給与計算業務に必要な資格はある? 業務を効率化する方法も紹介
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給与計算は、特定の資格を所持していなくても行える業務です。しかし、企業経営において給与計算は定期的に発生し、かつ従業員の生活を支える重要業務であるため、正確かつ効率的な処理が求められます。そのため、給与計算業務について体系的に学び、しっかりした知識に基づいて業務を行いたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、給与計算業務の習熟・証明に役立つ資格として「給与計算実務能力検定試験®」の概要や取得するメリットを解説します。また、資格取得以外で業務効率化する方法についてもご紹介します。
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給与計算業務は資格なしでも遂行可能
冒頭で述べたとおり、給与計算業務は資格なしでも行えます。給与計算に関する資格としては、後で紹介する「給与計算実務能力検定試験」が挙げられますが、これは民間資格であり、法的にも実務的にもその取得は必須ではありません。
しかし、給与計算は組織運営の根幹を成す業務であり、労働法令を理解し、税金や社会保険料の計算などの知識も要する複雑な作業です。そのため、経営者や給与計算の担当者が資格の勉強を通して体系的な知識を身につけることには大きな意義があります。
給与計算の資格を取得するメリット
給与計算に関する資格を取得することは、企業と担当者個人にそれぞれ以下のメリットをもたらします。
- 業務品質の向上につながる
- 実務能力を証明できる
つまり、給与計算業務の効率性や正確性の向上に資すると同時に、担当者個人のキャリアアップにもつながります。
業務品質の向上につながる
給与計算業務に関する資格の勉強で得た知識は、実務と緊密に結びつくものです。そのため、資格の勉強を通じて体系的な知識を身につけることで、業務品質の向上が実現できます。知識不足や解釈の間違いによって戸惑ったりミスしたりすることが減ることで、再確認の手間や訂正作業を削減でき、業務効率の向上も可能です。
給与計算上のミスを防ぐことは、法令遵守の観点のみならず、従業員との信頼関係を維持するためにも欠かせません。給与の多寡は生活に直結する事柄なので、そこで不利益が生じれば、従業員は大きな不満を抱くはずです。したがって、資格の勉強を通して給与計算業務に習熟することは、組織の屋台骨を強化することにつながります。
実務能力を証明できる
資格を得ることは、担当者個人のキャリアアップのためにも有効です。給与計算業務は、業種や規模にかかわらず、従業員を雇用しているすべての企業で発生します。したがって、給与計算業務に習熟していることは、社内で信頼や評価を得るためにも、転職活動においても強力なアピールポイントです。
その点、社会的に信用ある機関が認定した資格を所持していることは、自分の知識や能力を客観的に証明するために大きく役立ちます。将来的に独立を考えている場合も、従業員を雇用するなら給与関係の知識は必ず役立ちます。
給与計算に関する資格の種類
給与計算に関する代表的な資格には「給与計算実務能力検定試験」があります。この検定試験は比較的新しく、2014年に設立されました。内閣府から認可を受けた一般財団法人職業技能振興会と一般社団法人実務能力開発支援協会によって実施されています。出願方法は、WEBと郵送の2種類から選択可能です。
詳細は以下に記載しますが、この試験には1級から3級までの区分があり、幅広いレベルの方に対応しています。試験内容は、給与や税金・社会保険のしくみ、法律知識といった基礎的な内容だけでなく、給与計算や賞与計算、年末調整など実務を想定した演習問題も含まれます。資格勉強用の公式テキストが市販されており、それに基づいた学習が進められるようになっています。また、過去問題や公式の試験対策講座も活用できます。
なお、給与計算は法改正や制度改正の影響を受けるため、この資格は2年ごとの更新制が採用されています(1級と2級のみ)。しかし、再試験を受ける必要はないので、更新料を支払い、手続きをするだけで更新可能です。更新時には最新の法令情報などが記載された資料と最新年度版の公式テキスト、新しい認定証カードが配布されます。
参照:実務能力開発支援協会「人事・総務・経理でつかえる資格取得」
給与計算実務能力検定試験の区分
検定試験は、1~3級まで3つのレベルが設置されています。実務経験の有無などの受験要件はないので、だれでも受験可能です。低級の試験から順に受ける必要もなく、いきなり1級から受験することも認められています。
とはいうものの、一般的には、給与計算業務に不慣れな方は2級から受験することが多いです。2級でも不安があるようなら、3級から開始しましょう。複数の級を併願することもできます。各級の概要は以下のとおりです。
1級
最も難度の高い1級は、社会保険や税務、年末調整を含む給与計算の全般に精通し、管理職レベルで業務に携わっている方向けの試験です。この試験では、労働法や税務に関する基本から応用までの幅広い知識が問われ、複雑な制度や特殊な給与体系にも柔軟に対応できるスキルが求められます。例えば、正社員やパート・アルバイト、契約社員といった多様な雇用形態に加え、変形労働時間制やシフト制が導入されている企業など、給与計算が複雑化しやすい環境への理解と正確な処理能力が必要です。試験は年に1度、通常11月に実施されています。
