電子帳簿保存法あんしんガイド

電子取引の保存要件への対応

お知らせ

2021年(令和3年)12月27日に財務省令が改正されました。この改正により、2022年(令和4年)1月1日から2年間の電子取引情報について、一定の要件下で、引き続き出力した書面での保存が認められることとなりました。
詳しくはインフォメーションをご覧ください。

電子取引とは

国税関係帳簿 仕訳帳、総勘定元帳、売掛帳、買掛帳、現金出納帳、固定資産台帳など 電帳法第4条1項 国税関係書類 決算関係書類 貸借対照表、損益計算書、試算表、棚卸表など 取引関係書類 自己発行の写し 請求書(控)、見積書(控)、納品書(控)、注文書(控)、領収書(控)など 電帳法第4条2項 電子帳簿等保存(電子データ保存) 自己が最初からPC等で作成した帳簿書類 相手先から受領 請求書、見積書、納品書、注文書、領収書など 電帳法第4条3項 スキャナ保存 紙で発行・受領した書類 電子取引 電子メール、EDI、クラウドサービス等による授受 請求書、見積書、納品書、注文書、領収書など 電帳法第7条(旧第10条) 電子データ保存 データで授受された取引情報

電子取引とは、書面ではなく電子データでやり取りされる取引情報の記載事項すべてをいいます。これまでは電子取引で受領した取引情報を書面に印刷して保存することが許されていましたが、令和3年度の改正でこの保存措置が廃止されたため、電子データは電子データのままで保存することが義務付けられました。なお、電子取引(電子帳簿保存法第7条)は義務規定のため、事業規模を問わずすべての事業者に適用されるので注意してください。

電子取引とは? 電子取引とは、「取引情報の授受を電磁的方式により行う取引」のことをいいます。電子メールやクラウドサービス、EDIシステムなどによる取引情報の授受がこれにあたります。 電子メール 電子メールにより、請求書や領収書などのデータを受領。 ホームページ インターネットのホームページから、請求書や領収書などのPDFをダウンロード。 クラウドサービス クラウドサービスを利用し、電子請求書や電子領収書を受領。 カード クレジットカードや交通系ICカードの利用明細のクラウドサービスにより、請求書や領収書などを受領。 ペーパーレスFAX ペーパーレスFAXで、請求書や領収書などのPDFファイルを受領。 DVDなどの記録媒体 DVDなどの記録媒体により、請求書や領収書などのデータを受領。 EDIシステム EDIシステムの利用。

電子取引の保存要件

電子取引の保存要件として、「真実性の確保」と「可視性の確保」の2つを満たす必要があります。それぞれ以下の目的があります。

  • 真実性の確保:保存されたデータが改ざんされていないこと
  • 可視性の確保:保存されたデータを検索・表示できること
真実性の確保 以下のいずれかの措置を行うこと ①タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う ②取引情報の授受後、速やかにタイムスタンプを付すとともに、保存を行う者または監督者に関する情報を確認できるようにしておく ③訂正や削除を確認できるシステム、または訂正や削除を行うことができないシステムで取引情報の授受および保存を行う ④訂正や削除の防止に関する事務処理規定を定め、それに沿った運用を行う ④訂正や削除の防止に関する事務処理規定を定め、それに沿った運用を行う 可視性の確保 保存場所に、電子計算機(パソコン等)、プログラム、ディスプレイ、プリンタおよびこれらの操作マニュアルを備え付け、画面・書面に整然とした形式および明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと 電子計算機処理システムの概要書を備え付けること 検索機能を確保すること※ ①取引年月日その他日付、取引金額、取引先について検索できること ②日付または金額の範囲指定により検索できること ③2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること
  • 税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、検索要件の②・③が不要となります。また、基準期間(*)の売上高が1,000万円以下である方(小規模な事業者)について、上記同様にダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、検索要件のすべてが不要とされます。
  • 「基準期間」とは、個人事業者については電子取引が行われた日の属する年の前々年の 1 月 1 日から 12 月 31 日までの期間をいい、法人については電子取引が行われた日の属する事業年度の前々事業年度をいいます。

