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必要経費とは?確定申告で経費になるものをわかりやすく解説

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確定申告で経費の処理をする際に、「これは経費になるのか?」と迷う人は少なくありません。経費は、基本的な考え方や条件を覚えればスムーズに処理できるようになります。
ここでは、確定申告の経費の判断基準や種類のほか、按分の計算方法などについてご紹介します。

経費の基本的な考え方

そもそも経費とは、「事業を行う上で必要なコスト」のことを指します。仕入商品や事務所の家賃のほか、アルバイトの人件費、筆記具などの事務用消耗品、チラシなどの広告宣伝費、事業に関係する費用は、基本的に経費と考えて問題ありません。

ただし、事業に関係していても、実際に使用したものだけが経費とされる点に注意が必要です。例えば、販売していない仕入商品は経費にならず、資産として計上します。
個人事業主は自宅と事務所を兼ねているケースがよくありますが、その場合、自宅の家賃をすべて経費にするのではなく、事務所として使用している割合を経費として按分しなければなりません。

また、経費計上できるタイミングについても覚えておきたいポイントがあります。
例えば、事業に使う物品を仕入れた場合、仕入先と契約が済んでいることや、期末までに仕入れる物品の代金が確定していること、期末までに納品が完了していることという3つの条件を満たせば、経費として計上することが可能です。つまり、仕入れ先にまだお金を支払っていなくても、物品を受け取り請求書を受け取っていれば未払金や買掛金として計上できるわけです。
経費は「事業のために使ったものの費用」という点を押さえて、経費にできるかどうかを個別に確認していきましょう。

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個人事業主にとって経費計上が大切な理由

「経費にすると節税になる」という話を聞いたことがあるかもしれません。これは、経費が所得税の仕組みに関係しているからです。

個人事業主は事業所得に対して税金が課され、それを所得税として納めます。収入から必要経費と控除を差し引いた金額が事業所得になり、事業所得の額などに応じて5~45%の税金が課されます。つまり、同じ収入でも経費が多ければ多いほど事業所得が低くなり、税率が低くなるのです。

もちろん、経費を増やすために不正な計上をしたり、経費を必要以上に使ったりしてはいけません。しかし、事業に関連する費用をいかに経費として計上するかは、適切に節税する上でも大切なことです。

所得税の節税方法についての詳細は、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

個人事業主の経費上限はいくら?

個人事業主が経費を計上できる上限は、特に定められていません。事業を行う上で必要な出費であれば、金額に関係なく経費として計上できます。しかし、収入と経費のバランスがあまりにも悪いと、「事業用ではなく、私的に使った費用を経費に計上しているのではないか」と疑われる可能性があります。

頻度や場所、目的なども、その経費が妥当かどうかの判断に関わってくるポイントです。
正しく使用した経費であることを証明するためにも、領収書の裏に目的や参加者名などをメモ書きしておくことをおすすめします。経費計上する際には、上限がないからといって何でも経費にするのではなく、第三者が見て納得できる範囲内で計上するようにしましょう。

必要経費とは?判断基準と種類

確定申告をしていると、中には経費として計上しても問題ないのか、判断に迷ってしまう支出もあるでしょう。続いては、必要経費の見極め方や種類について解説します。

必要経費の見極め方

経費は、「事業に関わる支出」や「会社の売上に関わる支出」が該当しますが、グレーゾーンに位置する費用も存在します。例えば、カフェのコーヒー代の場合、仕事の打ち合わせで利用したら経費、プライベートで利用したら経費ではないという判断になります。これらは、税務署から経費に関する指摘を受けた際に、「事業に関わるものだ」と正当性を客観的に主張できるかどうかで、経費にするかどうかを判断しましょう。

また前述の通り、収入に対して経費のバランスが悪いと、税務署から指摘を受ける可能性が高まります。
例えば、特別な理由がないのに、飲食店で10万円の支出を伴う打ち合わせを何度も行っていると不自然に見えるでしょう。経費は常識の範囲内のバランスで計上するのもポイントです。

個人事業主には福利厚生という概念がないため、事業主自身のための生命保険料や健康診断、人間ドックの費用、事業との関連性のない習い事の会費などは、経費として扱えません。

事業主の生活のための費用も経費にはなりません。家族の生活費や交際費、医療費といった家事費、生活のために使う住宅の地代や家賃、火災保険料、水道光熱費などの家事関連費、所得税や住民税といった税金、罰金などは経費とならないので注意しましょう。

ただし、自宅を事務所にしている場合は、事業を遂行する上で必要な支出ですので、事業に必要な部分を按分し、必要経費として計上することができます。

必要経費の種類

経費は「個別対応」の必要経費と「期間対応」の必要経費の2種類に分かれます。
個別対応の必要経費とは、売上原価のように商品の売上との対応が明確な経費のことです。一方、期間対応の必要経費とは、商品などとの対応は明確ではないものの、売上に期間的に対応する経費のことで、販売費及び一般管理費などが挙げられます。

