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クレジットカード年会費の勘定科目は?仕訳のコツを解説

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クレジットカード年会費の勘定科目は?仕訳のコツを解説

事業用のクレジットカードの年会費は、「支払手数料」を勘定科目に用いるのが一般的ですが、企業によっては「会費・諸会費」として処理する場合もあります。また、適切な科目が見当たらない場合に限り、「雑費」を使用することもありますが、捉え方は企業ごとに異なるため、勘定科目の選択に迷う場面は少なくありません。

本記事では、クレジットカードの年会費を経費計上する勘定科目や、法人カードと個人カードの仕訳の違い、勘定科目を選ぶ際のポイントなどを、具体的な仕訳例と共に解説します。

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クレジットカード年会費を経費計上して節税する仕組み

法人税や所得税が課される「所得」は、法人なら「益金-損金」、個人事業主は「収入-必要経費」で算出します。経費計上が節税になるとされるのは、経費として計上できる額が増えれば、税金計算のベースとなる所得が減り、税負担が軽減されるためです。事業用のクレジットカードの年会費も、経費(損金)として計上できるので、忘れずに経費として計上しましょう。

ただし、経費になるからといって、年会費が高額なクレジットカードを選べばいいというわけではありません。年会費の分キャッシュは減るため、付帯するサービスなどが本当に必要であるかを慎重に見極めることが大切です。

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クレジットカードの年会費を経費にできないケース

クレジットカードの年会費は、必ずしも全額を経費にできるわけではありません。個人事業主の場合、クレジットカードの使い方によっては、年会費を経費に計上できないことがあります。

クレジットカードの年会費を経費にできるケースと、できないケースについて、以下の表にまとめました。

クレジットカード年会費の経費計上可否一覧

事業専用の法人カード 事業・プライベート兼用個人カード プライベート用個人カード
法人
全額を経費にできる
個人事業主
全額を経費にできる

家事按分により一部を経費にできる

経費にできない

事業専用の法人カードの年会費であれば、法人・個人事業主共に全額を経費として計上できます。法人カードとは、個人事業主も発行可能な事業者がビジネス用に使うクレジットカードのことです。

その一方で、個人事業主がプライベートで使用する個人カードの場合は、年会費は経費として認められません。ただし、個人カードを事業とプライベートで兼用している場合は、後述する家事按分によって経費として計上できる可能性があります。

法人カードについてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

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家事按分とは、使用した割合に応じて経費計上できるしくみ

家事按分とは、主に個人事業主が支出した費用を経費計上する際、プライベートでの利用分と事業での利用分に按分するしくみのことです。個人事業主が自宅の一室をオフィスとして使っていたり、車をプライベートと事業両方で使っていたりする場合、家事按分を行うことで、事業で使った分を経費として計上できます。例えば、個人名義のクレジットカードを事業とプライベートで兼用している場合、事業で使う割合が7割であれば、家事按分によって年会費の7割を経費計上できます。

ただ、事業とプライベートで同じクレジットカードを兼用するのはおすすめできません。なぜなら、事業とプライベートのどちらの支出なのかがわかりにくくなる他 、按分の割合が公正妥当かの判断も難しくなるためです。場合によっては、税務調査で否認される可能性もあります。

また、法人カードとして発行されたものでなくても、事業専用のクレジットカードであれば、年会費を全額経費にすることは可能です。しかし、税務調査で指摘が入ることがあるので、個人カードの場合は事業として利用していることが説明できるよう、明細書や用途の記録を残しておかなければなりません。

家事按分についてはこちらの記事でも解説していますので、参考にしてください。

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クレジットカード年会費の仕訳方法

クレジットカードの年会費を仕訳する際に用いられる勘定科目は、「支払手数料」「会費・諸会費」「雑費」のいずれかが一般的です。仕訳する際は、クレジットカード年会費をどのような目的で支払ったかに応じて、適切な勘定科目を選びましょう。なお、一度決めた勘定科目は、継続して使い続けることが大切です。
ここからは、それぞれの勘定科目を使うケースと、具体的な仕訳方法を紹介します。

支払手数料を用いた仕訳例

クレジットカード年会費の勘定科目として、最も一般的なのが「支払手数料」です。支払手数料は、事務委託手数料や業務委託手数料など、企業が支払う手数料全般を計上するときに選択します。クレジットカードの年会費を、事業でクレジットカードを利用するための手数料として位置付ける場合には、支払手数料の勘定科目で仕訳をするといいでしょう。

