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副業で赤字になったら節税になる?税金還付の対象になるかを解説

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会社員で副業をしている人の中には、「副業で赤字が出たら節税できる」という話を耳にしたことがある人がいるのではないしょうか。確かに、副業で赤字が出た際に節税になる場合があります。

本記事では、副業で赤字が出てしまった場合の対処法について、節税になる条件や確定申告の方法をわかりやすく解説します。会社員が副業の赤字を確定申告する際の注意点もまとめていますので、参考にしてください。

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副業で赤字が出てしまったときの対処法

業務による副業で確定申告をするには、「事業所得」と「雑所得」の2種類があります。どちらの所得に該当するかで、赤字が出たときの対処法が異なります。副業が事業所得に該当して赤字が出てしまった場合は、確定申告を行うことで本業の所得と赤字を「損益通算」で相殺することが可能です。しかし、ほとんどの副業の場合は雑所得に該当し、雑所得で赤字が出てしまった場合は、損益通算はできません。

損益通算とは

損益通算とは、同一年分の異なる所得区分の利益と損失を合算することをいいます。

損益通算を行うと、その分、課税対象になる利益が減るので、納める税金の額が小さくなります。ただし、損益通算には一定のルールがあり、すべての所得について合算できるわけではありません。該当するのは、事業所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得の4つになります。副業でもこの4つの所得に該当するケースなら、損益通算を行うことができます。

副業で赤字が出たときに損益通算を適用できるケース

副業で赤字が出てしまった際に、確定申告を行うことで本業の所得と損益通算で対処することができるケースを見ていきましょう。具体的に損益通算を用いるには、次の条件をすべて満たしている必要があります。

損益通算が適用される条件

  • 副業所得が事業所得・不動産所得・譲渡所得・山林所得のいずれかであること
  • 譲渡所得の場合、生活に通常必要ではない資産や株式、土地建物などの譲渡に該当しないこと

損益通算をすることで本業の所得と副業の赤字分を合算して計算することができるのです。合算して確定申告を行うと、課税対象となる所得が減るためかかる税金が減り、節税につながります。

副業の赤字が出たときに損益通算を適用できないケース

副業で赤字が出ても、雑所得の場合は損益通算を適用できないため、節税にはなりません。副業所得が事業所得に該当するか、雑所得に該当するかについては、「事業としての実態があるかどうか」が判断基準となります。

事業所得と見なされる条件としてあげられているのが、副業に「継続性」「反復性」があるかどうかです。例えば、会社員が年に数回講演や原稿執筆を依頼されて講演料・原稿料を得ているようなケースでは、継続性・反復性が弱いといわざるをえません。したがって、これらの所得は雑所得と見なされる可能性が高いのです。

赤字が出たときの確定申告の方法

副業で赤字が出た場合、どのように確定申告を行えばよいのでしょうか。副業が事業所得の場合、雑所得の場合の違いを押さえておきましょう。

副業が事業所得の場合

副業が事業所得に該当して、副業が赤字になった場合であれば、本業の黒字の所得と損益通算をすることで所得を下げられます。つまり、確定申告を行うことによって所得税額を減らせるのです。

その一方で、損益通算の適用を受けることによって本業の勤務先が把握している所得税額よりも実際の所得税額が下がる点に注意してください。副業をしている事実を本業の勤務先に知られたくない場合、住民税額のずれによって本業以外の事業に取り組んでいることが発覚する可能性があります。

なお、副業が事業所得で青色申告を選択している場合、赤字(純損失)を3年間繰越控除できます。つまり、赤字が出た年の分だけでなく、その翌年・翌々年にわたって赤字を繰り越せるのです。

ただし、一般的には本業の所得を上回る赤字が副業で発生するケースはまれです。通常であれば損益通算によってその年に副業で生じた赤字を1年で相殺できることから、青色申告の繰越控除が適用されるケースはほぼないと考えてよいでしょう。そのほかにも、例えば、副業が3年間赤字であっても、赤字を解消するための取り組みを実施していない場合、事業所得の取り扱いにならないケースもあります。

副業が雑所得の場合

副業が雑所得に該当する場合には、損益通算が適用されません。経費がかさんで副業の収入金額を上回ったとしても、赤字申告はできない点に注意してください。年間の副業の所得金額が20万円以下であれば確定申告は不要です。

ただし、副業で得た報酬が講演料やデザイン料などの場合、依頼元が源泉徴収をしています。源泉徴収とは、報酬の支払者が支払い時に一定率の所得税を控除することにより、納税者本人に代わって納付するしくみのことです。控除される金額に経費は加味されていないため、実際に納めるべき所得税額よりも多くの金額を源泉徴収されている可能性があります。

こうしたケースでは、確定申告をすることによって納めすぎていた所得税の還付を受けることが可能です。副業が赤字かどうかにかかわらず確定申告をしない限り所得税の還付は受けられないため、源泉徴収されていて還付金が出る場合には確定申告をすることをおすすめします。

