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休日出勤手当の割増率と計算方法|休日の種類も解説

雇用契約上の休日に従業員が出勤し、業務を行うことを休日出勤といいます。従業員が休日出勤した場合の賃金は、状況に応じた割増率や労働時間などの要素を考慮して計算し、支給しなければなりません。

本記事では、休日出勤手当の概要と具体的な計算方法を紹介します。また、給与計算担当者の業務負担を減らすしくみづくりのポイントも併せて解説します。休日出勤を削減するために有効な勤務日の設定方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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休日出勤とは

休日出勤とは、所定休日(法定外休日)や労働基準法で定められた法定休日に従業員を労働させる状況を指す言葉です。法定休日に出勤した際の賃金は、通常の賃金の1.35倍以上と法により定められています。

また、休日出勤の中で、時間外労働や深夜業務を含む場合などには、状況に応じてさらに手当を加算する必要があります。原則として、休日出勤は法律上で禁止されていますが、事業者と従業員が36協定を締結して労働基準監督署に届け出た場合、法定労働時間を超えた時間の勤務および休日出勤が認められます。

36(サブロク)協定とは

36協定とは、従業員に休日出勤や法定労働時間を超えて働いてもらう場合に、事業者と従業員間で結ぶ労使協定のことです。労働基準法の第36条で定められていることから、36協定と呼ばれています。

36協定を締結するには、所轄の労働基準局監督署長へ届け出る必要があります。2019年4月から(中小企業は2020年4月から)、特別条項によって時間外労働の上限規制が設けられ、残業時間の上限は、月45時間・年360時間と定められました。上限規制が猶予されていた運送業・建設業・医師においても例外ではなく、2024年4月の法改正により、時間外労働の上限規制が定められています(ただし、通常の上限規制とは別枠となります)。

参照:厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針新規タブで開く

休日出勤の割増賃金

企業は、所定休日(法定外休日)・法定休日の労働が発生した際、それぞれ割増賃金を支給しなければなりません。

所定休日(法定外休日)とは、事業者が定めた休日を指します。労働基準法では、1週間の労働時間を40時間までと定め、週に1日以上の休日の付与が義務付けられています。そのため、週休2日制の場合、1日は法定休日、もう1日は所定休日となることが一般的です。

例えば、土日休みの企業が日曜日を法定休日と規定している場合、土曜日は所定休日にあたります。また、国民の祝日や年末年始の休日も所定休日として扱われます。

所定休日に働いた場合でも、週40時間以内であれば通常の賃金が支給されます。一方、週40時間を超えた場合には、その超過分に対して時間外労働として25%以上の割増賃金を支給します。同じ休日出勤でも、出勤する日と労働時間によって割増賃金が異なる点に注意が必要です。

また、法定休日とは、労働基準法第35条で定められた休日のことです。事業者は、1週間に1日、または4週間に4日の休日を従業員に付与しなければなりません。この法定休日に曜日の制限はなく、1週間の任意の区切りで必ず1日以上の休日を設ける必要があります。週に1日以上の休日が確保できない場合でも、例外として4週間の中で4日以上の休日を設けることが認められています。

法定休日に従業員を出勤させる場合は、休日出勤として通常賃金の35%以上の割増賃金を支払う必要があります。週休2日制の場合、法定休日とそれ以外の休日で割増賃金が異なるため、法定休日を就業規則などで明確にし、従業員に周知することが重要です。

割増賃金を求める計算式

休日労働の割増賃金は、通常の賃金額から算出する「1時間当たりの基礎賃金」、休日労働や時間外労働、深夜労働手当などを用いて算出した「割増賃金率」、実際に勤務した時間数「労働時間」を用いて計算します。

  • 法定休日の場合:「1時間当たりの基礎賃金」×「割増賃金率(35%以上)」×「労働時間」
  • 所定休日の場合:「1時間当たりの基礎賃金」×「割増賃金率(25%以上)」×「労働時間」

所定休日と法定休日の割増賃金率が異なる点に注意して計算しましょう。

1時間当たりの基礎賃金

一般的に月給制の従業員の場合、「1か月の平均所定労働時間」を算出してから月給を労働時間で割り「1時間当たりの基礎賃金」を算出します。ただし、あくまで計算方法は給与規程に準じます。
一般的な計算式は以下のとおりです。

  1. 手順1:
    「1年間の所定労働日数」×「1日の所定労働時間」÷「12か月」=「1か月の平均所定労働時間」
  2. 手順2:
    「月給」÷「1か月の平均所定労働時間」=「1時間当たりの基礎賃金」

