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裁量労働制の残業代とは?発生するケースと計算方法をわかりやすく解説

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裁量労働制の残業代とは?発生するケースと計算方法をわかりやすく解説

裁量労働制は、専門性の高い業務に従事する従業員に対して、一定の「みなし労働時間」を基準に労働時間を算定する制度です。実労働時間ではなくみなし労働時間で給与が計算されるため、残業代は発生しないと思われがちですが、裁量労働制でも残業代が発生する場合があります。裁量労働制であっても労働基準法の規定は適用されるため、企業には適切な労働時間の管理と残業代の支払いが求められます。

本記事では、裁量労働制で残業代が発生する具体的なケースや計算方法、他の労働時間制度との違いまで、押さえておきたい情報を解説します。制度の導入や運用を検討している企業の方は、ぜひ参考にしてください。

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裁量労働制と残業代の関係

裁量労働制は、あらかじめ定めた「みなし労働時間」を基準に労働時間を算定する制度です。実労働時間がみなし労働時間を超過しても、原則として時間外労働の割増賃金(残業代)は発生しません。ただし、みなし労働時間そのものが法定労働時間を超えている場合や、深夜・休日に労働した場合など、一定の条件を満たすときは割増賃金の支払いが必要になります。

そもそも裁量労働制とは

裁量労働制は、労働基準法に定められた「みなし労働時間制」の一種で、実労働時間ではなく、労使間であらかじめ定めた時間を働いたものとみなして、その分の給与を計算する制度です。

厚生労働省は、裁量労働制の適用対象となる業務を2類型に区分しています。高度な専門業務の従事者を対象とする「専門業務型裁量労働制」と、事業運営の企画に携わる従業者が対象の「企画業務型裁量労働制」です。

専門業務型と企画業務型の違いについて詳しくは、こちらの記事で解説しています。

専門業務型裁量労働制

高度かつ専門的な、特定の業務に携わる従業員を対象とした制度です。これらの業務における労働時間の配分や業務遂行の手段などは、使用者側での判断や指示が難しいため、従業員本人の裁量に委ねられます。

専門業務型裁量労働制を適用した場合、対象業務に従事した日は、勤務の実態にかかわらず、事前に取り決めた時間(みなし労働時間)を基準に労働時間を算定します。

裁量労働制の適用が認められている専門業務は20種類あり、一例として以下があげられます。

  • 新商品や新技術の研究開発などの業務
  • 情報処理システムの分析や設計の業務
  • インテリアコーディネーターの業務
  • 証券アナリストの業務
  • 公認会計士や弁護士などの専門家の業務
  • プロデューサーやディレクターの業務
  • 銀行または証券会社におけるM&Aに関する業務(M&Aアドバイザリー)
    など

2024年4月の制度改正により、専門業務型裁量労働制の対象業務にM&Aアドバイザリー業務が追加されました。また、同改正により労働者本人の同意取得が必須となり、同意に関する以下の事項を労使協定に定めることが求められています。

  • 労働者本人の同意を得ること
  • 同意しなかった労働者に対して不利益な取り扱いをしてはならないこと
  • 同意を撤回する際の手続きを明確にすること

専門業務型裁量労働制を導入するには、労使協定を締結する、所轄の労働基準監督署に協定届を届け出る、労働者本人の同意を得るなど、所定の手続きが求められます。

企画業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制は、企業の経営にかかわる重要な意思決定が行われる事業場(本社など)において、企画・立案・調査・分析に関する業務に従事する労働者を対象とした制度です。具体的には、業務の進め方や時間配分を大幅に労働者の裁量に委ねるべき業務について適用されます。企画業務型裁量労働制を導入できるのは、対象となる業務が存在する事業所のみです。

企画業務型裁量労働制の導入時は、まず労使委員会を設置し、委員の5分の4以上による賛成決議を得てから所轄の労働基準監督署に決議を届け出ます。2024年4月の制度改正以降、労使委員会の運営規程に以下の項目を定めなくてはなりません。

  • 対象労働者に適用される賃金・評価制度を説明する
  • 制度の実施状況の把握と運用改善を行う
  • 労使委員会を6か月以内ごとに1回開催する

企画業務型裁量労働制では、所轄の労働基準監督署への定期報告が義務付けられています。初回報告は労使委員会の決議が有効となった日から6か月以内に行い、その後は1年以内ごとに実施します。

残業時間の上限は月45時間、年360時間が基本(36協定)