会社員が副業で赤字を出した際に注意すべきこと

会社員が副業で赤字を出した際に、注意すべき点があります。2つの注意点について、詳しく見ていきましょう。

損益通算したら、所得税額に差が出て勤務先に副業がばれる可能性がある

会社員が副業で赤字を出して損益通算の適用を受けると、副業が勤務先にばれる可能性があります。それは、本業の勤務先で算出した住民税額よりも、実際に納めるべき住民税額が少ないという事態が生じかねないからです。なお、勤務先が従業員の副業を禁止していない場合、損益通算をしても問題ありません。

近年は副業解禁の機運が高まっているとはいえ、さまざまな理由から従業員の副業を禁止していたり、副業を始めるにあたって申請するルールを設けたりしている企業は少なくありません。禁止にもかかわらず副業をしていることがばれると懲戒処分を受けることもあり得るでしょう。

勤務先の就業規定を遵守し、禁止をしているのであれば、ペナルティを課せられるリスクを冒してまで副業をする必要があるのかを考えてから副業を行いましょう。そうでない場合でも、必要に応じて副業に関する届け出や申請を行ったうえで、本業とのバランスを考慮して副業に取り組みましょう。

副業が赤字なら住民税の申告は不要

副業が赤字になり確定申告が不要となった場合、住民税の申告も不要です。副業が赤字であれば住民税を追加で納税する必要がないためです。

副業の所得が赤字でもインボイス登録をしているなら消費税申告は必要

副業であっても取引先によっては適格請求書(インボイス)の発行を求められることがあるため、副業に取り組む際にはビジネスによっては適格請求書発行事業者としての登録(インボイス登録)も視野に入れておきましょう。

副業でも適格請求書発行事業者の場合は、消費税の確定申告を行う必要があります。副業の所得が赤字であっても、課税売上があれば、適格請求書発行事業者は消費税を納税する必要がある点を認識しておきましょう。

節税目的ではなく、副業の実態に応じた申告を行おう

副業が事業所得で赤字の場合、損益通算によって所得税の節税効果が得られる場合があります。ただし、損益通算をすることによって、本業の勤務先が副業を認識していれば問題ありませんが、そうでない場合、勤め先が把握している住民税額と実際に納めるべき住民税額と大きな食い違いが生じることで副業がばれる可能性も認識をしておきましょう。また繰り返しになりますが、副業の所得が雑所得に該当する場合には、損益通算は適用できません。

損益通算による所得税の節税効果は、結果的に所得金額が減ることによって結果的に所得税が抑えられることに起因します。節税のみを目当てに雑所得を事業所得として申告することは認められません。節税効果を得られるかどうかではなく、あくまでも副業の実態に応じて確定申告を行ってください。

なお、副業で事業所得が発生するなら、確定申告が必要になる場合は、ずっと無料で利用できる「やよいの白色申告 オンライン」がお勧めです。

副業が雑所得で帳簿付けが義務ではなくても、売上と経費から所得を計算するためや収支の動きを把握するために帳簿を付けることをおすすめします。収支状況がわかれば赤字対策も取りやすくなります。

適格請求書発行事業者はインボイス制度の要件に従った帳簿付けが必要ですが、「やよいの白色申告 オンライン」なら、初めての人でも手軽に帳簿付けを進めることができます。確定申告をスムーズにできるよう、ぜひ導入をご検討ください。

副業のバックオフィス業務は弥生のクラウドソフトで効率化

事業所得になる副業の確定申告は申告ソフトを使って楽に済ませよう

会社員などが副業をした場合、副業の所得が20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。副業の収入や報酬から源泉徴収をされているなら、確定申告をすれば納めすぎた税金が返金される可能性が高いでしょう。ただ、所得税の確定申告をするには、書類の作成や税金の計算など面倒な作業が多いため、負担に感じる方もいるかもしれません。

事業所得になる副業は、帳簿付けが必要です。そんなときにおすすめなのが、弥生のクラウド確定申告ソフト『やよいの白色申告 オンライン』です。『やよいの白色申告 オンライン』はずっと無料で使えて、初心者や簿記知識がない方でも必要書類を効率良く作成することができます。e-Tax(電子申告)にも対応しているので、税務署に行かずに確定申告をスムーズに行えます。

副業の所得区分を事業所得・雑所得どちらにするか迷っている場合、まずは帳簿付けをしておきましょう。事業所得で確定申告する場合は帳簿が必要です。雑所得の場合、帳簿付けの義務はありませんが、売上や仕入・経費などの集計に帳簿がある方が便利です。

なお、『やよいの白色申告 オンライン』では、雑所得の収支内訳書と所得税の確定申告書は作成できません。もし、『やよいの白色申告 オンライン』で作成した収支内訳書から確定申告書を作成すると自動で「事業所得」に集計されます。国税庁の確定申告コーナーで、自分で収支内訳書と確定申告書に転記して申告をしてください。

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この記事の監修者齋藤一生(税理士)

東京税理士会渋谷支部所属。1981年、神奈川県厚木市生まれ。明治大学商学部卒。

決算書作成、確定申告から、起業(独立開業・会社設立)、創業融資(制度融資など)、税務調査までサポート。特に副業関連の税務相談を得意としており、副業の確定申告、税金について解説した「副業起業塾 新規タブで開く」も運営しています。

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