請求書の送付状を英語で書く場合の文例と作成時のポイントを解説
監修者: 市川 裕子(ビジネスマナー監修)
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近年、企業活動のグローバル化が活発になっています。国外取引の増加に伴い、海外企業に請求書を送付する機会が増えた企業も多くなっています。
本記事では、国外取引のある企業で請求書の作成・送付業務を担当している経理部門や営業部門の方々に向けて、英語の送付書を作成する際に注意すべき項目を解説します。また、作成時のポイントや参考になる文例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
国外取引先にも送付状は必要?
日本国内の商取引では、取引先企業に請求書を送る際、あいさつ文や送付書類の一覧などを記載した送付状を添えるのがビジネス上のマナーとされています。アメリカやイギリスといった英語圏の企業と取引する場合でも、これと同様にカバーレターというレターヘッドが付いた送付状を添付する慣習があります。日本国内のみならず、国外取引の際も送付状があることを理解しましょう。
レターヘッドとは、企業名・住所・ロゴなどが印刷された社用便箋のことであり、企業が発行する公式の文書であることを示すものです。送付状には、送付者による書類の同封内容ミスや枚数の過不足を防ぐ効果があります。また、取引先にとっては、請求内容や補足情報を見落としなく確認できることが利点です。
なお、メールで請求書を送る際は、国内外どちらの取引においても個別に送付状を作成・添付する必要はありません。メール本文に、送付状と同様の内容を簡潔に記載して送信する方法が一般的です。ただし、この際は同封物や枚数の過不足などはありませんが、内容の不足がないことをしっかり確認する必要があります。文章には注意しましょう。
請求書の送付状を英語で作成する際のポイント
英語で送付状を作成するときには、書類の内容が正確に把握できるよう、わかりやすい言葉で簡潔に表現することが大切です。手間がかかるかもしれませんが、誤りがないように、先に日本語で文章を作成してから英訳するほうがよいかもしれません。
ひとめでどんな用件かわかる件名を付ける
送付状の送り方には郵送・FAX・メールがありますが、メールで請求書を送付する際はスパムメールと間違えられるおそれがあるため、特に注意が必要です。内容がひとめで伝わるよう、長すぎる件名や専門用語の多用は避け、シンプルで読みやすい件名を付けるなどの工夫が必要です。例えば、件名に取引の内容を含むキーワードを入れることで、重要なメールであることを伝えられます。具体的には「Invoice for 商品名またはサービス名 on 日付」という件名にすると、取引先の担当者は件名からメールの内容を素早く理解できます。このように、相手が最初に目にする件名には、内容の重要性が伝わるよう簡潔に記載することが大切です。
封書の場合には、未開封の状態でもひとめで内容物がわかるような工夫が求められます。例えば、封筒の外側に「Invoice Enclosed」と記載するなどの方法があります。
このように、送付する対応方法によって配慮をすることが求められます。小さな気遣いが仕事も人間関係もうまくいくことなのかもしれません。
請求書の送付状に英語で記載する項目
送付状を作成する際は、冒頭のあいさつ文を短く記載した後、本題として請求書を同封した旨やその他の補足情報を明確かつ簡潔に記載しましょう。最後に結びの言葉を添えると相手に好印象を与えられます。英文の場合は日本語と異なり訳の内容によっては違う意味になってしまうこともありますので、選ぶ言葉(文章)を決めておくこともが効率的です。
請求書の送付状に英語で記載する項目
送付状に記載する内容は、日本語で作成する際とほぼ同じです。厳格な決まりはないため、必要に応じて任意で項目を追加することも可能です。
【文例】
ABC DEF Ltd.
1-2-3 Nihon-machi,Nihon-ku,Tokyo
111-2222 Japan
August 31 yyyy
Mr.Anata Smith
General Affair Department
ZWXWV UTSR Inc.
Dear Mr.Smith
Thank you very much for your order dated June 30 to your company.
Please find enclosed an invoice from us.
If you have any questions, please feel free to contact us.
