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個人事業主でも税務調査の対象に?対象者になりやすい傾向などを解説

監修者:岡本匡史(税理士)

2024/05/17更新

個人事業主でも、税務調査の対象になる可能性があります。税務調査の対象者に明確な基準はありませんが、調査の対象になりやすいパターンはあります。どのような場合に税務調査の対象になりやすいのかを知っておきましょう。

本記事では、税務調査の対象になりやすいパターンや、税務調査の対象にならないために心掛けておきたいこと、税務調査を受けることになったときの対処法などについて解説します。税務調査の対象にならないか不安という方は、本記事を参考にしてください。

税務調査は納税が適切か調査する制度

税務調査は、納税者が提出した確定申告書の申告内容や納税額に問題がないかどうかを確認するために行う調査です。すべての事業者に対して行われるわけではありませんが、法人のほか、個人事業主やフリーランスも調査対象になっています。

国税庁の「令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況新規タブで開く」によると、2022年度の所得税の調査件数は63万7,823件で、前年度の59万9,747件を上回りました。このうち、申告漏れなどの非違件数(問題のあった件数)は33万8,268件です。調査を受けた事業者などの約53%に問題があったということになります。

事業所得がある個人のうち、1件当たりの申告漏れ所得金額が大きい業種としては、経営コンサルタント、くず金卸売業、ブリーダー、焼肉、タイル工事、冷暖房設備工事、鉄骨鉄筋工事、太陽光発電、バー、電気通信工事があげられています。最も申告漏れ所得金額が大きかった経営コンサルタントは前年も1位で、1件当たりの申告漏れ所得金額は3,367万円、1件当たりの追徴税額は676万円でした。

ただし、上記に該当しない業種でも税務調査の対象になります。業種を問わず、正確な申告を心掛けましょう。

税務調査には、任意調査と強制調査の2種類があります。具体的な調査の内容は下記のとおりです。

任意調査

任意調査とは、税務署職員が実施する調査で、税務調査の大半を占めます。基本的には事前に調査を行う旨の連絡があり、その後、調査が行われます。

「任意調査」という名称ですが、調査を拒否することはできません。調査を実施する連絡があった際は、対応が必須です。また、調査に訪れた税務署職員からの質問に答えなかったり、正当な理由なく帳簿書類などの提出を拒んだりすることもできません。

なお、正当な理由なく帳簿書類の提出を拒否した場合、申告に虚偽があるとみなされたり、隠蔽しているとみなされたりして、罰則を科せられる可能性があります。

強制調査(犯則調査)

強制調査(犯則調査)は、事前連絡のない税務調査で、国税局査察部が実施します。犯罪捜査に準ずる調査で、結果に基づいて、検察官への告発が行われます。

強制捜査(犯則調査)は、悪質な巨額の脱税が疑われる場合などに行われる調査です。それほど高額な取引を行っていない個人事業主やフリーランスであれば、強制捜査(犯則調査)の対象になる可能性は低いと考えられます。また、法人であっても、悪質な隠蔽行為などが疑われなければ対象にはなりません。

税務調査の対象者になりやすいケース

税務調査の対象は、ランダムに決まるわけではありません。申告内容に問題があると思われる事業者や、新しい分野の事業を行っている事業者などは、税務調査の対象者になりやすいでしょう。

下記に、税務調査の対象になりやすいケースをまとめました。

確定申告をしていない

確定申告をしていない事業者は、税務調査の対象になりやすいケースの1つです。

日本では、納税者が自分で所得額と税額を計算して申告する「申告納税制度」を採用しています。しかし、事業者が申告しなかったとしても、税務署はある程度売上を推測することが可能です。

企業を相手に事業を行っている場合、取引先の申告内容から「誰に対していくら支払ったのか」がわかります。たとえば、A社が「Bに対して1,500万円を支払った」という申告をしているにもかかわらず、Bが確定申告をしていなかった場合、不正を疑われる原因になります。

多額の経費がかかったといった理由で納税の必要がない場合でも、確定申告をしておくことが正しい経理処理をしていることの証明となるのです。

税務署に把握されている売上と申告した売上が違う

たとえ確定申告をしていたとしても、税務署が把握している売上高と申告した売上高に相違がある場合は、売上を不正に少なく申告していると疑われることになります。このケースでは、正しい売上を確認するための税務調査が入る可能性があります。

例えば、A社が「Bに対して1,500万円を支払った」という申告をしているのに、Bの確定申告書上では「A社に500万円を売り上げた」という申告が行われていた場合、どちらかが不正に申告しているとみなされる可能性が高くなるのです。その場合、税務調査によって事実関係が確認され、不正があれば是正されます。

売上が1,000万円にわずかに満たない

年間の課税売上高が1,000万円を超えると、翌々年から消費税の課税事業者になります。そのため、課税売上高が1,000万円にわずかに届かない場合、消費税の課税をまぬがれようと売上の調整をしているのではと疑われるため、税務調査の対象となりやすいケースの1つです。

