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協賛金の適切な勘定科目や仕訳の方法は?会計処理の注意点を解説

監修者:渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

2024/08/30更新

企業はイベントや催し物、お祭りなどの際に、協賛金を支払ったり、受け取ったりすることがあります。協賛金は企業としてやりとりするものなので、支払い時や受け取り時には会計処理が必要です。ただ、協賛金は通常の取引とは性質が異なるため、「どの勘定科目を選べばいいかわからない」と悩む方も多いのではないでしょうか。

協賛金の仕訳をするときは、支払いや受け取りの目的によって、使用する勘定科目が変わります。また、協賛金の仕訳に用いる勘定科目によって、税務上の取り扱いが異なることもあります。そのため、適切に会計処理を行うには、協賛金の勘定科目や仕訳の方法などをしっかり把握しておくことが大切です。
本記事では、協賛金の適切な勘定科目と仕訳の方法、協賛金に関する会計処理の注意点などについて解説します。

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協賛金とは、イベントや事業に賛同・支援する場合に提供する金銭のこと

協賛金とは、特定の事業やイベントなどに対して、その趣旨に賛同し、支援するために提供する金銭のことです。
企業にとっては協賛金を支払うことで、宣伝効果や社会貢献、自社のイメージアップなどが期待できます。また、日ごろから付き合いのある取引先に協力する目的で、協賛金を支払うケースもあります。反対に、自社がイベントやプロジェクトを運営する場合、他社から協賛金を受け取ることもあるでしょう。

協賛金は、支払い時と受け取り時、いずれの場合も仕訳が必要なほか、仕訳する際に用いる勘定科目は、その協賛金の目的や性質によって異なります。
なお、協賛金の内容によっては、支払った場合に損金(経費)計上が可能かどうかなど、税務上の取り扱いも変わってくるため、正しい勘定科目を判断することが大切です。

協賛金を支払ったときの勘定科目

協賛金を支払ったときの勘定科目は、「何のために支払ったか」という目的によって、「広告宣伝費」「寄附金」「交際費」「諸会費」の4種類に分かれます。それぞれの勘定科目に該当するケースについて、仕訳例と共に見ていきましょう。

広告宣伝費

不特定多数に対して企業や商品・サービスをアピールする宣伝効果を目的として協賛金を支払った場合は、広告宣伝費の勘定科目で仕訳をします。
広告宣伝費は、企業やブランド、商品などを宣伝するための費用を支出した際に使用する勘定科目です。例えば、イベントに協賛金を支払い、パンフレットやポスター、看板などに社名や商品が掲載されたり、花火大会で企業名がアナウンスされたりする場合などは、広告宣伝費に該当します。

広告宣伝費に該当する協賛金を支払ったときの仕訳例は以下のとおりです。

仕訳例:
スポーツ大会に協賛金30万円を普通預金口座から支払い、パンフレットや会場に企業名が掲出された

借方 貸方
広告宣伝費 300,000円 普通預金 300,000円

協賛金が広告宣伝費に該当する場合は、法人と個人事業主のいずれも、全額損金(経費)計上が可能です。なお、損金とは、法人税の計算のベースとなる課税所得を求めるときに、益金から差し引ける費用や損失などのことです。企業が事業活動の中で支出した費用には、税法上、損金として認められるものと、認められないものがあります。会計上は費用になる支出でも、税法上は損金とみなされない場合があるため注意しましょう。

損金についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

寄附金

事業との関連性がなく、地域との関係を良くすることなどを目的として協賛金を支払った場合、該当する勘定科目は寄附金になります。寄附金は、事業に直接関係しない金品などの贈与で、相手方からの見返りを求めない場合に使用する勘定科目です。
具体的には、国や地方自治体、神社・寺院、NPO法人・社会福祉団体などに協賛金を支払った場合は、事業との関連性が低いため、寄附金として処理することになります。ただし、広告協賛など何らかの見返りがある場合には、広告宣伝費になるため注意しましょう。なお、寄附金に該当する例としては、自治体が行うお祭りに対する協賛金や、NPO法人の活動に賛同して支払った協賛金などがあげられます。

