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貸借対照表の勘定科目まとめ|よく使われる勘定科目一覧

監修者:税理士法人 MIRAI合同会計事務所

2024/06/05更新

貸借対照表とは、会社の財政状態を表す書類です。損益計算書、キャッシュ・フロー計算書と合わせて「財務三表」と呼ばれ、会社の財政状態や経営状況を示す重要な書類です。

ここでは、貸借対照表に記載する勘定科目や、各勘定科目を覚えるポイントなどについて解説します。

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貸借対照表とは、決算日時点での財政状態を表す書類のこと

貸借対照表とは、企業における決算日時点の資産と負債、総資産の状態を表す残高一覧のようなもので、決算書(財務諸表)のひとつです。すべての会社は決算の際、損益計算書や株主資本等変動計算書とあわせて、必ずこの貸借対照表を作成しなければなりません。なお、キャッシュ・フロー計算書については、上場企業のみ作成が義務づけられています。

貸借対照表を見ると、会社が保有する現金や預貯金等の流動資産や、建物等の有形固定資産、ソフトウェアなどの目に見えない無形固定資産等を含めた「資産」、いずれ返済しなければならない「負債」、返済義務のない自己資本(元手)である「純資産」を把握することができます。

貸借対照表では「資産=負債+純資産」となり、左右の数値は常に同額になります。左右の金額が均衡状態を保っていることから、英語表記のBalance Sheetを略して、「B/S(バランスシート)」とも呼ばれています。

貸借対照表 〇年〇月〇日現在 単位:円 資産の部 流動資産 固定資産 有形固定資産 無形固定資産 投資その他の資産 繰延資産 資産合計 負債の部 流動負債 固定負債 純資産の部 株主資本 資本金 利益剰余金 負債純資産合計

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勘定科目の分類一覧

すべての勘定科目は、次の5つのうちいずれかの科目に分類されます。このうち「資産」「負債」「純資産」は貸借対照表に、「収益」「費用」は損益計算書にそれぞれ記載します。

勘定科目の分類
書類の種類 分類 概要
損益計算書 収益 売上や受取利息などの、事業で生み出された収入が該当する
費用 収益を生み出すためにかかった支出。仕入、人件費、消耗品費などが該当する
貸借対照表 資産 会社が保有する財産。現金、有価証券、土地などが該当する
負債 借入金や買掛金などの会社の債務が該当する
純資産 資産と負債の差額であり、会社の純粋な財産にあたる。資本金、利益剰余金などが含まれる

資産の部の勘定科目

資産の部は、資産の性質によって「流動資産」「固定資産」「繰延資産(くりのべしさん)」の3つに分類されます。貸借対照表では、一般的に現金化しやすいものから順に、上から流動資産、固定資産、繰延資産と並べます。

流動資産

流動資産とは、会社が保有する資産のうち短期間で現金化できる資産を指します。具体的には、1年以内に現金化できる流動性の高い資産のことです。流動資産は、決算書の1つである貸借対照表の資産の部に含まれます。ただし、流動資産に含まれていてもすぐに現金化できるわけではなく、受取手形や売掛金、商品などの在庫は、状況によってはすぐに現金化することが困難な場合もあります。

