予実管理とは?手順や分析のコツ、管理を行う上でのポイントを解説
監修者: 税理士法人 MIRAI合同会計事務所
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予実管理とは、企業の予算と実績を管理することです。しっかり予実管理ができれば、予算と実績を比較して企業の実態を把握し、企業が経営目標に正しく向かって進んでいるかどうかを確認することができます。
では、予実管理を経営目標達成に役立てるには、どのような手順で行えばよいのでしょうか。本記事では、予実管理の概要や具体的な手順、予実管理を行ううえで注意したいポイントなどについて解説します。
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予実管理とは、企業の予算と実績を管理すること
予実管理とは企業の予算と実績を管理することで、予算実績管理とも呼ばれます。企業が経営目標を達成するためには、予算と実績を比較して分析を行う必要があります。経営目標を立てただけで途中経過をチェックする機会がなければ、目標に向けて順調に進んでいるのか、それとも改善を要するのかがわかりません。
予実管理を行うと、予算に対してどの程度の実績を上げているのかを把握でき、自社の状況を定量的に分析できるようになります。予算どおりに実績が推移していない場合は、課題を明確化して具体的な改善策を講じることも可能です。また、目標に対して良い実績が得られたときも、要因を分析して今後に活かすことができます。
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予実管理と予算管理の違い
予実管理と混同されやすい言葉に、予算管理があります。予実管理は予算管理のプロセスに含まれる業務の1つですが、この2つはほぼ同義として扱われることもあります。
予算管理とは、一般的に、「年度ごとに策定する企業の予算計画」を指す言葉です。過去の売上や市場の動向などにもとづき予算計画を立て、その計画と期末の実績を比較・分析します。
予実管理の手順
ここからは、予実管理を実施する具体的な手順について解説していきます。予実管理の手順は、次の3つのステップに大きく分けられます。
1 予算目標を立てる
予実管理の目的は、「目標に向かって進む過程を可視化し実績を予算目標に近づけていくこと」です。予算目標がなければ、予実管理を行うことはできません。そのため、予実管理は、まず予算目標を立てることから始めましょう。
このとき大切なのは、企業としての成長を目指しつつも、現実的に達成可能な目標を立てることです。誰が考えても達成不可能な高すぎる理想を掲げても、実績が届かないことは明白であり、比較や分析を行う意味がありません。
反対に、あまりに低すぎる目標でも企業としての成長が望めません。努力すれば達成できると思えるような、現実的に実現可能な予算目標を意識することがポイントです。企業の経営目標や経営戦略にもとづき、予算目標の方向性を決めることが大切です。
2 月次決算を行う
予算目標を立てたら、月次決算を行います。月次決算を行うことで予算と実績の乖離が発見しやすくなり、予実管理の精度を高めることができます。月次決算の内容はできるだけ多くの従業員に共有することで、設定した予算に対する経過や進捗、それに伴う努力目標を把握させることが大切です。
月次決算についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
3 予算と実績を比較し、軌道修正する
設定した予算と実績の比較をします。目標とする営業利益と実際の利益に差がある場合は、その差が生まれた要因を分析し、軌道修正をしましょう。
分析の際には、売上額ではなく、販売費および一般管理費(販管費)を差し引いた営業利益に着目して、予算と実績の差異分析を行いましょう。定量的なデータにもとづき、売れていない商品やサービスがあればその理由を探って改善につなげ、売れている商品やサービスなどはさらに売れるような工夫を行います。
予実管理を成功させるためのポイント
予実管理を行う際には、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。ここでは、予実管理を成功させるための4つのポイントについて説明します。
適切な予算を設定する
予実管理を実施するうえでポイントになるのが、適切な予算の設定です。予算目標は、高すぎても低すぎても適切とはいえません。あまりに高すぎる予算目標を設定してしまうと、従業員のモチベーションが下がってしまうおそれがあります。反対に低すぎると、努力しなくてもかんたんに達成できてしまい、従業員の向上意欲が失われてしまいます。
予算目標は、かんたんには達成できないものの努力すれば手が届くラインに設定することが大切です。適度に高い予算を設定することで従業員の能力が十分に発揮され、同時に課題点を見つけ出すこともできるはずです。企業全体の成長を後押しすることにもつながります。
こまめにチェックして課題を発見・改善する
予実管理を行う際には、短期間かつ定期的なチェックを心掛けることが大切です。予算と実績に乖離が起こった場合は、できるだけその差が小さいうちに発見し、いち早く改善策を講じる必要があります。予算と実績の差が広がってから問題が見つかった場合、軌道修正を行うことが難しくなるため、早い段階で有効な対策を打たないと目標との乖離もどんどん大きくなってしまいます。
