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法人事業税とは?納税義務者や税率、計算方法などを解説

2024/02/14更新

この記事の監修齋藤一生(税理士)

法人に課される税金の1つに、「法人事業税」があります。法人事業税は、法人税、法人住民税と併せて法人税等と呼ばれ、法人が納める税金の中でも代表的なものだといえるでしょう。法人税と同様に、法人住民税も確定申告が必要になるため、納付先や計算方法について正しく把握しておくことが大切です。

ここでは、法人事業税の概要や法人事業税の納税義務者、税率と計算方法などについて解説します。

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法人事業税とは、法人が行う事業に対して課税される税金のこと

法人事業税とは、法人が行う事業に対して課税される税金です。株式会社や合同会社など、事業を行っている法人に、事務所等が所在する都道府県が課税する地方税です。

法人が事業を行ううえでは、道路や上下水道など、各自治体のさまざまな行政サービスを利用します。そのため、法人は、これらの行政サービスを維持するために必要な経費の一部を負担すべきであると考えられています。こうした考えにもとづいて課税される税金が、法人事業税です。

法人事業税の税率は、法人の種類や資本金の金額、所得額などによって変動します。資本金1億円以下の普通法人等の場合は、所得に応じて法人事業税の税額が決まるため、赤字であれば納付の必要はありません。

一方、資本金1億円超の普通法人は、たとえ赤字であっても付加価値額や資本金等の額に応じた課税が発生します。このほか、電気供給業など特定業種の法人には、収入金額に応じた収入割が課されます。

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法人事業税と似た言葉との違い

法人事業税と法人税、法人住民税の3つの税金をまとめて「法人税等」と呼びます。それぞれの税金の名称が似ていることもあって混同しやすいため、違いを確認しておきましょう。

法人事業税と法人税との違い

法人事業税と法人税の大きな違いは、税金の納付先です。法人事業税は都道府県に対して納付する地方税ですが、法人税は国に納める国税です。

また、法人事業税が法人の事業に課せられる税金であるのに対して、法人税は、法人の事業活動で得た所得にかかる税金です。どちらも法人の所得をもとに税額の計算を行いますが、性質が違うことを知っておきましょう。そのほか、法人事業税は損金算入が可能ですが、法人税は損金算入できないという違いもあります。

法人事業税と法人住民税との違い

法人事業税と法人住民税はどちらも地方税ですが、「法人の何に対して課される税金か」という点が違います。

法人事業税は法人が行う事業に課されるのに対して、法人住民税は地域社会を構成する法人自体に課される税金です。また、法人事業税は基本的に所得をもとに計算されるため、赤字の場合は課税されません(資本金が1億円超の会社を除く)。

一方、法人住民税は「所得割」と「均等割」で構成されており、このうち均等割は、原則として赤字でも納付が必要です。さらに、法人住民税は法人税と同様に損金不算入なので、その点でも、損金算入可能な法人事業税とは違います。

法人事業税の納税義務者は?

法人事業税の納税義務者は、各都道府県に事務所や事業所を設けて事業を行っている法人です。具体的には、株式会社や合同会社、農業協同組合などが法人事業税の納税義務者にあたります。公益法人等は、収益事業を行っている場合に限り、法人事業税が課せられます。

また、人格のない社団や財団で収益事業を行っている場合は、法人とみなされ、法人事業税の納税義務が生じます。一方で、国や都道府県、市区町村、公共法人には課税されません。

法人の種類ごとの法人事業税の課税・非課税を下記の表にまとめました。

法人事業税の納税義務者
法人区分 課税・非課税
普通法人 株式会社、合同会社などの法人 課税
協同組合 農業協同組合、漁業協同組合、消費者生活組合などの法人 課税
公益法人 宗教法人、財団法人、社団法人などの法人 原則非課税
(ただし、収益事業から生じた所得に対しては課税される)
人格のない社団など 管理組合、PTAなどの法人 原則非課税
(ただし、収益事業から生じた所得に対しては課税される)
公共法人 地方公共団体、独立行政法人などの法人 非課税

2019年に創設された「特別法人事業税」とは?

2019年度の税制改正により、法人事業税の一部を分離する形で「地方法人特別税」が創設されました。特別法人事業税は国税ですが、法人事業税と併せて申告・納付します。

法人事業税は事務所等が所在する都道府県に対して納めるため、会社などが多い都市部と、そうではない地方では、大きな税収格差が生じます。このような地方税の偏りを是正するために導入されたのが地方法人特別税です。

法人事業税と併せて納付された特別法人事業税は、都道府県から国に対して払い込まれ、その後、人口などに応じて各都道府県に再配分されます。

法人事業税の税率と計算方法

法人事業税の税率は、法人の種類や資本金の金額、所得額などによって変動します。また、税率は都道府県によって異なり、資本金額や所得に応じて、軽減税率、標準税率、超過税率のいずれかが適用されます。軽減税率や超過税率の有無、適用要件は自治体によって異なりますが、例えば東京都の場合、資本金が1,000万円未満で3つ以上の都道府県に事業所を設置していない法人は、軽減税率が適用されます。

ここでは、法人事業税の標準税率について紹介していきます。

資本金1億円以下の会社の場合

資本金1億円以下の会社に対しては、原則として、所得に所定の税率を掛けた「所得割」が課せられます。

標準税率は、下記の表のとおりです。

資本金1億円以下の会社の法人事業税の標準税率
課税方法 課税対象 標準税率
所得割 年400万円以下の所得 3.5%
年400万円超800万円以下の所得 5.3%
年800万円を超える所得 7.0%

