法人の確定申告の期限とは?過ぎた場合の対処法やペナルティを解説

2023/07/13更新

この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

決算の後、法人が必ず行わなければならないのが、確定申告です。個人の所得税の確定申告は原則2月16日から3月15日ですが、法人の確定申告の時期は決算日を基準にして定められています。

個人も法人も、定められた申告期限内に確定申告を行わなかった場合には、さまざまなペナルティが発生します。では、どうしても申告期限内の申告が難しい場合や、申告期限を忘れてしまった場合にはどうすれば良いのでしょうか。

ここでは、法人の確定申告の期限と、期限を過ぎた場合の対処法やペナルティ、申告期限の延長が認められるケースなどについて解説します。

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法人が守るべき確定申告の期限は?

法人が税務署などに対して納税がしなければならない税金には、それぞれに確定申告の期限があります。法人が税務署などに納めなければならない税金は、主に、法人税、法人住民税、法人事業税、消費税および地方消費税の5つです。申告期限や課税期間について特別な届出などを行っていなければ、いずれの税も、決算日の翌日から2か月以内が納税期限となります。

例えば3月期決算の法人なら、申告期限・納付期限は5月31日です。ただし、期限にあたる日が土曜日、日曜日、祝日などの場合は、その翌日(休み明けの平日)が期限となります。

なお、先述した税のうち法人税と消費税は国税にあたり、申告先は納税地を管轄する税務署です。地方消費税は地方税となりますが、国への消費税と併せて申告・納付するため、地方消費税の納付先も税務署となります。また、法人住民税と法人事業税は地方税にあたり、これらの申告先・納付先は地方自治体です。

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期限までに申告できなかったらどうなる?

もし定められた期限までに確定申告ができなかった場合は、できるだけ早く申告を行いましょう。期限を過ぎると、申告が遅くなればなるほど、後述するペナルティも重くなってしまいます。

確定申告の期限に間に合わなかったらどうなるのかを、期限後に自ら申告した場合と税務署に指摘されるまで放置した場合の2つのケースに分けて解説します。

期限後に自ら申告した場合

期限内に申告ができなかった場合でも、できるだけ早く自ら確定申告と納税を行えば、ペナルティとして課されることは延滞税の支払いのみです。税務署に指摘されるまで無申告のまま放置した場合と比べるとペナルティはかなり軽く済むため、確定申告の期限を忘れていた場合は、気づいたタイミングで可能な限り早く申告をすることが大切です。このような申告期限を過ぎてからの申告を「期限後申告」といいます。

ただし、申告する前に税務調査が入り、税務署が所得金額や税額を確定させる通知が届いた場合は、期限後申告を行うことはできません。

税務署に指摘されるまで放置した場合

税務署に指摘されるまで確定申告を行わないまま放置した場合、税務調査が入る可能性があります。税務調査では、税務署が所得金額や納めるべき税額を判断して納税額の通知を行い、通知を受け取った納税対象者はその決定にもとづき税金を納付しなければなりません。税務署の指示に従わない場合は督促が行われ、それでも税金を納付しないと財産差し押さえなどの処分が下されるケースもあります。

申告にもかかわらず現段階でまだ税務調査が入っていないとしても、できるだけ早く申告を行うべきでしょう。

申告期限を守らなかった場合のペナルティとは?

確定申告の期限を守らないと、取引先や金融機関からの信用が低下したり、融資の審査が厳しくなったりする可能性がありますが、それ以外にペナルティも発生します。どのようなペナルティが科されるかは、期限内申告か無申告かによっても違いがあり、悪質かどうかによっても異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

延滞税

延滞税は、納税が期限に遅れたことに対するペナルティとして課される税金です。

原則として、定められた納付期限(法定納期限)までに納税を行わないと、その翌日から実際に納付した日までの日数に応じて延滞税が課されます。たとえ期限内に申告をしても、納税が期限に間に合わなかった場合は延滞税が発生するので注意しましょう。なお、延滞税の金額を計算する際には、納付すべき税額のうち1万円未満の端数は切り捨てるため、納付すべき税額が1万円未満の場合は、延滞税はかかりません。