なお「1時間当たりの基礎賃金」の計算に用いる「月給」から除外できる手当もあります。除外可能な手当は「家族手当」「通勤手当」「別居手当」「子女教育手当」「住宅手当」「臨時に支給された賃金」「1か月を超える期間ごとに支給される賃金」の7種類です。ただし、従業員の状況に関係なく一律で支給する手当は除外できないものとされています。

「割増賃金率」

上述したように、割増率は法定休日の勤務が35%以上となり、所定休日が25%以上です。法定休日とは、1週間につき1日、4週間の間に4日の取得が定められている休日のことであり、所定休日は法定休日以外で従業員が取得する休日を指します。

例えば、毎週日曜日を法定休日、土曜日を所定休日に設定している企業の場合、従業員が日曜日に出勤したら通常より35%以上、土曜日に働く場合は25%以上の割増賃金を支給しなければなりません。1週間の勤務時間合計が60時間を超えるケースでは、超えた時間に対して50%以上の割増賃金が必要です。

また、休日労働で所定の労働時間を超えて勤務したときには、休日労働の割増賃金と併せて割増率25%の残業手当が加算されます。さらに、夜22時から朝5時までの深夜労働であった場合、25%を足した50%の割増率を適用した残業・深夜手当を支給します。

割増賃金について、こちらの記事で解説しています。

振替休日・代休の割増賃金

休日には、所定休日(法定外休日)や法定休日以外に、振替休日や代休もあります。これらの休日に出勤する場合の割増賃金の計算方法は異なるため、それぞれのルールを確認しておきましょう。

振替休日

振替休日とは、従業員を法定休日に勤務させるため、事前に休日を他の労働日と交換しておくことです。休日を入れ替えていることから休日出勤にも該当しないため、割増賃金も発生しません。

振替休日と代休は混同されやすいため注意が必要です。振替休日は、法定休日に休日出勤しなければならないことが事前に分かっている状況において、あらかじめ休日を交換しておくケースが当てはまります。また、振替休日を同一の週に設定しなかった場合や、法定労働時間の週40時間を超えて働いた場合には、超えた時間に対して25%以上の時間外労働手当の支給義務が生じることも覚えておきましょう。

代休

代休とは、急な業務などで従業員が休日労働を行った後で代わりの休日を取得することです。つまり、代休は突発的な休日労働の後に取得する休日を指します。

振替休日とよく似ていますが、振替休日は休日労働を行う前に計画的に振替日を設定して取得する休日です。そのため、代休とは状況が異なります。代休を取得する原因となった出勤は休日労働と判断されるため、25%以上の割増率が適用されます。

休日出勤をさせる際の注意点

休日に従業員を労働させる場合、事前に法で定められている36協定を締結する必要があります。また、休日の種類によって適用になる割増率が異なるため、給与計算にミスが生じないようにしましょう。

事前に36協定を締結する

労働時間が1日8時間以内、1週間40時間以内を超える場合は、あらかじめ36協定を締結しなければなりません。万が一、協定の締結や届け出をしない状態で従業員に休日出勤させてしまうと、労働基準法違反となるため注意が必要です。

従業員の休日出勤は、36協定によって定めた休日出勤をする理由、日数や時間数の上限などの範囲のみ認められるものとされています。労働契約や就業規則などに休日出勤に関する規定を明示しておくことが大切です。

給与計算ミスに注意する

休日出勤の場合、休日の種類によって割増率が異なるため、給与計算担当者は細心の注意を払って業務に取り組まなければなりません。時間外や深夜に従業員が働いた場合、時間外手当や深夜手当も発生します。

給与計算を行うときは、まず、休日出勤が発生した日が法定休日と所定休日のどちらに該当するか確認しましょう。出勤日の代わりに休みを取っている従業員がいた場合、振替休日か代休かなどといったチェックが必要です。勤務状況をよく確認して正確な割増賃金を支給できるようにしましょう。

割増賃金が正しく計算できていなかった場合、給与計算ミスによる給与未払いの労働基準法違反となる可能性もあります。この場合、罰則が科されるほか、労務トラブルも生じかねません。

給与計算のミスにより、給与の支給額が誤っていた場合、従業員の給与から源泉徴収を行う所得税額にも影響を及ぼします給与計算業務を正しく行うためのしくみをつくることも検討しましょう。

休日出勤の定義を把握して正しく計算しよう

所定休日や法定休日に従業員が労働を行った場合は、休日出勤に該当します。休日出勤の割増額は休日の種類や、法定休日と所定休日で異なり、場合によっては時間外労働手当や深夜労働手当を加算して支給しなければなりません。

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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング

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