賃金台帳とは?記載方法や給与明細との違いを解説

2024/03/01更新

この記事の監修税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

賃金台帳は、企業が必ず作成する帳簿の1つです。賃金台帳に記載する項目は法律によって定められているため、誤りのないように正しく作成しなければなりません。ただ、賃金に関する書類であれば給与明細があるため、その違いや必要性に疑問を持つ方もいるかもしれません。

ここでは、賃金台帳の記載方法や保存方法などのルール、賃金台帳を作成する際の注意点の他、賃金台帳と給与明細の違いについて解説します。

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賃金台帳とは給与の支払い状況を記載した書類のこと

賃金台帳は、従業員の氏名や性別、労働日数や賃金の計算期間など、給与の支払い状況を記載した書類です。労働基準法によって事業主に作成と保存が義務付けられている法定帳簿の1つで、労働者名簿や出勤簿と並んで「法定三帳簿」と呼ばれています。

法定三帳簿

  • 労働者名簿:従業員の氏名、生年月日、性別、住所、従事する業務の種類、雇い入れ年月日、退職の年月日およびその事由(解雇の場合はその理由)、死亡の年月日およびその原因、履歴を記載
  • 賃金台帳:従業員の氏名、性別、賃金の計算期間、労働日数、労働時間数、時間外労働、休日労働および深夜労働の労働時間数、基本給、手当やその他の賃金の種類ごとにその金額、労使協定により賃金の一部を控除した場合はその額を記載
  • 出勤簿:従業員の出勤日や労働日数、労働時間数、出社・退社時刻および休憩時間、時間外労働・休日労働・深夜労働を行った日付、時刻、時間数を記載

賃金台帳に記載する対象者

賃金台帳の記載対象となるのは、企業が雇用しているすべての従業員です。正社員や契約社員、パート、アルバイトなど、従業員の雇用形態は問いません。雇用期間が1か月未満の日雇い労働者も対象になります。事務所や工場、店舗など複数の事業場で従業員を雇用している場合は、事業場ごとに賃金台帳の作成が必要です。また、個人事業主の場合も、従業員を1人でも雇用していれば、賃金台帳を作成しなければなりません。

なお、役員については、会社と雇用契約を結ぶ労働者ではありません。この場合は賃金台帳が必要ないと思うかもしれませんが、役員報酬が支払われている限りは、社会保険の手続きを行う際に、賃金台帳に記載されている内容が必要になります。そのため、例えば社長1人だけの会社であっても、役員報酬の支給がない場合以外は賃金台帳を作成する必要があります。

賃金台帳と給与明細の違い

賃金台帳と給与明細は、どちらも「従業員に支払う賃金(給与)について記載された書類」という意味では似ています。しかし、賃金台帳と給与明細は、作成する目的や記載内容、根拠となる法律が異なります。

賃金台帳は、賃金の支払い状況を記録するため、労働基準法にもとづき、従業員を雇用する事業主に対して作成と保存が義務付けられている書類です。

一方の給与明細は、所得税法によって、給与の支払者(会社)が従業員に交付しなければならないと定められている書類です。給与明細の目的は、従業員に給与額や控除額などを通知することです。賃金台帳とは異なり、企業に給与明細を保存する義務はありません。

また、給与明細には、従業員の勤怠情報や給与の支給額、控除額などが記載されますが、賃金台帳に記載する法定項目が網羅されているわけではありません。賃金台帳と給与明細はまったく別の書類であり、給与明細を賃金台帳の代わりにすることはできません。

賃金台帳と給与明細の記載内容
賃金台帳 給与明細
記載内容
  • 氏名、性別
  • 賃金の計算期間
  • 労働日数、労働時間数
  • 時間外労働、休日労働および深夜労働の労働時間数
  • 基本給
  • 各種手当
  • 各種控除額
  • 勤怠項目(労働日数や欠席日数、労働時間数など)
  • 支給項目(基本給や各種手当、時間外労働・深夜労働の支給額など)
  • 控除項目(健康保険、社会保険料、所得税、住民税などの控除額)
  • 総支給額
  • 差引支給額
法的根拠 労働基準法 所得税法
保存の義務 原則5年間(当分の間は3年間) 不要

