創業補助金とは?起業時に申請できる補助金の探し方や選び方
監修者:森 健太郎(税理士)
2024/01/16更新
創業時に申請できる制度の1つに、補助金があります。
創業すると何かと資金が必要になりますが、創業したばかりや創業前で実績がないと、金融機関から融資を受けにくい場合があります。
そのような場合に注目したいのが、創業時の企業を対象にした補助金です。補助金は融資とは異なり返済の必要はありませんが、申請にあたっていくつかの注意点があります。
ここでは、助成金や交付金との違い、自社に最適な補助金の探し方の他、補助金を申請するメリット・デメリットなどについても紹介します。
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補助金は事業者の取り組みを資金面でサポートする制度
補助金とは、経済産業省や地方自治体などが政策目標に沿った事業を行う場合に、事業者の取り組みを資金面でサポートする制度です。補助金には目的や趣旨ごとにさまざまな種類があり、中には創業時に利用できるものもあります。
ただし、補助金は募集期間や金額、交付する企業の数はあらかじめ決められているものが多く、申請しても必ず受給できるとは限りません。加えて、補助金は税金といった公的資金を財源としているため、受給するには審査があり、資格が必要とされることもあります。
補助金と助成金、交付金の違い
補助金と同じような資金面での支援制度に、助成金や交付金があります。どれも国や地方自治体などが事業者を資金面でサポートする制度という点では同じですが、違いもあります。補助金と助成金、交付金の違いは、以下のとおりです。
補助金と助成金は目的と受給の難易度が違う
補助金と助成金の違いは、目的と受給の難易度です。
補助金の目的は、主に新規事業や起業促進、研究開発などで、対象はスモールビジネスを含む中小企業が中心です。
一方、助成金の大半は、労働環境の改善や人材育成を支援することを目的としています。雇用保険料を財源とする助成金も多く、その場合には、雇用保険に加入していなければ受給できません。
また、補助金は、前述したとおり、交付する企業の数や金額があらかじめ決まっているものがほとんどです。要件を満たしていても必ず受給できるとは限らず、例えば交付予定の企業数が10社の補助金に30社からの申請があれば、20社は審査で落ちてしまうことになります。
対して助成金は、審査はあるものの、所定の要件を満たしていれば原則として支給されます。
なお、補助金と助成金は、国や地方自治体などから支給されるお金であることと、返済不要であることは共通しています。
補助金と交付金は目的と支給対象が違う
補助金と交付金の違いは、目的と支給対象です。
交付金とは、ある特定の目的のために国などが交付するお金のことです。つまり、補助金も助成金も、広い意味では交付金の一部といえます。
ただ、狭い意味での「交付金」は、国から地方自治体に支給する金銭を指すことが一般的です。そのため交付金は、補助金のように一企業の支援を目的とするものではありません。
交付金を受けた地方自治体は、地域活性化や防災、復興といった、さまざまな目的に沿って事業を立ち上げ、参画した団体などに資金を支給します。事業の性質上、金額が億単位と高額になったり、交付が複数年にわたったりすることもあります。
申請可能な補助金を探す方法
申請可能な補助金にはさまざまな種類があり、まずはどのようなものがあるのか情報収集から始めなくてはなりません。自社に合った補助金制度を探すには、次のような方法があります。
申請可能な補助金を探す方法
- 中小企業基盤整備機構のWebサイトで検索する
- 中小企業庁のWebサイトで検索する
- 自治体に確認する
- 資金調達の検索サイトで調べる
- 起業相談窓口に確認する
中小企業基盤整備機構のWebサイトで検索する
申請可能な補助金を探す方法として、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する「J-Net21(中小企業ビジネス支援サイト)」で検索する方法があります。「J-Net21(中小企業ビジネス支援サイト)」では、国や都道府県が実施する補助金や助成金などの情報をまとめて検索することが可能です。Webサイト内の「支援情報ヘッドライン」からカテゴリーと地域を選択すると、起業・創業に関連する補助金や助成金、融資、セミナー情報を探せます。
中小企業庁のWebサイトで検索する
申請可能な補助金を探す方法の1つに、中小企業庁が運営する中小企業・小規模事業者向けに、補助金等のサポートを案内するWebサイト「ミラサポplus」を利用しての検索もあります。Webサイト内の「支援制度を探す(制度ナビ)」から、地域や業種などを絞って創業期に利用できる支援制度を検索できます。
自治体に確認する
申請可能な補助金を探す方法として、独自の創業・起業支援事業がないか自治体に確認する方法も挙げられます。
例えば、東京都では、都内で創業予定の個人や創業から5年未満の中小企業者等を対象に、創業初期に必要な経費の一部を助成する「創業助成事業」を実施しています。
支援制度の有無や内容は自治体によって異なるため、募集している補助金や助成金の制度がないか、自治体に確認してみるといいでしょう。
資金調達の検索サイトで調べる
申請可能な補助金を探す方法として、資金調達情報に特化したWebサービスを活用する方法もあります。
