納品書は信書に該当する?送付方法や送る際のポイントも解説
監修者: 市川 裕子(ビジネスマナー監修)
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納品書が信書に該当するのかわからず困っていませんか。信書は定められた方法で送付することが郵便法などで義務づけられています。そのため、自社で取り扱っている文書が信書か否か区別することは非常に重要です。
本記事では特に納品書に焦点を当てて、信書の分類や送付方法、送付時の注意点などについて解説します。
納品書は信書に該当する書類
結論として、納品書は信書に該当します。そもそも信書とは、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」のことです。これは郵便法第4条2項で定義されており、信書は郵便など指定の方法で送らねばならないと規定されています。
具体的には、送付する文書に「〇〇様」「〇〇社 御中」などと記載している場合は「特定の受取人」に対する文書に該当します。納品書には、通常、納品先の個人名や企業名などが記載されているためこの条件を満たします。また、「下記のとおり、納品いたします」という文言や具体的な納品内容の記載などが「差出人の意思」または「事実」を示している部分になります。
納品書以外の信書の例
総務省の「信書のガイドライン」では、信書に該当する文書として以下をあげています。この内容からもわかるように、納品書のほか、請求書や領収書・見積書なども信書に含まれる文書です。
- 書状
-
請求書の類【類例】納品書、領収書、見積書、願書、申込書、申請書、申告書、依頼書、契約書、照会書、回答書、承諾書
◇レセプト(診療報酬明細書等)
◇推薦書
◇注文書
◇年金に関する通知書・申告書
◇確定申告書
◇給与支払報告書 - 会議招集通知の類
【類例】 結婚式等の招待状、業務を報告する文書 - 許可書の類
【類例】 免許証、認定書、表彰状- ※カード形状の資格の認定書などを含みます。
- 証明書の類
【類例】印鑑証明書、納税証明書、戸籍謄本、住民票の写し
◇健康保険証
◇登記簿謄本
◇車検証
◇履歴書
◇給与支払明細書
◇産業廃棄物管理票
◇保険証券
◇振込証明書
◇輸出証明書
◇健康診断結果通知書・消防設備点検表・調査報告書・検査成績票・商品の品質証明書、その他の点検・調査・検査などの結果を通知する文書 - ダイレクトメール
- 文書自体に受取人が記載されている文書
- 商品の購入等利用関係、契約関係等特定の受取人に差し出す趣旨が明らかな文言が記載されている文書
以上が信書に該当する書類となり、書籍やカタログ、説明書、チラシのような不特定多数に向けたダイレクトメールなどは信書に含まれません。金券や乗車券、カード類(クレジットカード・キャッシュカード)、会員カードなども信書からは除外されます。
納品書(信書)を宅配便で送ることはできない
納品書を含めた信書は、郵便法などで指定された方法を使用して送付しなければなりません。宅配便で信書を送ることは違法であり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられる可能性があります(郵便法第76条)。このようなコンプライアンス違反は社会的信用にも影響を及ぼすため、間違えないように注意しましょう。
ただし例外として、信書でも無封(封筒などに入っていない状態、または入っていても封がされていない状態)であれば、宅配便で納品物と一緒に送ることが可能です。この点については後ほど詳しく解説します。
納品書(信書)の送付方法
納品書の送付方法としては、主に以下の5つの方法があげられます。
郵便で送付する
納品物の到着後に、日本郵便が提供する信書に対応した郵便サービスを利用する方法です。具体的には、第一種/第二種郵便のほかスマートレターやレターパックなどが該当します。
信書便事業者を利用する
総務省が認可する信書便事業者(佐川急便の「飛脚特定信書便」や日本通運の「ビーエスピー」など)を利用して送付する方法です。特定信書便事業者は612者あり(令和6年6月20日現在)、各事業者によりサービス内容や利用可能地域が異なります。こうした特別なサービスを利用することで、日本郵便以外の事業者に信書の送付を任せても違法にはなりません。
