【2026年施行】防衛特別法人税とは?いつから対応?納税額0円でも申告が必要な理由
監修者: 小林祐士(税理士法人フォース)
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2025年3月に創設された「防衛特別法人税」が、2026年4月1日以後開始する事業年度から適用開始となりました。年500万円の基礎控除があるため、実際の納税額が0円となる法人も多いですが、申告書の提出は必須です。「うちは対象外かもしれない」と思っている方も、実務上の見落としを防ぐために必ず押さえておきたい新税制です。
本記事では、主に中小企業の経理担当者向けに、防衛特別法人税の適用開始に伴い、いつまでに・何をすべきかをわかりやすく解説します。
📖この記事でわかること
・自社の初回申告時期
3月決算法人は2027年5月、12月決算法人は2028年2月に、防衛特別法人税の最初の申告期限を迎えます。・納税の判断基準と注意点
年500万円の基礎控除のしくみや、混同しやすい「基準法人税額」のポイント、0円申告が必要な理由を解説します。・実質的な税負担の目安
防衛特別法人税の適用開始によって、実効税率は0.6%~0.9%強上昇します。本記事後半で、ケース別の計算方法を解説します。今なら「弥生会計 Next」スタート応援キャンペーン実施中!
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防衛特別法人税とは?制度の概要と経理担当者が押さえるべきポイント
防衛特別法人税は、これまでの法人税とは計算のしくみや対象者の考え方が異なります。まずは制度の基本的な全体像と、経理担当者が知っておくべき3つの重要なポイントをわかりやすく整理します。
- 防衛特別法人税導入で経理担当者が押さえるべきポイント
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1最終の納付額ではなく一定の税額控除を適用しないで計算した法人税の額(基準法人税額)から基礎控除額を控除した残額である課税標準法人税額に4%上乗せされる
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2年500万円の基礎控除があるため、実際の負担は0円となる中小企業が多い
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3納税額が0円でも申告手続きは必須である
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防衛力強化の財源確保を目的とした法人税への「付加税」
防衛特別法人税は、日本の防衛力を抜本的に強化するための安定的な財源を確保することを目的として創設されました。
経理実務においてまず押さえたいのは、防衛特別法人税は会社の利益(所得)に直接かかるのではなく、会社が計算した法人税額に対して課される「付加税」である点です。法人税額に対して、一律4%の税率が上乗せされるイメージをベースとして持っておくと理解しやすいでしょう。
また、防衛特別法人税が課される対象は、会社の規模(大企業か中小企業か)に関わらず、各事業年度の所得に対する法人税の納税義務者と同範囲です。そのため、普通法人はもちろん、収益事業を行っている公益法人や協同組合なども一律に対象に含まれます。
欠損法人や年間約2,400万円までの利益なら納税額は発生しない
「防衛特別法人税はすべての法人が対象」と聞くと、「うちのような小さな会社も追加の税負担が生じるのか」と身構えてしまうかもしれません。しかし、安心してください。
まず、当期の業績が赤字(欠損法人)で通常の法人税がかからない会社については、防衛特別法人税も発生しません。
また、黒字であっても、この防衛特別法人税には「年500万円の基礎控除」が設けられています。つまり、ベースとなる基準法人税額から500万円を差し引くことができるため、差し引いた結果が0円以下になれば、防衛特別法人税として実際に支払う税金は発生しません。
「法人税額が年500万円」を会社の利益(所得)に換算すると、おおむね年間約2,400万円が目安となります(中小法人の軽減税率などを考慮した試算)。そのため、利益が数百万〜1,000万円前後に収まる多くの中小企業にとっては、実質的な金銭の負担増にはならないしくみになっています。
納税額0円でも申告は必須
金銭的な負担がないとわかると、「では、うちの会社には関係がない話だな」と思ってしまいがちですが、ここで注意点があります。
それは、計算した結果、防衛特別法人税の納税額が0円になる会社であっても、税務署への申告書の提出自体は義務付けられている点です。