例えば、弥生株式会社の「資金調達ナビ」では、全国の行政が提供する補助金や助成金の他、連携する金融機関の融資情報を一括で検索でき、自分に適した資金調達手段を手軽に探せます。毎回の返済額や借入可能額をシミュレーションできる機能もあるので、将来の予測を立てながら自社に最適な資金調達方法を探せるでしょう。
起業相談窓口に確認する
申請可能な補助金を探す方法には、各地域の商工会議所や、国が全国に設置した無料の経営相談所「よろず支援拠点」に行くことも挙げられるでしょう。主に中小企業や小規模事業者を対象に、創業や経営に関する相談に対応しています。
売上向上や経営上のさまざまな相談にも乗ってくれるため、創業時の資金調達方法以外にも相談したいことがある方は、商工会議所やよろず支援拠点に相談することも検討してみてください。
補助金のメリット
補助金を申請することでどのようなメリットがあるのかも確認しておきましょう。補助金には、主に次のようなメリットがあります。
補助金のメリット
- 創業前の企業でも申請できる
- 返済義務がない
- 起業のビジョンを明確化できる
創業前の企業でも申請できる
補助金のメリットとして、創業前、創業後のどちらでも申し込みが可能であることが挙げられます。創業前に申請して交付が決まれば、資金面に不安を持たずに事業を始められる点は大きなメリットです。
創業時には、会社設立に伴う手続き費用、店舗やオフィスの契約費用、設備費などの初期費用の他、事業を始めてからの仕入れ費用、オフィスの賃料、従業員の給与といった運転資金も用意しておかなければなりません。事業的規模や業種によっては、自己資金だけでは資金面で不安を感じるということもあります。
返済義務がない
補助金のメリットの1つとして、金融機関からの融資とは異なり、原則として返済義務がないということもあります。返済不要な資金を確保できることは、さまざまな費用がかかる創業期には特に大きな助けになるでしょう。
ただし、申請した用途、目的以外で補助金を使用することは、補助金適正化法によって禁じられています。違反すると補助金の交付が取り消される他、罰則が科せられることもあるため注意が必要です。
起業のビジョンを明確化できる
補助金のメリットには、提出書類の1つである事業計画書の作成過程で、自身の頭の中にある事業のイメージや資金計画などが可視化され、起業のビジョンを明確化できることもあります。
補助金は交付する企業の数があらかじめ決まっており、受給にあたっては必ず審査が行われます。そのため、補助金の申請にあたっては、提出書類の内容が非常に重要です。
事業計画書は、事業内容や戦略、収益見込みなど、事業をどのように展開していくかを具体的にまとめた書類です。作成することで、より細部まで事業計画の落とし込みができるでしょう。
補助金のデメリット
補助金にはメリットがある一方、デメリットもあります。申請するときには、次のような点に注意が必要です。
補助金のデメリット
- 後払いなので、審査が通ってもすぐに資金が手元に入らない
- 事業計画書や申請書類、実績報告書など、書類作成の負荷がかかる
- 申請期間が決まっている
後払いなので、審査が通ってもすぐに資金が手元に入らない
補助金のデメリットには、対象の事業が終了した後に請求・承認を経て支払われるため、原則として後払いであることもあります。
審査を通過し、補助金の支給が決定したとしても、すぐに入金されるわけではありません。場合によっては、受給開始まで数か月かかることもあります。
早急に資金が必要なときには補助金では対応できないため、その際は短期的な借り入れなどを検討した方がいいでしょう。
事業計画書や申請書類、実績報告書など、書類作成の負荷がかかる
補助金のデメリットとして、申請には、事業計画書や申請書類など、さまざまな書類の作成が必要なことも挙げられます。また、申請し交付が決まった後も、資金の使用用途などを報告する実績報告書を提出しなければなりません。
もし、期限までに報告書を提出しなかったり、報告書に不備があったりすると、補助金の交付が取り消されてしまう可能性もあります。
特に、事業計画書は、事業概要だけでなく販売戦略や財務計画なども盛り込む必要があるため、作成に時間がかかりがちです。創業期はさまざまな手続きや事業の準備で忙しいため、このような書類作成が負担になるかもしれません。
申請期間が決まっている
補助金のデメリットの1つに、基本的に申請期間が定められていることもあります。また、継続して実施されている補助金制度でも、予告なく募集が停止または終了される可能性があります。
補助金を申請する場合には、最新の情報をチェックして、申請期間や要件などを確認しておきましょう。
- ※起業の際の資金調達方法や相談先については、以下の記事を併せてご覧ください。
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創業時には補助金も検討しながら、無理のない資金計画を立てよう
補助金を申請して受給できれば、返済不要な資金を確保することができます。しかし、補助金は実際に入金されるまで時間がかかるうえ、申請したからといって必ず受給できるとは限りません。そのため、補助金だけをあてにして資金計画を立てるのは、リスクが高いといえるでしょう。
創業時の資金調達方法には、補助金の他、助成金や融資などもあります。「資金調達ナビ」なども活用し、自社に合った資金調達方法を探してみましょう。
この記事の監修者森 健太郎(税理士)
ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
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