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見積書を英語で表す3つの言葉と基本フォーマット・記載項目を解説

更新

「英語で見積書を作成する必要があるけれど、何をどう書けばいいのだろう?」このような疑問をお持ちの方がいらっしゃると思います。近年、国際ビジネスの拡大に伴い、英語の見積書を求められるケースが珍しくありません。適切に対応できなければ、海外のクライアントとのビジネスチャンスを逃す可能性もあるでしょう。本記事では、英語で見積書を作成するための必要知識と具体的な書き方を、詳しく解説します。

見積書は英語で何という?3つの用語と選び方

見積書を英語で作成する際、最初に直面するのは用語の選び方です。まずは、英語でよく使われる見積書に関する3つの主要な用語と、それぞれのニュアンスについて解説します。

  • 1.
    Estimate:概算
  • 2.
    Quotation:最も見積書に近い
  • 3.
    Proposal:包括的な提案

Estimate:概算

「Estimate(エスティメート)」は、おおよその価格や条件を示す文書です。
Estimate は、詳細な仕様や条件がまだ確定していない、初期段階でよく使われます。たとえば、新しいプロジェクトの概算費用をクライアントに提示する際には「Estimate」が用いられます。具体的な内容や作業時間、その他の変数が確定していないため、あくまで参考値としての性格が強いものです。Estimate の提示だけでは正式受注には結びつかず、のちに、次に解説する「Quotation」が作成されることが一般的です。

Quotation:最も見積書に近い

「Quotation(クォーテーション)」は、具体的な価格と条件を明示した文書です。
この文書はより公式で、通常、法的効力を持ちます。日本で一般的に「見積書」と呼ばれる文書は、この「Quotation」が該当します。Quotation には、見積価格、納期、支払条件などが詳細に記載されます。なお、Quotation は「Quote」とも表記されます。ほぼ同じ意味ですが、厳密にいえば「Quote」のほうがカジュアルな印象を与えることがあります。

Proposal:包括的な提案

「Proposal(プロポーザル)」は、価格だけでなく、提案内容やプロジェクトの目的、スケジュールなども含む包括的な提案書です。
Proposal は、クライアントが提案内容にも注目している場合に適しています。たとえば、広告代理店が新しいキャンペーン企画を提案する際には、「Proposal」が一般的です。Proposal には、価格や納期だけでなく、プロジェクトの背景、目的、期待される成果、リスク評価なども書かれています。プレゼンテーション資料のようなイメージです。

用語の選び方

用語の選び方は、業界やプロジェクトの状況、クライアントのニーズによって異なります。

  • Estimate:初期段階で提示する詳細は未確定の概算
  • Quotation:価格と条件が確定、法的効力あり、日本での「見積書」に相当
  • Proposal:包括的な提案をする資料

このように、適切な用語を選ぶことで、クライアントとのコミュニケーションがスムーズになります。本記事では、「Quotation」の見積書を前提として、書き方の解説を進めていきます。

英語の見積書の基本フォーマット

まず、英語の見積書の基本フォーマットから、確認していきましょう。

見積書のテンプレート英語版

英語版の見積書は、[Quotation Template]といった語句で検索すると、数多くヒットします。

見積書の構造は、大きく3つに分けられます。

  • 1.
    ヘッダー
  • 2.
    本文
  • 3.
    署名欄

以下でそれぞれ見ていきましょう。

1. ヘッダー

ヘッダー部分には、発行者(自社)および相手先(クライアント)の社名や住所、見積書の発行日・有効期限といった情報が記載されます。

2. 本文

本文の部分には、主題である見積金額や、支払条件・支払期限などの情報が記載されます。ほかにも、取引条件やキャンセルポリシーなど、見積もりを出す商品・サービスや業種などによって、必要な情報が記述されます。

3. 署名欄

見積書の発行者の署名のほか、クライアントが見積書を受け取った後、見積書の内容に同意して正式に発注する場合、署名して返送するタイプの見積書も多く見られます。このような署名形式にするかどうかは、業種や相手方の商慣習によって異なります。不明な点があれば顧問税理士などの専門家に相談しながら、フォーマットの準備を進めましょう。

英語の見積書の記載項目

続いて、各項目の書き方を詳しく見ていきましょう。ここでは、以下7つのパートに分けて、解説します。

  • 1.
    発行者(自社)の情報
  • 2.
    相手先(クライアント)の情報
  • 3.
    発行日と有効期限
  • 4.
    見積金額
  • 5.
    納期
  • 6.
    支払条件・支払期限
  • 7.
    その他条件・備考