経理の実務では、払う税金がないなら書類を出さなくてもいいというケースがあるため混同しやすいですが、防衛特別法人税においては「うちは関係ない」と放置してしまうことがリスクになります。書類を出さずに期限を過ぎてしまうと、法人税の申告内容の不備として修正等を求められることがあるため、企業の経理担当者にとって、防衛特別法人税の納税はなくても、申告書の作成・提出は必須です。
では、防衛特別法人税の申告書類を、あなたの会社はいつまでに提出すればよいのでしょうか。次から、決算期ごとの具体的なスケジュールを確認していきましょう。
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防衛特別法人税の初回申告はいつ?決算期別に解説
防衛特別法人税の適用が始まったといっても、すべての会社が一斉にすぐ書類を出すわけではありません。自社の決算期によって、実務対応が必要となるタイミングが異なりますので、以下のスケジュール図とともに確認していきましょう。
【3月決算法人】最初の申告・納税期限は2027年(令和9年)5月末
中小企業に最も多い3月決算の会社の場合、2026年4月1日に開始する事業年度から新税制の対象となります。
具体的には、2026年(令和8年)4月〜2027年(令和9年)3月の事業年度が最初の対象期間です。
この期間の決算を行い、税務署へ確定申告書を提出(および納税)する期限は、原則として事業年度終了の2か月後です。したがって、3月決算の会社が最初に防衛特別法人税の申告を行う期限は、2027年(令和9年)5月末となります。
【12月決算法人】最初の申告・納税期限は2028年(令和10年)2月末
12月決算の会社の場合、2026年4月1日を過ぎてから最初に新しい事業年度が開始するのは、翌年である2027年1月1日となります。そのため、2027年(令和9年)1月〜2027年(令和9年)12月の事業年度が最初の対象期間になります。
最初の対象事業年度に対する確定申告期限は2か月後となりますので、12月決算の会社が最初に申告対応を行う期限は、2028年(令和10年)2月末となります。
まずは自社の決算期に合わせて、税務カレンダーに「防衛特別法人税の最初の申告時期」を正しくタスク登録しておくことから始めましょう。
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納税額0円でも申告が必要な理由と基礎控除500万円の判定基準
防衛特別法人税の実務において、多くの中小企業がつまずきやすいのが「500万円の基礎控除」のとらえ方です。自社が本当に税額0円になるのか、そしてなぜ0円でも書類を出さなければならないのか、その判定基準を解説していきます。
税額を左右する「基準法人税額」とは
経理担当者が実務を進める上で、最も混同しやすいのが「基準法人税額(ベースとなる税金)」と「基礎控除(500万円の免除枠)」です。
防衛特別法人税額を求める際は、会社の所得に直接4%をかけるわけではありません。まず、法人税の計算プロセスの中で算出される「基準法人税額」というベースを求め、そこから年500万円の基礎控除を引き、残った金額(課税標準法人税額)に対して4%の税率をかけるしくみになっています。
本体の税金(通常の法人税)に対して、防衛特別法人税がどのように上乗せされるのか、計算のスタートラインを明確にした図が以下です。
所得税額控除などを差し引く前の税額で判定する
ここで注意点があります。それは、防衛特別法人税の納税額が発生するかどうかの判定に使う「基準法人税額」は、最終的に国に払う法人税額ではないという点です。 基準法人税額とは、所得税額控除や外国税額控除などの税額控除の特例を差し引く前の法人税額を指します。
例えば、以下のようなケースを考えてみましょう。
- 差し引き前の法人税額(基準法人税額):600万円
- 所得税額控除や外国税額控除などの一定の税額控除:200万円
- 最終的な法人税の納税額:400万円
上記の場合、最終的に支払う法人税額(400万円)だけを見れば「500万円以下だから防衛特別法人税は0円で関係ない」と思ってしまいがちです。しかし、判定のスタートラインはあくまで控除前の「600万円」となります。つまり上記のケースでは、600万円から基礎控除500万円を引いた残額(100万円)に対して4%(=4万円)の防衛特別法人税が発生します。
このように、最終的な法人税額が0円、あるいは500万円以下であっても、控除前の金額が500万円を超えていれば防衛特別法人税の納税義務が発生します。決算期を迎えて慌てないためにも、自社の控除前の税額がいくらになるか、通常の法人税計算とは別にシミュレーションを行っておくことをおすすめします。
グループ通算制度では500万円を「按分」するルールに注意
複数の子会社を持ち、グループ全体で一体となって申告を行う「グループ通算制度」を適用している企業の場合は、特殊なルールが適用されます。
一般的な単独法人の場合、1社ごとに年500万円の基礎控除枠がまるまる与えられます。しかし、グループ通算制度を適用している法人の場合、基礎控除500万円は各社それぞれでもらえるわけではありません。