裁量労働制であっても、労働基準法の規定は適用されます。法定労働時間を超えてみなし労働時間を設定する場合は、通常の労働時間制と同様に36協定届の締結・届出が必須です。また、法定労働時間を超える部分については、時間外割増賃金の支払いも発生します。

なお、36協定に基づく時間外労働には、原則として月45時間・年360時間の上限があります。そのため、裁量労働制を導入する場合は、みなし労働時間を適正な範囲で設定し、勤務状況を定期的に把握する体制を整えることが肝心です。

残業が発生したら割増賃金の支払いが必要

裁量労働制で勤務している場合も、一定の条件に基づき、残業が発生したと判断されることがあります。その場合は、以下の計算式によって算出された残業代を従業員に支払います。

  • 残業代=1時間当たりの基礎賃金×残業時間×割増率
  • 1時間当たりの基礎賃金=契約に基づく月給÷その月の所定労働時間

(例)1月の出勤日数を20日、1日当たりの労働時間を8時間とみなして、月給32万円の契約を結んでいた場合
労働時間=8時間×20日=160時間
1時間当たりの基礎賃金=32万円÷160時間=2,000円

残業時間が発生した場合の割増賃金は、状況に応じて複数の種類があり、それぞれに割増率が設定されています。その内容は次のとおりです。

  • 法定労働時間を超えた労働時間に対する「残業手当」は25%(※時間外労働が月60時間を超えた場合は50%)
  • 法定休日に勤務した場合の労働時間に対する「休日出勤手当」は35%
  • 午後10時から午前5時までの間に勤務した場合の「深夜手当」は25%

割増賃金の計算方法や各手当の条件、割増率の詳細な内容については、以下の記事で詳しく解説しています。

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裁量労働制を採用するメリット

高度かつ専門的な業務の場合、長時間の残業が発生するタイミングがあるなど、労働時間が不規則になりがちです。企業側も個別の残業代を計算するなどの対応が求められます。

裁量労働制を採用することで、契約に則ったみなし労働時間とみなし賃金から、人件費の計算が可能です。そのため、企業側もかかる人件費を前もって予測した上で、将来の雇用計画を立てられます。ただし、一定の条件で残業が行われた場合、割増賃金の計算も発生する点に注意しましょう。

また、従業員も自分のスキルや業務の優先順位に応じた就業計画を立てられるので、自由な働き方を好み、効率的に業務を進められる優秀な人材が集まりやすくなります。成果が出た分だけ労働時間の短縮につながる上、従業員のモチベーションアップや企業の生産性向上が期待できます。

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裁量労働制を採用するデメリット

専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制のいずれも、所轄の労働基準監督署に労使協定や決議を届け出るなど、所定の手続きを経て導入します。また、対象となる従業員本人の同意も求められます。このように裁量労働制を採用する際は、企業側が労力をかけなければ制度の周知ができず、当初は従業員の理解を得にくい点があります。

繁忙期に実労働時間が長くなっても、みなし労働時間の範囲内であれば、原則として追加の残業代は発生しません。業務に慣れている従業員であれば効率的に進められる場合もありますが、不慣れな従業員にとっては長時間労働につながる可能性があります。導入時は、従業員の経験や業務量を踏まえ、勤務状況を適切に把握する体制を整えることが求められます。

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【ケース別】裁量労働制で残業代(時間外手当)が発生する場合の計算方法

裁量労働制における残業代の発生には、次のようなケースがあります。以下より、それぞれの割増賃金の計算方法について紹介します。

みなし労働時間が法定労働時間を超えるケース

みなし労働時間は、勤務実績に多少のズレがあったとして、対象の従業員が勤務したとみなされる時間です。したがって、実働時間がそれを超過したとしても、本来は残業代は発生しません。

ただし、はじめに法定労働時間である8時間を超えてみなし労働時間を設定した場合、その超過分の時間について、割増賃金分の時間外手当が発生します。この場合の割増率は25%です。

(例)

  • みなし労働時間を9時間、1か月の勤務日数を20日とする契約を締結している
  • 1時間当たりの賃金は3,000円

1か月の残業時間=(9時間-8時間)×20日=20時間
割増分=3,000円×20時間×25%=15,000円
支払う賃金の合計=3,000円×20時間×125%=75,000円

深夜労働をしたケース

午後10時から午前5時までの時間帯は、割増賃金の対象である深夜労働帯に該当します。裁量労働制においても、従業員が該当の時間帯に勤務した場合には、25%の割増賃金を支払わなければなりません。