確定申告で経費になるものとならないもの

実際には、どのような費用が経費となり、経費とならないのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

経費になるもの

経費になるかどうかは、「その支出が事業に関連するかどうか」という点で判断するのが原則です。判断が難しい支出であっても、下記のようなものは仕事に使用している分だけ経費として計上することができます。

交際費

取引先との会食費用や打ち合わせ費用、手土産代、お中元代など、取引先が関係する交際費は経費として計上できます。

旅費交通費

仕事で使用する電車賃、バス代、タクシー代、駐車場代、出張先での宿泊費などの旅費交通費は経費になります。ただし、自家用車を仕事用としても扱っている場合、駐車場は仕事として使用している範囲のみ按分する必要があります。

備品等の購入費

文房具や机、パソコン関連、衛生用品をはじめとする備品は、消耗品費として経費計上することができます。消耗品費は「使用可能期間が1年未満のもの」か「取得価格が10万円未満のもの」といういずれかの条件を満たしたものが該当します。

事務所を借りる際の礼金

事務所を借りる際の礼金は、20万円未満であれば地代家賃として経費計上できます。20万円以上の場合は資産として処理します。

経費にならないもの

一方で、下記のものは経費として計上できないことが多いので注意が必要です。

修繕費

資産の使用可能期間を延長させたり、資産の価値を増加させたりする修繕費は経費にはなりません。
ただし、建物や機械装置、建物付属設備などの維持管理や、修理のための修繕費は経費として扱われます。

借入金の元本返済

借入金の元本の返済は、借りていたお金を返しただけなので経費としては扱われません。なお、事業用の借入金に対する利息は経費として計上することが可能です。

事業所を借りる際の敷金

敷金は退去時に返却されるため、支払い時点では経費計上できません。退去時に敷金の一部を修繕費などに使用した場合は、その分の金額を経費として計上することができます。

親族への人件費は経費になる?

生計を一にする親族への人件費は、租税回避防止のため、原則として経費として計上できません。しかし、青色申告で事前に届出を提出している場合など一定の要件に該当するときは、「青色事業専従者給与」として経費計上することができます。

白色申告の場合は家族従業員に支払った給与を経費にできません。代わりに「事業専従者控除」という制度を利用することになりますが、控除金額の上限などに制限があります。

勘定項目の選び方

「通信費」「接待交際費」「広告宣伝費」「消耗品費」など、事業に関わる支出をカテゴリーに分けるための勘定科目にはさまざまな種類があります。
記帳する際には、どの勘定項目を選べばよいか迷ってしまうケースもありますが、「経費か否か」の判断さえ正しければ、勘定項目はある程度自由に決めてしまって問題ありません。

事業経費と家計費が混在している場合は按分の計算が必要

経費は、事業に関わる費用が対象となりますが、自宅で仕事をする個人事業主の家賃や光熱費など、生活費と経費を明確に分けづらいものがあります。その場合は、事業に使った費用を一定の割合で分ける「按分(家事按分)」という作業を行う必要があります。

例えば、床面積50平方メートル、家賃15万円のアパートの30平方メートル分を事務所として使用している場合、15万円×(30平方メートル÷50平方メートル)=9万円分を事務所の経費とするというイメージです。
按分は、白色申告と青色申告で要件が異なる点にも注意が必要です。

白色申告における按分の要件

白色申告は、下記2点の要件を満たさなければ、経費の按分ができません。自宅の一室を事業用途に利用している場合、2つ目の「明確に区分できるもの」であることを証明できれば、面積が50%に満たなくても家事按分の対象とできますが、証明が難しいこともあります。そのような場合は、青色申告への切り替えを検討しましょう。

  • 家事按分の割合が高すぎない(例えば、家賃の全額を経費として計上するのはNG)
  • 業務に関連する割合が「50%超」、もしくは「明確に区分できるもの」である

青色申告における按分の要件

青色申告は、白色申告に比べて按分として認められる範囲が広くなります。業務遂行上必要であると認められれば、基本的にはほぼすべての経費を按分して計上することができます。
例えば、自宅の一部を事務所として使っている場合、家賃や水道光熱費、通信費などを事務所で使用している分だけ経費とすることも可能です。

経費計上をスムーズに行うため経費を理解しよう

経費は種類やルールが多く、理解しづらい点もありますが、原則としては「事業に関連する支出は経費である」と考えておきましょう。
経費は節税にもつながり、正しく計上すると大きなメリットがあります。経費についてきちんと理解して、正しく経費計上するようにしてください。

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この記事の監修者税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。

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