延滞税額は、期限から2か月を境に計算方法が変わります。計算式は下記のとおりです。

1. 納税した日が納期限の翌日から2か月以内の場合

延滞税の金額=納付すべき税額×延滞税の割合×期限の翌日から完納までの日数÷365

延滞税の割合は、原則的には年7.3%です。例外として、「延滞税特例基準割合+1%」が7.3%を下回る場合には、こちらの数字が採用されます。なお、延滞税特例基準割合は毎年変化しており、例えば、2022年1月1日から12月31日の延滞税特例基準割合は1.4%であるため、「延滞税特例基準割合+1%」は2.4%となります。

2. 納税した日が納期限の翌日から2か月を経過した日以後の場合

延滞税の金額=1で計算した税額+納付すべき税額×延滞税の割合×2か月を経過する日の翌日から完納までの日数÷365

納期限から2か月を経過した場合の延滞税の割合は、原則年14.6%です。例外として、「延滞税特例基準割合+7.3%」が14.6%を下回る場合には、こちらの数字が採用されます。

例えば、2022年1月1日から12月31日の間に完納する場合、この期間の延滞税特例基準割合は先述のとおり1.4%であるため、「延滞税特例基準割合+7.3%」は8.7%になります。つまり、税金の納付が期限から2か月以上遅れた場合は、2か月以内に納税した場合よりさらに延滞税額が上がるということです。

無申告加算税

無申告加算税は、期限内に申告しなかったことに対するペナルティです。無申告加算税は、本来納付すべき税額をもとに、次のように計算されます。

納めるべき税額のうち、50万円以下の部分に対する無申告加算税

無申告加算税=納めるべき税額×15%

納めるべき税金のうち、50万円を超える部分に対する無申告加算税

無申告加算税=納めるべき税金×20%

ただし、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合は、この無申告加算税は原則として「納めるべき税金×5%」に軽減されます。また、期限後申告をする人の中には、どうしても申告期限内の申告が難しい場合や、うっかり申告期限を忘れてしまったというケースもあるでしょう。そのような場合は、次の要件をすべて満たせば、期限後申告であっても無申告加算税は課されません。

無申告加算税が免除される要件

  • 法定申告期限から1か月以内に自主的に申告している
  • 期限後申告で納付すべき税金の全額を法定納期限(期限後申告の場合は申告書を提出した日)までに納付している
  • 期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていない

重加算税

重加算税は、無申告でその内容が特に悪質と判断された場合や、申告内容に嘘やごまかし、隠蔽があると認められた場合に発生する、非常に重いペナルティです。

重加算税が課せられるのは無申告だけとは限りません。たとえ期限内申告や期限後申告をしていても、その申告内容に意図的かつ悪質なごまかしがあるとわかれば、重加算税の対象になります。具体的には、二重帳簿の作成、帳簿書類の破棄や改ざん、架空経費の計上などが挙げられます。

重加算税の金額は、無申告の場合は本来納めるべき税金の40%、申告済みの内容に嘘やごまかしがあった場合は本来納めるべき税金の35%です。仮に無申告で重加算税を納めなければならなくなった場合、重加算税のみで本来納めるべき税金の40%となり、そこに延滞税や無申告加算税といった他のペナルティも合わせると、実質の納税額が、期限内に本来納めるべき税金の倍近くなる可能性もあります。

さらに重加算税を納税した後も、企業に対する税務署の目は厳しくなるでしょう。脱税の意図をもって悪質なごまかしをしていたということになるわけですから、何年にもわたって税務調査の対象になるケースも少なくありません。

青色申告の取消

青色申告をしている法人の場合、2期連続で期限内に申告がなされないと、青色申告の承認が取り消されます。これは、先述した無申告加算税が免除される要件を満たしていても関係ありません。

青色申告の承認が取り消されると、1年間は再申請ができなくなります。青色申告ができないと、赤字になった金額である欠損金の繰越控除や、減価償却費を通常時より多く計上できる特別償却、一定額の法人税を控除できる特別控除など、法人におけるさまざまな節税メリットを受けられなくなってしまいます。

期限を過ぎても申告が認められるケースとは?

