過少申告加算税とは?税率・計算方法・課されないケースなどを解説
監修者: 奥 典久(奥典久税理士事務所)
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過少申告加算税は、申告した税額が本来納めるべき額よりも少なかった場合に課されるペナルティです。税率は原則10%ですが、追加で納める税額によっては、その超過の部分に15%が適用されます。意図的ではない場合でも、計算ミスや経理処理の誤りにより課税される可能性があります。
本記事では、過少申告加算税の税率や計算方法、課税されないケースについて解説します。併せて、過少申告が発覚する主な理由、重加算税との関係、納付期限など、よくある疑問にもお答えします。適切な申告を行うためには、過少申告加算税の仕組みを正しく理解しておくことが重要です。日々の会計処理を適正に行うための参考として、ぜひご活用ください。
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過少申告加算税とは、申告した税額が本来より少ない場合に課される加算税のこと
過少申告加算税は、確定申告によって納めた税額が、本来納めるべき税額より少なかった場合に課される加算税であり、附帯税の1つです。確定申告を期限内に行った場合でも、申告内容に誤りがあり、本来の税額より少ない金額を申告していると対象になります。
本来の税額より少ない額を申告してしまうケースとしては「経費として認められないものを計上していた」「売上の計上漏れがあった」「税額の計算を間違えていた」などがあります。過少申告加算税の納付が求められた場合、税務署から通知が届いた翌日から、おおむね1か月以内に納付する必要があります。
過少申告加算税の税率
過少申告加算税の税率は基本的に新たに納めるべき税額に対して10%ですが、以下のように変動が発生します。
- 期限内に納税をしたが、誤りに気が付き、税務署から指摘が入る前に修正申告を行った場合、過少申告加算税の納付は不要です。
- 期限内に納税をしたが、税務署から調査の事前通知が届き、調査を受ける前に修正申告を行った(または、調査による更正(税務署が税額を決定すること)を予知する前に修正申告をした)場合新たに納める税額の5%が過少申告加算税として課されます。さらに、新たに納める税額がもともと申告していた納税額より多い場合、または50万円を超える場合には、その超えている部分に対して10%の過少申告加算税が課されます。
- 期限内に納税をしたが、税務署の調査を受けた後に修正申告した。または、調査による更正(税務署が税額を決定すること)を予知して修正申告をした場合、新たに納める税額がもともと申告していた納税額より多い場合や、50万円を超える場合には、その超えている部分に対して15%の過少申告加算税が課されます。具体的な計算例については後述する「過少申告加算税の計算方法」の項で説明します。
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参照:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき
」
その他の附帯税の種類
過少申告加算税は、本来納めるべき税額である「本税」と別の、ペナルティの性質を持つ「附帯税」の1つです。過少申告加算税のほかの、税務上の「申告」や「納付」に関して課される代表的な附帯税に4つについて解説します。
無申告加算税
無申告加算税は、確定申告の期限内に申告をしなかった場合に、納付すべき税額の他に課される附帯税です。税率は原則として納付すべき税額の15%ですが、納付すべき税額が50万円以上300万円以下の部分は20%、300万円を超える部分は30%となります。
なお、税務署からの調査や指摘を受ける前に、自主的に期限後申告を行った場合は、無申告加算税の税率が5%に軽減されるほか、正当な理由があると認められる場合は、無申告加算税が課されないケースもあります。調査の事前通知後に期限後申告をした場合、10%の無申告加算税となります(納付すべき税額が50万円を超えていると、超過部分は15%の税率となる)。
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参照:e-Gov「国税通則法 第二節第六十六条
」
参照:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
不納付加算税
給与・賞与、報酬・料金、退職金、利子、配当等の支払をする者には、所得税(および復興特別所得税)をあらかじめ源泉徴収し、納付する義務があります。源泉徴収した税金は預かり金であるため、期限内に正しく納付することが求められますが、これを怠った際に課される税が「不納付加算税」です。
税率は、本来納付すべき税額の10%です。ただし、税務署からの指摘を受ける前に自主的に納付した場合は、5%に減額されます。源泉所得税の納付は原則として毎月行う必要がありますが、従業員が常時10人未満の小規模事業者は、納期の特例により半年ごとの納付も可能です。
なお、正当な理由があると認められる場合には、不納付加算税が課されないケースもあります。
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参照:e-Gov「国税通則法 第六十七条
」
重加算税
重加算税は、納税者が課税内容を意図的に隠ぺいしたり、仮装したりした場合に課される附帯税です。悪質な脱税行為に対する厳しいペナルティの意図がある税で、他の附帯税よりも税率が高く設定されています。過少申告の場合は35%、無申告の場合は40%の税率です。
