源泉控除対象配偶者とは?控除対象配偶者との違いもわかりやすく解説
2024/06/14更新
「源泉控除対象配偶者はどんな人が該当する?」「条件や他の制度との違いがわからない」源泉控除対象配偶者についてこのように思っている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、源泉控除対象配偶者の条件や制度の概要、同一生計配偶者・控除対象配偶者との違いについて解説します。
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源泉控除対象配偶者とは?
源泉控除対象配偶者とは、以下の条件を満たす人を指します。
- 納税者の合計所得金額が900万円以下(給与収入のみの場合年収1,095万円以下)
- 納税者と生計を一にしている
- 合計所得金額が95万円以下
- 青色事業専従者として給与の支払いを受ける人及び白色事業専従者でない人
※国税庁「配偶者控除及び゙配偶者特別控除の見直しに関するFAQ」
これらの条件に該当すると、源泉控除対象配偶者となります。なお「生計を一にしている」とは、必ずしも同居を要件とするものではありません。単身赴任や修学などで別居していても、生活費や教育資金をお互いに工面しているなら生計を一にしているとみなされます。
その配偶者の合計所得金額95万円以下は、令和2年に旧制度から改正されたものです。従業員から質問されたときは、旧制度と混同しないように注意しましょう。
青色事業専従者と事業専従者控除の違いについては、こちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
源泉控除対象配偶者になるケース・ならないケースを解説
源泉控除対象配偶者になるケース・ならないケースを紹介します。従業員の家庭の収入状況に近いケースを確かめてください。
源泉控除対象配偶者になるケース
- 納税者:給与等収入1,000万円
- 配偶者:個人事業主で青色申告の適用を受けていて収入から経費を引いた金額が150万円
源泉控除対象配偶者に該当する
納税者の収入が給与収入のみの場合は、1,095万円以下であれば条件の範囲内です。また、配偶者は青色事業従事者で55万円(e-Taxを活用すれば65万円)の青色申告特別控除を受けられるため、合計所得金額95万円以下に該当します。
源泉控除対象配偶者にならないケース
- 納税者:給与等収入1,200万円
- 配偶者:個人事業主で青色申告の適用を受けていて収入から経費を引いた金額が150万円
納税者が収入条件を上回っているため該当しない
このケースでは、納税者が1,095万円以上の給与等収入を得ているため、源泉控除対象配偶者に該当しません。
- 納税者:給与等収入1,000万円
- 配偶者:個人事業主で青色申告の適用を受けていて収入から経費を引いた金額が200万円
配偶者が収入条件を上回っているため該当しない
またこちらのケースは、配偶者が青色申告特別控除込みで95万円以上の収入を得ているため、源泉控除対象配偶者に該当しません。
源泉控除対象配偶者として認められるには、すべての条件を満たす必要があります。納税者・配偶者どちらかが収入条件を超過していると、控除は適用されないと理解しておきましょう。
源泉控除対象配偶者・控除対象配偶者・同一生計配偶者の違い
源泉控除対象配偶者 | 控除対象配偶者 | 同一生計配偶者 | |
---|---|---|---|
生計を一にしているか | |||
専業従事者であるか | |||
納税者の合計所得金額 | 900万円以下 (給与収入だけなら1,095万円以下) |
1,000万円以下 | 制限なし |
配偶者の合計所得金額 | 95万円以下 | 48万円以下 | 48万円以下 |
受けられる控除 |
|
|
障害者控除(配偶者が障害者の場合) |
それぞれ納税者・配偶者の所得条件や受けられる控除が異なるため、制度を混同しないようにしましょう。配偶者特別控除については、こちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
源泉控除対象配偶者のメリット・デメリット
源泉控除対象配偶者のメリット・デメリットについて解説します。
源泉控除対象配偶者のメリット
源泉控除対象配偶者のメリットは、配偶者控除または配偶者特別控除を受けられる点です。納税者の合計所得金額が1,000万円以下、配偶者が48万円以下なら配偶者控除の対象になります。
控除を受ける納税者本人の 合計所得金額 |
控除額 | |
---|---|---|
一般の控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者 | |
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950万円超1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
※国税庁「No.1191 配偶者控除」
また、納税者の合計所得金額が1,000万円以下で配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下であれば、配偶者特別控除の対象になります。
控除を受ける納税者本人の合計所得金額 | ||||
---|---|---|---|---|
900万円以下 | 900万円超 950万円以下 |
950万円超 1,000万円以下 |
||
配偶者の合計所得金額 | 48万円超 95万円以下 |
38万円 | 26万円 | 13万円 |
95万円超 100万円以下 |
36万円 | 24万円 | 12万円 | |
100万円超 105万円以下 |
31万円 | 21万円 | 11万円 | |
105万円超 110万円以下 |
26万円 | 18万円 | 9万円 | |
110万円超 115万円以下 |
21万円 | 14万円 | 7万円 | |
115万円超 120万円以下 |
16万円 | 11万円 | 6万円 | |
120万円超 125万円以下 |
11万円 | 8万円 | 4万円 | |
125万円超 130万円以下 |
6万円 | 4万円 | 2万円 | |
130万円超 133万円以下 |
3万円 | 2万円 | 1万円 |
※国税庁「No.1195 配偶者特別控除」
配偶者特別控除は、納税者・配偶者の合計所得金額に応じて適用される控除額が変わります。仮に配偶者控除を受けられなくても、納税者の所得税を軽減できるためメリットといえるでしょう。配偶者控除・配偶者特別控除の違いや適用条件については、こちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
源泉控除対象配偶者のデメリット
源泉控除対象配偶者のデメリットは、納税者・配偶者ともに働き方が制限されてしまう点です。源泉控除対象配偶者になるには、納税者・配偶者ともに収入条件を満たさなければなりません。「これ以上働くと控除対象から外れてしまうから」と自らの収入に制限をかけてしまうと、昇格や案件受注の機会を逃してしまいます。
年末調整における源泉控除対象配偶者申告時のポイント
源泉控除対象配偶者申告時のポイントは、以下の2つです。
- 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に必要情報を記入する
- 「給与所得者の配偶者控除等申告書」も提出する
それぞれのポイントを確認していきましょう。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に必要情報を記載する
年末調整で源泉控除対象配偶者を申告するときは「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に必要な情報を記載しましょう。
※国税庁「令和6年分扶養控除等(異動)申告書」
具体的には以下の内容を記入します。
- 氏名
- フリガナ
- マイナンバー
- 生年月日
- 所得の見積額
- 住所
この申告書は、毎年最初の給与を受け取る日の前日までに、給与支払者を経由して税務署に提出する必要があります。記載内容・提出時期を間違えないように注意しましょう。
「給与所得者の配偶者控除等申告書」も提出する
源泉控除対象配偶者申告時は「給与所得者の配偶者控除等申告書」も提出が必要です。年末調整で配偶者控除・配偶者特別控除を受けるときに必要な手続きです。
※国税庁「令和5年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」
具体的には以下の内容を記入します。
- 給与の支払者の名称
- 所在地
- 氏名
- 住所
- 配偶者の氏名
書類の正式名称は「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」です。従業員が迷わないように、書類の正式名称も伝えましょう。
源泉控除対象配偶者の概要を押さえて正しく年末調整しよう
源泉控除対象配偶者に該当すると、配偶者控除・配偶者特別控除を受けられます。デメリットや申告時のポイントも押さえて、従業員が正しく申告できるようにしてください。
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