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ミュージシャンの確定申告のやり方は?経費にできる費用を解説

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ミュージシャンの確定申告のやり方は?経費にできる費用を解説

ミュージシャンは芸術的な側面もあり、なかなか商売と結びつかないイメージがあります。しかし、その仕事で報酬を得ているからには、個人事業主の一人として、確定申告が必要です。ミュージシャンの収入には印税、原盤収入、ライブの出演料や投げ銭、音楽レッスンの講師料、物販の売上などがありますが、そこから経費にできるものとして、楽器機材や音楽制作ソフト購入費、スタジオなどのレンタル料などがあります。

ここでは、ミュージシャンとしての所得がある場合に確定申告が必要なケースや、経費にできる費用の種類、確定申告のやり方の他、とっぱらいという方法で報酬を受け取ったときの処理方法などを解説します。

なお、本記事は、令和7年度税制改正での2025年(令和7年)12月1日施行の内容を前提に記載をしております。また、この改正は原則として、2025年(令和7年)分以後の所得税について適用されます。
ただし、2025年(令和7年)11月までの給与及び公的年金等の源泉徴収事務に変更は生じません。

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ミュージシャンとしての所得があれば基本的には確定申告が必要

ミュージシャンとして所得を得ている方は、基本的に確定申告をしなければなりません。確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得金額と、所得金額に応じて決まる所得税額を計算して、税務署に申告と納税をすることです。

なお、所得とは、収入から必要経費を引いた額のことです。例えば、ある年に音楽配信で60万円の収入があり、必要経費が10万円であれば、その年の所得は「60万円-10万円=50万円」です。

ただし、以下のようなケースでは確定申告をする必要はありません。

確定申告については以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

ミュージシャンを本業にしていて所得が95万円を超えない場合

ミュージシャンとしての活動を本業としている方は、1年間の所得が95万円以下(2024年分までは48万円以下)であれば確定申告は必要ありません。

年間の所得金額が2,500万円以下の方であれば誰でも利用できる基礎控除(控除額は、合計所得⾦額に応じて段階的に減っていきます)と呼ばれる制度によって、課税対象となる所得金額が0円となるため、申告が不要になります。

とはいえ、収入から源泉徴収された税額が多すぎた場合は、申告しなければ還付してもらえません。また、確定申告をしないとその年の所得金額の証明ができないため、国民健康保険料の減免申請などにも影響します。別途、住民税の申告も必要になるので、基本的には所得金額にかかわらず確定申告をしておくことをおすすめします。

給与収入があってミュージシャンとしての所得が20万円を超えない場合

会社員として働きながら副業でミュージシャンをしている方などは、ミュージシャンとしての所得金額が20万円以下なら確定申告は不要です。

ただし、勤務先で年末調整を受けていない方は注意が必要です。給与の額が一定額以上になると、給与から概算の所得税が毎月天引きされる源泉徴収が行われます。天引きされる額は概算であるため、年末時点で本来の1年間の所得税額を改めて計算し、源泉徴収された概算の税額の合計と本来の所得税額との差額を調整するのが、年末調整です。

年末時点で社員やアルバイトをやめていて年末調整を受けていない方は、概算で天引きされた所得税が払い過ぎになっている可能性があるため、確定申告によって払い過ぎた税金が戻ってくるかもしれません。また、給与の支払い状況によっては、確定申告をして所得税を支払う義務を負っている可能性もあるため、税務署などで確認することをおすすめします。

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ミュージシャンの確定申告で必要経費にできる費用

ミュージシャンとしての活動にかかった費用は、すべて必要経費として収入から差し引けます。例えば、以下のような費用は必要経費になります。

ミュージシャンの必要経費の主な例

  • 楽器代
  • ミュージシャンとして活動するための交通費
  • 音楽関係者との打ち合わせ時の飲食費
  • 音楽制作ソフト代
  • 音楽スタジオのレンタル代
  • ライブハウスなどのレンタル代
  • ミュージシャンとしてのWebサイトの制作代金やサーバー代

上記のような経費を使用したときは、支払った日時や支払先、目的、金額を記録しておきましょう。日々、帳簿に正しく記録しておけば、確定申告時の手間も少なくなります。

ただし、以下のようなケースでは、かかった費用を法令に定められた法定耐用年数に応じて複数年で分割し、費用を計上しなければなりません。これを減価償却と呼びます。

10万円以上の楽器などを購入した場合

10万円以上の楽器や機材、パソコンなどは、減価償却が必要な資産になります。原則として一度に必要経費にはできず、耐用年数に応じた減価償却を行わなければなりません。

耐用年数は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令新規タブで開く」の下段に記載されている耐用年数表から確認できます。例えば、25万円のギターを購入した場合、耐用年数表によれば楽器の耐用年数は5年とされているため、5年間に分割して必要経費にします。

ただし、青色申告をしているミュージシャンは、1組30万円未満の減価償却資産について、年間300万円までは全額を購入した年の必要経費に計上することが可能です。一度に全額を必要経費にするか減価償却するかは自由に選択できるため、収入の額などに応じて検討しましょう。

自主制作をした場合

CDや配信用の音源データなどを作成する際の原盤(マスター)の制作費についても、減価償却が必要です。原盤の制作費は、一般的には一度で必要経費にせずに、2年間にわたって減価償却します。原盤の制作費には、スタジオ代や機材のレンタル代、エンジニア代、外部ミュージシャンの演奏料などが含まれます。