流動資産にはさまざまな種類があり、「当座資産」と「棚卸資産」、「その他の流動資産」に大きく分けられます。流動資産の種類ごとの主な勘定科目は下記のとおりです。

流動資産の主な勘定科目
流動資産の種類 勘定科目 概要
当座資産 現金・預貯金 社内に保有する現金の他、銀行預金や郵便貯金、金銭信託もすぐに現金化できるため、当座資産に含まれる。また、1年以内に満期を迎える定期預金も該当する
受取手形 商品やサービスを販売したときに対価として受け取る手形。満期日と取引銀行が指定され、期日が来れば支払いを受けることができる
売掛金 商品やサービスを販売し、後日支払われることを約束した代金のことで、将来代金を請求できる権利ともいえる
有価証券 売買や満期保有を目的とする株券や債券などのうち、満期日が1年以内の有価証券は当座資産に該当する。ただし、売買を目的としないものや満期までの期間が1年を超えるものなどは、「投資有価証券」として固定資産に分類される
棚卸資産 商品 仕入れた物品のうち加工を行わなくてもそのまま販売できるもの
製品 自社で製造や加工を行ったもの。主とする製品の製造過程から派生する副産物や、製品の製造に使った原材料の残りも含まれる
原材料 製品を作るために必要な原料や材料、部品などが該当する
仕掛品 製造途中でまだ完成していない状態の製品のこと。原材料を少しでも加工していれば、仕掛品になる
その他流動資産 前払金(前渡金) 事業に必要な商品などの購入時に代金の一部または全部を前払いした費用のことで、前渡金とも呼ばれる
未収入金 固定資産や有価証券を売却した場合など、営業活動以外の取引によって生じた代金を将来請求できる権利
前払費用 継続的なサービスを受けるために前払いした費用のうち、期末時点でまだサービスの提供を受けていない部分についての費用のこと
仮払金 経費の用途や金額が決まっていない場合に、会社が一時的に支払うお金のこと。旅費交通費、交際費などの概算払いに用いられるケースが多い
貸付金 決算日の翌日から1年以内に返済期日を迎える貸付金は、「短期貸付金」として流動資産に計上する。なお、返済期日までの期間が1年を超える場合は、「長期貸付金」として固定資産に分類される

流動資産についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

固定資産

固定資産とは、流通や販売を目的とせず企業が長期間保有する資産や、1年を超えて現金化・費用化される資産のことです。建物や土地、車両などの形があって目に見える「有形固定資産」と、ソフトウェアや特許権、のれん(営業権)などの形のない「無形固定資産」、有形固定資産や無形固定資産に該当せず、1年を超えて現金化・費用化される「投資その他の資産」に分けて計上されます。

有形固定資産の主な勘定科目
勘定科目 概要
土地 企業が保有する土地の価格
建物 企業が保有する建物の価格
建物付属設備 空調設備など建物に付属する設備
車両 事業用に保有する車両の価格
無形固定資産の主な勘定科目
勘定科目 概要
ソフトウェア 業務で使用するソフトウェアのうち高額なもの
借地権 土地を借りる権利
知的財産権 企業が保有する著作権など
のれん(営業権) 買収した企業の超過収益力

固定資産についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

繰延資産

繰延資産とは、すでに支払いが完了したり、支払い義務が確定したりして、提供されたサービス・商品の効果が将来にわたって影響を及ぼす費用のことを指します。

これは貸借対照表の「資産の部」に計上されますが、現金化することはできません。繰延資産は本来「費用」として扱われますが、「資産」として計上することもできるため、処理が複雑だと感じる方もいるかもしれません。しかし、繰延資産を適切に計上することで、企業経営に対する有益な影響をもたらすことができます。

繰延資産の主な勘定科目
勘定科目 概要
創立費 会社の設立にかかった費用
開業費 会社の設立から事業開始までにかかった費用
開発費 新製品の開発や新規得意先の開拓などにかかった費用

繰延資産についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

負債の部の勘定科目

負債の部に記載されるのは、将来返済が必要な負債(会社の借金)です。「流動負債」と「固定負債」に分けられ、貸借対照表では支払期日が早い(流動性が高い)ものから順に、上から流動負債、固定負債と並べます。

流動負債

流動負債とは、会社の決算から1年以内に返済する必要がある負債です。買掛金や支払手形、短期借入金、未払金などが該当します。また、翌月支払う予定の給料などの未払い分も、流動負債に含まれます。

流動負債の主な勘定科目
勘定科目 概要
支払手形 支払いのために振出した約束手形
買掛金 商品や原材料を購入(仕入)した対価をまだ支払っていないもの
未払法人税 法人税のうち、まだ支払期日が到来していないもの
未払金 仕入以外の物の購入やサービスを受けた対価をまだ支払っていないもの
未払費用 継続したサービスなどを受ける際に支払期限が到来していないもの
短期借入金 返済まで1年以内の借入金

固定負債

固定負債は、返済期日が1年を超えて到来する負債です。資金を調達するために発行した社債や、長期にわたる借入金などが該当します。その他、退職給付引当金なども固定負債に計上されます。

固定負債の主な勘定科目
勘定科目 概要
社債 資金調達のために発行する債券
長期借入金 返済まで1年を超える期間がある借入金
退職給付引当金 将来、社員に支払う退職金ですでに発生しているもの