仕訳例は以下のとおりです。

仕訳例:カード年会費5,000円が引き落とされた場合の仕訳

借方 貸方
支払手数料 5,000円 普通預金 5,000円

会費・諸会費を用いた仕訳例

会費・諸会費は、同業者団体や地域団体の会費などを計上するための勘定科目です。クレジットカードの年会費を、カード会員としてサービスや特典を受けるための会費とみなす場合には、会費・諸会費として処理します。

仕訳例は以下のとおりです。ここでは、諸会費を使用した場合の仕訳例を記載しています。

仕訳例:カード年会費5,000円が引き落とされた場合の仕訳

借方 貸方
諸会費 5,000円 普通預金 5,000円

雑費を用いた仕訳例

雑費とは、他の勘定科目にあてはまらない、少額かつ一時的な出費を計上するための勘定科目です。特に、個人事業主の場合、クレジットカードの年会費を雑費として処理することも少なくありません。

雑費を用いた仕訳例は、以下のとおりです。

仕訳例:カード年会費5,000円が引き落とされた場合の仕訳

借方 貸方
雑費 5,000円 普通預金 5,000円

ただし、雑費として計上する金額が大きくなりすぎると、事業の実態を正確に把握できなくなったり、税務調査で指摘を受けたりする可能性があります。そのため、安易に雑費で計上するのは避け、クレジットカードの年会費を仕訳する際は、できるだけ「支払手数料」や「会費・諸会費」の勘定科目を用いるといいでしょう。

雑費についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

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クレジットカード年会費は仕入税額控除の対象

課税事業者が支払うクレジットカードの年会費は、消費税の課税対象となり、一般課税(本則課税)を選択する事業者は、インボイスの要件を満たせば、仕入税額控除が適用されます。そのため、消費税の仕入税額控除のしくみについても理解しておきましょう。

仕入税額控除とは、消費税の納税額を軽減するしくみ

仕入税額控除とは、課税事業者が消費税の納税額を計算する際、課税仕入に該当する支出にかかる消費税額を、課税売上にかかる消費税額から差し引くことができる制度です。

消費税は、税負担者(消費者)と納税者(事業者)が異なる間接税です。課税事業者は、商品やサービスを販売したときに消費者から預かった消費税を、消費者の代わりに国へ納税します。ただ、消費税を受け取った事業者も、仕入などの際には消費税を支払っています。そのため、消費者から預かった消費税のうち、事業活動の中で支払った消費税を差し引いて納税額を計算し、二重課税を防ぐしくみ(仕入税額控除)になっています。

仕入税額控除を行うためには、支出が課税仕入に該当することが条件です。その支払が課税仕入に該当し、消費税の課税対象になるかどうかは、サービスや商品の「対価性の有無」によって判断されます。詳細は、国税庁Webサイトの「No.6467 会費や入会金の仕入税額控除」に記載されています。以下は、その抜粋です。

同業者団体や組合などに支払う会費や組合費などが課税仕入れになるかどうかは、その団体から受ける役務の提供などと支払う会費などとの間に明らかな対価関係があるかどうかによって判定します。

クレジットカードの年会費は、カード会社からサービスを受けるために支払う対価とみなされます。そのため消費税の課税対象となり、インボイスの要件を満たすことで仕入税額控除を適用することが可能です。
なお、クレジットカード年会費について仕入税額控除を適用するには、カード会社が発行する適格請求書(インボイス)を保存する必要があります。

仕入税額控除についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

消費税の会計処理方法

消費税の会計処理方法には、「税込経理方式」と「税抜経理方式」の2種類があります。

税込経理方式とは、仕入や売上などの取引を記録する際に、商品やサービスの価格と消費税を合わせた金額(税込価格)で記帳する方法です。仕入の消費税額は仕入金額に、売上の消費税額は売上高に含めて計上し、決算の際には、消費税等の納付税額を「租税公課」や「未払消費税」などの勘定科目に振り替えて処理します。

その一方で、税抜経理方式は、本体の価格と消費税を分けて計上する方法です。取引のたびに、仕入にかかる消費税を「仮払消費税」、売上にかかる消費税を「仮受消費税」として仕訳し、決算時には仮払消費税と仮受消費税を相殺して消費税額を確定します。