寄附金に該当する協賛金を支払ったときの仕訳例は以下のとおりです。

仕訳例:
町のお祭りに協賛金3万円を現金で支払った

借方 貸方
寄附金 30,000円 現金 30,000円

寄附金の税務上の取り扱いは、法人と個人事業主で異なるため注意が必要です。法人の場合は、寄附金の内容によって、一定額が損金と認められることがあります。また、損金算入できる限度額は、寄附金の支払い先によって異なります。
その一方で、個人事業主の場合、寄附金は、事業で収入を得るために直接必要な支出とはみなされないため、経費にはなりません。ただし、国や地方公共団体、特定の法人などに対する寄附は、確定申告で所得控除である寄附金控除や税額控除である寄附金特別控除を適用できる場合があります。

交際費

取引先など、業務上の付き合いがある特定の相手に対し、良好な関係を築くことを目的として支払った協賛金は、交際費の勘定科目で仕訳を行います。交際費は、得意先や仕入先といった事業に関連する相手に対する接待や供応、慰安、贈答などのための支出に使用する勘定科目です。
例えば、取引先が主催するイベントに協賛金を支払い、かつイベント内で社名の掲載などがない場合は、交際費として処理することになります。

交際費に該当する協賛金を支払ったときの仕訳例は以下のとおりです。

仕訳例:
取引先が主催するイベントに対して、協賛金5万円を現金で支払った

借方 貸方
交際費 50,000円 現金 50,000円

法人の場合、交際費は原則として損金不算入です。ただし、期末の資本金または出資金の額が1億円以下である等の法人は、「交際費のうち接待飲食費の50%相当額まで」または「年間800万円まで」のうち、いずれかを損金として計上することができます。接待飲食費とは、取引先や仕入先などを接待したときにかかる飲食費用のことです。
なお、個人事業主の場合は法人とは異なり、交際費の全額を接待交際費として経費に計上することができます。

諸会費

事業に関連する団体や組織に協賛金を支払う場合は、諸会費という勘定科目を使用します。諸会費は、同業者団体や地域団体の会費に使用する勘定科目です。
例えば、商工会議所の会費や自治会費、業界団体の会費などは、協賛金という名目であっても諸会費として仕訳を行います。なお、ロータリークラブなど、入会者の親睦だけを目的としている場合には、交際費の扱いになります。

諸会費に該当する協賛金を支払ったときの仕訳例は以下のとおりです。

仕訳例:
加入する業界団体の会費5万円を口座から支払った

借方 貸方
諸会費 50,000円 普通預金 50,000円

諸会費は、法人、個人事業主ともに、全額を損金(経費)に計上することができます。ただし、事業活動に関連性のある団体への支出であることが条件となります。

協賛金を受け取ったときの勘定科目

協賛金は、受け取ったときにも仕訳が必要です。協賛金を受け取った場合、本業ではない営業外収益であることが多いため、基本的には勘定科目は「雑収入」になるでしょう。
ただし、協賛金の内容によっては、「協賛金収入」や「売上高」「寄附金収入」の勘定科目を用いることがあります。それぞれの勘定科目に該当するケースと、仕訳例を紹介していきます。

雑収入

受け取った協賛金が、本業以外の収益にあたる場合は、雑収入の勘定科目を用いて仕訳をします。雑収入は、本業以外から生じる営業外収益のうち、金額的にも小さく、独立した勘定科目で計上するほどの必要性がない収益に使用する勘定科目です。協賛金の受け取りは、本業の営業活動以外の収益に当たることが多いため、一般的には雑収入での仕訳になります。

雑収入に該当する協賛金を受け取ったときの仕訳例は以下のとおりです。

仕訳例:
協賛金3万円を振り込みで受け取った(普通預金口座に振り込まれた)