(例)

  • 午後10時から午前1時までの3時間、深夜労働を行っていた
  • 1か月の勤務日数は20日で、1時間当たりの賃金は2,000円

1か月の深夜労働時間=3時間×20日=60時間
割増賃金=2,000円×60時間×25%=30,000円

法定休日に働いたケース

「法定休日」とは、1週間に1日または4週間に4日付与することが義務付けられた休日です。この法定休日に勤務した場合は、35%の割増賃金を上乗せした給与を支払います。

裁量労働制においても、法定休日に勤務した場合は、みなし労働時間に追加で労働が発生したものとして、割増賃金を上乗せした給与を支払う形となります。

(例)

  • 法定休日に合計8時間勤務した
  • 1時間当たりの賃金は2,500円

法定休日の勤務時間=8時間
割増分=2,500円×8時間×35%=7,000円
支払う賃金の合計=2,500円×8時間×135%=27,000円

法定外休日に働いたケース

「法定外休日」とは「所定休日」とも呼ばれ、法律で定められた法定休日とは別に、企業が自主的に定めた休日です。裁量労働制の対象となる従業員が、この日に勤務したとしても、本来残業代は発生しません。

ただし、他の日の労働時間と合計して、勤務時間が法定労働時間を超えていた場合、その超過分の時間について、25%の割増賃金を上乗せした給与を支払います。例えば、専門業務型裁量労働制が適用されている研究開発職の従業員が、納期直前に所定休日(法定外休日)へ出社し、その週の労働時間が法定労働時間を超えた場合などです。

(例)

  • 法定外休日に勤務した上、その週は1週間の法定労働時間である40時間を超えて、合計45時間勤務した
  • 1時間当たりの賃金は3,000円

超過時間=45時間-40時間=5時間
割増分=3,000円×5時間×25%=3,750円
支払う賃金の合計=3,000円×5時間×125%=18,750円

時間外労働と深夜労働が重なったケース

裁量労働制において、勤務時間が極端に偏った場合などに、前述した時間外労働(残業)と深夜労働が一度に複数重なることがあります。その場合、割増賃金の規定が同時に適用される点に注意しましょう。

(例)

  • みなし労働時間を9時間、1か月の出勤日数を20日とする契約を締結している
  • 午後10時から午前0時までの2時間、深夜労働を行っていた
  • 1時間当たりの賃金は5,000円
  • このうち、1日1時間分が時間外労働かつ深夜労働に該当する
  • 1.
    みなし労働時間が法定労働時間を超える部分で、かつ深夜労働に該当する時間

    毎日1時間(午後10時~午後11時)がこれに該当
    1か月の該当時間=1時間×20日=20時間この部分の割増率=時間外割増25%+深夜割増25%=50%
    割増分=5,000円×20時間×50%=50,000円
    支払う賃金の合計=5,000円×20時間×150%=150,000円

  • 2.
    みなし労働時間外で、かつ深夜労働に該当する時間

    毎日1時間(午後11時~午前0時)がこれに該当
    1か月の該当時間=1時間×20日=20時間この部分の割増率=深夜割増25%
    割増分=5,000円×20時間×25%=25,000円
    支払う賃金の合計=5,000円×20時間×125%=125,000円

すべての割増分の合計=50,000円+25,000円=75,000円
すべての支払う賃金の合計=150,000円+125,000円=275,000円

法定休日労働と深夜労働が重なったケース

法定休日に勤務し、なおかつ深夜労働を行った場合も、上乗せして支払われるべき給与に、深夜労働の割増賃金の規定が適用されます。

(例)

  • 法定休日に合計12時間勤務した
  • この勤務時間のうち、深夜労働に該当する時間が2時間
  • 1時間当たりの賃金は3,000円
  • 1.
    法定休日労働のうち、深夜労働ではない時間の割増賃金

    割増分=(12時間-2時間)×3,000円×35%=10,500円
    支払う賃金の合計=10時間×3,000円×135%=40,500円

  • 2.
    法定休日労働かつ深夜労働に該当する時間の割増賃金

    割増分=2時間×3,000円×(35%+25%)=3,600円
    支払う賃金の合計=2時間×3,000円×160%=9,600円

すべての割増分の合計=10,500円+3,600円=14,100円
すべての支払う賃金の合計=40,500円+9,600円=50,100円

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裁量労働制と他の労働時間制度の違い

裁量労働制以外にも、フレックスタイム制やみなし残業(固定残業)制などの労働時間制度が存在します。例えば対象業務の範囲や、「みなし」を用いる労働時間の範囲などの観点で、それぞれの制度に異なる特徴があります。それぞれしくみや目的が異なるため、混同しないよう整理しておくことが大切です。

