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雇用保険の手続き方法は?必要書類や申請期限などポイントを解説

監修者:税理士法人古田土会計 社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

2024/03/01更新

雇用保険は、従業員の雇用や生活を安定させるための保険です。事業主が従業員を雇用するとき、要件を満たす場合は必ず雇用保険に加入しなければなりません。健康保険や厚生年金保険の加入義務がない事業所でも、従業員を雇用していれば雇用保険の対象となる可能性があります。

雇用保険の手続きは、従業員を雇用したときの他、従業員が退職したときにも必要です。ここでは、雇用保険の手続き方法について、必要書類や申請期限などと併せて詳しく解説します。

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雇用保険とは?

雇用保険は、労働者の生活や雇用を安定させることを目的とした、政府管掌の保険制度です。労働者の生活と雇用の安定、就職の促進のため、失業した方や教育訓練を受ける方に対して失業等給付が給付されます。

また、育児休業を取得した際の育児休業給付も、雇用保険から支給されます。さらに、失業の予防や雇用状態の増大の他、労働者の能力向上や福祉増進を図るための取り組みを行っています。

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雇用保険の加入条件

正規雇用の従業員、およびパートやアルバイト従業員、派遣社員で、下記の2つの条件を満たす方は、雇用保険に加入しなければなりません。

基本的な雇用保険への加入条件

  • 31日以上引き続き雇用される見込み
  • 1週間の所定労働時間が20時間以上

ただし、両条件を満たしていても、学生は(夜間や定時制など一部の例を除いて)原則として雇用保険の被保険者となりません。

ここでは、企業(事業所)と従業員の雇用形態別に、雇用保険の加入条件についてご説明します。

企業(事業所)に対する加入条件

加入条件を満たす従業員を1人でも雇用している事業所は、農林水産業の一部を除き、全て雇用保険の適用事業所となります。個人事業主でも、従業員を雇っていれば雇用保険の適用事業所です。事業主は、加入条件を満たす従業員を必ず雇用保険に加入させなければなりません。

正社員の加入条件

前述した基本的な加入条件を満たす正社員は、全員雇用保険への加入義務があります。試用期間中であっても同様です。

パート・アルバイト従業員、派遣社員の加入条件

パート・アルバイト従業員や派遣社員であっても、「31日以上雇用見込み」「週の所定労働時間が20時間以上」という基本要件を満たすのであれば、正社員と同じく雇用保険に加入しなければなりません。雇用期間が決まっていない場合や、契約更新による継続雇用が前提になっている場合、当初31日未満の予定だった雇用期間が31日以上に延長された場合なども、雇用形態が変更された日付で雇用保険への加入が必要です。

季節労働者の雇用保険の加入条件

季節労働者とは、特定の季節や気象条件下に限って雇用される短期労働者のことです。例えば、夏限定で営業する海水浴場の仕事や、冬の除雪作業などが該当します。季節労働者のうち、1年のうち4か月以上の雇用契約を結び、所定労働時間が週30時間以上の方は、雇用保険の「短期雇用特例被保険者」に区分されます。短期雇用特例被保険者が失業した場合は、一般被保険者の基本手当(失業手当)にあたる「特例一時金」が支給されます。

日雇労働者の雇用保険の加入条件

雇用保険法における日雇労働者とは、「日々(1日単位で)雇用される者」または「30日以内の期間を定めて雇用される者」を指します。日雇労働者が雇用保険適用事業所に雇用された場合、労働者本人が公共職業安定所(ハローワーク)で手続きを行うことで、雇用保険に加入することができます。

なお、同じ事業主のもとで2か月続けて18日働く場合や、継続して31日以上雇用された場合は、一般被保険者または短期雇用特例被保険者となります。

雇用保険手続きの必要書類

雇用保険の手続きは、基本的には事業所を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)で行います。初めて従業員を雇い入れるときには、初めに「労働保険関係成立届」と「労働保険概算保険料申告書」を管轄の労働基準監督署に届け出ます。その後、管轄のハローワークに「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

それぞれの書類がどのようなものか、詳しく見てみましょう。

労働保険関係成立届

労働保険関係成立届は、事業所が労働保険(雇用保険・労災保険)に加入するために必要な書類です。

初めて従業員を雇用する場合は、書類の冒頭にある「1:保険関係成立届(有期)」と「2:任意加入申請書(事務処理委託届)」を、二重線で消去しておきましょう。その後は、記載項目に沿って、事業所の住所や名称(氏名)、会社の概要、保険関係成立年月日(適用事業所になった日)、常時雇用する従業員の人数、雇用保険の対象となる従業員数などを記載します。

保険関係成立届の記入例

労働保険概算保険料申告書

労働保険概算保険料申告書は、労働保険の適用事業所になった年度分の概算の労働保険料を申告するための書類です。保険関係が成立した日から、その年度の末日までに労働者に支払う賃金の総額の見込み額に、保険料率を乗じて算出した概算保険料を申告・納付します。