純資産の部の勘定科目

純資産の部は、株主資本、株主資本以外の2つの要素で構成されています。それぞれの主な勘定科目について、解説します。

株主資本

株主資本とは、株主が出資した資本(元手)と、その資本を使って生じた利益のことです。株式会社では、株主からの出資金や、事業運営によって得られた利益累計額など、会社内部に留保されている利益は株主の資本として扱われます。株式資本を構成するのは、「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」「自己株式」の4つです。

株主資本の主な勘定科目
勘定科目 概要
資本金 株主からの出資によって得られる事業活動の元手資金
資本剰余金 株主からの出資金のうち、資本金に充当しなかった資金
利益剰余金 事業活動で得られた利益の蓄積
自己株式 会社が保有する自社株

株主資本以外の勘定科目

株主資本に含まれず、株主に帰属しない資産が株主資本以外(評価・換算差額等、新株予約権)になります。

株主資本以外の主な勘定科目
勘定科目 概要
評価・換算差額 売買目的以外で保有する有価証券や土地などの購入価格と、現在の時価と差額(評価損益)のこと
新株予約権 事前に決定された価格や条件にもとづいて、新株の交付を受けることができる権利を付与したもの。企業が発行する新株予約権は、将来的に権利行使されることで株主資本となるが、予約権の状態では企業の株主に帰属するものではないため、株主資本以外の扱いとなる

貸借対照表の仕訳をスムースに行うためのポイント

貸借対照表の仕訳をスムースに行うには、いくつかポイントがあります。ここでは、貸借対照表の仕訳をスムースに行うための3つのポイントを紹介します。

勘定科目の特性を考える

勘定科目の仕訳に迷ったときは、その勘定科目の特性が会社にとってプラスとマイナス、どちらにあたるかを考えてみます。

例えば、現金や受取手形、建物、土地などの資産科目は、会社にとって価値が高く、所有していることが望ましいものなので、プラスにあたります。一方で、借入金や買掛金、未払金などの負債科目は、会社の財政を圧迫し、経営に負担をかけるものなので、マイナスにあたります。仕訳に迷ったら、会社にとってプラスかマイナスか、どちらに当てはまるかを考えてみましょう。

反対の特性を持つ勘定科目をペアで覚える

勘定科目の特性を見て、反対の特性にあたるものをペアで覚えていくことで、貸借対照表の勘定科目が覚えやすくなります。

例えば、売掛金と買掛金の場合、売掛金は資産の部で未回収の売上を示します。一方、買掛金は負債の部で未払いの仕入れを示します。受取手形と支払手形、貸付金と借入金、前払金と前受金などもそれぞれペアにできるため、2つをセットにして覚えることが可能です。

貸借対照表においては、資産の部と負債の部で反対の特性を持つ勘定科目が多く見られます。ぞれぞれの特性を理解しておけば、勘定科目の記述や配置について迷うことは少なくなるでしょう。

仕訳の際の定位置を覚えておく

仕訳の際の勘定科目の定位置を覚えておくことで、貸借対照表の勘定科目を覚えましょう。勘定科目は「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」の5つに分類され、そのうち「資産」「負債」「純資産」は貸借対照表に示されます。

勘定科目は借方(左側)か貸方(右側)で定位置が決まっており、「資産」は左側に、「負債」「純資産」は右側に記載します。各勘定科目の定位置を覚えることで、勘定科目を覚えやすくなり、またスムースに仕訳を行えるでしょう。

もし、どの勘定科目に分類すればいいかの判断が難しい場合は、会計ソフトの導入もおすすめです。「弥生会計 オンライン」を活用すれば、勘定科目の分類を自動で行ってくれるため、貸借対照表がかんたんに作成できます。

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勘定科目の記載場所を覚えて、貸借対照表をスムースに作成しよう

貸借対照表は、決算日時点での会社の財政状態について表す書類です。貸借対照表は左右に分かれており、資産の部、負債の部、純資産の部の3つの構成で成り立っています。それぞれの部ごとにさまざまな勘定科目を用いるため、作成の際にはミスのないよう注意が必要です。各勘定科目の記載場所を覚えることで、貸借対照表をスムースに作成することができます。

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この記事の監修者税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。

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