予実管理は月次でチェックすることが多いものの、可能であれば週ごとなど、できるだけ頻繁に現状分析を行った方がよいでしょう。月ごとに必ず1回は確認するなど、チェックするタイミングをあらかじめ決めておくことも大切です。
PDCAサイクルを活用する
予算と実績の差を比較し、現状を把握したら、その差を埋めるためにPDCAサイクルを実践することが大切です。「Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)」の4つからなるPDCAサイクルを繰り返すことで、より精度の高い予算設定が可能になり、課題の早期解決にもつながります。
具体的には、設定した予算に向けて行動に移し、予算数値と実績数値から達成度合いを比較・分析します。そして、分析結果とそこから明らかになった課題をフィードバックして、改善策を実施していきます。解決策の実施後は再び分析とフィードバックを行い、予算目標へと近づけていきましょう。PDCAサイクルをスムーズに回すための仕組みづくりも必要です。
KPIを設定しておく
予実管理を効果的に活用するには、部門ごとのKPIを設定しておくことが大切です。KPIとは、「企業や組織が目標を達成するための、各プロセスにおける具体的な行動指標」を指します。KPIを設定することで、目標達成のためにとるべき行動や上げるべき成果の目安を明確にすることができます。
例えば、営業部門の場合は売上を達成するための具体的なアクションとその目標数値がKPIになり、製造部門生産の場合は量や品質目標を達成するための作業内容とその目標数値がKPIにあたるでしょう。
予実管理で陥りがちな失敗例
予実管理は企業が経営目標達成を目指すうえで効果的な手段ですが、方法を間違えると効果をうまく発揮させることができません。予実管理の失敗例としては、次のようなケースが挙げられます。同じような失敗に陥らないように注意しましょう。
細かい差異の分析が目的になる
予算と実績の細かい差異ばかりに目を向けていると、予実管理の本質を見失ってしまいます。予実管理の目的は、現状を把握し、経営改善の対策を立てて実行していくことにあります。差異の分析は、そのための手段でしかありません。本来手段であるはずの予算と実績の比較や差異の分析ばかりを重視して、いつの間にかそれが目的になってしまわないように気をつけましょう。
予算にこだわりすぎる
予算目標の達成は大切ですが、かといって、予算にこだわりすぎるのはよくありません。目標達成のために無理をすると、社員の疲弊を招くばかりか、実績をごまかそうとして売上を水増しするといった不正行為につながるおそれもあります。
そもそも予算と実績が合わない場合、設定した予算が現実的ではない可能性もあります。例えば、取引の状況が急変したり、近隣に競合店がオープンしたりするなど、予算の前提となる情報に変化が起こるようなケースもあるでしょう。場合によっては、状況に応じて予算の見直しも必要になります。
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しっかり予実管理をして経営目標達成につなげよう
予実管理は、迅速な経営改善や経営判断のためにも非常に重要な作業です。定期的かつこまめな予実管理を行うことで、目標達成を実現するための効果的な対策をとれるようになります。
予実管理を行うには、設定した予算に対して、実績がどの程度なのかをリアルタイムで把握しておく必要があります。そんなとき、日々の取引の把握と管理に役立つのが、会計ソフトです。会計ソフトで帳簿をつけていれば、売上や費用がどれくらいなのかといったことも、すぐに把握できます。自社に合った会計ソフトを導入して予実管理に活用し、経営目標達成につなげていきましょう。
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よくあるご質問
予実管理とは?
予実管理とは企業の予算と実績を管理することで、予算実績管理とも呼ばれます。予実管理を行うと予算に対してどの程度の実績を上げているのかを把握でき、自社の状況を定量的に分析できるようになります。詳しくはこちらをご確認ください。
予実管理と予算管理の違いとは?
予実管理は、予算管理のプロセスに含まれる業務の1つです。予算管理とは、一般的に「年度ごとに策定する企業の予算計画」を指す言葉です。過去の売上や市場の動向などにもとづき予算計画を立て、その計画と期末の実績を比較・分析します。詳しくはこちらをご確認ください。
予実管理の手順は?
まず予算目標を立て、月次決算を行います。月次決算を行うことで予算と実績の乖離が発見しやすくなり、予実管理の精度を高めることができます。その上で予算と実績を比較し、目標とする営業利益と実際の利益に差がある場合は要因を分析し、軌道修正をします。詳しくはこちらをご確認ください。
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この記事の監修者税理士法人 MIRAI合同会計事務所
四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。