フレックスタイム制との違い

フレックスタイム制とは、一定の労働時間の範囲内で、従業員が始業・終業の時刻を自ら決められる制度です。裁量労働制とは、適用対象の考え方と、労働時間の管理方法が異なります。

裁量労働制の対象範囲は特定の職種に限定されます。具体的には、20種類の職種に用いられる専門業務型裁量労働制と事業運営に携わる企画業務型裁量労働制に区分されます。一方で、フレックスタイム制に職種の制限はなく、就業規則と労使協定への明記をする要件さえ満たせば、どの企業でも導入可能です。

また、裁量労働制ではみなし労働時間で実働時間を管理しますが、フレックスタイム制では上限3か月の「清算期間」中に発生した労働時間を算出します。清算期間中の労働時間と既定の労働時間を比較し、過不足に応じて賃金を清算するしくみです。

フレックスタイム制のしくみや導入方法の詳細について詳しくはこちらの記事で解説しています。

みなし残業(固定残業代)制との違い

みなし残業(固定残業代)制は、あらかじめ一定時間分の時間外労働、休日労働、深夜労働に対する割増賃金を固定給として支払う賃金制度です。裁量労働制が労働時間そのものを「みなし」で管理する制度であるのに対し、みなし残業(固定残業代)制は、通常の労働時間制を前提としつつ、残業代の支払い方法を定めたものであり、両者は根本的に異なります。

また、類似の制度として、労働基準法第38条の2に定められる「事業場外労働のみなし労働時間制」が存在します。営業で社外を移動するケースなど、管理者の指揮命令や労働時間の算出が困難な職場外での仕事について、みなし労働を適用できる制度です。

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裁量労働制における適切な残業代を支払うための取り組み

裁量労働制を採用する際、企業側は以下の点に注意しましょう。

  • みなし労働時間の設定を慎重に行う
  • 残業を常態化させない
  • 割増賃金も含めた給与計算を正確に行う
  • 従業員の労働時間を把握できる環境をつくる

みなし労働時間の設定を慎重に行う

裁量労働制の趣旨は、労働時間ではなく働いた成果に対して報酬を支払う、というものです。使用者が具体的な指示をすることが困難な業務に対して適用できる制度であるため、みなし労働時間の設定は慎重に検討することが大切です。

また、職場内で長時間労働を繰り返す従業員が増えて、残業が常態化している環境は、業務効率の悪化や生産性の低下を招き、企業にとっても好ましくありません。労働環境の改善に向けて、従業員の健康に配慮した福祉確保の措置を強化することが大切です。例えば、退勤から次回の出勤まで一定の時間を必ず空ける勤務間インターバルの措置や、月ごとの深夜労働の回数に上限を設けるといった対応が考えられます。

これらの対策を取り入れてもなお、みなし労働時間を大きく超えるような長時間労働が続くようであれば、産業医による面談や指導による改善計画への着手や、さらには裁量労働制の適用解除を検討するなどの対応をとりましょう。

労働時間をしっかりと管理する

裁量労働制は、どこからが時間外労働なのか、ボーダーラインを判別しづらいため、企業側で従業員の労働時間と業務内容を正確に把握した上で、残業代を支給することが大切です。

従業員の働き方、あるいは休日出勤や深夜残業の有無によって割増賃金が発生するため、給与計算も正しく反映させることが求められます。タイムカードを利用するなど、従業員の勤怠をリアルタイムで把握できる環境をつくることをおすすめします。

また、法定外休日の勤務や深夜残業に関しては、事前に上長からの承認プロセスを設けるなど、実施のルールを策定しておきましょう。
なお、裁量労働制は「専門業務型」と「企画業務型」でそれぞれ認められた業務に従事する従業員を対象とする制度であるため、それ以外の業務には適用できない点に注意します。

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裁量労働制の残業代に関するよくある質問(FAQ)

裁量労働制では、同意の有無や勤怠管理、通常の労働時間制への変更など、運用時に確認すべき点が多くあります。裁量労働制の導入にあたっては、実務上よく寄せられる疑問点を事前に確認しておきましょう。

裁量労働制の適用に従業員が同意しなかった場合はどうなりますか?

