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会計処理をエクセルから弥生会計に変えて便利さを実感

株式会社TORICO(東京都杉並区)

  • 弥生会計

日本発のスニーカーブランドとして注目されている株式会社TORICO。会社員から起業した経営者は当初、会計処理をエクセルでおこなっていたが、弥生会計での処理に変えてから操作やデータ管理の便利さを実感している。

起業のきっかけ

「スニーカーと出逢わなければ起業はしていなかったと思います」 ファッション性が高く個性的なデザインのスニーカーを製造販売しているほか、ブランドとしての多彩な展開で注目されている株式会社TORICO。代表取締役の安藤拓郎さんは、「もともとファッションには興味があって、服や靴をよく買っていたのですが、例えば表参道に行っても海外のブランドばかりですし、自分が履いている靴も日本製ではなかった。なぜ日本から世界に向けて発信するようなブランドがないのだろうと思っていました」と話す。そのような中、安藤さんは以前勤めていた商社の関係で海外の靴工場と仕事をする機会があったことで、オリジナルブランドのスニーカーを作れないかと検討しはじめ、知人に話をしてみた所から起業への具体的な動きがはじまった。

株式会社TORICOは、国内外のデザイナーによる個性的なスニーカーを製造販売している。

「当時、知人がダンスイベントやクラブイベントの企画運営をしていました。2005年の3月に500人規模のイベントが決まっていましたので、その場で自分達が作ったスニーカーを展示して、来場者の反応を見てみようという話になりました」。そこで、世界を虜にするという意味の TORICOをブランド名とし、イベントの冠スポンサー名にもTORICOを使い、新しいブランドが大きなイベントを開いた形にするアイデアが生まれた。イベントではスニーカーの新ブランドについてアンケートを採るようにしたが、その結果が好評だったことから、ビジネスとしての可能性を感じたと安藤さんは話す。「来場者500人中、300人ほどが用意したブースに集まってくれました。アンケート結果もファッションにこだわりがある層の反応もかなり良かったので、これは挑戦する価値があるなと思い始めました」。

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事業と会計

「起業するまではあっという間で、会計についての意識はありませんでした」
イベントの感触が良かったことから、試験的にスニーカーを販売してみようと考えた安藤さんは、オンラインショッピングサイトの楽天に出店していた知人に頼み、出品することにした。その結果、用意していた50足全てが1ヶ月ほどで完売になったことから、起業への思いを強くしたという。「出品させたもらったショップのメールマガジンで告知したり、楽天内でもPRしてもらうなど、存在を知ってもらうための工夫はできるだけやりました。その結果、完売となり、しかも売上ランキングではシューズ部門の週間売上で2位になったとわかって、本気で取り組んでみようと考えました」。

安藤さんは、ファッションは好きだったが、スニーカーとの出逢いがなければ起業はしていなかったと話す。

その後、起業家を対象にしたビジネスプランのコンテストがあることを知り、応募したところ、100ほど集まったプランの中から出資対象として選ばれ、事業として本格的にスタートすることになった。
「事業計画書を提出したのが2005年の5月で、いろいろな動きはありましたが投資を受けられることになり、その後、登記、努めていた会社の退職と、あっという間でした。会社を立ち上げることと、デザイナーや工場とのやりとりなどやることが沢山あって、正直な所、会計に関する意識はほとんどありませんでした」。安藤さんは、多忙なかたわら会計処理もしていたが、入出金をエクセルで管理するだけの使い方がしばらく続いたという。

会計データを事業へ活かす

「会計処理はエクセルでの集計で充分だと思っていましたが、弥生会計を使ってみたら便利さが全くちがいました」
TORICOでは、2005年10月からベンチャーキャピタルの支援を受け、本格的な事業がスタートした。「ベンチャーキャピタルの会計担当の方から、すぐに弥生会計を使いなさいと薦められました。でも、やることは経費と仕入れと売上を集計するだけですし、エクセルで充分管理できると思っていました」。しかし安藤さんは、エクセルでの処理を続けて行くうち、会計の知識があまりなかったこともあり、だんだん管理しきれなくなっていったと当時を振り返る。
「こんな簡単なやり方で申告まで行けるのか不安を覚えはじめました。ベンチャーキャピタルへの月次報告もありますし、思い切って弥生会計を使うことにしたのです。ところが使い始めてみたらエクセルでまとめるよりずっと楽でした。仕訳アドバイザーがありますし、月次報告用の資料は弥生会計でさっと印刷して渡せる。早く使い始めればよかったと思いました(笑)」。

デザインや製品化にあたって妥協はしたくないというポリシーを大切にしているため、発売が遅れることもある。

会計ソフトの利用は初めてだった安藤さんだが、導入当初、ベンチャーキャピタルの会計担当者に操作や仕訳を教わった以外、苦労している点はないという。「現在は、出納帳や試算表、項目別の金額を見て経営状況や経費を把握するようにしています。在庫や生産計画の問題もありますし、弥生会計を使い出してから資金繰りやキャッシュフローについては特に意識するようになりました。会社員時代にもそういった経験はしていますが、被雇用者と経営者では違う部分が多いですね。今までに出会ったことのない専門用語や概念がたくさんあって、経営者としての勉強も大変です。ただ、会計については、実務を経験してから随分印象が変わりました。会計は経営するうえで必要なものですが、未経験者のハードルになるものではないと思えるようになりました」。

今後の事業展開

「弥生販売には興味があるし、近い将来必要になると思っています」
TORICOの事業は最初に作成した事業計画書のスケジュール通りに進んでいると分析する安藤さんだが、ブランドイメージを構築していくという面については、難しさを痛感している最中だと話す。「自分達のポリシーと売るためにやらなければならないことのバランスをとるのが難しいですね。大手企業から販路を拡げるお話を頂いたことがあるのですが、今の時点で大量販売をしてしまうと物作りに妥協する部分がどうしても出てしまうと考えて、結局お断りしました。近く発売する予定の新モデルも本当は3ヶ月前に発売する予定だったのですが、生地や色合いがイメージとは違うので遅れてしまいました。でも一度妥協してしまうと、ブランドとしての根幹がくずれてしまうのでやむを得ないと思っています。幸いなことに、そういったスタンスに好意的な業者さんや販売店が少なくなく、支持してくれるお客様もいるので、今後も妥協のない姿勢は貫きたいと思っています」。

TORICOでは、スニーカー好きな消費者の人気投票で選ばれたデザインを製品化する企画「スニつく」など、新しい展開をすすめている。

TORICOでは、自社製作のスニーカーに加え、数多くのデザインの中から消費者が好みのものを選んで投票し、上位になったデザインを製品化する事業や、スケートボード用スニーカーのプロモーションでは、日本の有望なスケートボードの選手でTORICOというチームを作り、イベントに出場するなど、さまざまな事業展開を進めている。「ほかにも、今は世界共通の足形で海外生産なのですが、それをMade in Japanにして日本人が履きやすいスニーカーを作ろうとしています。商品アイテムとしても女性向けの商品がまもなく発売になりますし、これからアパレルやアクセサリーも考えていますので、いずれ弥生販売が必要になると思っています」。現在はエクセルで管理できているが、販売に関しては、弥生会計を導入したときとは違って、早く導入できるようになりたいと、安藤さんとは笑顔で話してくれた。

  • 本記事の内容は、取材当時のものです。
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企業名
株式会社TORICO
使用ソフト
弥生会計
事業内容
スニーカーブランド
所在地
東京都杉並区
TEL
03-5378-6344
設立
2005年
従業員数
6名
導入時期
2005年

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