確定申告で土日しか行けない場合はどうする?休日での提出方法を解説
監修者: 齋藤一生(税理士)
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平日の昼間に仕事をしている事業者や会社員の方は、土日祝日でないと確定申告の手続きに行けない場合も多いかもしれません。税務署の開庁時間は基本的に平日昼間のみですが、確定申告書の提出は土日祝日でも可能です。では、土日祝日に提出するためには、どのような方法があるのでしょうか。
ここでは、平日昼間に提出が難しい方のために、確定申告書を休日に提出する方法や、提出方法別の受付期限について解説します。
確定申告期間は、例年2月15日から3月15日まで
確定申告の期間は、例年2月15日から3月15日までと定められています。この期間中に確定申告書を管轄の税務署に提出しましょう。
ただし、開始日や期限日が土日祝日に重なる場合は翌平日に繰り下がります。2024年分の確定申告期間は、開始日と期限日の両方が土曜日に重なるため、2025年2月17日から3月17日までとなっていました。
確定申告の期限については以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
土日祝日や時間外に確定申告書を提出する方法
土日祝日や税務署が閉まっている夜間でも、以下のような方法で、確定申告書の提出は可能です。さまざまな方法があるため、確定申告書の作成方法や都合に応じて選択しましょう。
土日の開庁日に税務署や確定申告会場に行く
確定申告書の提出を受け付けている税務署や確定申告会場は、基本的に平日の昼間のみ開いていますが、確定申告期間中は土日に開庁日が設定されているケースもあります。このようなタイミングをねらえば、土日に窓口で確定申告書を提出することも可能です。
ただし、実際に土日の開庁日が設定されているかどうかは、税務署や確定申告会場によって異なります。また、開庁日は確定申告期間中の土日のうち数日だけというのが一般的であるため、事前確認は必須です。
なお、確定申告会場で確定申告の相談をしたい方は、入場整理券を取得しなければなりません。入場整理券は、確定申告会場での当日配布またはLINEの事前発行で取得します。
混雑状況によっては、当日の受付が早期に終了する可能性もあります。作成済みの確定申告書を提出するだけであれば整理券は不要ですが、相談をしたい方は注意してください。
税務署や確定申告会場で申告書を提出する場合、その場で添付書類などのチェックが行われます。身分証明書の添付漏れなどがあった場合は書類不備と見なされ、その場では提出できません。事前に提出書類の不足や不備がないかしっかり確認しておきましょう。
時間外収受箱に投函する
確定申告書は、時間外収受箱に投函して提出することもできます。時間外収受箱は、税務署に設置されている閉庁時間中に書類提出ができるボックスです。土日祝日や平日夜間の閉庁時間でも、確定申告書と添付書類を封筒にまとめて時間外収受箱に投函できます。
閉庁時間中に投函された確定申告書は、翌日税務署の職員が回収した際に、前日までに提出された書類と見なされます。
なお、2025年1月以降、確定申告書の控えへの収受日付印の押なつが廃止されました。収受日付の証明が欲しい場合は、当面の間は控えへの押なつに代えて、収受日付印を押したリーフレットが交付されます。
時間外収受箱に投函する場合、返送先の住所などの情報を記載して、所定の金額の切手を貼付した返信用封筒を同封すると当面は、返送されます。このリーフレットが申告をしたことの証明となります。
確定申告書の控えは、融資やローンを受ける場合や賃貸契約をする場合など、収入や所得を証明するために使用することがあります。ほかにも既に提出した申告した内容を確認することもあるでしょう。そのような際に、確定申告書の控えがあれば、すぐに提示したり、確認することができます。ぜひ、控えの作成と保有、管理をしましょう。
郵送する
郵送による提出であれば、日付や時間を問わず、都合の良い時間にポストに投函するだけで確定申告書の提出が完了します。この場合、消印の日付が提出日と見なされるため、投函日には注意しましょう。
提出期限日の夜間にポスト投函した場合、投函日当日の消印は押されません。期限日の前日までに投函するか、郵便局窓口に提出するのがおすすめです。
また、確定申告書は信書に該当するため、普通郵便などの信書を送れる方法で送付する必要があります。
「信書」とは、「特定の受取人に対し、差出人の 意思を表示し、又は事実を通知する文書」です。
信書は郵便局をはじめ信書便事業者が取り扱えます。確定申告書類は必ず、信書を送付できる方法を選択して送付しましょう。
なお、信書は宅配便では送付できません。もし、宅配便などで送った場合は信書扱いとはならず到着日が提出日となることに注意が必要です。郵便局のサービスでもゆうパックやゆうメールは信書扱いにならない点にも気を付けましょう。
なお、控えへの収受日付印の押なつと返送は2025年1月以降なくなりました。希望者には、当面の間は収受日付印を押したリーフレットが返送されます。希望する方は、返送先の住所などの情報を記載して、所定の金額の切手を貼付した返信用封筒を同封してください。
確定申告書の控えは、融資やローンを受ける場合や賃貸契約をする場合など、収入や所得を証明するために使用することがあります。ぜひ、控えの作成と保有、管理をしましょう。