ルールとしては、グループ全体で1つの500万円という枠を、各通算法人の基準法人税額(加算前基準法人税額)の比率に応じて分け合う(按分する)ことになります。
そのため、「うちは基準法人税額が300万円だから無関係だ」と思っていても、グループ全体で按分計算を行った結果、自社に割り当てられる基礎控除の枠が小さくなり、思わぬ防衛特別法人税の負担が生じる可能性があります。
グループ企業を統括する親法人の経理担当者はもちろん、通算子法人の担当者も、この按分ルールがあることをあらかじめ念頭に置き、グループ全体でのシミュレーションを綿密に行うようにしましょう。
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【ケース別】防衛特別法人税の計算方法とシミュレーション例
防衛特別法人税の判定基準を理解したら、次は実際に自社の税額がいくらになるのかを計算してみましょう。基本となる計算式と、3つの具体的なシミュレーション、さらには特定の同族会社が注意すべき特殊な計算手順までをケース別で解説します。
防衛特別法人税の基本の計算式
防衛特別法人税の税額は、以下の公式を使って計算します。
- 防衛特別法人税の基本の計算式
- (基準法人税額 - 500万円) × 4% = 防衛特別法人税額
実務上の計算の流れはシンプルで、次の2つのステップを踏むだけです。
-
1課税標準法人税額を出す:ベースとなる基準法人税額から、一律で500万円(基礎控除額)を差し引きます。(※引ききれずにマイナスになる場合は0円とします)
-
2税率をかける:1で残った金額(課税標準法人税額)に対して、一律4%の税率をかけます。
このように、計算の仕組み自体は決して難しくありません。ただし、スタートラインとなる基準法人税額は各種税額控除を差し引く前の金額である点だけは忘れないようにしましょう。
具体的な計算例
自社の状況に当てはめてイメージしやすくなるよう、具体的な数字を使った3つのパターンで税額を試算した例を紹介します。
①基準法人税額が400万円の場合(税額:0円)
- 計算式:
400万円(基準法人税額) - 500万円(基礎控除) = 0円(課税標準法人税額)
0円 × 4% (防衛特別法人税率)= 0円
- ※基準法人税額が基礎控除である500万円以下に収まるため、防衛特別法人税は発生しませんが、申告書の提出自体は必須です。
②基準法人税額が1,000万円の場合(税額:20万円)
- 計算式:
1,000万円(基準法人税額) - 500万円(基礎控除枠) = 500万円(課税標準法人税額)
500万円 × 4% (防衛特別法人税率)= 20万円
③基準法人税額が1億円の場合(税額:380万円)
- 計算式:
1億円(基準法人税額) - 500万円(基礎控除枠) = 9,500万円(課税標準法人税額)
9,500万円 × 4% (防衛特別法人税率)= 380万円
留保金課税がある場合の「二段階控除」の手順
多くの中小企業は上記の計算例で完結しますが、特定の同族会社で「留保金課税(社内にお金を貯め込んでいることに対する課税)」が発生している会社は、特殊な計算ルールが適用されます。
国税庁の資料によると、留保金課税がある場合の防衛特別法人税の計算では、年500万円の基礎控除を二段階で控除する手順が定められています。具体的なステップは以下の通りです。
-
1通常の法人税部分から先に引く
まず、年500万円の基礎控除枠を、加算前基準法人税額(基準法人税額のうち留保金課税以外の部分)から先に差し引きます。
-
2引ききれずに余った分を留保金課税部分から引く
通常の法人税額が少なくて500万円を引ききれなかった場合(余りがある場合)に限り、その残った控除枠を、留保金課税に係る法人税額から差し引くことができます。
つまり、留保金課税がある法人においては、「基礎控除はまず通常の法人税から使い、余ったら留保金課税の法人税から差し引いてよい」というルールになっています。
なお、留保金による基準法人税加算部分については、基礎控除残額を控除した残額が加算されることとなり、この部分については4%を乗じるものでは無い点に注意が必要です。
留保金課税がある法人は、通常の法人税と留保金課税の法人税を合算した金額から単純に500万円を一括で引くわけではないため、申告書(別表一次葉一)を作成する際の手順を間違えないよう、国税庁の計算イメージに沿って慎重に進める必要があります。
-
※参照:国税庁「防衛特別法人税が創設されました
」
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防衛特別法人税の申告・納税方法
防衛特別法人税の申告や納税は、これまで法人税等の申告・納税実務に慣れている経理担当者であっても、注意すべき新たな手続きがあります。国税庁が発表した最新の申告書様式(イメージ)や、窓口納付で必須となる専用コード、ペナルティリスクまで、経理担当者が迷わず実践できる申告・納税方法を解説します。
