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雇用保険被保険者資格喪失届とは?書き方や添付書類、提出方法を解説

監修者:税理士法人古田土会計 社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

2024/03/01更新

「雇用保険被保険者資格喪失届」は、雇用していた従業員が雇用保険の被保険者資格を失ったときに、企業が提出しなければならない書類です。

企業が従業員を雇用したとき、後述する要件を満たした場合は、雇用保険に加入しなければなりません。従業員が退職した際には、ハローワーク(公共職業安定所)に雇用保険被保険者資格喪失届を提出することが義務付けられています。また、雇用保険被保険者資格喪失届には提出期限があるため、スピーディーに正しく手続きを行うことが大切です。

ここでは、雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要なケースや提出方法、提出時に必要な添付書類などについて、具体的な書き方とともに解説します。

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雇用保険被保険者資格喪失届の提出は企業の義務

雇用保険被保険者資格喪失届は、雇用保険に加入していた労働者が被保険者でなくなったことを届け出るための書類です。雇用していた従業員が退職した場合など、企業はその従業員を雇用保険から喪失する手続きを行わなければなりません。雇用保険被保険者資格喪失届の提出は、対象となる労働者ではなく、その人を雇用していた企業の義務です。

企業は、従業員が雇用保険の資格を失った日の翌日から10日以内に、所轄のハローワークに雇用保険被保険者資格喪失届を提出しなければなりません。例えば、従業員が退職した場合、退職日の翌日が「雇用保険の資格を失った日」となり、雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限は「退職日の翌々日から10日以内」です。

雇用保険の加入対象となる従業員

企業が従業員を雇用すると、正社員、契約社員、パート、アルバイトといった雇用形態にかかわらず、次の3つの要件をすべて満たした場合には、原則として雇用保険へ加入しなければなりません。

  • 1 31日以上引き続き雇用されること
  • 2 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 3 昼間学生でないこと

雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要なケース

雇用保険被保険者資格喪失届は、従業員が雇用保険の被保険者でなくなった際に、企業が提出しなければなりません。

なお、雇用保険についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

具体的には下記のような場面で、雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要となります。

従業員が退職したとき

従業員が退職したときには、退職日の翌々日から10日以内に、所轄のハローワークへ雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要です。

週の所定労働時間が20時間未満となったとき

継続的に、週の所定労働時間が20時間未満へと変更された従業員は、雇用保険の加入対象外となります。なお、労働時間の減少が一時的なものであれば、雇用保険の資格は失われないので、雇用保険被保険者資格喪失届の提出は不要です。

従業員が死亡したとき

従業員が亡くなった場合、雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要です。なお、死亡した場合の退職日がいつになるかという法律上の定義はありませんが、会社の就業規則に定められています。多くは死亡日をもって退職日となります。

従業員が法人の役員になったとき

会社の役員(取締役、監査役等)は、原則として雇用保険の加入対象とならないためです。

従業員が他社に出向したとき

従業員が他社に出向した場合は、出向元に雇用関係のある在籍出向と出向先に雇用関係のある転籍出向の2つがあり、どちらに雇用関係が発生しているかによって、雇用保険被保険者資格喪失届の提出の要否が変わります。

一般的には、労働者と直接雇用関係のある事業主が、雇用保険に関する手続きを行い、労働保険料を負担することになります。

雇用保険被保険者資格喪失届を提出せず10日が過ぎたらどうなる?

前述のとおり、雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限は、従業員が雇用保険の被保険者でなくなった日の翌日(退職の場合は退職日の翌々日)から10日以内です。

なお、10日を過ぎてからハローワークに提出しても、届出は受理されます。しかし、雇用保険被保険者資格喪失届の提出が遅れると離職票の交付も遅れるため、元従業員は失業保険(失業手当)の受給手続きが遅れてしまいます。また、雇用保険被保険者資格喪失届が提出されていなければ、再就職先での雇用保険の資格取得手続きもできません。さまざまなトラブルの原因にもなりかねないので、必ず期限内に提出しましょう。

なお、雇用保険被保険者資格喪失届の提出をしなかったり、虚偽の提出をしたりすると、雇用保険法違反となり、6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金の対象になります。

