個人事業主におすすめの会計ソフト(確定申告ソフト)は?選び方を解説

2024/02/16更新

この記事の監修齋藤一生(税理士)

多くの個人事業主やフリーランスが、毎年行うことになる確定申告。領収書や提出書類と格闘し「確定申告の時期は憂鬱だ…」と感じている人も多いのではないでしょうか。

そんな個人事業主の方におすすめなのが「会計ソフト」の導入です。帳簿や書類作成など、面倒な作業の大部分を会計ソフトが担ってくれるので、簿記の知識がなくても、スムーズに確定申告ができます。

ここでは個人事業主やフリーランスに役立つ便利な会計ソフトの機能や、選ぶ際のポイントも解説しているので、確定申告にお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

個人事業主が会計ソフトを導入する際の判断基準

個人事業主が「会計ソフトを導入したほうがよいのだろうか?」と悩んだ際に、判断基準となるのは以下の2つです。

  • 確定申告は青色申告か白色申告か
  • 会計知識があるかないか

2つのポイントを参考に、会計ソフトの導入を検討してみましょう。

青色申告か白色申告か

青色申告と白色申告それぞれのケースで、会計ソフトを導入した場合のメリット・デメリットをまとめました。

メリット デメリット
青色申告
  • 複式簿記での帳簿付けが簡単にできる
  • e-Taxによる電子申告に対応している(青色申告特別控除最大65万円の適用要件の一つ)
ソフトの購入費や維持費(使用料金)がかかる
白色申告
  • 単式簿記での帳簿付けが簡単にできる
  • 無料で使える会計ソフトがある
会計ソフトを利用しても、青色申告特別控除(最大65万円)は受けられない

青色申告の場合、原則として「複式簿記」での帳簿付けを行いますが、簿記知識のない人が手書きやエクセルなどで記帳するのは非常に難しいです。

  • 青色申告でも単式簿記を選択することは可能ですが、青色申告特別控除額は最大10万円になります。

また青色申告特別控除の最大65万円を受けるには、e-Taxでの電子申告もしくは、優良な電子帳簿保存が必要です。電子帳簿保存は、申告期にすぐに対応できるわけではないため、e-Taxでの電子申告がおすすめです。最大65万円の青色申告特別控除を目指すなら、e-Taxに対応できる会計ソフトの導入は必須といえるでしょう。そのため、青色申告を選択している人は、会計ソフトを導入したほうが、メリットが大きいです。

一方、白色申告の場合は簡易帳簿で記帳すればよいため、わざわざ有料の会計ソフトを購入しても事務的負担はさほど変わらないかもしれせん。

青色申告や白色申告については別の記事で解説していますので、参考にしてください。

会計知識があるかないか

会計ソフト導入の判断材料として、会計知識の有無も関係してきます。簿記の資格をお持ちの方や会計業務に詳しい人は、手書きやエクセルなどでも問題なく帳簿付けができるでしょう。しかし、会計知識があまりない人の場合は、自動で計算や資料作成を行ってくれる会計ソフトの導入がおすすめです。

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個人事業主が会計ソフトを選ぶ際の比較要素

個人事業主が会計ソフトを選ぶ際に、チェックしておきたい比較ポイントを8つ紹介します。

  • 費用が有料か無料か
  • 帳簿の作成が簡単にできるか
  • 金融機関と連携できるか
  • スマホで使えるか・アプリがあるか
  • サポートは充実しているか
  • 自分が使っているOSに対応しているか
  • 他機能は充実しているか
  • インストール型かクラウド型か

費用が有料か無料か

会計ソフトを選ぶ際は、まずは料金をチェックしてみましょう。料金体系は大きく分けて以下の3種類があります。

  • 無料の会計ソフト
  • 月額制・年額制の会計ソフト
  • パッケージ型(買い切り)の会計ソフト

個人事業主向けと法人向けでも価格は異なりますが、それぞれの会計ソフトの費用相場は以下のとおりです。

種類 料金相場
月額制 約1,000〜4,000円/1か月
パッケージ型 1万円台〜20万円以上

月額制がある場合は12か月分をまとめて支払うことも可能で、年払いのほうが安いこともあります。パッケージ型の会計ソフトは、1万円台~20万円以上のものまで幅広い製品があり、それぞれで利用できる機能が異なります。事業規模や会計ソフトにかけられる予算を検討して、自分にあうものを選びましょう。

帳簿の作成が簡単にできるか

会計ソフトは毎日のように使用するものなので、使い勝手の良さは重要です。「帳簿の作成が簡単にできるか?」「操作画面が見やすいか?」などを、あらかじめチェックしておくとよいでしょう。会計ソフトのなかには無料体験できるものが数多くあるので、ぜひ実際に操作してみてください。

帳簿作成の詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

金融機関と連携できるか

会計ソフトのなかには、金融機関(銀行・クレジットカード)と連携できる機能を持った製品があります。金融機関と連携させられる会計ソフトには、以下のようなメリットがあります。