申告書の変更点
国税庁が公表した最新の申告書様式(別表一)では、防衛特別法人税の創設に伴い、従来の構造に変更が加えられています。
これまでは法人税と地方法人税の計算が1つの書類内で完結していましたが、防衛特別法人税の導入によって、防衛特別法人税の計算を行う「別表一次葉一」が間に挟まる形となりました。これにより、法人税等の所得申告書は以下の3枚構成(セット)で税務署へ一括提出することになります。
以下に、国税庁から公表された、申告書の変更箇所を掲載します。
別表一(1枚目):各事業年度の所得に係る申告書(主に法人税・地方法人税の計算欄)
別表一次葉一(2枚目):各事業年度の所得に係る申告書(防衛特別法人税額の計算欄)
別表一次葉二(3枚目):各事業年度の所得に係る申告書(修正申告等の計算欄・従来の次葉から繰り下げ)
経理担当者が最も気をつけなければならないのが、前章で触れた「0円申告」の実務です。基礎控除(500万円)の適用により、計算結果として追加の納税が発生しない会社であっても、この2枚目の「別表一次葉一」の提出を省略することはできません。
実務上は、次葉一の「課税標準法人税額の計算」などを記載した上で、最終的な「防衛特別法人税額」および「防衛特別法人税額計」の欄に「0」と記入し、通常の法人税申告書と一緒にホチキス留め(またはe-Taxで一括送信)して提出する必要があります。払う防衛特別法人税がなくても計算プロセスを証明するために税務署への書類提出は必須である、という実務ルールを押さえておきましょう。
金融機関の窓口で納付する際の税目番号は「030」
事前のシミュレーションや決算の結果、基礎控除枠を超えて実際に防衛特別法人税の納税が発生した法人が、納付書を使って金融機関の窓口で納付を行う際の手順を解説します。
窓口で支払う場合は、これまでの法人税とは別に防衛特別法人税専用の納付書(または共通の納付書)を使用し、以下の通り特定のコード番号を正しく記載する必要があります。
- 税目番号欄:「030」を記載(※複数の子会社を持つグループ通算制度を適用している場合は「032」)
- 税目欄:「防衛特別法人税」と記載
- 納期等の区分欄:対象となる課税事業年度の期間を記載
- 徴定順位欄:「50」を記載
特に税目番号は、税務署や金融機関のシステムが「何の税金を処理したか」を判別するため重要な情報です。この番号を書き間違えると、正しく納付が記録されず後から確認の手間が発生してしまいます。手書きで納付書を作成する場合はもちろん、e-Taxのメニューやインターネットバンキング等から手動で納付情報を登録する際にも、必ずこの専用コードを確認するようにしてください。
前年の税額が20万円を超えると中間申告(予定申告)と納税が必要
防衛特別法人税の実務は決算時の対応だけにとどまりません。通常の法人税と同様に、会社の業績規模や前年の実績に応じて、期中に「中間申告(予定申告)」と納税が必要となるルールが定められています。
具体的には、前事業年度の確定法人税額が20万円を超え、法人税の中間申告義務が発生する会社は、連動して防衛特別法人税についても中間申告と期中での納税義務が発生します。この基準を超えた会社は、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内に、前年実績の半分(または仮決算)に基づいて計算した金額を予定納税(中間納税)しなければなりません。
ただし、制度が始まった最初の年度については、期中の中間申告(予定申告)は一律で発生しないという経過措置があります。
防衛特別法人税は2026年(令和8年)4月1日以後に開始する事業年度から順次適用されますが、新しい税制であるため、それより前の過去の年度において、防衛特別法人税の納税実績がある企業は日本国内に1社も存在しません。国税庁の資料でも、防衛特別法人税の中間申告の規定は2027年(令和9年)4月1日以後に開始する事業年度から適用されることが明記されています。そのため、初年度の適用期については、期中の予定申告や中間納税を気にする必要はなく、決算時の確定申告のタイミングを合わせれば問題ありません。
申告を忘れた場合のリスク
防衛特別法人税の申告書は、法人税等の申告書の別表一セットと一体の様式となっています。もし事前の計算ミスなどで本当は納税額が発生していたにもかかわらず記載漏れを起こしてしまった場合には、後日の税務調査等で通常の税目と同様に「無申告加算税」や「延滞税」といった追徴課税のリスクが生じます。
「払う防衛特別法人税額は0円であっても、申告手続きは正確に完了させる」という意識を、社内の経理フロー全体で徹底することが重要です。
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防衛特別法人税の導入で実質的な税負担(実効税率)はどうなる?