雇用保険被保険者資格喪失届の書き方

雇用保険被保険者資格喪失届の用紙は、ハローワーク インターネットサービス新規タブで開くからダウンロードできます。書式は定期的に更新されるので、最新のものを使用してください。

では、雇用保険被保険者資格喪失届の記入項目について、順に見ていきましょう。

雇用保険被保険者資格喪失届

※ハローワーク インターネットサービス「雇用保険被保険者資格喪失届新規タブで開く

1. 個人番号

被保険者だった人(退職者など)のマイナンバーを記入します。その際、利用目的を本人に伝えたうえで、番号確認と本人確認(身元確認)を必ず行いましょう。

2. 被保険者番号

本人の被保険者番号を記入します。被保険者番号は、雇用保険に加入したときにハローワークから交付された雇用保険被保険者証に記載されています。

なお、1981年7月6日以前に交付された被保険者番号は現在の交付番号とは桁数が異なるため、下10桁の番号のみを記入して、残り1桁は空欄にしておきます。

3. 事業所番号

自社の事業所番号を記入します。事業所番号は、雇用保険適用事業所設置届事業主控(適用事業所台帳)や雇用保険被保険者資格取得届等確認通知書(事業主通知用)で確認できます。

4. 資格取得年月日

本人が雇用保険に加入した年月日を、資格取得年月日の欄に記入します。

5. 離職等年月日

本人が被保険者であった最後の日(退職の場合なら退職日)を、離職等年月日欄に記入します。

6. 喪失原因

雇用保険の資格を喪失する原因について、下記の区分に従って該当する番号を記入します。

  • 1 離職以外の理由:死亡や在籍出向(出向先で被保険者になる場合)、出向元への復帰など、離職以外の理由
  • 2 3以外の離職:自己都合での退職、懲戒解雇(労働者の責に帰すべき重大な理由による解雇)、期間満了、移籍出向、定年退職、役員就任、天災などによる倒産に伴う解雇など、下記の「3」に該当しない離職
  • 3 事業主の都合による離職:事業主の都合による解雇や退職勧奨、希望退職者の募集など、事業主都合による離職

7. 離職票交付希望

離職票の交付を希望する場合は「1」、希望しない場合は「2」を選択します。

8. 1週間の所定労働時間

本人の離職等年月日時点での1週間の所定労働時間を記入します。

労働時間についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

9. 補充採用予定の有無

離職者の代わりに新たに従業員を採用する見込みがあれば「1」と記入し、なければ空欄とします。

10. 新氏名

雇用保険被保険者資格喪失届の提出時点の氏名が、雇用保険被保険者証に記載されている氏名と異なる場合、新しい氏名を記入します。違いがなければ、何も記入せず空欄とします。

また、氏名に変更があった場合は、「20.」に変更前の氏名、「25.」に氏名変更年月日を記入します。

14~19. 被保険者が外国人の場合の記入欄

従業員本人が外国人である場合、雇用保険被保険者資格喪失届の「14~19.」に必要事項を記入することで、「外国人雇用状況の届出」に代えることができます。ただし、雇用保険被保険者とならない外国人がいる場合は提出する必要があります。

雇用保険被保険者資格喪失届の添付書類

雇用保険の被保険者資格喪失の手続きを行う際には、雇用保険被保険者資格喪失届の提出に加えて、いくつかの添付書類が必要です。

添付書類の内容は、離職票の交付が必要かどうかによって異なります。なお、59歳以上の離職者については、たとえ本人が希望しなかったとしても離職票の交付が必要です。

離職票を交付する場合の添付書類

  • 雇用保険被保険者離職証明書
  • 労働者名簿
  • 記載した期間すべての出勤簿またはタイムカード
  • 記載した期間すべての賃金台帳または給与明細
  • 必要に応じて辞令および他の社会保険の届出(控)
  • その他離職理由を確認できる書類
    • 重責解雇を確認できる懲戒解雇通知書
    • 期間満了退職を確認できる書類
    • 週20時間未満への雇用形態の変更に伴う雇用契約書等