1. 発行者(自社)の情報

1つめは「発行者(自社)の情報」です。通常、見積書の左上に、自社の情報を記載します。これは、見積書の受取人に対して、自分の身元を明らかにするためのものです。
たとえば、以下の住所
「〒123-4567 東京都中央区銀座0-0-0
◯◯◯株式会社 製造部 鈴木
電話番号 03-XXXX-XXXX
メールアドレス mailinfo@XXX.co.jp」
であれば、以下のとおりです。

記載例

◯◯◯ Corporation

Manufacturing Department, Suzuki

0-0-0 Ginza, Chuo-ku, Tokyo, Japan

Postal Code:123-4567

Phone Number: +81 3-XXXX-XXXX

Email Address: mailinfo@XXX.co.jp

2. 相手先(クライアント)の情報

2つめは「相手先(クライアント)の情報」です。誰に宛てた文書なのか明らかにするために、「To: 」に続いて、相手先の情報を記載します。
たとえば、
「米国 郵便番号 10001 ニューヨーク州 ニューヨーク市 123 メインストリート サンプル400号室
□□□社 営業部 ジョン・スミス様」
であれば、以下のとおりとなります。

To:

□□□ Corp

Sales Department, John Smith

123 Main St, Sample 400

New York, NY 10001

USA

3. 発行日と有効期限

3つめは「発行日と有効期限」です。発行日は、見積書がいつ作成されたのかを明示するものです。項目名は「Issue Date」あるいは単に「Date」と表記されます。有効期限は、その見積書がいつまで有効かを明示します。有効期限の記載がないと、古い見積もりに基づいて交渉が進むリスクがあるため、忘れずに記載しましょう。
有効期限は「Expiration Date」や「Valid Until」と表記されます。どちらも見積書や契約書などでよく見られる表現ですが、ニュアンスには多少の違いがあります。

ニュアンスの違い

  • Expiration Date:有効期限が厳密に設定されているニュアンスがあります。この日付を過ぎると、自動的に無効または期限切れになると解釈されます。
  • Valid Until:文書がいつまで有効かを示します。Expiration Dateに比較すると、柔軟性のある印象を与えます。

どちらを使っても問題ありませんが、より適切なほうを選びたい場合は上を参考にしてみてください。
「発行日:2024年10月1日、有効期限:2024年10月15日」の場合の記載例は、以下のとおりです。

記載例

Date: October 1, 2024

Valid Until: October 15, 2024

日付の書き方について補足します。上記の記載例のように「October 1, 2024」と月をテキストで示す書き方は、フォーマルなビジネス文書では好まれる書き方です。日付を数字のみで表記する場合は、アメリカでは「MM/DD/YYYY」、イギリスでは「DD/MM/YYYY」が一般的です。

日付のフォーマット

アメリカ式:10/15/2024(月日年の順)

イギリス式:15/10/2024(日月年の順)

アメリカ式:October 15, 2024(月を省略しないバージョン)

イギリス式:15 October 2024(月を省略しないバージョン)※イギリスはカンマ不要

日本語ユーザーにとっては戸惑いやすいポイントですが、迷ったら「October 15, 2024」または「15 October 2024」の書き方を選ぶとよいでしょう。月と日を取り違えるリスクを減らせます。

4. 見積金額

4つめは「見積金額」です。見積もりの対象となる商品・サービスや業種によって記載方法は異なりますが、以下は一般的な例です。

  • 上記は円建て決済の場合の表記例で、通貨は「円」となっています。ドルやユーロなど、ほかの国の通貨建てで取引を行う場合には、その通貨で適切に記載します。

決済通貨の選択については、本記事では詳しく触れませんが、独立行政法人経済産業研究所の「貿易取引通貨の選択と為替戦略:日系企業のケーススタディ新規タブで開く」などを参考にしてみてください。

用語の意味

  • Qty:数量(Quantityの略語)
  • Item#:商品番号
  • Description:商品やサービスの説明
  • Unit Price:単価
  • Discount:割引
  • Line Total:行合計
  • Subtotal:小計
  • Consumption Tax :消費税
  • Shipping:送料
  • Other:その他費用
  • Total:総額

税金に関しては、取引の性質や企業の所在によって異なります。ケースごとに専門家(顧問税理士など)にご相談ください。
たとえば、消費税の場合、国内取引では課税されますが、輸出取引にあたる場合は免税措置があります。

参考:ジェトロ「輸出時の消費税:日本」新規タブで開く

5. 納期

5つめは「納期」です。
納期が不確定の場合や、納期明示の必要性が低い商品・サービスの場合には、省略されることもあります。その一方、クライアントとの期待値を一致させて誤解やトラブルを回避したい場合や、「○月○日以降でないと納品できない」といった状況を明示したい場合には、納期の記載が推奨されます。