防衛特別法人税制度の概要や申告の手続きが分かったところで、多くの経営者や財務・経理の責任者が最も気になるのが「結局、自社の税金負担は実質どれくらい増えるのか」というコスト面の影響でしょう。
防衛特別法人税の導入に伴う実質的な税負担(法定実効税率)の上昇目安と、一部の特定企業において重要となる会計上の注意点を解説します。
実効税率への影響と試算データ
「法人税額に対して一律4%の付加税」と聞くと、会社の税金が総じて4%も跳ね上がるようなイメージを抱くかもしれません。しかし、利益(所得)全体に対する実質的な影響で見ると、実際のインパクトは以下のように限定的です。
- ※下記は法人税率をベースにした簡易的な試算です。実際の法定実効税率は、お住まいの自治体の住民税・事業税の税率なども含めて計算するため、各企業の状況によって前後します。
- 通常の法人税率(23.2%)が適用される大中堅企業・普通法人: 法人税率23.2% × 防衛特別法人税率4% = 0.928% ≈ 約0.9%強の上昇
- 中小法人の軽減税率(15%)が適用される部分(年所得800万円以下など): 軽減税率15% ×防衛特別法人税率4% = 0.6%の上昇
このように、防衛特別法人税導入における実質的なコスト増の目安は、約1%未満に留まります。さらに、年500万円の基礎控除が用意されているため、実際の利益が約2,400万円以下の企業であれば、防衛特別法人税による実際の金銭的負担は0円となる可能性が高くなります。
そのため、一般的な中小企業の経営においては、コスト面で過度に身構える必要はありません。ただし、基礎控除の枠を大きく超える基準法人税額に対応する利益を出している成長企業や大企業の場合は、毎年の納税予測や資金繰り計画を立てる際、1%弱の負担増をあらかじめ織り込んで試算しておく必要があります。
【上場・監査対象企業向け】税効果会計への影響と背景
上場企業やその連結子会社など「税効果会計」を適用している企業では、制度の開始(2026年4月)を待たず、すでに法律の公布日を含む 2025年3月期決算の時点から、新しい法定実効税率※を用いた繰延税金資産・負債の再計算等の対応が求められています。
-
※税効果会計に用いる法定実効税率について法人税だけでなく、法人税に対する住民税や事業税の影響(事業税の損金算入効果など)も含めて算出される、企業会計基準委員会(ASBJ)の定めに従った厳密な計算式に基づくものです。前段で目安として示した「国税の基本税率のみを用いた簡易的な試算(0.6%〜0.9%強の上昇)」とは明確に異なりますので、実務上の計算の際は混同しないようご注意ください。なお、 2026年4月以降の正式な会計処理ルールとしては、企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した「実務対応報告第48号」
が適用されます。
なお、自社で繰延税金資産などを計上していない一般的な中小企業であれば、この会計処理への対応は不要ですので、ご安心ください。
税効果会計に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
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防衛特別法人税の申告漏れを防ぐ!経理担当者向けチェックリスト
防衛特別法人税は、実際の納税額が0円であっても申告書の提出(別表一次葉一の作成)が必須です。決算期を迎えてから慌てたり、意図しない無申告のペナルティリスクを背負ったりしないよう、経理担当者が今すぐ確認して動き出すべきアクションをチェックリストとして整理しました。
この記事を読み終えたら、まずは以下の3つのポイントから準備を始めてみてください。
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[ ] 自社の初回適用決算期の把握
防衛特別法人税は「2026年(令和8年)4月1日以後に開始する事業年度」から適用されます。中小企業に多い3月決算法人であれば「2027年5月末」、12月決算法人であれば「2028年2月末」のように、自社が最初に新しい申告書を提出すべき具体的な期日を税務カレンダーに登録し、対応のタイムラインを明確にしておきましょう。 -
[ ] 控除前の基準法人税額の試算