離職票を交付しない場合の添付書類

  • 労働者名簿
  • 出勤簿またはタイムカード
  • 賃金台帳または給与明細
  • 離職の理由あるいは資格喪失の原因により、「離職理由を確認できる書類」や別途追加書類の提出が必要となるケースもある。

雇用保険被保険者離職証明書

雇用保険被保険者離職証明書(離職証明書)は、退職した従業員が失業保険の給付手続きをする際に必要な書類です。3枚複写になっていて、1枚目が事業主(会社)控え、2枚目がハローワーク提出用、3枚目が退職者に渡す離職票になります。

退職者が失業給付や求職の申し込みをする際には、この離職票をハローワークに提出して手続きを行います。そのため、「すでに再就職先が決まっていて失業給付を受けない」などの理由で、退職者が離職票の交付を希望しない場合は、離職証明書の添付は不要です。

労働者名簿

労働者名簿には、従業員の氏名や生年月日などの他、雇用年月日、退職年月日と事由、死亡年月日と原因の記載が義務付けられています。労働者名簿は、雇用保険被保険者資格喪失届に記入された離職年月日や離職理由の確認のために提出します。

労働者名簿についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

出勤簿またはタイムカード

離職票を交付する場合は、離職日からさかのぼって11日以上出勤した月の、12か月分の出勤簿またはタイムカードが必要です。離職票の交付を希望しない場合は、離職日が確認できる部分の出勤簿またはタイムカードを添付します。

出勤簿についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

賃金台帳または給与明細

離職票を交付する場合は、離職日からさかのぼって11日以上出勤した月の、6か月分の賃金台帳または給与明細を添付します。なお、不足に備えて少し多めの期間分(8か月分など)持っていくことを推奨します。

辞令および他の社会保険の届出(控)

離職証明書の内容確認に使用するため、辞令や他の社会保険の届出の控えを添付します。なお、離職票を交付しない場合は添付不要です。

社会保険についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

離職理由を確認できる書類

離職理由によって添付すべき書類は変わります。例えば、自己都合退職なら退職届、解雇なら解雇予告通知書、定年退職なら就業規則、契約期間満了による退職であれば雇用契約書などです。

なお、退職ではなく継続して週の所定労働時間が20時間未満になったことにより雇用保険の資格を喪失した場合は、雇用契約書などの添付が必要です。

雇用保険被保険者資格喪失届の提出方法

雇用保険被保険者資格喪失届を提出するには、ハローワーク窓口への提出の他、郵送、電子申請の3つの方法があります。

ハローワークの窓口で提出

窓口提出の場合は、管轄のハローワークに直接持っていきます。届出が受理された後、退職者に交付する離職票を受け取ってください。

郵送で提出

郵送で提出する場合は、管轄のハローワークに送付します。マイナンバーを記入しているため、特定記録や簡易書留などを利用しましょう。

また、離職票は郵送されるため、返信用封筒を忘れずに同封してください。返信用封筒には特定記録や書留など、希望の郵便種類を明記したうえで、料金分の切手を貼っておきます。

電子申請で提出

電子申請の場合は、各省庁への申請・届出の総合窓口である「e-Gov新規タブで開く」から手続きをします。e-Govで雇用保険関係手続きの電子申請を行うには、電子署名が必要です。

また、添付書類はPDFファイルなどで添付する必要があります。「離職票交付あり」「離職票交付なし」のいずれも電子申請が可能ですが、それぞれ申請窓口が異なるため注意しましょう。

電子申請では、離職票などは電子公文書として交付されます。なお、資本金の額が1億円を超える法人など、特定の法人が雇用保険被保険者資格喪失届を提出する場合は、電子申請による手続きが義務付けられています。

雇用保険被保険者資格喪失届の提出には適切な労務管理が必要

雇用していた従業員が、退職などの理由によって雇用保険の被保険者でなくなったときは、雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要です。雇用保険被保険者資格喪失届には、従業員の退職日の翌々日から10日以内という提出期限が設けられています。スムースな手続きのためには、日々の適切な労務管理が重要になるでしょう。

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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

中小企業を経営する上で代表的なお悩みを「魅せる会計事務所グループ」として自ら実践してきた経験と、約3,000社の指導実績で培ったノウハウでお手伝いさせて頂いております。
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