賃金台帳に記載する必須項目

賃金台帳には、必ず記載しなければならないと定められている項目があります。なお、必須項目が記載されていれば、賃金台帳の書式に決まりはありません。

厚生労働省のWebサイトでは、賃金台帳の様式をダウンロードすることが可能です。常用労働者用と日雇い労働者用の2種類がありますので、作成時の参考にしてみてください。ここでは、賃金台帳に記載する必須項目についてご紹介します。

賃金台帳のテンプレート

従業員の氏名と性別

賃金を支払った従業員の氏名と性別を記載します。社員番号などがある場合は併せて記載しておくと、ミスや漏れの防止に役立ちます。

賃金の計算期間

賃金の計算期間とは、給与計算の対象となる期間のことです。月々の給与の計算対象になる、開始日から締め日までの期間を記入しましょう。例えば、毎月20日締めの場合は「4月21日~5月20日」、月末締めなら「4月1日~4月30日」のようになります。

なお、日雇いの労働者の場合は、計算期間の記載は不要です。

労働日数と時間数

賃金の計算期間のうち、その従業員が働いた日数と時間数を記載します。ここで注意しなければならないのが、記入するのは就業規則などで定められた所定労働日数ではなく、従業員が実際に働いた実働日数・勤務時間であることです。残業や休日出勤なども含め、正確に記載しましょう。また、有給は実労働日数や実勤務時間に含まないため、有給休暇欄を設けて記載することが一般的です。

時間外労働や休日労働、深夜労働の労働時間数

労働時間数のうち「1日8時間、週40時間」の法定労働時間を超える時間外労働や、法定休日に働いた休日労働、22時から翌5時までの時間帯における深夜労働の時間数を記載します。

基本給や手当などの種類と金額

基本給や割増賃金、賞与、各種手当などの金額を記載します。時給制の場合、基本給は「時給×労働時間」となります。

手当については、通勤手当や住宅手当、役職手当など、種類別に分けて記載しましょう。

控除の項目と金額

所得税や住民税、社会保険料など、賃金から控除されるものを記載します。積立金や懇親会費用など、従業員との取り決めによって控除している項目がある場合は、併せて記載が必要です。

賃金台帳の保存期間と保存方法

賃金台帳は労働基準法によって、一定期間の保存が義務付けられています。賃金台帳の作成にあたっては、保存期間と保存方法についてもしっかり確認しておきましょう。

保存期間

賃金台帳の保存期間は、最後に記入した日から5年間です。最後に記入した日より賃金の支払い日の方が遅い場合は、支払い日から5年間となります。

なお、以前は保存期間が3年でしたが、労働基準法の改正により2020年4月から5年に延長されました。ただし、法改正の経過措置として、当分の間、保存期間は3年とされています(2023年9月現在)。

保存方法

賃金台帳は、紙で保存しても電子データで保存してもどちらでもかまいません。紙での保存は従業員数が増えるほど枚数が多くなり、保存場所の確保などの手間がかかるため、電子保存を選択する事業主も少なくありません。

ただし、賃金台帳を電子保存する場合は「いつでもパソコンなどの画面に表示・印刷できる」「労働基準監督署の臨検時にすぐに提出できる」といった条件を満たす必要があります。また、データの紛失や改ざん、漏えいなどが起こらないように、十分なセキュリティ対策が求められます。

賃金台帳作成の注意点

賃金台帳は労働基準法で作成と保存が義務付けられており、定められたとおりに作成・保存しないと法律違反となります。

労働基準監督署による調査で賃金台帳の不備が発覚した場合、一般的には是正勧告が行われます。労働基準監督署の是正勧告に従わなかった場合や、故意に違反した場合などは、30万円以下の罰金の対象となるおそれがあります。そのような事態にならないよう、法律で決められた記載項目や保存方法を守り、賃金台帳を正しく作成しましょう。

賃金台帳は給与計算ソフトで作成できる

賃金台帳は、従業員を雇用しているすべての事業主に、作成と保存が義務付けられている書類です。記載項目や保存方法も法律で定められているため、賃金や手当の金額、労働日数、時間数などをきちんと記載するには、月々の給与計算をミスなく行う必要があります。

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この記事の監修税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

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