労働者本人には、裁量労働制の適用を拒否する権利が与えられています。裁量労働制の導入に強制力はないため、従業員の同意を得なければ制度の導入ができません。つまり、本人の同意が得られない以上は、従前の労働時間制のまま勤怠管理することになります。

なお、2024年4月の制度改正によって、専門業務型裁量労働制・企画業務型裁量労働制のいずれにおいても、労働者本人の同意取得が義務付けられました。厚生労働省によると、同意が得られなかった場合の配置や処遇についても、明記して説明することが推奨されています。なお、同意しなかった従業員に対する不利益な取り扱いは禁じられています。

裁量労働制でも勤怠管理や出退勤の記録は必要ですか?

裁量労働制ではみなし労働時間が用いられますが、労働時間の管理方法は通常の労働時間制と同様です。労働安全衛生法第66条の8の3において、使用者に労働時間の把握が求められているためです。

裁量労働制の対象者も勤怠管理を実施し、通常どおり出退勤の記録をすることが求められます。具体的な方法は厚生労働省のガイドラインに示されており、タイムカードによる打刻や、コンピューターの使用ログを活用した記録などが有効です。

加えて、裁量労働制でも時間外労働や深夜労働が発生するケースは存在するため、残業代の計算という観点でも、勤怠管理を明確にしておきましょう。

裁量労働制から通常の労働時間制に戻すことはできますか?

2024年4月以降、裁量労働制では、同意撤回の手続きを労使協定に定めることが義務付けられています。制度の適用に同意した労働者は、適用開始後であっても同意を撤回できます。

同意撤回後の配置や処遇は、あらかじめ労使協定に定めた内容に沿って対応します。また、労使協定の有効期間満了後も裁量労働制を継続する場合は、改めて労使協定を締結し、労働者本人の同意を再取得しなくてはなりません。

裁量労働制が無効と判断されるのはどのような場合ですか?

以下のような場合は、裁量労働制の適用対象とならない場合があります。

  • 実際に従事する業務が対象業務に該当しない
  • 労使協定や労使委員会の決議が要件を満たしていない
  • 労働者本人の同意を得ていない
  • 業務の進め方や時間配分について、使用者が具体的に指示している

専門業務型裁量労働制の対象となる20業務、または企画業務型裁量労働制の対象となる企画・立案・調査・分析の業務に該当しない場合は、裁量労働制の適用対象外と判断される可能性があります。

また、労使協定や労使委員会決議の内容に不備がある場合も、制度の適用が認められない原因となります。例えば、みなし労働時間や健康・福祉確保措置など、定めるべき事項が不足している場合や、労働基準監督署への届出が行われていない場合などです。

加えて、勤務実態として、業務の進め方や時間配分について労働者に裁量がない場合も、制度の適用が認められない可能性があります。

裁量労働制の適用が認められない場合は、実労働時間に基づいて労働時間を算定します。その結果、法定労働時間を超える労働があれば、時間外割増賃金の支払いが発生することがあります。

裁量労働制を導入する企業は、対象業務の内容や届出事項を精査し、要件を満たしているか確認しましょう。適用開始後も、関係法令に沿った運用ができているか定期的に見直すことが大切です。

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裁量労働制の運用にあたっては正しい理解が不可欠

裁量労働制では、実労働時間ではなく「みなし労働時間」をもとに労働時間を算定します。そのため、実労働時間がみなし労働時間を超えた場合でも、原則として時間外労働の割増賃金は発生しません。

ただし、みなし労働時間が1日8時間を超える場合や、深夜労働・法定休日労働が発生した場合は、割増賃金の支払いが生じます。裁量労働制を適切に運用するには、勤務実態を把握し、長時間労働を防ぐ体制を整えることが大切です。

クラウド給与サービスの「弥生給与 Next」では、従業員の打刻データをもとに勤怠情報を自動集計し、条件に応じた給与計算を効率化できます。労働形態ごとに条件を設定できるため、裁量労働制における勤怠管理や割増賃金の計算にも役立ちます。

裁量労働制の勤怠管理と給与計算を効率化したい場合は、「弥生給与 Next」の活用をぜひご検討ください。

  • ※本記事は2026年4月27日時点の情報を基に執筆しています。
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この記事の監修者下川めぐみ(社会保険労務士)

社会保険労務士法人ベスト・パートナーズ所属社労士。
医療機関、年金事務所等での勤務の後、現職にて、社会保険労務士業務に従事。

下川めぐみ(社会保険労務士)

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