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再振替仕訳とは?行う目的や仕訳例などを解説

2024/04/24更新

この記事の監修齋藤一生(税理士)

決算整理仕訳で繰り延べたり見越したりした収益や費用は、翌期首に元の勘定に戻す仕訳を行います。この作業を「再振替仕訳」といいますが、再振替仕訳は期首にだけ行う仕訳なので、普段の仕訳とは違ってわかりにくいと感じる方も多いかもしれません。

ここでは、決算整理仕訳と再振替仕訳の関係や再振替仕訳を行う理由、再振替仕訳の具体例などについて解説します。

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再振替仕訳とは、決算整理仕訳を貸借反対にして行う仕訳のこと

再振替仕訳とは、決算整理仕訳を貸借反対にして行う仕訳のことです。決算整理仕訳によって、期をまたぐ取引に関する収益や費用の繰り延べや見越しの処理を行います。そして、翌期首に再振替仕訳で決算整理仕訳を取り消す逆仕訳を行い、繰り延べや見越しをした収益・費用を戻します。

再振替仕訳を行う理由は、繰り延べや見越しを行った収益や費用を、翌期に正しく反映させるためです。例えば、決算整理仕訳の対象になる勘定科目で代表的なものに、前払費用があります。継続して受けるサービスの年払いなど、当期に支払った費用に翌期分が含まれている場合には、決算整理仕訳で前払費用として計上し、当期の費用から前払分の費用を控除します。

この前払費用をそのままにしていては、翌期に費用を正しく発生させることができません。そのため、翌期首の日付で再振替仕訳を行い、翌期の損益計算を適正に行えるようにします。

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決算整理仕訳を行う目的は?

前述のとおり、再振替仕訳は決算整理仕訳の貸借を反対にして行う仕訳です。では、そもそも決算整理仕訳とは何のために行うのでしょうか。

決算整理仕訳とは、期中に作成した仕訳帳を決算時点の情報に合わせて修正し、決算時点での状況とズレが生じないようにするための仕訳です。決算整理仕訳では、売上の確認、現金・預金の確認、減価償却費の計上、棚卸資産の確認、保有株式や有価証券の確認などを行い、決算書の作成に必要となる正確な数字を確定させます。具体的には、前払した費用や前受けした収益を当期の損益計算から控除したり、未払費用や未収収益を計上したりする処理を行います。

決算整理仕訳も再振替仕訳も、事業年度に一度だけ行う特別な仕訳です。ただし、決算整理仕訳を行うのは期末、再振替仕訳を行うのは期首になるので、混同しないよう注意してください。

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再振替仕訳を行う決算整理仕訳の主なケースとは?

再振替仕訳が発生するのは、決算整理仕訳で経過勘定項目を計上した場合です。経過勘定項目の計上は、会計期間内の収益と費用を、決算書に正しく計上するための修正作業のひとつです。

主な経過勘定科目は「未払費用」、「未収収益」、「前払費用」、「前受収益」の4つで、決算整理仕訳ではそれぞれ下記のような処理を行います。

主な経過勘定科目とその内容

経過勘定科目 内容 経過勘定項目
未払費用 当期の費用だが翌期に支払う場合、未払分を当期の費用として計上する 費用の見越し
未収収益 当期の収益だが翌期に受け取る場合、受け取る分を当期の収益として計上する 収益の見越し
前払費用 翌期の費用を当期に支払った場合、翌期の費用を当期の費用から取り除く 費用の繰り延べ
前受収益 翌期の収益を当期に受け取った場合、翌期分の収益を当期の収益から取り除く 収益の繰り延べ

そのほか、期中に使い切れなかった物品を決算整理仕訳で貯蔵品に振り替えた場合も、翌期首に再振替仕訳を行います。

ここでは、それぞれ具体的にどのようなものが該当するのかをみてみましょう。

未払費用

未払費用は、継続してサービスの提供などを受ける場合、その代金が後払いとなっているものに使う勘定科目です。

家賃や地代、利息、給与、水道光熱費、保険料など、一定の契約にもとづき継続的な役務の提供を受ける際、決算時点でまだ支払期日になっておらず、提供された役務に対する支払いが済んでいないことがあります。