自社が増税の対象になるかを正しく判断するため、直近の確定申告書や今期の業績予測をもとに、所得税額控除などを差し引く前の法人税額(基準法人税額)がいくらになるかをシミュレーションしてみましょう。年500万円の基礎控除を上回りそうか、あるいは下回って税額0円に収まりそうかを事前に把握しておくことが大切です。 -
[ ] 税額0円でも申告書の提出が必要であることの社内共有
「うちは利益が少ないから関係ない」「赤字だから何も出さなくていい」という社内の思い込みや見落としをなくすため、経営層や経理チーム、必要に応じて顧問税理士とも「税額が0円でも別表一次葉一の提出が必要である」という実務ルールを共有しておきましょう。組織全体で正しい認識を持つことが、最も確実な申告漏れ対策になります。
新しい税制への対応は一見複雑に感じられるかもしれませんが、スケジュールと判定基準さえ事前に押さえておけば、実務上怖いものではありません。最新の法令・様式情報を取り入れながら、余裕を持った申告準備を進めていきましょう。
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よくあるご質問
防衛特別法人税が導入されたのはなぜですか?
日本の防衛力を抜本的に強化するために必要な、安定した財源を確保することが目的です。2025年(令和7年)3月31日に「所得税法等の一部を改正する法律」が成立したことにより、併せて「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法(防確法)」が改正され、防衛特別法人税が創設されました。国全体の防衛費を賄う安定的な財源として、法人税、所得税、たばこ税の3つの税目を組み合わせる方針がとられており、その一環として、企業に対して「法人税額に対する付加税(税率4%)」を求める形で導入されています。
自社が防衛特別法人税の対象になるのか、簡単に確認する方法はありますか?
もっとも簡単な方法は、直近の法人税申告書(別表一)の「差引所得に対する法人税額」などの欄を確認することです。この金額が継続して「年500万円(所得に換算すると約2,400万円)」を超えている、あるいは超える見込みがある場合は、基礎控除で引ききれないため納税が発生する可能性が高いと言えます。ただし、この金額が500万円以下で納税額が0円になる場合でも、申告書の提出自体はすべての法人に義務付けられています。
防衛特別法人税にはいつから対応すべきですか?
2026年(令和8年)4月1日以後に開始する事業年度から、法人税を納めるすべての法人を対象に適用が始まっています。具体的な最初の申告・納税期限は会社の決算期によって異なりますが、一般的なスケジュールは以下の通りです。
防衛特別法人税の申告漏れが起こると、どうなりますか?
基礎控除(500万円)の適用によって実際の納税額が0円になる場合であっても、計算欄(別表一次葉一)の記載・添付を忘れると、申告書類の不備(記載漏れ)として税務署から提出を求められることになります。もし計算誤り等で本来は税額があったことが後から判明した場合には、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課されるリスクがあります。払う防衛特別法人税が0円であっても、申告書の記載・提出を確実に完了させることが重要です。
赤字の場合でも防衛特別法人税の申告書を出さなければいけませんか?
はい、赤字により通常の法人税額が0円である事業年度であっても、原則として防衛特別法人税確定申告書の提出が必要です。国税庁の規定により、所得金額が欠損等の理由で税額が0円となる場合でも、新様式「別表一次葉一」の課税標準法人税額や防衛特別法人税額の各欄に「0」と記載した上で、通常の法人税申告書のセットとして税務署へ提出しなければならないルールになっています。
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この記事の監修者小林祐士(税理士法人フォース)
東京都町田市にある東京税理士会法人登録NO.1
税理士法人フォース 代表社員
お客様にとって必要な税理士とはどのようなものか。私たちは、事業者様のちょっとした疑問点や困りごと、相談事などに真剣に耳を傾け、AIなどの機械化では生み出せない安心感と信頼感を生み出し、関与させていただく事業者様の事業発展の「ちから=フォース」になる。これが私たちの法人が追い求める姿です。