ただし、課税売上高が1,000万円以下の事業者でも、適格請求書保存方式(インボイス制度)にともなって課税事業者を選択し、適格請求書発行事業者になっている場合は、売上高にかかわらず課税事業者です。

経費が多すぎる

経費があまりに多い場合も税務調査の対象になりやすいケースの1つです。事業に直接関係のない支出を経費計上していないかと疑われるからです。

確定申告書には、申告内容の内訳を示す書類として「青色申告決算書」や「収支内訳書」を添付します。しかし、これらの書類には支出の具体的な内訳が記載されていません。「地代家賃」や「接待交際費」「雑費」といった費目ごとの合計額が記載されているだけです。

例えば、「接待交際費」の中に、事業とは無関係の家族との飲食代が混ざっていたとしても、確定申告書上で確認することはできません。そこで、経費が多いと判断された場合は税務調査で帳簿や書類などの確認が行われます。

具体的にいくらだと「経費が多い」とみなされるかは、事業内容によって変わります。売上高に対してあまりにも多い経費は、「生活費はどこから出ているのか」と疑われる原因の1つです。事業に関係のない支出は経費計上できませんので注意が必要です。

現金での商売をしている

現金をやり取りする事業を行っている事業者は、やり取りの履歴を改ざんしやすいことから、税務調査の対象になりやすいケースです。

企業相手に振込で取引を行っている事業者なら、振込の履歴から売上が正確かどうかを確認できます。しかし、個人相手に現金で取引を行っている事業者の場合、事業者自身が記帳した売上台帳などで売上を判断することになり、客観的な履歴が残りません。

また、現金で給与支払を行っている業種も同様です。現金手渡しの給与支給は振込履歴が残らないため、架空の従業員に給与を支払ったことにするなど、不正が起こりやすい環境といえます。そのため、税務調査が入りやすいのです。

海外投資などを行っている

海外投資などを行っている個人や海外資産を保有している個人も、税務調査になりやすいケースの1つです。

令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況新規タブで開く」では「海外投資等を行っている個人に対する調査状況」が公開されています。それによると、2022年度は2,784件の調査が行われ、そのうち非違件数は2,475件でした。

調査件数は前年度と比較して136.3%に増加しています。また、1件当たりの申告漏れ所得金額は3,720万円で、所得税の実地調査全体の申告漏れ所得額の約2.6倍です。高額の申告漏れが多いことから、今後も積極的に調査が行われる可能性が高いと考えられます。

市場規模が拡大している新分野の業種に該当する

市場規模が拡大している新分野の業種を行っている個人に対しては、積極的な調査が行われています。

「令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」の「インターネット取引を行っている個人に対する調査状況」によると、2022年度はインターネット上のプラットフォームを介して行われるシェアリングエコノミーやネット通販、ネット広告などのほか、仮想通貨の取引を行っている人に対して調査が行われています。

調査件数と非違件数は下記のとおりです。

2022年度の所得税及び消費税調査件数結果

  • シェアリングエコノミーなどの新分野:1,324件(うち非違件数:1,148件)
  • 仮想通貨などの取引:615件(うち非違件数:548件)

シェアリングエコノミーなどの新分野については、対前年比157.8%と、調査件数が大幅に増加しています。仮想通貨も対前年比138.5%の調査が行われました。

税務調査を受けないために気を付けること

税務調査の対象にならないためには、正確な確定申告をすることが重要です。そのためにも、具体的に行うべきことをまとめました。

日ごろから適切に記帳する

たとえ故意でなくても、申告内容に不審な点があれば税務調査を受ける可能性が高まります。例えば、「勘定科目をあいまいに決めていたせいで、前年までは計上していなかった福利厚生費にまとまった金額を計上した」といった場合、不正に経費を計上したのではないかと疑われる可能性が考えられます。

また、記帳内容を申告書に転記する際も注意が必要です。手書きや表計算ソフトなどで経費の管理をしている場合、計算間違いや転記間違いが起こりやすくなるため、注意してください。適切な記帳は、正しい申告につながります。取引の記憶が新しいうちに、こまめに記帳しておきましょう。

会計ソフトの中には、領収書などの画像を取り込んで自動仕訳したり、請求書作成ソフトなどと連携して自動で売上を立てたりできるものもあります。クレジットカード明細の取り込みや銀行口座連携など、さまざまな機能があるので、記帳をできるだけ自動化して負担を減らすのがおすすめです。

正しく申告する

そもそもの前提として、確定申告は正しく行わなければいけません。「ちょっとくらいわからないだろう」と思って不正を働いた場合、税務調査に入られる可能性が高まりますし、納めるべき税金の金額を不正に少なく計算することになるため、脱税に該当します。

例えば、「海外出張に行く際、家族も連れて行って家族旅行を兼ねた。家族の旅費も出張旅費としてまとめて経費計上した」といった経理処理は、不正に該当します。なぜなら、経費とは事業者や法人が事業を営むために支出したお金だからです。