課税事業者は、どちらの処理方法を選択しても問題ありません。ただ、税抜経理方式の方が期中の損益を正確に把握しやすく、軽減税率の管理もしやすいため、一般課税(本則課税)で仕入税額控除を適用するのであれば、税抜経理方式が適しているといえるでしょう。

税抜経理方式による仕訳例

上記で紹介した仕訳例は、クレジットカードの年会費を消費税込みで計上する税込経理方式でした。

税抜経理方式の場合は、クレジットカード年会費の本体価格と消費税を分け、以下のように仕訳をします。

仕訳例:カード年会費5,500円を支払い、消費税率10%とした場合の仕訳

借方 貸方
支払手数料 5,000円 普通預金 5,500円
仮払消費税 500円

「会費・諸会費」や「雑費」を使用する場合は、借方の「支払手数料」を、それぞれの勘定科目に置き換えてください。

消費税の税込経理方式と税抜経理方式についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

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クレジットカード年会費における勘定科目のポイント

クレジットカード年会費に使用する勘定科目に、明確な決まりはありません。しかし、勘定科目は、お金や取引内容の性質を表す見出しやラベルのようなものであり、事業の状態を把握するうえで重要な役割を果たします。勘定科目の選択に迷う場合は、以下のポイントを意識して判断するといいでしょう。

誰もがイメージしやすい勘定科目を使用する

勘定科目は財務諸表などにも記載されるため、誰もがイメージしやすいものを使用することが大切です。第三者が見たときにわかりやすく、一般的にも広く使われている勘定科目を選択することで、社内だけでなく外部も理解しやすくなります。

クレジットカードの年会費なら、一般的に使用される勘定科目は「支払手数料」「会費・諸会費」「雑費」のいずれかです。新たに勘定科目を設定する場合も、できるだけわかりやすい用語を使うようにしましょう。

社内の過去の勘定科目を参考に判断する

クレジットカード年会費にどの勘定科目を使用するか迷ったら、過去の仕訳を参照してみましょう。会計処理には、「一度選択した会計処理の方法は継続して使用しなければならない」という継続性の原則があります。

例えば、「クレジットカード年会費を、当期は支払手数料、来期は諸会費として計上する」というように、一度選択した勘定科目をむやみに変更してはなりません。過去の仕訳を確認し、クレジットカード年会費が計上されていれば同じ勘定科目を使います。しかし、もし計上されていなければ、「会員制サービスの利用料」など年会費と性質が近い支出の科目を参考にするのもいいでしょう。

勘定科目の仕訳はルール化する

クレジットカード年会費に限らず、仕訳をする際には、勘定科目の選択に迷いがちです。仕訳をスムーズに進めるには、「どのようなときに、どの勘定科目を使うか」という社内ルールをあらかじめ定めておくといいでしょう。ルール化することによって、社内はもちろん社外の関係者にとっても、企業の財務状況を適切に把握しやすくなります。

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仕訳を登録するたびにAIが学習するので、徐々に仕訳の精度が向上します。 

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クレジットカード年会費の仕訳に迷ったら会計ソフトの導入がおすすめ

クレジットカード年会費は、事業専用のクレジットカードであれば経費として計上可能です。仕訳をする際は、「支払手数料」「会費・諸会費」「雑費」のいずれかを使い分けますが、どの勘定科目を選ぶかは、年会費の性質をどのように捉えるかで変わります。迷う場合は、一般的な勘定科目を使ったり、過去の仕訳を参考にしたりするか、税務署や税理士などの専門家に相談することで解決できるはずです。
仕訳に時間がかかってしまう場合は、会計ソフトを使えば仕訳の選択や処理にそれほど大きな手間はかかりません。弥生のクラウド会計ソフト「弥生会計 Next」などの会計ソフトを活用して、経理業務を効率化させましょう。

photo:Getty Images

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この記事の監修者小林祐士(税理士法人フォース)

東京都町田市にある東京税理士会法人登録NO.1
税理士法人フォース 代表社員

お客様にとって必要な税理士とはどのようなものか。私たちは、事業者様のちょっとした疑問点や困りごと、相談事などに真剣に耳を傾け、AIなどの機械化では生み出せない安心感と信頼感を生み出し、関与させていただく事業者様の事業発展の「ちから=フォース」になる。これが私たちの法人が追い求める姿です。

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