重加算税における隠ぺい・仮装とは、「売上を意図的に除外する」「架空の経費を計上する」「証拠書類を破棄・改ざんする」などの行為です。確定申告の期限内に申告した場合でも、二重帳簿の作成、帳簿書類の隠匿、虚偽の記載などの悪質な行為があると課税される可能性があります。
重加算税が適用されるケースや計算方法、行うべき対応などについて、詳しくは以下の関連記事をご覧ください。
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参照:e-Gov「国税通則法 第六十八条1項
」
延滞税
延滞税とは、税金の納付期限までに納付しなかった場合に課される附帯税です。過少申告加算税が発生するケースでは、同時に延滞税も課されることが多くなっています。
延滞税は、本来の納付期限の翌日から全額納付の日までの日数に応じて課されます。税率は毎年の「延滞税特例基準割合」により変動します。
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- 納期限の翌日から2か月を経過する日まで
年7.3%か、延滞税特例基準割合+1%のいずれか低い方 - 上記の期間以降
年14.6%か、延滞税特例基準割合+7.3%のいずれか低い方
- 納期限の翌日から2か月を経過する日まで
税率や計算方法など、延滞税について詳しくは、以下の関連記事をご覧ください。
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参照:e-Gov「国税通則法 第六十条2項
」
参照:国税庁「No.9205 延滞税について」
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過少申告が発覚する主な理由
過少申告は、税務署の税務調査によって発覚するほか、取引先に対する反面調査によって取引記録の矛盾が見つかることも理由の1つです。そのほかにも銀行口座の不審な入出金履歴、第三者からの密告による発覚など、さまざまなケースがあります。
自社や自事業所への税務調査
税務署は、企業や個人事業主を対象に定期的な税務調査を実施しています。
申告内容に疑問がある場合や、無作為に選定された場合に調査が行われ、帳簿や取引内容の確認を通じて申告漏れや計算の誤りが判明すると、過少申告として指摘され、過少申告加算税が課されます。
取引先への税務調査
過少申告は、自社や自事業所だけでなく取引先に対する税務調査をきっかけに発覚することもあります。
税務署が帳簿や取引記録を調査する際には、取引の実態や取引金額などについて詳細な確認を行います。取引先が支払いを行ったと記録された金額を、自社または自事業所が売上として計上していなかった場合や、金額に相違がある場合には、過少申告の疑いが生じる可能性があります。
従業員や取引先などからの密告
従業員や取引先、親族などからの密告によって税務調査が行われ、過少申告加算税が課されるケースもあります。
国税庁のサイトには課税・徴収漏れに関する情報提供フォームが設けられており、だれでも匿名で情報を提供することが可能です。具体的な情報提供があった場合、税務署は優先的に調査を行う傾向があるため、税務調査が実施される可能性が高くなります。
資産状況
会社や経営者個人の資産状況が、過少申告の発覚につながる場合もあります。税務署は、預金口座の情報や不動産の登記情報、高額な資産の購入履歴などを確認するための調査を行う権限が認められています。申告されている所得や利益に対して、保有している資産や生活水準が明らかに釣り合わない場合は、税務署の目に留まる可能性が高くなります。
例えば、申告所得が少ないにもかかわらず、高額な不動産を購入していたり、豪華な生活をしていたりする場合、申告内容と資産状況の整合性が疑われ、税務調査が行われるケースがあります。こうした調査の結果、過少申告が明らかになれば、過少申告加算税が課されます。
SNSでの発信内容
近年、税務署ではSNSでの発信内容も調査の対象としています。Facebook、Instagram、X(旧Twitter)などのSNSに投稿された情報は、事業の実態や経営者の生活状況を把握する手がかりとなります。
確定申告の内容とSNS上での売上実績や事業状況、経営者の生活状況などに明らかな矛盾があれば、税務署の調査対象となる可能性があります。例えば、申告所得が少ないにもかかわらず、高級車の購入や海外旅行、高額な買い物などをSNSに投稿している場合、過少申告の疑いを持たれるケースがあります。
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過少申告加算税の計算方法
過少申告加算税を求める際に用いる計算式は、次のとおりです。
過少申告加算税=(本来納めるべき税額-過少に申告した税額)×10%
つまり、税務調査や更正決定によって申告した税額に不足分があった場合、その増差額に10%を乗じた金額が過少申告加算税として課されます。
例えば、期限内に申告した税額が90万円で、本来納めるべき税額が100万円だった場合、増差額は10万円です。この場合の過少申告加算税は「10万円×10%=1万円」となり、これを追納する必要があります。ただし、増差額が基準額を超える場合は、計算方法が変わります。この基準額とは、「50万円」もしくは「期限内申告税額」のいずれか多い方の事で、この基準額を増差額が超える場合には、その超過部分に15%の税率が適用されます。
それぞれの税率が適用される場合の計算例は以下のようになります。
(例)増差額の内、50万円以上の超過金額を15%で計算するケース
本来の納税額150万円に対して、期限内申告税額が20万円だった。増差額は130万円となった。=期限内申告税額20万円よりも50万円の方が高い為、基準額は50万円。
- 1.基準額50万円までの税率:50万円 × 10 % = 5万円