2級
2級は、毎月の給与計算業務をこなす一般的な給与担当者を想定したレベルです。2級では、給与計算業務を行うために求められる最低限の知識を身につけているかが問われます。この試験に合格できるなら、給与や割増賃金の基本的な計算や給与明細の作成といった基礎的な業務が行えるはずです。試験は年に2回、例年11月と3月に実施されます。
3級
3級は、給与計算業務が未経験の方向けの内容です。給与計算業務のアシスタントとして最低限の補佐ができるだけの基本的な知識が問われます。3級は1級・2級とは異なり、講座と試験がセットになっています。14セッションのWEB講座を受講・修了した後に、受験者が任意のタイミングで受験する形です。講座の受講も試験もオンラインで完結し、スケジュールも自分で自由に決められるので、働きながらでも比較的容易に資格勉強に取り組めます。
給与計算実務能力検定試験の合格率・難度
この検定試験の難度はそれほど高いものではありません。実施主体である実務能力開発支援協会によれば、2023年11月試験の合格率は、2級で66.82%、1級で47.95%です。2022年度以前のデータを見ても、2級は70%前後、1級は40%台後半で推移しています。3級の詳細な合格率は発表されていませんが、90%程度と想定されています。
基本的な合格基準は、各級とも出題範囲のうち7割以上を正答することです。ただし、1級の場合は、これに加えて計算問題で6割以上正答する必要があります。各級の勉強時間の目安は、3級が10~20時間、2級が40~50時間、1級が50~60時間とされています。なお、1級の勉強時間は、2級範囲の理解を前提とした数字です。
参照:一般社団法人実務能力開発支援協会「給与計算実務能力検定試験®とは」
給与計算業務を効率化する方法
給与計算業務の効率化は、担当者が資格の勉強などによって自分の能力を伸ばす他に、以下の方法でも実現できます。
- 外注する
- 給与計算システムを導入する
自社の状況に合わせて適切な方法を検討しましょう。
外注する
給与計算業務を社外に外注する方法です。社会保険労務士や税理士などの専門家、給与アウトソーシングサービス専門会社に依頼することで、業務負担を軽減したり、給与計算ができる人材の雇用・育成を不要にしたりできます。また、専門家に任せることで、複雑な計算や最新の法令などにも対応した高度な業務品質を期待できるのもメリットです。外注するには一定の費用がかかりますが、給与業務担当者を常時雇用したり、経営者が貴重な時間と労力を割いて自ら計算したりするよりも、結果的にコストを下げられる可能性があります。
ただし、外注に頼ることによって、自社に給与計算のノウハウが蓄積されない点には注意が必要です。従業員を雇用し続ける限り、給与計算業務は発生し続けるので、長期的に考えたときには社内で人材を育てた方がよい場合があります。また、給与計算業務に関する重要なデータを外部に預けることで生じるセキュリティ上の懸念も無視できません。
給与計算システムを導入する
給与計算業務に特化したシステムを導入することも、業務効率化を実現するために効果的な方法です。給与計算システムを使えば、業務の自動化や簡略化、ミスの防止が可能となるので、業務品質を保ちながら作業時間や労力を削減できます。また、給与計算は法改正の影響を頻繁に受けますが、最新の法令に対応できるシステムを利用することで、法令を遵守しながら常に正確な計算が可能になります。
給与計算システムは勤怠管理システムや労務管理システムと容易に連携できるのも便利な点です。人事・労務管理に必要なデータを自動的に集約できるため、複数のシステムを使用している場合でもスムーズに情報管理できます。これによって、給与計算だけでなく、人事・労務全般にわたる管理業務を効率化することが可能になります。システムの導入に併せて既存の業務の見直しや合理化を進めることで、より大きな導入効果が見込めます。
詳しくはこちらもご覧ください。
業務を効率化するために給与計算ソフトを活用しよう
給与計算業務をするために、資格の取得は必須ではありません。しかし、給与計算業務を正確かつ効率的に行うためには確かな知識が必要です。その意味では、体系的に学んで資格を取得することには大きな価値があります。
給与計算業務の効率化には、給与計算ソフトを導入することも効果的です。例えば、弥生のクラウド給与サービスを導入すれば、毎月の給与計算から年末調整まで効率的に業務を進められます。給与データを全銀協フォーマットのFBデータとして出力して一括振り込みすることや、年末調整における従業員との各種控除書類のやりとりをペーパーレス化することも可能です。給与計算業務に課題を抱えている場合は、資格取得と同時に、給与計算ソフトの導入も検討してみてはいかがでしょうか。
- ※2024年10月時点の情報を基に制作しています。
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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人古田土人事労務
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