製造原価報告書とは?記載すべき項目や作成するメリットなどを解説

2023/11/07更新

この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

会社が作成する決算書の1つに「製造原価報告書」があります。製造原価報告書は製造業特有の決算書で、損益計算書を補完する役割を持つものです。決算書のうち貸借対照表や損益計算書のことは知っていても、製造原価報告書についてはよくわからないという方もいるかもしれません。

製造原価報告書について理解するには、製造業における原価の捉え方を知っておく必要があります。ここでは、製造原価報告書とはどういった書類なのか、記載項目や作成するメリットなどについて解説します。

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製造原価報告書は製造にかかった原価を明らかにするための書類

製造原価報告書とは、製造業の会社が、その事業年度に販売した製品の製造原価を明らかにするために作成する書類です。製造業特有の決算書で、「製造原価明細書」や「コスト・レポート(C/R)」とも呼ばれます。

財務諸表等規則において、上場企業には損益計算書の添付書類として製造原価報告書の作成と提出が義務付けられていますが、上場していない中小企業は製造業であっても作成義務はありません。しかし、製造原価報告書を作成すればさまざまなメリットがあります。作成義務のない中小企業であっても、製造業を営む会社なら製造原価報告書の内容については知っておいた方が良いでしょう。

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製造業における製造原価とは?

製造業における製造原価とは、製品を製造するためにかかったコストすべてを含みます。

例えば、商品を仕入れて販売する小売業や卸売業であれば、「原価=商品の仕入費用」と考えることができます。しかし、製造業では、単純に「原価=材料の購入費用」とはなりません。製造業の会社が商品を販売するまでには、材料や原料、部品などを購入し、工場で機械を使って加工する、といったさまざまな製造プロセスがあります。

そのため、「原価=製造にかかったすべてのコスト」と捉え、材料・原料・部品代をはじめ、製造に携わる労働者の給与、工場の賃料や水道光熱費、機械や設備の費用なども製造原価として計上します。製造原価は自社で商品の製造・加工をしている製造業で発生する費用で、小売業や卸売業、サービス業などには発生しません。この製造原価についてまとめた書類が、製造原価報告書です。

製造原価報告書の項目

製造原価報告書は製造原価の内訳をまとめた書類ですが、内訳を分類するには次の2つの方法があります。製造原価を「材料費」「労務費」「経費」の3つに分類する方法と、「製造直接費」と「製造間接費」の2つに分類する方法です。

ここからは、それぞれの製造原価報告書に記載する項目をご紹介します。これらの項目を見れば、製造のためにどれくらいの材料費や労務費、経費を投入し、その結果いくらの製品が完成したのかを把握することができます。

当期材料費

当期材料費は当期の製品製造の際に使用した材料費です。ただし、材料の仕入金額をそのまま記載するのではなく、以下の計算式によって、期中の材料使用分に応じた金額を算出します。

当期材料費を求める計算式

当期材料費=期首材料棚卸高+当期材料仕入れ高-期末材料棚卸高

当期労務費

当期労務費は当期の製品の製造に携わった労働者の人件費です。賃金や賞与の他に、社会保険料や福利厚生費なども当期労務費に含まれます。

当期経費

当期経費は、材料費や労務費に該当しない、期中のさまざまな製造経費です。工場の賃料や水道光熱費、固定資産税、外注加工費、運送費、固定資産の減価償却費、機械・設備の修繕費など、製造現場に関わる経費全般が含まれます。

当期総製造費用

当期総製造費用は当期の製造活動から発生した材料費・労務費・経費を合計したものです。この中には、当期から製造を開始した製品製造にかかったコスト、前期末には未完成だった製品の製造にかかったコストも含まれます。

仕掛品

仕掛品とは、製造途中でまだ完成していない状態の製品のことです。当期の製品製造原価を正しく計算するためには、この仕掛品についても考えなくてはなりません。なお、仕掛品に関わる製造原価には「期首仕掛品棚卸高」と「期末仕掛品棚卸高」の2種類があります。

期首仕掛品棚卸高

期首仕掛品棚卸残高とは、前期末に未完成だった製品の在庫金額です。一般的には、前期末に未完成だった製品は、当期中には完成して販売が済んでいると考えるため、当期の製品製造原価に期首仕掛品棚卸高を含めます。

期末仕掛品棚卸高

期末仕掛品棚卸高とは、当期末の時点でまだ完成していない製品の在庫金額です。期末時点の仕掛品は、まだ製品として販売をしていません。製造原価を考えるときは、販売した製品の原価を計算することが基本のため、期末仕掛品棚卸高は製造原価から除外します。

当期製品製造原価

当期製品製造原価は当期に完成した製品の製造原価で、ここまで挙げた項目から算出します。当期製品製造原価は、次の計算式で求めることができます。

当期製品製造原価の計算式

当期製品製造原価=当期総製造費用+期首仕掛品棚卸高-期末仕掛品棚卸高

製造直接費

製造直接費と次の製造間接費は、製造原価を製造直接費と製造間接費の2つに分類する方法で使われます。製造直接費とは、製品の製造に直接関わる費用のことです。例えば、どの製品に使われたかが明確な材料や部品、製造に直接関わった労働者の人件費などが含まれます。

製造間接費

製造間接費とは、どの製品の製造にどれくらい費消されたのか、はっきり判別できない原価のことです。例えば、さまざまな製品に共通して使う塗料や潤滑油、工具などが該当します。また、複数の製品を製造している設備の減価償却費も、製造間接費となります。

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製造原価報告書を作成するメリット

製造原価報告書は製造業特有の決算書ですが、上場していない中小企業には作成義務がないため、「わざわざ手間をかけて作成する必要はないだろう」と考えている方もいるかもしれません。しかし、製造原価報告書を作成することにはさまざまなメリットがあります。

