会社設立手続きは自分でできる?かかる費用や必要な手続きを解説

会社を設立しようと考えたとき、手続きを自分で行うか専門家に依頼するか、迷う方は多いかもしれません。会社設立にはさまざまな手続きがあり、すべて自分で行うか、専門家に依頼するかによっても手間や費用が異なります。また、一口に専門家に頼むといっても、「どの専門家に何を依頼すればいいかわからない」と戸惑うケースも少なくありません。
ここでは、会社設立の手続きを自分で行う場合と専門家に依頼する場合を比較し、それぞれのメリット・デメリットと、かかる費用や手間について解説します。
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会社設立手続きは自分で行うか専門家に依頼するか、どちらがいい?
会社設立の手続きを自分で行うか、専門家に依頼するかによって、それぞれメリット・デメリットがあります。主な違いをまとめると、次の表のようになります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
自分で手続きする場合 |
|
|
専門家に依頼する場合 |
|
|
自分で会社設立の手続きをすると費用は抑えられますが、慣れない書類作成や申請手続きに時間を取られ、本来注力すべき事業に集中できなくなるおそれがあります。会社設立に関わる手続きは多岐にわたるため、「何から調べればいいのかもわからない」と、途方に暮れてしまうケースが少なくありません。
一方で、専門家に依頼する場合は、当然のことながら外注費用が発生します。しかし、手間と時間のかかる作業を任せられるうえ、手続き上の間違いを防げるというメリットがあります。
会社設立の流れと手続き方法は?
会社設立手続きを自分で行うか、専門家に依頼するかを検討する前には、まず会社設立の手順と必要な手続きについて知ることが大切です。ここでは、株式会社の場合の一般的な会社設立の手順と必要な手続きをご紹介します。
会社設立の手順
-
STEP1.会社の概要を決める
-
STEP2.法人用の実印を作成する
-
STEP3.定款を作成し、認証を受ける
-
STEP4.出資金(資本金)を払い込む
-
STEP5.登記申請書類を作成し、法務局で申請する
STEP1. 会社の概要を決める
会社を設立するにあたっては、まず会社の基本事項を決めなければいけません。必要な項目は、主に下記のとおりです。
- 社名(商号)
- 所在地
- 資本金
- 設立日
- 会計年度
- 事業目的
- 株主の構成
- 役員の構成
STEP2. 法人用の実印を作成する
法務局に設立登記の申請をするときには、会社の実印が必要です。社名が決まったらまず会社の実印を作り、印鑑届書を提出しておきます。なお、法改正によって、2021年2月15日から、設立登記をオンラインで行う場合は、印鑑の届出は任意となりました。
ただし、書面で申請する場合は印鑑が必要ですし、会社設立後に実印を使う場面は意外と多いものです。後で二度手間にならないように、会社設立のタイミングで実印を作っておいた方がいいでしょう。このとき、法人口座の開設に用いる銀行印と、請求書や納品書などに押印する角印(社判)も一緒に作成しておくのがおすすめです。
法人登記に必要な印鑑についてはこちらの記事で解説しているので、参考にしてみてください。
STEP3. 定款を作成し、認証を受ける
定款(ていかん)とは、会社を運営するうえでのルールをまとめた重要な書類です。定款には、必ず記載しなければならないと法律で決められている「絶対的記載事項」があります。絶対的記載事項は下記の5項目で、記載がないと定款自体が無効になってしまうので注意が必要です。
定款の絶対的記載事項
- 商号
- 事業目的
- 本店所在地
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人の氏名および住所
電子定款についてはこちらの記事で解説しているので、参考にしてみてください。
なお、当社が運営する起業・開業ナビでは「弥生のかんたん会社設立」というクラウドサービスを無料で提供しております。弥生のかんたん会社設立を利用すれば、必要事項を入力するだけで、専門家が作成する電子定款を受け取ることができます。その他の会社設立に必要な書類も併せてすべて無料で作成できるので、会社設立にかかる費用と手間を抑えたい方はご利用を検討してみてください。
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STEP4. 出資金(資本金)を払い込む
出資金(資本金)の払い込みは、定款を作成した日以後で行います。この時点では、会社設立登記が完了していないため、会社の銀行口座はまだ作れません。そのため、資本金の振り込み先は、発起人の個人口座になります。
STEP5. 登記申請書類を作成し、法務局で申請する
登記申請に必要な申請書類を準備し、法務局に提出します。法人登記の申請を行った日が、会社の設立日となります。
設立登記申請書は、社名(商号)や本店所在地、登録免許税の金額、添付書類の一覧などを記載する書類です。法務局のWebサイト、「商業・法人登記申請手続 」のページから申請書様式をダウンロードできます。
また、法務局での登記申請時に登録免許税を納付します。登録免許税は「資本金額×0.7%」で、株式会社では算出される金額が15万円に満たないときは15万円、合同会社では6万円に満たないときは6万円です。
設立登記申請時に用意するもの
- 設立登記申請書
- 登録免許税分の収入印紙
- 定款
- 発起人の同意書(発起人決定書、発起人会議事録)
- 設立時代表取締役の就任承諾書
- 監査役の就任承諾書
- 発起人の印鑑証明書
- 資本金の払い込みを証明する書面
- 印鑑届書
- 登記用紙と同一の用紙
登記申請の詳しい手続き方法は、こちらの記事も併せてご覧ください
設立登記後の手続きとは?