そのような費用は、決算整理仕訳で、未払費用として計上します。未払費用に該当する費用の具体例は、未払人件費、未払法定福利費、未払保険料などです。

未収収益

未収収益とは、継続してサービスを提供する場合に、その代金を後払いで受け取るものに使う勘定科目です。前述した未払費用が期をまたいで継続する役務を受ける際に使用する勘定科目であるのに対して、未収収益は継続した役務を提供する際に発生する勘定科目です。

具体的には、お金を貸し付けたときの利息を後払いで受け取る場合や、不動産を貸し付けたときの家賃を後払いで受け取る場合などが挙げられます。未収収益に該当するのは、未収利息や未収保険料などです。

前払費用

前払費用とは、継続的なサービスを受けるために前払いした費用のうち、まだサービスの提供を受けていない部分について計上する勘定科目です。

当期に支払った費用に翌期分が含まれている場合には、決算整理仕訳で前払費用として計上し、当期から前払分(翌期分)の費用を控除します。前払費用が発生するのは、翌期以降にかかる事務所の家賃、機器・事務用品のリース料、年間契約をしている火災保険や自動車保険の保険料などを支払ったときです。

そのほか、サーバー利用料や会計ソフトの年間利用料など、年度をまたぐ継続的なサービスの費用も含まれます。前払費用に該当する代表的な費用としては、前払保険料や前払地代家賃などが挙げられます。

前受収益

前受収益とは、継続してサービスを提供する契約において、まだ役務を提供していない部分について受け取った金額を計上する勘定科目です。

例えば、当期中に期限が来ていない受取利息や対価を受け取ったものの翌期以降に充当される家賃・地代、商品やサービスの提供が翌期になる受取手数料などが該当します。会計上、収入を計上するタイミングは、商品の引き渡しやサービスの提供が完了した時点です。

そのため、期中にお金を受け取ったとしても、商品やサービスの提供が終わっていなければ売上計上ができないので、決算整理仕訳で前受収益として処理することになります。前受収益に該当する代表的な費用としては、前受地代家賃や前受手数料などが挙げられます。

貯蔵品

貯蔵品とは、期中に経費処理した消耗品などのうち決算時において未使用のものを、資産として計上するときに使う勘定科目です。具体的には、切手や収入印紙の未使用分、事務用品などの消耗品、発送材料のストックなどを、決算時に貯蔵品として仕訳します。商品や原材料は貯蔵品に含みません。

貯蔵品として計上することで、未使用の消耗品等は費用から資産へ振り替えられ、翌期へ繰り越されます。そして、翌期の期首に再振替仕訳を行い、再び費用に戻すことになります。

再振替仕訳の仕訳例

再振替仕訳を行う場合には、どのように仕訳を行えばよいのでしょうか。ここでは、決算整理仕訳で、未払費用、未収収益、前払費用、前受収益、貯蔵品が発生したそれぞれのケースについて、翌期首に行う再振替仕訳のやり方を紹介します。

なお今回は、いずれのケースも、会計期間は4月1日から3月31日とします。

未払費用(未払人件費)の再振替仕訳

まず、未払費用のうち、未払人件費を例に挙げて仕訳を紹介します。

決算日と給与締め日によっては、決算時に人件費を未払計上する必要があります。今回の例では決算日が3月31日であるため、給与の締め日が毎月末日であれば、未払費用を計上する必要はありません。しかし、15日締めや20日締めなどの場合、3月の締め日翌日から31日までに該当する給与については、未払人件費として計上しなければなりません。

例えば、給与の支払いが20日締めの25日払いの会社が、決算のために21日から月末までの給与20万円を未払計上した場合の期末の決算整理仕訳の仕訳例は、下記のとおりです。

決算整理仕訳の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
給料手当 200,000 未払費用 200,000

また、この会社が、前期末に計上した未払費用(未払人件費)の再振替仕訳を行った場合の期首の再振替仕訳の仕訳例は、下記のとおりです。

再振替仕訳の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
未払費用 200,000 給料手当 200,000

未収収益(未収利息)の再振替仕訳

決算日時点で貸付金の利息が入金されていない場合、決算整理仕訳では、当期相当分を未収収益(未収利息)として計上します。

例えば、利息は後払いにする前提で得意先に50万円の貸し付けを行った後、決算の際にこの貸付金に対する当期分の利息1万8,000円を計上した場合の決算整理仕訳の仕訳例は、下記のとおりです。