英語で納期は「Delivery Date」です。「納期:2024年1月31日」なら以下となります。

記載例

Delivery Date: January 31, 2024

なお、大まかな目安(予測納期)といった意味合いで、「ETA(Estimated Time of Arrival)」という語句もあります。

記載例

ETA: January 31, 2024

ETAには「予測」というニュアンスがあるので、多少の遅延は許容されるケースが多いといえます。

6. 支払条件・支払期限

6つめは「支払条件・支払期限」です。「Payment Terms(支払条件)」や「Due Date(支払期限)」は、見積書の発行者側の要望を明確にしておく観点で、非常に重要です。
それぞれ、よく使われる表現をリストアップします。

Payment Terms(支払条件)

  • Due On Receipt:請求書を受け取ったらすぐ支払い
  • COD(Cash On Delivery):商品到着時に支払い
  • CIA(Cash In Advance):前払い
  • EOM(End Of Month):月末までに支払い
  • 50% Upfront:前金として50%支払い、残金は後払い

Due Date(支払期限)の項目には、具体的な日付が確定している場合に記入します。

記載例

Due Date: January 31, 2024

支払条件(月末払いなど)は確定しているが、具体的な日付が確定していない場合などは、「TBD」(To Be Determinedの略で、未定の意)と記入しておくとよいでしょう。

7. その他条件・備考

7つめは「その他条件・備考」です。その他の取引条件や備考があれば、見積書内に明記しておきましょう。

記載例

Prices and availability are subject to change without prior notice.
価格と在庫状況は、事前の通知なしに変更される場合があります。

All goods remain the property of [Company Name] until paid in full.
すべての商品は、全額支払いが完了するまで[会社名]の所有物です。

Late payments are subject to a 2% monthly interest charge.
支払いが遅れた場合、月利2%の延滞金が発生します。

Payment must be made via wire transfer.
支払いは電信送金で行ってください。

Cancellation must be notified 30 days prior to the delivery date.
キャンセルは納品日の30日前までに通知してください。

All transactions are subject to our standard terms and conditions.
すべての取引は、弊社の標準利用規約に準拠します。

The prices listed do not include shipping and handling charges.
掲載されている価格には、送料と手数料は含まれていません。

All products come with a one-year warranty.
すべての商品には1年間の保証が付いています。

This document is intended for internal use and should not be distributed externally.
この文書は社外秘です。外部には配布しないでください。

The information in this quotation is confidential and intended solely for the recipient.
この見積書の内容は機密事項であり受取人専用です。

英語で見積書を作るときに役立つツール

最後に、英語で見積書を作るときに役立つツールをご紹介します。

見積書作成サービス

1つめは「見積書作成サービス」です。
大前提として、見積書の作成では計算の間違いがなく、正確な金額が記載されている必要があります。手作業での計算は、ミスの原因となるためツール利用が安心でしょう。最初に日本語で構わないので、見積書作成サービスを利用して正確な金額を算出し、それを英文に変換するようにしましょう。
たとえば、無料でも使えるクラウド型の見積書作成ソフトなら、記入漏れや計算ミスの心配を減らせます。

おすすめの見積書作成サービス:Misoca

Misoca」は、パソコンが苦手な方でも簡単に操作できます。ぜひお試しください。

翻訳ツール・英文添削ツール

2つめは「翻訳ツール・英文添削ツール」です。
本記事では、見積書でよく見かける用語を網羅して解説しました。その一方、見積書の本文では、業界特有のサービス名や特別な注意書きなど、個別に英文を作成せざるを得ないケースも多いでしょう。ビジネスで通用する英語を書くためには、ツールの積極的な活用がおすすめです。辞書だけでは対応しきれない部分を、ツールがサポートしてくれます。微細なニュアンスの違いなども、ツールを使って調べることで、誤解のない見積書を完成させましょう。

まとめ

本記事では「英語の見積書」を解説しました。要点をまとめておきましょう。

英語で見積書の表現は3種類あります。

  • Estimate:初期段階で提示する詳細は未確定の概算
  • Quotation:価格と条件が確定、法的効力あり、日本での「見積書」に相当
  • Proposal:包括的な提案をする資料

英語の見積書の記載項目を、7つのパートに分けて解説しました。

  • 1.
    発行者(自社)の情報
  • 2.
    相手先(クライアント)の情報
  • 3.
    発行日と有効期限
  • 4.
    見積金額
  • 5.
    納期
  • 6.
    支払条件・支払期限
  • 7.
    その他条件・備考

適切な英語の見積書を作成するためには、見積書作成サービスや翻訳ツール・英文添削ツールを活用しましょう。

なお、英語・日本語を問わない、見積書の基本的な作り方については「見積書の書き方、見積もりの作り方を徹底解説」にて解説しています。あわせてご覧ください。

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