一方で、期限を過ぎていても申告が認められたり、申告期限を延長できたりするケースもあります。どのようなケースなら認められるのかを、必要な手続きと併せて確認していきましょう。

自然災害により申告・納税が期限内にできない場合

自然災害などやむを得ない理由によって、申告・納税に間に合わない納税者が多いと考えられる場合、国税庁長官が地域や期間を指定して申告・納税期限を延長します。地域と期日は決まり次第官報に掲載され、指定された地域に該当するなら、特に手続きを行わなくても申告・納税の期限が延長されます。

また、延長された期限にも間に合わない場合や、指定された地域以外の法人が災害などで期限内申告が難しい場合は、状況に応じて次のような手続きを行う必要があります。

申告などの期限の再延長手続きを行う

延長された期限にも申告ができないときは、所轄の税務署に申請することで、災害などの理由がやんだ日から2か月を上限として申告・納付の再延長が可能です。災害などの理由がやんだ日とは、災害の再発の可能性がなくなり、確定申告ができそうな状況に戻った日、ということです。

また、指定地域以外に納税地がある法人が、災害などの理由によって期限内の申告ができないときも、税務署に申請すれば、災害などの理由がやんだ日から2か月を上限として期限を延長できます。具体的には、災害による帳簿書類の滅失やライフライン遮断が起こったり、株主総会が開催できなかったりした場合などです。近年では、新型コロナウイルス感染症の影響で期限内申告ができない場合にも、この延長制度が適用されています。

申告期限の延長手続きを行う

先述のように地域指定や個別で期限延長される場合以外で、災害などのために決算が確定せず期限内の申告ができないときは、事業年度終了の日の翌日から45日以内に税務署に申請すれば、申告期限を延長することが可能です。なお、申請の際には、決算が確定しない理由などを記載した申請書を税務署に提出する必要があります。

この申告期限の延長は、国税庁の対応にかかわらず、納税者の判断で延長の申請ができます。ただし、この手続きによって延長されるのは申告期限だけで、納付期限は延長されません。納付が遅れる場合は利子税が加算されるため注意しましょう。

納税の猶予を利用する

災害などのために税金を期限内に納付できない場合は、納税の猶予があります。この制度は、災害の他、事業の休廃止や病気など個人的な事情でも利用可能です。納税の猶予を税務署に申請し、承認されると、1年以内に限り納税を遅らせたり分割して納税したりできるようになります。ただし、「猶予する納税額が100万円以下」「猶予期間が3か月以内」などの要件から外れる場合は、担保の提供が必要です。

株主総会の開催が法定申告期限より後になる場合

株主総会の開催を「事業年度終了の翌日から3か月以内」と定款で定めている場合は、確定申告の期限を2か月から3か月に延長できる特例があります。ただし、延長されるのは申告期限だけであって、納付期限は変わらないため注意しましょう。納付が遅れると、期限を過ぎた日数に応じて利子税が加算されてしまいます。そのため一般的には、本来の申告期限までに暫定的な税額を見込納付し、申告の際に改めて精算を行います。

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よくあるご質問

法人の確定申告の期限は?

特別な届出などを行っていなければ、いずれの税も決算日の翌日から2か月以内が納税期限となります。3月期決算の法人なら、申告期限・納付期限は5月31日です。ただし、期限にあたる日が土曜日、日曜日、祝日などの場合はその翌日(休み明けの平日)が期限となります。詳しくはこちらをご確認ください。

期限までに申告できなかったらどうなる?

期限までに確定申告ができなかった場合は、申告が遅くなればなるほど、重いペナルティが課されることになります。確定申告の期限を守らないと取引先や金融機関からの信用が低下したり、融資の審査が厳しくなったりする可能性もあります。詳しくはこちらをご確認ください。

法人の確定申告を期限内に行うために必要なことは?

確定申告の期限を過ぎてしまう理由の多くが「計算が間に合わない」「帳簿書類の作成に時間がかかりすぎる」というものです。確定申告のベースとなる記帳をスムースに行うためにも、「弥生会計 オンライン」をはじめとする会計ソフトを上手に活用すると良いでしょう。

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この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。

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