- 2.50万円を超過した80万円の部分:80万円 × 15 % = 12万円
- 3.過少申告加算税額: 5万円 + 12万円 = 17万円
(別途、本税130万円と延滞税の納付も必要です)
(例)増差額の内、期限内申告税額以上の超過金額を15%で計算するケース
本来の納税額500万円に対して、期間内申告税額が200万円だった。増差額は300万円となった。
=期限内申告額200万円の方が50万円よりも高い為、基準額は200万円。
- 1.当初の申告税額200万円の部分:200万円 × 10 % = 20万円
- 2.200万円を超過した100万円の部分:100万円 × 15 % = 15万円
- 3.過少申告加算税額: 20万円 + 15万円 = 35万円
(別途、本税300万円と延滞税の納付も必要です)
(例)増額差が、期限内申告額以下の場合
本来の納税額500万円に対して、期間内申告税額が400万円だった。増差額は100万円となった。
=期限内申告額400万円が増額差100万円よりも高いため、基準額超過分はなし。
増額差100万円 × 10 % = 10万円
(別途、本税100万円と延滞税の納付も必要です)
なお、税率は修正申告や税務署による更正通知などの時期や内容により異なる場合があります。誤りに気づき、早めの段階で自主的に修正申告を行うと、加算税の軽減や免除対象となるケースもあります。
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過少申告加算税が課されない3つのケース
本来納めるべき税額より申告した額が少ない場合でも、すべてのケースで過少申告加算税が課税されるわけではありません。自主的な修正や軽微な金額、やむを得ない事情がある際には、加算税が免除されることもあります。
1.自主的に修正申告をしたとき
過少申告があっても、税務調査の通知を受ける前に自主的に修正申告を行った場合には、過少申告加算税が課されません。これは、納税者が自ら誤りに気づき、速やかに是正する姿勢を評価する制度です。
ただし、税務調査の通知があった後や、税務調査が実施された後に修正申告を行った場合は、過少申告加算税が課されます。そのため、申告内容に誤りや漏れがあった際は、税務署からの連絡を待たずに修正申告を行うことが推奨されます。
2.加算税が5,000円未満のとき
計算の結果、過少申告加算税の金額が5,000円未満となる場合は、納付が免除されます。これは国税通則法第119条第4項に基づく規定です。加算税の額が5,000円未満となる場合には、全額を切り捨てると定められています。
例えば、新たに納める税額が4万円の場合、過少申告加算税は「4万円 × 10% = 4,000円」で5,000円未満となるため、納付する必要はありません。つまり、少額の過少申告については、徴収コストなどを考慮して実際の納付を求めないという趣旨の制度です。
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参照:e-Gov「国税通則法 第百十九条 4項
」
3.正当な理由があるとき
納税者に責任がなく、正当な理由があって過少申告になった場合、過少申告加算税が課されないケースがあります。
具体的な例として、税務署職員による指導や助言に従って申告したものの、内容に誤りがあったために結果的に過少申告となった場合や、税法の解釈が複雑で専門家でも判断が分かれるような事例において、合理的な根拠に基づいて申告した場合に該当する可能性があります。
ただし、客観的な証拠となる資料を集めて準備し、正当な理由があることを立証できなければなりません。
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過少申告加算税に関するよくある質問
過少申告加算税と重加算税が同時に課されることはある?
過少申告加算税と重加算税が同時に課されることはありません。過少申告加算税は、実際に支払うべき税額より申告額が少ない場合に課されます。しかし、不正行為や隠ぺいがあり悪質だと判断されると、過少申告加算税ではなく、重加算税が課される可能性があります。
ただし延滞税は、過少申告加算税や重加算税と同時に課されます。
延滞税について詳しくはこちらをご覧ください。
過少申告加算税はいつまでに納付する?
過少申告加算税は、税務署から更正通知書や決定通知書が届いた際、その通知書に記載された納期限までに納付します。通常では、通知の翌日からおおむね1か月以内が納付期限の目安となります。もし納付が困難な場合は、「納税の猶予」もしくは「換価の猶予」といった制度を利用できる可能性があるため問い合わせてみましょう。
追徴課税を支払えない場合の対処方法について、詳しくは以下の関連記事をご覧ください。
- 参照:国税庁「納期限までに納付することが困難な方へ
」
- 参照:国税庁「G-9 換価の猶予の申請手続
」
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過少申告加算税が課されないよう正しく会計処理をしよう
過少申告加算税は、計算ミスや記帳漏れなど、日々の会計処理の不備によって発生することもあります。正しい申告を行うためには、日々の取引を正確に記録し、ミスを防ぐ体制を整えましょう。
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この記事の監修者奥 典久(奥典久税理士事務所)
奥典久税理士事務所 代表
簿記専門学校で税理士講座講師として勤めたのち、会計事務所で勤務。その後独立し、奥典久税理士事務所を開業。相続(贈与)対策や事業承継コンサルティング経営、財務コンサルティングから各種セミナーなど、幅広く税理士業務に従事。