資本金1億円超の会社の場合

資本金1億円超の会社の場合は、所得割に加えて、各事業年度の付加価値額(従業者への給与などと1年間の損益の合計額)に応じて計算される「付加価値割」と、資本金等の額にもとづいて算出される「資本割」が課せられます。付加価値割は付加価値額に、資本割は資本金等の額に、それぞれ所定の税率を掛けて税額を計算します。

資本金1億円超の会社は、所得割と付加価値額、資本割の合計が法人事業税の納付額となるため、たとえ赤字であっても納税の必要があります。このように、事業所の床面積や従業員数、資本金など、客観的に判断できる基準をベースとした課税方式を「外形標準課税」といいます。

ただし、令和6年度の税制改正により、前事業年度に外形標準課税の対象であった法人が、当該事業年度における資本金及び資本剰余金の額の合計額が10億円を超える場合は、当該事業年度の資本金が1億円以下でも、外形標準課税の対象となることとなりました。

また、資本金及び資本剰余金の合計額が50億円を超える法人の100%子法人に関しても、その子法人の資本金が1億円以下であっても、資本金及び資本剰余金の合計額が2億円を超える場合には外形標準課税の対象とされました。

所得割、付加価値割、資本割の標準税率は、それぞれ下記の表のとおりです。

資本金1億円超の会社の法人事業税の標準税率
課税方法 課税対象 標準税率
所得割 所得額 1.0%
付加価値割 付加価値額 1.2%
資本割 資本金等の額 0.5%

法人事業税の申告と納付

法人事業税も、法人税と同じように確定申告が必要です。特別な届出などを行っていなければ、申告・納付期限は事業年度終了日の翌日から2か月以内です。例えば3月期決算の法人なら、申告期限・納付期限は5月31日です。ただし、期限にあたる日が土曜日、日曜日、祝日などの場合は、その翌日(休み明けの平日)が期限となります。

なお、法人税の中間申告義務のある法人は、原則として、法人事業税も中間申告が必要です。中間申告とは、事業年度の途中で、その期の税金を納めることを意味します。中間申告の期限は、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内です。

法人事業税の中間申告

前述したとおり、法人税の中間申告をする法人は、法人事業税の中間申告が必要です。前事業年度の法人税額が20万円を超えると、法人税の中間申告の対象になります。

中間申告の方法には、前事業年度の納税額をもとにした「予定申告」と、中間申告の対象期間に仮で決算を行う「仮決算」の2種類があります。どちらの方法を選んでも、事業年度を通じた最終的な納税額は変わりません。

予定申告

予定申告とは、前事業年度に確定した法人事業税額をもとに計算した額を申告納付する方法です。前年度の実績をもとに納税するだけなので、税額の算出にあまり手間がかかりません。予定申告の場合の納税額は、下記の計算式で求めます。

予定申告の計算式

法人事業税の予定納税額=前事業年度の法人事業税額÷前事業年度の月数×6

前期が12か月であれば、予定納税額は「前事業年度の法人事業税額÷12×6」です。算出した納税額は、前事業年度の法人事業税のほぼ2分の1の額となります。ただし、だからといって「前事業年度の法人事業税額×1/2」と計算しないように注意しましょう。正しいやり方で計算しないと、予定納税額に微妙なズレが生じることがあります。

仮決算

仮決算は、事業年度開始の日から6か月間を一事業年度とみなして仮に決算を行い、その仮決算の結果にもとづき申告納付する方法です。確定申告を同じように決算処理をしなければいけないため、それなりの手間や労力が生じる点に注意が必要です。

法人事業税の確定申告

決算期には、法人事業税の確定申告を行います。法人事業税の申告書の他、必要に応じて別表を作成し、事務所等の所在地を所轄する都道府県税事務所に提出します。窓口に持参する他、郵送や、eLTAX(地方税ポータルシステム)による電子申告も可能です。

中間申告で納付した税額は、確定申告により計算される年間の税額から控除されます。また、中間申告で納めた税額が多すぎた場合は、確定申告後に還付されます。

法人事業税の申告から納税までの流れ

法人事業税の納付期限は、申告期限と同じ「事業年度終了日の翌日から2か月以内」です。また、中間申告の場合は、「事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内」が納付期限となります。

納税方法は、納付書に現金を添えて納付する他、「eLTAX(地方税ポータルシステム)新規タブで開く」を利用したダイレクト納付、インターネットバンキング、ATM、クレジットカード納付なども可能です。

ただし、自治体によってはeLTAXでの納付に対応していない可能性もあるため、事務所所在地の自治体のWebサイトなどで、あらかじめ納付方法を確認しておきましょう。

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法人事業税の確定申告は会計ソフトで効率化しよう

法人事業税は、法人税や法人住民税と並んで「法人税等」と呼ばれる税金の1つです。株式会社や合同会社など、事業を行っている企業は、法人事業税を納めなければなりません。法人事業税は、法人税と同様に、事業年度終了日の翌日から2か月以内に確定申告が必要です。また、法人税の中間申告を行う企業は、原則として、法人事業税も中間申告をすることになります。

法人事業税の税額は、基本的には所得額をもとに計算されます。そのため、日々の記帳を効率良く行い、正確な所得額を把握することが、法人事業税の確定申告をスムースにするポイントです。記帳に時間がかかったり、帳簿の内容に誤りがあったりすると、法人事業税の確定申告にも悪影響を及ぼしてしまう恐れがあります。

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この記事の監修者齋藤一生(税理士)

東京税理士会渋谷支部所属。1981年、神奈川県厚木市生まれ。明治大学商学部卒。

決算書作成、確定申告から、起業(独立開業・会社設立)、創業融資(制度融資など)、税務調査までサポート。特に副業関連の税務相談を得意としており、副業の確定申告、税金について解説した「副業起業塾 新規タブで開く」も運営しています。

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