e-Taxで提出する【おすすめ!】
e-Taxは、自宅などから国税関係の手続きを電子的に行えるシステムで、土日祝日でも確定申告の手続きができます。利用可能時間については、通常は土日祝日などで利用できない日が設定されているケースもありますが、確定申告期間中は土日祝日を含むすべての日で利用できるようになります。
なお、基本的には24時間利用可能ですが、一部の日では8時半から24時に設定されているため、注意しなければなりません。
e-Taxなら、土日祝日にしか税務署に行けない方でも、無理のない確定申告が可能です。申告期限日の23時59分までに送信すれば期限内提出という扱いになるため、時間に余裕がない方にも適しています。
ただし、送信エラーなどになる可能性もあるため、一分一秒を争うタイミングでの申告はできるだけ避けてください。期限日の前日までには提出を完了させることをおすすめいたします。
e-Taxで確定申告をする場合は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や、市販の確定申告ソフトで申告書データを作成し、送信します。e-Taxでは、さまざまな添付書類の提出が省略できるだけでなく、65万円の青色申告特別控除も利用できるようになります。
なお、e-Taxの利用には、マイナンバーカードやマイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンかICカードリーダー/ライターなどの準備が必要です。利用を検討している方は、事前に確認しておきましょう。
e-Taxでの確定申告のやり方については以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
確定申告期限に間に合わなかった場合のペナルティ
確定申告を期限内に行えなかった場合、ペナルティを科せられる可能性があります。支払いが遅れた税金の額や遅れた期間に応じて税金が加算されるため、遅れないようにしてください。
ただし、ペナルティが発生するのは、納めなければならない税金があった場合のみです。源泉徴収税額や予定納税額が本来の税額を上回っている場合などに行う還付申告については、通常の確定申告とは異なり5年の申告期限が定められていますが、その期限を過ぎてもペナルティを受けることはありません。
とはいえ、65万円や55万円の青色申告特別控除を利用できなくなるといったデメリットもあるため、期限内の申告を心掛けましょう。
確定申告期限に間に合わなかった場合の主なペナルティは、以下のとおりです。
無申告加算税
無申告加算税は、確定申告を行わず、納付すべき税金を納めなかった方に対する税金です。本来の納税額にペナルティとしての税額が加算されます。加算される税額は、税務署から調査の事前通知を受け取る前に自主的に期限後申告と納税をした場合であれば、納付すべき税金に5%を掛けた金額です。
税務署から調査の事前通知を受け取った後に期限後申告をした場合の税率は、納付すべき税金の額に応じて以下のようになります。
調査の事前通知を受け取った後に期限後申告をした場合の税率
納付すべき税金の額 | 無申告加算税の税率 |
---|---|
50万円まで | 10% |
50万円を超えて300万円まで | 15% |
300万円超 | 25% |
事前通知ではなく、税務署から調査を受けた後で期限後申告をした場合は、税率は以下のように変わります。
税務署から調査を受けた後で期限後申告をした場合の税率
納付すべき税金の額 | 無申告加算税の税率 |
---|---|
50万円まで | 15% |
50万円を超えて300万円まで | 20% |
300万円超 | 30% |
ただし、以下の要件をすべて満たす場合は、無申告加算税はかかりません。仮に期限を過ぎてしまったとしても、できるだけ速やかに申告を行い、納税の意思を示すことが重要です。
無申告加算税が不適用となる要件
- 申告期限から1か月以内に自主的に申告を行っている
- 納めるべき税金を全額、期限後申告をした日までに納税している
- 期限後申告をした日から過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課せられていない
- 期限後申告をした日から過去5年以内に、この規定による無申告加算税の不適用を受けていない
延滞税
延滞税は、納税が期日よりも遅れた場合に、遅れた日数に応じて課せられる税金です。税率は、遅れた日数が2か月以内であれば最高で年7.3%、2か月を超える場合は最高で年14.6%です。
延滞税については、事情に応じて非課税になる制度は用意されていません。ただし、延滞した税金の額が1万円未満の場合、または延滞税の金額が1,000円未満の場合は、納税が不要になります。
土日祝日でもできる提出方法を活用して、早めに確定申告を行おう
確定申告書は、土日祝日や夜間でも提出できます。時間外収受箱、郵送、e-Taxなどのさまざまな方法があるため、都合に合わせて選択しましょう。提出期限が迫ったタイミングで提出すると、何らかのトラブルによって期限後申告となってしまうリスクが高まります。早めの申告を心掛けてください。
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