すべての事業者が対象!電子保存の義務化への対応方法

チェック①:自社の電子取引を把握する

まずは自社における電子取引を把握しましょう。特に、営業担当者の立替経費や交通費のICカードによる支払データなどの存在に注意してください。 電子メール本文に取引情報が記載されている場合は、その電子メールを保存する必要がありますが、当該メールをPDFなどに変換して保存することも認められます。またインターネットのホームページで取引情報をダウンロードできない場合は、画面のスクリーンショットを保存しても良いとされています。

チェック②:電子取引の保存要件を備えた保存方法の検討

次に、保存要件として「真実性の確保」と「可視性の確保」の対応方法を検討しましょう。

真実性の要件については①~④のいずれかの措置を行うこととされていますが、中小企業の実態として①は現実的な手段とは言えません。②または③を満たし、自社に見合う利用コストのシステムを導入検討してみるのが良いでしょう。
ただしシステム選定にも一定の検討時間が必要ですし、導入コストをかけられない事業者も多いことと思います。そこでまずは④に沿って事務処理規程を定め、安易に訂正削除は行わないように社内ルールを徹底する、という運用をおすすめします。

真実性の要件(いずれかを満たすこと) 中小企業にとっての選択肢評価 ①タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う すべての取引先(送信元)からタイムスタンプを付したデータ送付をしてもらうことを前提とした運用は現実的とは言えない ②取引情報の授受後、速やかにタイムスタンプを付すとともに、保存を行う者または監督者に関する情報を確認できるようにしておく タイムスタンプの付与に対応したシステムの導入が必要。自社に見合った導入・利用コスト(タイムスタンプの付与コストを含む)のシステム選定が重要なポイント ③訂正や削除を確認できるシステム、または訂正や削除を行うことができないシステムで取引情報の授受および保存を行う 訂正削除の履歴管理が可能なシステム導入が前提。自社に見合った導入・利用コストのシステム選定と、訂正削除を行う際の社内運用ルールの整備が必要 ④訂正や削除の防止に関する事務処理規定を定め、それに沿った運用を行う 自社業務の実態に合わせて規定を整備することで、現状の運用を大きく変えることなく、また特に追加コストもなく即時に対応が可能。現状利用しているシステムがタイムスタンプ等に対応していない場合の対応策としても有効

また可視性の要件については、お使いの請求書作成システム等が検索・表示要件を満たしている場合(下図のA)には、発行した取引情報(の控え)の保存については問題ないでしょう。主に検討が必要なのは、取引先から受領する取引情報(請求書や領収書など)の検索対応方法です。
昨今では、請求書の受領サービスも出てきていますのでそうしたシステムを導入するのも一つの方法です。しかしコストをかけない運用方法でカバーしたいという事業者には、国税庁から以下のような方法(下図のB)での運用が示されています。

具体的な方法 A検索機能に対応した請求書等保存ソフトを利用する場合 取引年月日、取引金額、取引先により検索できること 日付または金額の範囲指定により検索できること 2つ以上の任意の記録を組み合わせた条件により検索できること B検索機能に対応した請求書等保存ソフトを利用しない場合 1.規則性のあるファイル名に設定する、または表計算ソフト等で索引簿を作る 2.規則性のあるフォルダ名をつけて1.のファイルを保存しておく 1.規則性のあるファイル名や索引簿による管理 規則性のあるファイル名に設定する ファイル名に日付、取引先名、金額などを明記する 例)2022年1月31日に、(株)弥生商事から受領した330,000円の請求書データ 20220131_弥生商事_330000 または、 エクセル等で索引簿を作成する ファイル名に連番を付けて、内容を記載して管理する 1 2 連番 日付 金額 取引先 備考 1 20220131 110,000 ●●商店 請求書 2 20220210 330,000 ■工務店 注文書 3 20220228 330,000 ▲工務店 領収書 4 2.任意のファイルに保存 「取引先」や「各月」など任意のフォルダ保存 弥生商事 ●●商店 ■工務店 2022年1月 2022年2月 2022年3月

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