Sincerely yours,
Taro Jibun
Enclosures:INVOICE #0001
自社情報
送付状最上部のレターヘッドには、送付者の会社情報を中央寄せで記載します。所在地の記載方法は日本とは逆の並びになります。[部屋番号および建物名、番地・丁目、町名、市区群、都道府県、郵便番号、国名]の順に記載しましょう。
送付年月日
送付状と請求書を送る日付を記載します。アメリカは[月→日→年]の順となり、イギリスでは[日→月→年]の順に記載するのが一般的です。例えば、20XX年1月1日の場合、アメリカ式では[January 1st 20XX]、イギリス式は[1st January 20XX]と表記します。国で記載順が異なるため注意が必要です。
送付先の社名・氏名
送付先(取引先)の宛名は左寄せ[担当者名、会社名、取引先所在地]の順に記載しましょう。担当者名はMr.またはMs.などの敬称を付けて記載しますが、性別がわからなければ担当者名の前にTo:を入れたり、敬称なしでフルネームを記載したりする方法もあります。知っている情報で記載方法を変えて対応することに注意が必要です。
書き始め
書き始めは、本文の前に[Dear Mr.(Ms.)担当者名: ]で呼びかけ、担当者名の後にはコロン「:」を付け加えます。
本文
本文の冒頭部分に「Thank you for your order on 日付」といったような、感謝のメッセージや短めのあいさつ文などを入れると自然であり、心遣いになります。
続いて本題では請求書を送付した旨を簡潔に記載します。「Please find attached invoice for 商品名」や「We are enclosing the following documents.」などと記載するのが一般的です。ほか、
支払い条件やその他補足情報などがある場合は続けて記載します。
本文の最後の部分で、再度親しみを込めた感謝のメッセージを添えると相手に良い印象を残せます。具体的には「Thank you for being our valued customer.」や「Thank you for giving us the opportunity to serve you」など、取引に関するお礼の文章で締めくくると自然です。
締めの言葉は相手に対する配慮や礼儀を伝える役割も果たします。素っ気ない、配慮がないと悪い印象を持たれることもありますので、相手に合った文章で締めるようにしましょう。
結び
日本語の「敬具」と同様に、英語の送付状にも「Sincerely yours,」「Sincerely,」「Thank you,」などといった結びの言葉で締めくくります。これらは、ビジネスシーンで定型的な表現としてよく用いられています。最後にカンマ(,)を付け、まだメールの内容に続きがあることを示すのも忘れないようにしてください。カンマを省略しないことで、取引先に、より丁寧な印象を与えることができます。
送付者の氏名・役職など
結びの下には、送付者の氏名や役職などを記載します。自筆で署名する場合には、結びの下に署名、その下に氏名および役職を記載するのが一般的です。
英語の送付状の文例を紹介
請求書送付用の簡単なカバーレターを使って、英語で作成する場合の送付状の内容を確認しておきましょう。
単語別の意味を解説
こちらのサンプルをもとに、英語の送付状に書き記す内容をチェックしましょう。
まず、送付日を記入します。
●日付:August 31 yyyy
英語で日付を書く場合は、月→日→年の順で書きます。
月は、例のようにAugustやJuneなど英単語で書き、日付と区別します。
●担当者名:Mr.Anata Smith
「Mr.Mrs.」などは「様」に該当します。
●担当者部署:General Affair Department
●取引先社名:ZWXWV UTSR Inc.
ここから本文にはいります。
●担当者名:Dear Mr.Smith
「Dear」=「拝啓」の意味です。
●本文内容
本文を記入します。
本文の日本語訳
(事例の訳文)
- この度は、6月30日付けでご注文をいただき誠にありがとうございます。
弊社の請求書を同封しておりますので、ご査収ください。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
締めの言葉:Sincerely yours,
「Sincerely yours,」=「敬具」になります。
送付者氏名:Taro Jibun
同封書類内容:Enclosures:INVOICE #0001
同封する書類名・番号を記入しましょう。”Enclosure”は、「同封物」「封入物」という意味です。
国外取引先への請求書・送付状は形を決めておくと便利!
請求書の送付状を英語で書く際は、「書面の場合はレターヘッド付きの送付状を作成する」「内容はひとめでわかりやすく記載する」「敬称や結びの言葉は定型表現を使用する」という3 つのポイントを押さえておくことでスムーズに送付書を作成することができます。
初めて英語で送付状を作成するときは、レターヘッドや本文の作成に手間取るかもしれません。しかし、送付状の基本を一度作成しておけば繰り返し使用できるため、あらかじめテンプレートを用意しておけば効率よく業務を進められるでしょう。ぜひ、ご検討ください。
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この記事の監修者市川 裕子(ビジネスマナー監修)
マナーアドバイザー上級、秘書検定1級、ビジネス実務マナー、硬筆書写検定3級、毛筆書写検定2級、収納アドバイザー1級、など。 出版社や人材サービス会社での業務を経験。秘書業務経験よりビジネスマナーとコミュニケーションの重要性に着目し、資格・スキルを活かし、ビジネスマナーをはじめとする各種マナー研修や収納アドバイザー講師として活動。