の勘定科目・貸借対照表の表示科目と合わせるのもいいでしょう。

数量(土地の場合は面積)

数量欄には、取得した固定資産の数量を記載します。

数量は基本的には「1」ですが、パソコンなど同じものを同時期に複数購入した場合は、まとめて記載してもかまいません。なお、土地や建物など、個数で表すのが難しい資産の場合は、数量の代わりに面積などを記載します。

取得年月日、供用年月日

固定資産台帳には、取得年月日と供用年月日も記載します。

取得年月日とは、固定資産を取得した年月日のことで、供用年月日は、その固定資産を本来の目的のために使い始めた日のことです。取得年月日と供用年月日は同日であるケースもあれば、そうでないケースもあります。例えば、機械などは購入後に運搬・設置し、試運転を完了してから、事業での使用を開始することも多いでしょう。この場合、取得年月日は機械を購入した日ですが、供用年月日は機械を事業で使い始めた日となります。

減価償却の計算は、固定資産を取得した日ではなく、「事業の用に供した日(供用開始日)」から開始します。そのため、固定資産台帳には取得年月日と供用年月日の両方を記載し、きちんと管理することが大切です。

耐用年数

耐用年数とは、固定資産を本来の用法用途で使用した場合に「通常期待される役割を高確率で果たす」と見なされる期間のことです。

耐用年数の考え方は、会計上と税法上で異なります。会計上の耐用年数は、その資産の性質、用途、使用状況等に応じて、それぞれの企業が個別に設定できます。同じ設備について、A社は頻繁に使うので耐用年数を3年、B社ではそれほど使わないので耐用年数を6年と考えたとしても、実態に即していれば会計上の問題はありません。

しかし、税金の計算をするときに各企業がそれぞれ違った耐用年数を設定していると、課税の公平性が崩れてしまいます。そのため、税法上では減価償却資産の種類や構造、用途などによって一律の耐用年数が決められています。税法上定められている耐用年数が法定耐用年数です。

資産の種類や細目ごとの法定耐用年数は、財務省の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令新規タブで開く」に定められている他、国税庁が定めた「主な減価償却資産の耐用年数表新規タブで開く」でも確認できます。

なお、会計と税務で減価償却資産の耐用年数が異なると処理が煩雑になるため、実務上は会計上も税法上の法定耐用年数に合わせて減価償却を行うのが一般的です。

耐用年数については、こちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

償却方法

会計上での償却方法は複数認められていますが、代表的な方法は「定額法」と「定率法」の2つです。

定額法と定率法のどちらを利用するのかは、事業者の立場や購入した固定資産の種類に応じて変わります。中小企業では、税法上の償却方法を採用することが多く、原則として、個人事業主はすべて定額法、法人の場合は車両や工具器具備品、機械装置は定率法、ソフトウェア、建物、建物附属設備は定額法で減価償却します。

個人事業主、法人のいずれも、原則以外の計算方法を希望する場合は、税務署に「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書新規タブで開く」の提出が必要です。

定額法

定額法とは、毎年一定額の減価償却費を計上していく方法です。毎年計上する減価償却費は、以下の方法で算出します。

定額法の減価償却費の計算式

定額法の減価償却費=取得価額×定額法の償却率

定率法

定率法とは、毎年一定割合ずつ減価償却費を計上する方法です。定率法の減価償却費は、以下の方法で算出します。

定率法の減価償却費の計算式

定率法の減価償却費=未償却残高×定率法の償却率

未償却残高とは、減価償却資産の取得価額から、前年までに減価償却した累計額を差し引いた残高のことです。未償却残高は年々少なくなるため、計上できる減価償却費も初年度が最も大きく、その後、償却が進むごとに減少していきます。

減価償却の計算方法については、こちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

償却率

償却率の欄には、税法上で耐用年数に応じて定められた割合を記載します。

定額法、定率法のいずれも、償却率は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に定められています。また、国税庁の「減価償却資産の償却率等表新規タブで開く」でも償却率を確認できます。