PDF化してメールで送付する
納品書をPDF形式でメールに添付して送信する方法です。特にWeb注文などの場合におすすめします。FAXと同じく商品到着後に送信することや、メール本文に納品書が添付されている旨を記載することが大切です。
FAXで送付する
先方が、FAXを使用している場合はFAXで納品書を送るのも方法のひとつです。商品が到着していないのに納品書だけ届いてしまうとトラブルになるおそれがあるので、商品が確実に到着するタイミングでFAXを送ることが重要です。
商品と一緒に宅配便で送る
納品書を無封の状態で商品に同梱し宅配便で送付する方法です。この方法は法律で認められているため一般的に利用されています。ただし、納品書単体で送付する場合は上の4つの方法(郵便で送付する、信書便事業者を利用する、PDF化してメールで送付する、FAXで送付する)のいずれかで送らなければなりません。
納品書(信書)を送る際のポイント
納品書を送る際は法律を守るだけでなく、その他のポイントも意識することが重要です。以下のポイントを押さえ、ビジネスマナーを守ることでトラブル防止につながり、顧客や取引先に好印象を与えやすくなるでしょう。
納品書には送付状もセットにする
納品書を送る際は送付状も一緒に添えるのが基本的なマナーです。送付状がなくても納品書は届きますし、会計処理上の不都合はありませんが、相手に対して事務的で冷たい印象を与えかねません。送付状を添えれば、相手に対して丁寧で礼儀正しい印象を与えることが可能になります。
納品書の送付状について詳しくは、以下の記事を参照ください。
相手に届いたことが確認できるようにする
納品書を送る際は、相手に確実に届いたことを確認できるようにすることも重要です。これにより、納品書の紛失を防ぎ「先方から苦情が来て、初めて納品書が届いていなかったことに気づく」といった事態を避けられます。
具体的には、レターパックや一般書留などの追跡サービスを利用するのがおすすめです。こうしたサービスを利用することで、送付した納品書がどこにあるかが確認できるようになり紛失のリスクを最小限に抑えられます。
送付前に他の関係書類との整合性を確認する
納品書を送る前には、請求書や発注書、契約書などの内容と合致しているかを必ず確認しましょう。特に、商品・サービスの内容・金額・個数などが一致しているかをチェックすることが重要です。これにより、送付後のトラブルや再発行の手間を防止し、取引や事務処理をスムーズに効率的に行うことができます。
納品書に不備があったら再発行をする
納品書に不備が見つかった場合は、書類自体を再発行するのが原則です。実務的には問題の部分を訂正するだけで問題はありませんが、仕事が杜撰で先方に対して敬意が欠けているような印象を与えてしまいます。送付後に不備が見つかった場合は、先方に対して丁寧に不手際を詫びたうえで新たに再発行した納品書を送りましょう。
荷物に付随する納品書なら宅配便でも問題ない
繰り返しになりますが、納品書は無封の状態であれば納品物と一緒に宅配便で送ることが認められています。これは郵便法第4条第3項で定められていることです。ただし、納品書を単体で送る場合には、郵便や信書便事業者などを利用する必要があります。納品物と一緒に納品書や請求書などの信書を宅配便で送る場合は、封をしないように気をつけましょう。
まとめ:納品書は信書として法律を守って送りましょう
納品書は法律上「信書」に該当するため、「郵便や信書便事業者を利用する」「無封の状態で納品物と一緒に宅配する」など規定の方法で送付する必要があります。また、法律上の問題とは別に送付状を添えるなど、ビジネスマナーを意識することも重要です。本記事で解説したポイントを守り、適切に納品書を取り扱いましょう。
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この記事の監修者市川 裕子(ビジネスマナー監修)
マナーアドバイザー上級、秘書検定1級、ビジネス実務マナー、硬筆書写検定3級、毛筆書写検定2級、収納アドバイザー1級、など。 出版社や人材サービス会社での業務を経験。秘書業務経験よりビジネスマナーとコミュニケーションの重要性に着目し、資格・スキルを活かし、ビジネスマナーをはじめとする各種マナー研修や収納アドバイザー講師として活動。