借方 貸方
普通預金 30,000円 雑収入 30,000円

賛金収入

受け取った協賛金が本業以外の収益に当たるものの、他の雑収入と区別したい場合は、協賛金収入という勘定科目を設けることができます。
前述したように、雑収入は本業と直接関係のない営業外収益のうち、他の勘定科目に分類されない収益に用いる勘定科目です。受け取った協賛金を雑収入として仕訳を行うと、他の雑収入と一緒になり、内訳が把握しにくくなってしまうかもしれません。そのような場合は、雑収入とは別に、協賛金収入の勘定科目を使って仕訳を行うといいでしょう。特に、受け取った協賛金の金額が大きい場合や受け取る回数が多い場合は、協賛金収入として仕訳を行うことで管理しやすくなります。

受け取った協賛金を、協賛金収入とするときの仕訳例は以下のとおりです。

仕訳例:
協賛金10万円を振り込みで受け取った(普通預金口座に振り込まれた)

借方 貸方
普通預金 100,000円 協賛金収入 100,000円

売上高

協賛金の受け取りが、事業にかかわる収益に該当する場合、勘定科目は売上高になります。売上高は、商品や製品の販売、サービスの提供など、主たる営業活動によって獲得した収益に使用する勘定科目です。
例えば、イベント企画会社がイベントを開催して協賛金を受け取る場合や、ブース出店や広告掲載などの対価として協賛金を受け取る場合は、売上高として仕訳を行います。

売上高に該当する協賛金を受け取ったときの仕訳例は以下のとおりです。

仕訳例:
イベントを開催し、協賛金5万円を現金で受け取った

借方 貸方
現金 50,000円 売上高 50,000円

寄附金収入

学校法人や非営利団体が、見返りの提供を必要としない協賛金を受け取った場合は、寄附金収入の勘定科目を用います。なお、企業など一般の事業者が、見返りの必要がない協賛金を受け取ったときは、寄附金収入ではなく、営業外収益である雑収入または協賛金収入で仕訳を行います。

寄附金収入に該当する協賛金を受け取ったときの仕訳例は、以下のとおりです。

仕訳例:
学校法人が協賛金1万円を現金で受け取った

借方 貸方
現金 10,000円 寄附金収入 10,000円

協賛金に関する会計処理の注意点

協賛金を支払ったり受け取ったりしたときは、適切に会計処理を行うことが大切です。ここでは、協賛金の会計処理に関する注意点について見ていきましょう。

消費税の税区分が協賛金を支払う目的によって異なる

協賛金は、内容によって消費税の税区分が異なります。消費税の税区分は、その協賛金に支払いに対してサービスの提供などがあるかどうかを意味する対価性で判断されます。
例えば、支払った協賛金が広告宣伝費に該当する場合は、宣伝効果という対価性があるため、消費税の課税対象です。その一方で、協賛金の支払いが寄附金や交際費、諸会費に当たる場合は明確な対価性が認められないため、消費税の課税対象にはなりません。

正しい勘定科目で仕訳を行う

ここまで解説してきたように、協賛金は目的や性質によって使用する勘定科目が異なります。協賛金を支払う場合も受け取る場合も、正しい勘定科目で仕訳を行うように注意しなければなりません。
例えば、協賛金を支払ったとき、勘定科目によっては損金算入が制限されるものもあります。勘定科目を間違えると、税金の計算にも影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。少しでも不明な点や不安なことがあれば、税務署や税理士などに相談することをおすすめします。協賛金の勘定科目の種類と、それぞれの勘定科目に該当するケースを把握し、正しく仕訳を行うようにしましょう。

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協賛金の目的に応じて正しい勘定科目を選ぼう

協賛金の勘定科目は、目的や性質によって異なるため、協賛金を支払ったり受け取ったりしたときには、正しい勘定科目で仕訳をする必要があります。地元のお祭りや取引先が主催するイベントなど、協賛金を支払う場面は意外と多いものです。その際に、正しい勘定科目で仕訳ができるよう、どのようなケースでどの勘定科目を用いるのか、しっかりと把握しておくことが大切です。

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この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。

著書『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’21~’22年版新規タブで開く

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