製造原価を正しく管理できる

製造原価報告書を作成するメリットは、製造原価を正しく管理できることです。製造業の会社が負担する費用には、製造原価の他、「販売管理費(販売費及び一般管理費)」があります。販売管理費は、事業活動をする中での販売業務や管理業務で発生する経費です。例えば、商品を販売・宣伝するための費用や、総務や経理といった間接部門の人件費は、この販売管理費に含まれます。

製造原価と販売管理費を区別しなくても法人税などの税額に影響はありませんが、経営状態を分析するうえで費用の分類は非常に重要です。

例えば、利益が思うように伸びずに改善策を検討しているとき、製品の製造過程に問題があるか、販売過程に問題があるかでは、対応方法が大きく変わります。自社の製造現場を正しく評価するためには、製造原価報告書で製造原価をきちんと把握しておくことが非常に重要なのです。

製造現場の生産性を可視化できる

製造現場の生産性を可視化できることも、製造原価報告書を作成するメリットの1つです。製造原価報告書がないと、製造にかかった人件費と、販売や管理にかかった人件費の区別ができなくなります。

また同様に、工場など製造現場でかかった経費と事務用の経費も、区別できなくなってしまいます。製造にかかった人件費や経費がわからなければ、生産性を正しく判断することは難しいでしょう。製造原価報告書で製造原価の内訳を明らかにすることで、生産性を可視化できるようになります。

損益計算書だけではわからない情報を補完できる

損益計算書と製造原価報告書を併せて見ることで、損益計算書だけではわからない情報を補完でき、より正確な経営分析が可能になることも製造原価報告書を作成するメリットといえます。損益計算書は会社の収益と費用、利益をまとめた書類ですが、製造業において自社の実態をつかむためには、それだけではやや情報不足です。

例えば、前期から同じ製品を製造しているのに、損益計算書を見ると当期の売上総利益率(粗利率)が低く、収益性が下がっていたとします。そのような場合は、前期と当期の製造原価報告書を比べれば、製造原価のうち何がどれくらい増えたのかがわかります。課題が明らかになれば、それを解決するための対策を検討することもできるようになるのです。

デスクトップアプリの「弥生会計」で、中小企業の会計業務をしっかりカバー

製造原価報告書をスムースに作成するための大きなポイントは、使い勝手の良い会計ソフトを選ぶことにあります。そんなときにおすすめなのが、弥生のデスクトップアプリの会計ソフト「弥生会計」です。

「弥生会計」はスキルや好みに合わせて記帳方法を選ぶことができ、会計業務の初心者には取引の種類を選び、日付と金額を入れるだけの「かんたん取引入力」がおすすめです。もちろん、従来の各種帳簿や伝票を処理する経理のプロ向けの入力方法も選ぶことができます。

また、「弥生会計」は資金繰り資料の確認や経営分析、予算管理など、より高度な会計業務にも対応。日々の記帳から集計・決算までがスムースにできる「スタンダード」の他、部門管理や経営分析にも使える多機能な「プロフェッショナル」、3台以上のネットワーク環境で使える「ネットワーク」とニーズに合わせたラインアップをご用意しています。

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クラウド型のメリットを取り入れたハイブリッド型会計ソフト

「弥生会計」は、デスクトップ型の会計ソフトでありながら、所定のサポートプランに加入することで、取引データをクラウドに保存することできます。クラウド上でデータのバックアップを取っておけば、突然パソコンが故障しても、データが消えてしまうリスクを回避できます。

また、クラウドを経由して、顧問税理士や会計事務所と取引データを共有することも可能です。データ受け渡しの手間がなくなるだけでなく、最新データをもとにした経営アドバイスを受けることもできるようになるでしょう。

最新ソフトへのアップデートにも対応

一般的なインストール型会計ソフトのデメリットの1つは、バージョンアップのコストがかかることでした。「弥生会計」では、購入後も安心して使える年間保守サポート(有償)を実施。サポートプランへの加入で、法令改正や機能改善に合わせた最新のプログラムを無償提供しています。

その他、選択するサポートプランによって最大30種類以上のサービスメニューを利用することもできます。製品の導入や操作方法はもちろん、仕訳や会計業務に関する相談も業界最大規模のカスタマーセンターに控える専門スタッフが対応いたします。

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製造原価を正しく把握して現場の生産性を高めよう

製造原価報告書は、製造業における製造原価の内訳をまとめた書類です。製造原価報告書を作成することで製造現場の現状と課題を把握でき、生産性向上のための施策につなげることもできるようになります。とはいえ、決算にあたっては他にもたくさんの書類を作成しなければならないため、「わざわざ製造原価報告書を作成するのは大変だ」と考える方もいるかもしれません。

そのような方は、会計ソフトを利用すればかんたんに製造原価報告書を作成することができます。製造原価報告書は、損益計算書など他の決算書とも関わりの深い書類です。取引データや決算資料を一括管理できる会計ソフトで、業務効率化を目指しましょう。

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よくあるご質問

製造原価報告書とは?

製造原価報告書とは、製造業の会社がその事業年度に販売した製品の製造原価を明らかにするために作成する書類です。製造業特有の決算書で、「製造原価明細書」や「コスト・レポート(C/R)」とも呼ばれます。詳しくはこちらをご確認ください。

製造原価報告書を作成するメリットとは?

製造原価報告書を作成するメリットは、製造原価を正しく管理できることに加え、製造現場の生産性を可視化できること、損益計算書だけではわからない情報を補完でき、より正確な経営分析が可能になることなどがあげられます。詳しくはこちらをご確認ください。

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この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
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