会社設立後は、税金や社会保険、労働保険の手続きが必要です。提出期限が短いものがあるため、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。また、法律上の許認可手続きが必要になる事業の場合は、下記とは別に、行政書士などに依頼して手続きを行う必要があります。
税金関係の手続き
会社にはさまざまな税金がかかります。設立登記が完了したら、法人設立届出書などの必要書類を会社の所在地を管轄する税務署に提出します。その後、都道府県税事務所、市町村役場への届出も忘れずに行ってください。
社会保険関係の手続き
健康保険や厚生年金保険といった社会保険に加入するため、年金事務所に届出を行います。たとえ社長1人だけの会社であっても、社会保険には原則加入しなければなりません。
労働保険関係の手続き
従業員を雇う場合は、労災保険と雇用保険の加入手続きが必要です。労災保険は労働基準監督署、雇用保険はハローワークで手続きを行います。
株式会社と合同会社の設立手続きについては、こちらの記事も併せてご覧ください
会社設立時にかかる費用
会社を設立するときに気になるのは、「手続きにいくらかかるのか」ということではないでしょうか。会社設立時にかかる費用は、株式会社か合同会社かという会社の形態によっても異なります。
会社設立時にかかる費用をまとめると、下記のようになります。
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
定款の認証手数料 | 1.5万~5万円(紙、電子同一) | ― |
定款用の収入印紙代 | 4万円(紙)
|
4万円(紙)
|
定款の謄本手数料 (250円×ページ数) |
2,000円程度(紙、電子同一) | ― |
登録免許税 | 15万円~(※1) | 6万円~(※2) |
実印の作成代 | 約3,000円~ | 約3,000円~ |
印鑑証明書代 (約300円×枚数) |
300円~ | ― |
登記事項証明書(登記簿謄本)発行費 (約500円×枚数) |
約500円~ | 約500円~ |
資本金 | 1円~ | 1円~ |
- ※1 資本金額×0.7%、または15万円のどちらか高い方
- ※2 資本金額×0.7%、または6万円のどちらか高い方
会社設立に必要な費用についてはこちらの記事で解説しているので、参考にしてみてください。
会社設立の手続きを司法書士などの専門家に依頼する場合は、上記の表とは別に報酬費用が発生します。
専門家の報酬は10万円前後といわれますが、場合によっては、設立後の顧問契約を条件に設立代行費用が無料になることもあります。
会社設立の手続きを代行依頼できる専門家とは?
