起業当初から弥生シリーズを事業発展に役立てている
有限会社Cut & Paste(東京都千代田区)
PCアクセサリーやカーアクセサリーの開発・販売・コンサルティングをおこなっている有限会社Cut & Paste。起業当初から会計データを事業に役立てる視点で弥生会計を活用。事業拡大にともなって弥生販売も利用している。
起業のきっかけ
「自分が納得できる人生を選択したかったんですよ」
PCアクセサリーやカーアクセサリーの開発・販売・コンサルティングをおこなっている有限会社Cut & Paste。代表の柳原知明さんは、アップルコンピュータ株式会社で、iPodをはじめとする、さまざまな製品のプロダクトマネージャーを歴任した経歴を持つ。「忙しい日々の中で、今のままずるずるとサラリーマンを続けるよりは、同じ働くなら自分のために働いた方が良いかなと考えていました」。他の企業に転職するという話もあったが、おそらく忙しい状況は同じだろうと思ったと柳原さんは話す。
「それならば24時間フルでがむしゃらに働いても自分が納得できる人生を送りたい。万が一それで失敗しても、その内容を評価してくれる人は絶対世の中にいるはずだと思いました」。プラスになることはあってもマイナスになることはないと考えて、起業へ踏み出す決意を固めた柳原さんは、まず「ユーザーが欲しいと思っていても、対応できるメーカーがなかったようなニッチな商品」を販売することにし、ノートブックタイプのPCやMacの縦置収納スタンド「PowerStand Series」を開発。起業家への第一歩を踏み出した。
事業と会計
「会計に関しては、起業当初から弥生会計を使い、忙しい時間を割いてでも入力するようにしていました」
柳原さんは、アップルコンピュータに入社する以前、総合商社のトーメンに在席し、簿記を含めた会計・財務の基本を習得していた。「会計が商売のベースになるものだというのは基本ですが、費用が安いので参加してみた習志野商工会議所主催の、起業を目指している人を対象にした創業塾で聞いた話も役に立ちました。その中で会計に関する話がありまして、ある税理士の方の、数字を把握している経営者と、数字を把握していない経営者を比べると、後者はほとんどうまくいっていない、という会計の重要性の話が印象的でしたね」。
起業当初の優先順位は、まず扱う商品であり、どうそれを展開するかが課題になる。柳原さんは、会計処理は時間とコストを極力少なくし効率的にやるべきだと考え、会計ソフトを利用することにしたと話す。「起業当初から会計事務所に委託する方法も当然ありますが、コストの問題がありますし、会計事務所の方が自分の商売をどこまで理解してくれるのかという問題があります。それに時間と手間をかけるなら、自分で記帳して決算だけ会計事務所にまかせるというやりかたをした方が最終的には効率的だと判断しました。弥生会計を選んだのは普及率の高さが理由です。商工会などで弥生セミナーがあることや、会計事務所に決算処理を委託する際も弥生会計で作ったデータならすぐに対応してもらえますし、利用者が多いですから周囲に質問しやすいといった点も魅力でした(笑)。
会計データを事業へ活かす
「会計データは、瞬時にデータ化して見ておいた方が、販売に活用できるし、そうしないと、思わぬ所に落とし穴ができることになってしまう。これが私の結論です」 柳原さんは、起業当初に自ら記帳するメリットを、申告のためだけでなく、会社の状況が把握できる点や、製品の価格設定などにも役立てられ、素早い次の一手につなげられる点にあると話す。
「黒字か赤字かくらいは記帳しなくても把握できますが、コストや損益分岐点を確認することで、製品価格が最適かどうかを判断するのに使っていました。これは現状のコストを把握しておかないと正しい価格設定ができないからです。売上に対して経費が多過ぎたとしても値上げは難しいですが、経費を抑えるようにすることはできますし、少なくとも次の商品の価格設定をする際には役立ちます。こういった分析をしたり判断を下すためにはタイムリーに使えるデータが必要です。本当に忙しくて時間がないときは知り合いに入力を頼んだりもしました」。柳原さんは、簿記の知識がある人なら簡単に操作できる弥生会計を選んで良かったと当時を振り返る。
Cut & Pasteでは、デジタルオーディオの今後の動向を考え、iPodやPDAなどの端末を車内で使うためのアクセサリーを開発しようと考えていたが、スウェーデンに「ProClip」という製品を作っているメーカーがあるのを知り、日本の総輸入代理店になった。こうした事業拡大に必要な融資を受ける際にも弥生会計が役立ったという。「公庫や銀行がどういったデータを求めているのかは、行って相談してみないとわからない部分があります。月別の売上の変遷といったデータや書類をすぐに出すように言われたのですが、こまめに入力していたので最新のデータが揃っていましたし、弥生会計のボタンをおしてプリントアウトするだけですみました。経営者として数字を把握しているという信頼感も銀行の担当者には伝わったと思います」。
販売面でも弥生を活用
「業種業態にもよりますが、もし起業当初から販売管理システムが組めるのなら、やっておいた方が良いと思います」
Cut & Pasteでは、販売や在庫管理を第一期までエクセルで管理していたが、決算の際、在庫管理や出荷との付け合わせに時間がかかった経験をしている。
「ProClipは車のメーカーや車種、利用する端末によってそれぞれ専用の製品がありますので、アイテム数がかなり多いのです。そのため、当初は在庫管理に苦労しました」。そこで弥生販売を導入したのだが、別の効果もでているという。
「弥生販売は客先別の単価が登録できますから、後から入力するのは出荷数だけになります。これは入力ミスを防ぐことになり、業務をスタッフに安心してまかせられる部分が増えることになります。また、起業したばかりの経営者は書類仕事が予想以上に多いですし、それにかける時間とストレスを防ぐ意味も大きいです」。
柳原さんは、自身の反省と苦労も含めて、これから起業する人は可能であれば、製品数が少なくても、起業当初から販売管理システムを構築しておいた方が良いと薦める。「私は自分で弥生販売の初期設定からやりましたが、登録などは簡単にできたもののアイテム数や客先が増えていましたから、細かいチェックまで含めると、前の管理方法から移行するまでに2ヶ月かかりました。起業当初は販売にかけるウエイトが多くなりますが、それに関する事務作業は極力効率的に処理した方が楽です。起業したばかりの頃は忙しくて時間がないと思うかもしれませんが、事業が回り始めるともっと忙しくなります。その意味でもやっておいた方が良いと断言しますね(笑)」。
- ※本記事の内容は、取材当時のものです。
- 企業名
- 有限会社Cut & Paste(カットアンドペースト)
- 使用ソフト
- 弥生会計、弥生販売
- 事業内容
- PCアクセサリー、カーアクセサリーの開発・販売・コンサルティング
- 所在地
- 東京都千代田区
- 設立
- 2003年
- 従業員数
- -
- 導入時期
- 2003年より
今回ご紹介した製品
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