決算整理仕訳の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
未収収益 18,000 受取利息 18,000

また、B社が期首において、前期末に計上した未収収益(未収利息)を振り戻した場合の再振替仕訳の仕訳例は、下記のとおりです。

再振替仕訳の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
受取利息 18,000 未収収益 18,000

前払費用(前払保険料)の再振替仕訳

決算時に前払費用を計上するケースとして多いのが、保険料です。

例えば、1月1日から12月31日までの保険期間で、年間保険料が2万4,000円のケースを考えてみましょう。この場合、決算日が3月31日なら、当期分に該当するのは1月から3月までの3か月分です。残りの9か月分は翌期に対する費用なので、当期分の費用にはせずに、前払費用に振り替える必要があります。

年間保険料が2万4,000円とすると、12か月で割って、1か月あたりの保険料は2,000円になります。つまり決算時には、2,000円×9か月分の1万8,000円を、前払費用に計上するということです。

この会社が年間保険料として支払った2万4,000円のうち、翌期に該当する9か月分の1万8,000円を、決算時に前払費用に振り替えた場合の決算整理仕訳の仕訳例は、下記のとおりです。

決算整理仕訳の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
前払費用 18,000 保険料 18,000

また、この会社が、前期末に計上した前払費用(前払保険料)について、期首に再振替仕訳を行った場合の仕訳例は、下記のとおりです。

再振替仕訳の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
保険料 18,000 前払費用 18,000

ただし、保険料の場合、税法上は短期前払費用として翌期分の保険料を損金計上することを選択することもできるので注意しましょう。

前受収益(前受地代家賃)の再振替仕訳

土地や建物などを貸して地代や家賃を受け取っている場合は、決算時に前受収益(前受地代家賃)が発生する可能性が高いといえます。

例えば、3月に翌月分の賃料10万円を受け取ったとしましょう。この場合、4月分の賃料は翌期に該当するものとなるため、決算時に前受収益として振り替える必要があります。

この会社が受け取った家賃のうち、翌期に対応する分の10万円について、決算時に前受収益に振り替えた場合の仕訳例は、下記のとおりです。

決算整理仕訳の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
受取家賃 100,000 前受収益 100,000

また、この会社が前期末に計上した前受収益(前受地代家賃)について、期首に再振替仕訳を行った場合の仕訳例は、下記のとおりです。

再振替仕訳の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
前受収益 100,000 受取家賃 100,000

貯蔵品の再振替仕訳

期中に経費処理した切手や収入印紙などのうち、決算時において未使用のものがある場合は、貯蔵品として資産に振り替えます。また、カタログやパンフレット、サンプル商品といった販売促進資材も、貯蔵品として扱われます。

例えば、1部200円のカタログを1,000部制作したところ期末に800部残ったため、残った分をすべて在庫にし、決算時に貯蔵品として処理した場合の仕訳例は、下記のとおりです。

決算整理仕訳の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
貯蔵品 160,000 事務用品費 160,000

また、この会社が前期末に計上した貯蔵品の再振替仕訳を行った場合の仕訳例は、下記のとおりです。

再振替仕訳の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
事務用品費 160,000 貯蔵品 160,000

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期首には忘れずに再振替仕訳を行おう

再振替仕訳は、決算整理仕訳を貸借反対にして行う仕訳のことです。決算整理仕訳で、未払費用、未収収益、前払費用、前受収益、貯蔵品を計上した場合は、翌期首にそれぞれ再振替仕訳を行う必要があります。「なぜ再振替仕訳が必要なのか」「再振替仕訳のもとになる決算整理仕訳にはどのような意味があるのか」ということをきちんと理解していないと、仕訳漏れが起こりやすくなってしまいます。決算整理仕訳も再振替仕訳も、通常の帳簿付けとは異なる特別な仕訳なので、意外とミスをしてしまいがちです。

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この記事の監修者齋藤一生(税理士)

東京税理士会渋谷支部所属。1981年、神奈川県厚木市生まれ。明治大学商学部卒。

決算書作成、確定申告から、起業(独立開業・会社設立)、創業融資(制度融資など)、税務調査までサポート。特に副業関連の税務相談を得意としており、副業の確定申告、税金について解説した「副業起業塾 新規タブで開く」も運営しています。

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