会社設立について関わる専門家には、司法書士、行政書士、税理士、社会保険労務士といった士業が該当します。それぞれ専門とする職種や代行できる手続きが異なるため、どの手続きを任せたいかによって、依頼する専門家を選ぶといいでしょう。
各専門家の領域をまとめると、次の表のようになります。
司法書士 | 行政書士 | 税理士 | 社会保険労務士 | ||
---|---|---|---|---|---|
登記申請 | 定款作成 | ◯ | ◯ | × | × |
定款認証(公証役場) | ◯ | ◯ | × | × | |
設立登記申請(法務局) | ◯ | × | × | × | |
登記後の申請 | 税金関係届出(税務署) | × | × | ◯ | × |
社会保険関連届出 (年金事務所) |
× | × | × | ◯ | |
労務関係届出(労働基準監督署) | × | × | × | ◯ | |
雇用保険関係届出(ハローワーク) | × | × | × | ◯ | |
許認可届出(業種による) | × | ◯ | × | ◯(※) |
- ※有料職業紹介事業、労働者派遣事業の許可申請は社会保険労務士のみ対応できます。
では、ここからは、それぞれの士業の役割を詳しく見ていきましょう。
司法書士
司法書士は、設立登記の専門家です。会社設立の書類作成や定款の認証、法務局への設立登記申請の手続きなどを、すべて代行することができます。特に、設立登記の手続きは、司法書士しか代行することができません。
会社設立の手続きを司法書士に依頼できるかどうかについてはこちらの記事で解説しているので、参考にしてみてください。
行政書士
行政書士は、行政への提出書類作成の専門家です。定款など会社設立に関わる書類の作成はできますが、設立登記申請の代行などはできません。唯一、許認可手続きを代行できるため、飲食業や建設業、運送業といった、事前に許認可が必要な業種の場合、依頼することができます。
税理士
税理士は、その名のとおり税務の専門家です。税務処理や決算などの専門性があるため、節税対策や資金繰りの相談に乗ってほしいときに心強い存在です。会社設立時の書類作成のサポートの他、会社設立時のお金に関するアドバイス、会社設立後の税務署関連の届出の代行を依頼できます。税理士は、会社設立後も税務面で長期的にサポートしてくれる存在といえるでしょう。
会社設立の手続きを税理士に相談できるかどうかについてはこちらの記事で解説しているので、参考にしてみてください。
社会保険労務士
社会保険労務士は社労士とも呼ばれ、社会保険手続きの専門家です。健康保険や厚生年金保険といった社会保険関係の手続きや、労働基準監督署やハローワークへの労働保険関係の手続きを代行することができます。
会社設立の手続きを手軽にする方法
初めて会社を設立する方が実際に手続きをしようとすると、それなりに労力はかかります。コストも手間もかけたくない方におすすめなのが、「弥生のかんたん会社設立」。画面の案内に沿って必要事項を入力するだけで、定款をはじめとする会社設立時に必要な書類を自動生成できる無料のクラウドサービスです。各官公庁への提出もしっかりガイドしますので、事前知識は不要。さらに、入力内容はクラウドに保存され、パソコンでもスマホでも自由に切り替えながら書類作成ができます。
なお、一定の基準を満たすと「特定創業支援等事業※」と認められ、会社設立登記時に登録免許税が減免となる特例措置を受けることができますが、「弥生のかんたん会社設立」でも減免での支払いに対応しています。
※特定創業支援等事業の詳細はこちらをご覧ください。
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「弥生のかんたん会社設立」は、特に下記のような方におすすめです。
初めて会社を設立する方
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手続きの手間や時間を省きたい方
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会社設立にかかる費用を抑えたい方
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会社設立の手続きだけでなく、税務のことも専門家に相談したい場合
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ただし、定款の認証手数料や登録免許税など行政機関への支払いは別途必要です。
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この記事の監修者中野 裕哲(起業コンサルタント®、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士)
起業コンサルタント®、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャルプランナー(CFP®)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。大正大学招聘教授。
起業コンサルV-spiritsグループ/税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人V-spirits、V-Spirits総合研究所株式会社代表。起業準備から起業後の経営まで、窓口ひとつで支援するV-Spiritsグループを主催。年間約1,000件の起業相談を無料で受け、多くの起業家を世に送り出している。経済産業省後援の起業支援ポータルサイト「DREAM GATE」にて12年連続相談件数日本一。専門分野はビジネスプランのブラッシュアップ、事業計画書作成、創業融資・補助金・助成金の支援、税務会計、人事労務、会社設立、許認可等。その他にも、ブランディング、マーケティング、集客・販促などのアドバイス、人脈の紹介まで行う。著者・監修書に『一日も早く起業したい人が「やっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『オールカラー 個人事業の始め方
』(西東社)、『相談件数No.1のプロが教える 失敗しない起業 55の法則
』(日本能率協会マネジメントセンター)などがある。
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