労働保険概算保険料申告書の記入例

雇用保険適用事業所設置届

雇用保険適用事業所設置届は、初めて雇用保険の加入条件を満たす従業員を雇ったときに提出する書類です。雇用保険の適用事業所になったときは、前述した労働保険関係成立届の後、この雇用保険適用事業所設置届を管轄のハローワークに提出する必要があります。

事業所の名称や住所、対象となる従業員を雇用した日、会社の概要などの他、労働保険関係成立届に記載される労働保険番号も記入します。

雇用保険適用事業所設置届の記入例

雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険被保険者資格取得届は、雇用保険適用事業所設置届と併せてハローワークへ提出する書類です。雇用保険への加入条件を満たす従業員を雇い入れたときには、その都度、雇用保険被保険者資格取得届を提出する必要があります。書類の様式は定期的に更新されるため、ハローワークのWebサイトなどで最新のものを確認しましょう。

雇用保険被保険者資格取得届には、従業員の氏名や性別、個人番号(マイナンバー)、雇用形態、職種などの他、その従業員を雇い入れた日や入社時点での賃金についても記載します。被保険者番号は雇用保険の加入後に発行されるので、初めて加入する従業員の場合は記入の必要はありません。また、対象となる従業員が初めて雇用保険に加入する(または雇用保険の資格喪失から7年以上経過している)場合は、取得区分を「1 新規」、それ以外は「2 再取得」とします。

雇用保険被保険者資格取得届の記入例

雇用保険の手続き方法

従業員を雇い入れる場合、事業主は必ず雇用保険への加入手続きを行わなければいけません。各手続きにはそれぞれ期限があるため、スムースに行うことが大切です。

ここでは、雇用保険に加入するときの手続きの流れについてご説明します。

1. 労働保険関係成立届と雇用保険適用事業所設置届を提出

初めて従業員を雇用するときには、まず、従業員を雇い入れた日の翌日から10日以内に労働保険関係成立届を労働基準監督署に提出し、保険関係が成立した日の翌日から50日以内に、その年度分の労働保険料を概算保険料として申告・納付します。その年度分の労働保険料は、労働保険関係が成立した日からその年度の末日までに、労働者に支払う賃金の総額の見込み額に保険料率を乗じて算出します。

さらに、雇用保険の適用事業所になった場合は、適用事業所になった翌日から10日以内に雇用保険適用事業所設置届をハローワークに提出します。

2. 従業員人数分の雇用保険被保険者資格取得届を提出

雇用保険の加入条件を満たす従業員を雇い入れたときは、その翌月10日までに雇用保険被保険者資格取得届をハローワークに提出します。雇用保険被保険者資格取得届は、従業員ごとに届け出なければなりません。

また、その後も雇用保険の対象となる従業員を雇い入れるごとに提出が必要です。

3. 交付された書類を適切に対応・保管する

加入手続きが済むと、「雇用保険適用事業所設置届事業主控」「雇用保険被保険者証」「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用・事業主通知用)」が交付されます。このうち、雇用保険被保険者証と雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用)は、必ず従業員本人に渡しましょう。

また、雇用保険適用事業所設置届事業主控には、事業所ごとに付与される雇用保険の加入番号が記載されています。雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)と共に、大切に保管してください。なお、被保険者に関する雇用保険関連書類については、対象となる従業員の資格喪失から4年間の保管義務があります。

従業員が退職するときの手続き

雇用保険は、従業員を雇い入れたときだけではなく、従業員が退職したときにも手続きが必要です。

従業員が退職したときには、退職日の翌日から10日以内に、「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書(雇用保険被保険者離職証明書)」をハローワークに提出します。提出後、ハローワークから「離職票」が発行されるので、速やかに退職者に渡しましょう。

雇用保険被保険者資格喪失届の記入例

雇用保険被保険者離職証明書の記入例

雇用保険に未加入の場合の罰則は?

雇用している従業員が要件を満たしているにもかかわらず、雇用保険に加入させなかった場合、事業主には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となります。また、雇用保険料の追徴金や延滞金が徴収されることもあります。

従業員を雇うときには、雇用保険の加入条件に該当するかどうかを確認し、忘れずに必要な手続きを行いましょう。

雇用保険加入後の保険料計算には、給与計算ソフトが便利

法人、個人事業主を問わず、要件を満たす従業員を雇用したときには雇用保険への加入が必要です。そして、従業員が雇用保険に加入した後は、毎月の給与をもとに、雇用保険料を個別に計算して徴収しなければなりません。雇用保険法改正によって保険料率が2段階で引き上げられるなど、雇用保険に関する業務は非常に煩雑なので、「弥生給与」や「やよいの給与計算」といった給与計算ソフトの利用がおすすめです。

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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

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