取得価額

取得価額の欄には、その資産を取得(購入)するためにかかった金額を記載します。

取得価額には、購入した資産の本体価格に加えて、設置費や運送費、購入手数料など、取得に付随する費用も含まれます。

減価償却額

減価償却額の欄には、当期に計上する減価償却費の金額を記載します。

減価償却費は、定額法なら「取得価額×定額法の償却率」、定率法なら「未償却残高×定率法の償却率」で算出します。

帳簿価額

帳簿価額とは、固定資産の取得価額から、当期までの減価償却累計額を差し引いた残存価額を指します。前期末の未償却残高から当期の減価償却額を引いたものが、帳簿価額となります。

帳簿価額は、翌期以降の減価償却の計算にも影響するため、記載内容には十分注意しましょう。

固定資産台帳を作成する3つのポイント

固定資産台帳は、単に定められた項目を記載すればよいわけではありません。企業の固定資産を適切に管理するためにも、固定資産台帳を作成するときには、次のポイントを押さえておきましょう。

第三者でも把握しやすい形式で記録する

固定資産台帳を作成するポイントは、第三者でも内容を把握しやすい形式で記録することです。

特に、同じ種類、価格、取得日の資産が複数あるような場合は、一つひとつの資産を識別するための情報を記載する必要があります。例えば、資産名と共に製品番号を記載する、車両であれば登録番号などの資産番号をラベルとして現物に貼付するなど、管理しやすくなる工夫をするとよいでしょう。また、資産の購入を部署ごとに行っている場合は、前述した記載項目に加えて購入部門も記録すると管理がスムーズになります。

購入した経緯を残しておく

購入した経緯を残しておくことも、固定資産台帳を作成するポイントの1つです。

固定資産を除却または売却する際には、帳簿価額の再計算が必要になることがあります。その資産の取得時の情報を把握できるように、固定資産台帳には購入の経緯を残しておきましょう。

購入の経緯がきちんと残っていれば、その資産購入によって企業の業務にどのような影響を及ぼしたのか、という検証も可能になります。その資産を取得することによる生産効率の分析資料、複数の業者からの相見積もり、上層部の承認を得るための稟議書など、資産購入の根拠や経緯が確認できる資料は、固定資産台帳と一緒に保管することが大切です。

固定資産台帳と実際の資産を定期的に照合する

固定資産台帳と実際の資産の状況を定期的に照合することも、固定資産台帳を作成するポイントとしてあげられます。

照合作業をすることで、固定資産台帳に記録された内容が適切かどうか、新たに取得した資産に登録漏れがないかなどを確認できます。固定資産の使用部署や管理者が変更になった場合なども、その経緯を固定資産台帳に記録するといいでしょう。

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固定資産台帳は、事業者が保有する固定資産を適切に管理するための帳簿です。会計処理や税務処理を適正に行うために欠かせない帳簿であり、日々の取引記録と同様に、正確な作成・管理が求められます。固定資産台帳の書式に法的な定めはありませんが、必要な基本項目を漏れなく記載し、購入の経緯などがわかる資産取得の経緯を示す資料なども併せて適切に保管することが大切です。

固定資産台帳を手書きで作成するのは手間がかかりますが、会計ソフトを使えば固定資産の登録もかんたんに行えます。固定資産台帳を正しく作成し、企業の大切な資産を適切に管理しましょう。

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この記事の監修者小林祐士(税理士法人フォース)

東京都町田市にある東京税理士会法人登録NO.1
税理士法人フォース 代表社員

お客様にとって必要な税理士とはどのようなものか。私たちは、事業者様のちょっとした疑問点や困りごと、相談事などに真剣に耳を傾け、AIなどの機械化では生み出せない安心感と信頼感を生み出し、関与させていただく事業者様の事業発展の「ちから=フォース」になる。これが私たちの法人が追い求める姿です。

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