  • 入出金明細や利用履歴を自動取得できるため帳簿付けの手間がない
  • 取得した取引データをAIが自動で仕訳して帳簿に反映してくれる

事業に利用している金融機関が会計ソフトと連携できるか、事前に確認しておきましょう。

スマホで使えるか・アプリがあるか

会計ソフト選びの重要なポイントとして「スマホ対応しているか」も忘れずにチェックしておいてください。スマホやアプリが利用できる会計ソフトには、以下のようなメリットがあります。

  • いつでも取引記録の入力ができる
  • スキマ時間に経理業務ができる
  • スマホカメラでレシートを読み込める

移動中や待ち時間に手軽に経理処理ができるようになれば、業務効率化につながります。スマホから利用できるかどうかは、事前に確認しておきましょう。

サポートは充実しているか

購入後のサポート体制についても事前にチェックしておくことがおすすめです。サポートサービスの内容は各社異なりますが、具体的には以下のようなものがあります。

  • 法令改正対応
  • 導入相談
  • 製品操作の相談
  • 仕訳の相談
  • 確定申告相談(個人)
  • 経理業務相談
  • 消費税改正業務相談(インボイス制度)
  • 労務相談

電話やメール、チャットなどで相談できるサービスもあるので「ひとりでは不安」という方は、手厚いサポートが整っている会社を選びましょう。

自分が使っているOSに対応しているか

会計ソフトを選ぶ際は、自分が使っている端末のOSに対応しているか確認しておかなければなりません。

  • OSとはコンピューターを使用するための基本的なソフトウェアのこと。

OSは、大きく分けると「Windows」と「Mac」の2つがあり、対応している製品が異なります。自身のパソコンの仕様を確認してから購入しましょう。

他機能は充実しているか

会計ソフトには基本的な帳簿作成のほかに、さまざまな機能が付随している製品もあります。一例として、会計ソフトで利用できる機能の一部を紹介します。

  • 決算書の作成
  • 仕訳・記帳の自動化
  • 金融機関との連携
  • 店舗POS・レジとの連携
  • 請求書連携
  • インボイス制度対応
  • 電子帳簿法対応
  • 「やよいの青色申告 オンライン」の場合

個人事業主や小規模事業者の場合、経費のためだけに人材を雇うのはコスト面で難しいケースもあり、自分ですべてを行っている方も多いでしょう。他機能と連携させることで、経理業務の手間を大幅に軽減させることが可能になります。

インストール型かクラウド型か

会計ソフトの導入方法は主に以下の2つに分けられます。

概要 料金体系 メリット デメリット
インストール型 メディアから直接やサイトからパソコンにダウンロードして使用する 買い切りが多い(パッケージ型または、ダウンロード購入)
  • 運用ではインターネット環境がなくても利用できる
  • 一度購入すればその後のコスト負担が少ない(アップデートは有料な場合あり)
  • 自動仕訳機能がある
  • スマホに対応していない
  • e-Taxソフトを別途ダウンロードしないと電子申告ができない
クラウド型 インターネットにアクセスしてブラウザで使用する 一年払いが多い(月額制が用意されている場合もある)
  • 自動仕訳機能がある
  • スマホからも使える
  • インストールが不要
  • バージョンアップが無料
  • 電子申告(e-Tax)に対応しているソフトが多い
  • インターネット環境がないと使用できない

経理業務が初心者の人や、事業をはじめたばかりの個人事業主の方にはクラウド型で「自動仕訳機能」がある製品の利用がおすすめです。勘定科目がわからない場合も「〇〇はどの経費に該当するのか」を自動で判断してくれるため、間違えることなく帳簿付けができます。

ただし、利用にはインターネット環境が必須となるので、もし適切な通信環境がない場合はインストール型のほうがよいかもしれません。利用したい機能と経理作業を行う環境に応じて選択してみてください。

弥生のクラウド型ソフトの詳細については、以下で詳しく解説しています。

個人事業主・フリーランスの確定申告におすすめしたい弥生の会計ソフト

弥生の会計ソフトで、個人事業主やフリーランスにおすすめなのが、「やよいの青色申告 オンライン」と「やよいの白色申告 オンライン」です。簿記の知識がない人や初めて確定申告をする人でも使いやすく、青色申告・白色申告のそれぞれに必要な作業を効率良く進められます。

又、会計事務所業界でも弥生会計への対応率が非常に高いため、納税者が「やっぱり初めての申告は、最後に税理士に依頼してチェックしてもらおう」と考えた場合にも、税理士に断られずに済むというメリットもあります。

やよいの白色申告オンライン やよいの青色申告オンライン

日々の取引入力から青色申告までをクラウドで対応!「やよいの青色申告 オンライン」

「やよいの青色申告 オンライン」は、簿記や会計の知識がなくても簡単に使えるクラウド青色申告ソフトです。日々の取引を入力するだけで複式簿記帳簿を自動作成でき、青色申告の最大65万円控除もスムーズです。初年度の1年間は、確定申告書の作成を含めたすべての機能を無料で利用できます。