また、故意ではなかったとしても、本来経費に計上できない金額を計上することは不正です。例えば、個人事業税や消費税は経費計上できますが、個人の住民税や所得税は経費として計上できません。さらに、自宅を事務所としても利用している場合、家賃の全額を経費にすると不正計上となります。知らず知らずのうちに不正な申告をしてしまわないように、十分な注意が必要です。

税理士を活用する

確定申告は、税理士に依頼して代行してもらうこともできます。税理士に申告業務を任せることで、ミスを防止し、正確な確定申告が可能です。

税理士との契約方法は、主に下記の3種類あります。

税理士との契約方法

  • 顧問契約
  • 確定申告のみの契約(記帳を含む)
  • 確定申告のみの契約(記帳を含まない)

顧問契約を締結すると、節税に関するアドバイスをもらったり、税金に関する質問に答えてもらったりといったサポートを受けられます。

確定申告のみの契約の場合、記帳は自分で行って申告書の作成と申告のみ委託するのか、記帳を含めすべてに対応してもらうのかを選べます。

対応してもらう範囲が多ければその分、料金も高額になりますが、確定申告にかかる手間の軽減につながります。「通常の業務を行いながら確定申告書の作成をするのが困難」「正確な申告ができているか不安」という事業者は、税理士の活用がおすすめです。

なお、税理士には、税務調査の立ち会いも依頼できます。顧問契約を締結していたり、確定申告を委託していたりする税理士がいる場合は、相談してみるのも1つの方法ですし、税務調査の立ち合いのみを依頼することも可能です。ただし、立ち合いにも一定の費用が発生します。

税務調査を受けることになった場合の対応

税務調査は拒否できません。調査を受けることになった場合、どのように対応すれば良いのかを知っておくことが大切です。

税務調査(任意調査)を受ける際の一般的な流れは下記のとおりです。

一般的な税務調査(任意調査)の流れ

  1. 1. 税務書から税務調査を行う旨の連絡が来る
  2. 2. 日程について調整を行う
  3. 3. 税務調査に必要な書類をそろえる
  4. 4. 調査を受ける
  5. 5. 調査後、税務署からの質問に答えたり、追加資料の提出を行ったりする
  6. 6. 調査結果が出る

税務調査にあたって、特に注意しておきたい3つのポイントを紹介します。

書類の準備

税務調査を受けるときは、決算書や申告書の他、通常3期分の総勘定元帳や現金出納帳、請求書、領収書、預金通帳などの準備が必要です。その他、従業員を雇用している場合は給与台帳や社会保険関係の書類、タイムカードなども用意しておかなければいけません。

なお、総勘定元帳や現金出納帳といった決算に関する帳簿書類などは、所得税法上、確定申告の提出期限の翌日から7年間保管する義務があります。また、会社法では10年間と定められているため、しっかり保管しておくことが大切です。

具体的にどのような書類が必要なのかは、業務内容などによっても異なります。顧問税理士がいる場合や、税理士に立ち合いを依頼した場合は、相談しながら書類の準備を進めましょう。

正確な情報を提供する

税務署職員からの質問には、正確に回答することが重要です。記憶があいまいなことや、はっきりしないことについて適当に答えてしまうと、虚偽の回答を行ったと思われる可能性があります。わからないことを聞かれた場合は「わからない」と正直に答えた方がよいでしょう。

なお、税理士に立ち合いを依頼した場合は、税務署職員からの質問に税理士に答えてもらえます。税金に関する質問や、経理処理に関する質問に答えられるか不安な場合は、税理士に立ち会ってもらうと安心です。

税務調査に協力する

税務調査には、真摯に協力することが大切です。

税務調査に入られると「不正を疑われているのでは」と不安に思うかもしれません。ちょっとした質問でも「どんな意図があるのだろう」「どう答えれば穏便に済むだろう」と、あれこれ考えてしまう可能性もあります。

しかし、不正を働いていないのであれば、必要以上に萎縮する必要はなく、正直に対応すれば問題ありません。不安に思うあまり虚偽の回答をしたり、書類の提出を拒んだりすることがないようにしてください。

適切な記帳に基づいた、正しい確定申告を行おう

個人事業主やフリーランスでも、確定申告や業務の内容によっては、税務調査の対象になる可能性があります。税務調査の対象になるのを避けるためには、日頃から適切な記帳に基づいた正しい確定申告をすることが大切です。

正確な記帳と申告をしているのであれば、税務調査があっても不安に思う必要はありません。時間と手間はかかるかもしれませんが、質問に答えて、求められた書類を提出できれば、申告内容が問題ないことを税務署職員が確認してくれるでしょう。

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この記事の監修者岡本匡史(税理士)

岡本匡史税理士事務所新規タブで開く」の代表税理士。
1979年和歌山県生まれ。滋賀県立膳所高校、横浜国立大学経営学部卒業。城南信用金庫、公認会計士事務所勤務を経て、2012年に豊島区池袋にて岡本匡史税理士事務所を設立。
低価格で手厚いサポートを行うことを目標としており、特に開業前~開業5年目の法人・個人事業主の税務会計が得意。
毎年、市販の確定申告本や雑誌の監修にも携わっている。

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