なお、マスターから複製して作るCDなどの製品の原価は、その年に売れた分の原価のみを必要経費として計上することが可能です。例えば、200枚のCDを10万円で制作した場合、1枚あたりの原価は500円です。その年に100枚売れて、100枚が在庫として残っているのであれば、100枚分の原価である5万円を必要経費にできます。

同じマスターで複数回CDなどを制作しないケースもあるため、マスター制作にかかった費用を、すべて上記の製品の原価に含めることもあります。例えば、200枚のCDを作った際のマスター代20万円、制作費10万円であれば、1枚あたりの原価は1,500円です。その年に100枚売れたのであれば、15万円を経費にできます。

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とっぱらいで出演料を受け取ったとき対応

当日に現金で支払われるいわゆる「とっぱらい」で出演料や報酬を受けとった場合は、領収書の控えをもらっておきましょう。誰から、いつ、いくら受け取ったのかを記録に残せます。領収書の主な記載項目は以下のとおりです。

領収書の主な記載事項

  • 金額
  • 日付
  • 取引先名
  • 仕事内容
  • 自分の住所・氏名
  • 消費税額
  • 源泉徴収税額(所得税が源泉徴収されている場合)

領収書を発行する際、取引先から適格請求書(インボイス)の交付を求められることがあるかもしれません。適格請求書発行事業者の登録を行っている方は、適格請求書の形式に則った領収書を発行する必要があります。インボイスの発行を求められるかどうかは取引先によって異なるため、個別に確認してください。

適格請求書発行事業者の登録の必要性については以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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多額の印税が発生した場合に納付税額を抑える方法

ミュージシャンとして活動している方は、ブレイクして多額の印税収入が発生し、高額な所得税を支払わなければならなくなることがあります。このようなケースで、所得税の急激な上昇を抑えるために設けられているのが、平均課税と呼ばれる制度です。

平均課税の適用を受ければ、「ある年に急激に変動した所得は5年間かけて得られたもの」と仮定して、所得税を計算できます。所得税の税率は所得金額が増えるほど税率も高くなりますが、この特例によって税率を抑えることが可能です。

具体的には、急激に増えた所得について、その所得が5分の1の金額だったと想定した場合の低い税率を適用できます。ただし、利用するためには複数の要件があることや、計算が複雑であることから、税務署や税理士に相談することをおすすめします。

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確定申告書の書き方

確定申告書には第一表から第四表までの4種類がありますが、ミュージシャンとしての所得があった場合に記載するのは、第一表と第二表の2枚です。両方に必要事項を記入して、所轄の税務署に提出しましょう。

それぞれの書式見本と主な記載項目は以下のとおりです。

確定申告書 第一表

確定申告書 第一表

確定申告書 第一表の主な記載項目

記入欄 記載内容
住所・氏名など 住所、氏名、マイナンバーなどの個人情報を記載します。
収入金額等 1年間の収入を種類別に記載します。本業のミュージシャンとしての収入は「事業」の「営業等(ア)」に書きましょう。会社員の副業など、事業所得に該当しない場合は「雑」の「業務(キ)」に記載します。
所得金額等 収入から必要経費を引いた金額を記載します。白色申告者は収支内訳書、青色申告者は青色申告決算書を作成し、それぞれで計算した所得金額を「事業」の「営業等(1)」欄に記載してください。会社員の副業としての所得は「雑」の「業務(8)」に記載します。
所得から差し引かれる金額 適用を受ける所得控除の欄に控除額を記載します。「基礎控除(24)」は、合計所得金額2,500万円以下なら全員利用できます。
税金の計算 所得金額から所得控除の金額を差し引いた金額(課税される所得金額)を基に、税金の計算を行って税額を記載します。税金の計算については、国税庁の「No.2260 所得税の税率新規タブで開く」を参考にしてください。

確定申告書 第二表

確定申告書 第二表

確定申告書 第二表の主な記載項目

記入欄 記載内容
所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額) 年間所得の内訳について、誰からいくら受け取ったのかなどを記載します。源泉徴収された所得税があるときは併せて記載しましょう。書ききれないときは別紙を利用します。また、同じ相手からの所得は1年分をまとめて記載できます。
(13)社会保険料控除(14)小規模企業共済等掛金控除 国民年金や国民健康保険などの社会保険料について、支払った種類と金額を記載します。
(15)生命保険料控除 生命保険料控除の対象となる生命保険料について、種類別に支払金額を記載します。
(16)地震保険料控除 地震保険料控除の対象となる地震保険料について、種類別に支払金額を記載します。

確定申告書の書き方については以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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ミュージシャンとしての収入がある方は、確定申告や必要経費の知識を押さえておこう

ミュージシャンとして所得を得ている方は、確定申告をしなければならない可能性があります。確定申告や必要経費について知識を身につけ、準備を進めておきましょう。

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photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の監修者宮原 裕一(税理士)

宮原裕一税理士事務所新規タブで開く」代表税理士。弥生認定インストラクター。
弥生会計を20年使い倒し、経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。経営者のサポートメンバーとして会計事務所を営む一方、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」は全国の弥生ユーザーから好評を博している。

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