ずっと無料で使えるクラウド会計ソフト「やよいの白色申告 オンライン」

「やよいの白色申告 オンライン」は、ずっと無料で使えるクラウド白色申告ソフトです。白色申告に必要な項目だけのシンプルな機能で、お小遣い帳や家計簿をつけるような感覚で操作ができます。

後々、青色申告に切り替える場合は、「やよいの青色申告 オンライン」へのデータ移行も可能です。「やよいの白色申告 オンライン」で会計ソフトの操作に慣れたら、節税効果の高い青色申告に挑戦してみてはいかがでしょうか。

弥生会計のクラウド型会計ソフト(確定申告ソフト)の特長

弥生会計のクラウド(オンライン)型会計ソフトの特長を紹介します。

  • インストール不要で手軽に使える
  • Mac・Windowsどちらでも対応可能
  • レシートを画像で取り込んで経費を自動仕訳
  • 銀行取引明細や請求書などと連携して自動仕訳
  • スマートフォンからも入力できる
  • e-Taxも簡単に

インストール不要で手軽に使える

「やよいの青色申告 オンライン」と「やよいの白色申告 オンライン」は、インターネットを経由して利用するクラウド会計ソフトです。インターネット環境があればオフィスや自宅など場所を問わず使用できるため、移動が多い方にも最適です。パソコン本体へのインストールが不要で、アクセスするだけですぐに使い始められます。

Mac・Windowsどちらでも対応可能

「やよいの青色申告 オンライン」と「やよいの白色申告 オンライン」は、WindowsとMacのどちらでも使える点がメリットです。バージョンアップも自動で行うため、最新の税制・法令改正にもしっかり対応しています。Windows環境ならクラウドタイプだけでなく、デスクトップ型の弥生製品も選べます。

領収書やレシートを取り込んで経費を自動仕訳

「スマート取引取込」の機能を使えば、レシートの経費入力が楽にできます。スマートフォン用アプリでレシートを撮影するか、スキャナにレシートを読み込ませると、自動で勘定科目を仕訳して記帳してくれます。手作業で項目を入力する必要がなくなるので、経費にかける時間を減らすことが可能です。

スマートフォンからも入力できる

クラウド型の会計ソフトなら、スマートフォンからも記帳できます。毎日の経費をこまめに入力するのは非常に大変な作業なので、スマートフォンからレシートが読み込めたり、隙間時間に経理作業ができたりするのは大きなメリットです。スマートフォンでの入力なら領収書を受け取ってすぐに処理ができるので、出張が多い方でも作業しやすいです。

e-Taxも簡単

「やよいの青色申告 オンライン」と「やよいの白色申告 オンライン」は、e-Taxでの申告に対応しています。この機能を使うと、会計ソフトから直接e-Taxの利用が可能になるため、自宅から確定申告の提出まで完了できます。

青色申告で最大65万円の控除を受けるには電子申告が必須となるため、最大限の控除を受けたい方は「やよいの青色申告 オンライン」を利用してみてください。

個人事業主が会計ソフトを導入する際によくある質問

個人事業主が会計ソフトを選ぶ際によくある質問に回答します。

  • 個人事業主が会計ソフトを使うならいつからがベスト?
  • 白色申告でも会計ソフトを入れていい?

個人事業主が会計ソフトを使うならいつからがベスト?

個人事業主が会計ソフトの導入を決めるのに適したタイミングは「青色申告」を申請した際です。青色申告に必要な複式簿記での帳簿付け複雑なため、会計ソフトがないと難しいでしょう。青色申告を行うと決めたら、同時に会計ソフトの導入を検討してみてください。

白色申告でも会計ソフトを入れていい?

白色申告の方は会計ソフトを利用しても、まったく問題ありません。白色申告でも、帳簿付けは必要です。いずれ青色申告へ移行する予定があれば移行が楽なものを選択すると良いでしょう。

ただし、白色申告には青色申告のような特別控除がないため、仮に複式簿記で帳簿を付けたとしても節税にはなりません。会計ソフトの導入に費用をかけても、メリットが薄い点は把握しておきましょう。

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個人事業主の確定申告におすすめの会計ソフトまとめ

個人事業主が会計ソフトを導入する際には、記帳のしやすさや機能面をよく確認しておくことが重要です。会計ソフトの導入や維持にはコストがかかりますが、事業に必要な費用なので、会計ソフトにかかる費用は経費に計上できます。さらに青色申告をすることで青色申告特別控除が受けられるため大きな節税になります。自動仕訳や金融機関との連携、決算資料の作成などもできるため、経理にかかる手間を大幅に削減できるでしょう。

経理初心者はわからないことだらけで不安に思うことが多くありますが、「弥生の確定申告ソフト」を導入すれば、会計全般のサポートを受けることが可能です。会計業務にお悩みの方はぜひお試しください。

この記事の監修者齋藤一生(税理士)

東京税理士会渋谷支部所属。1981年、神奈川県厚木市生まれ。明治大学商学部卒。

決算書作成、確定申告から、起業(独立開業・会社設立)、創業融資(制度融資など)、税務調査までサポート。特に副業関連の税務相談を得意としており、副業の確定申告、税金について解説した「副業起業塾 新規タブで開く」も運営しています。

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