注文書を英語でどう作る?専門用語や注意点を解説
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「英語で注文書を出したいけれど、どう書けばいい?」このような問題に直面するケースは、少なくありません。
グローバルな取引をするうえで、英語の注文書を適切に書くことは、非常に重要です。
誤解を招く表現や不明確な点があると、のちに大きなトラブルに発展する可能性があります。本記事では、英語での注文書作成に必要な基礎知識から専門用語、トラブル回避のポイントまで解説します。
注文書は英語で「Purchase Order」
まず「注文書は英語で何という?」という基本的な事項から、確認していきましょう。
「Purchase Order」の基礎知識
日本語の「注文書」に該当する英語は「Purchase Order(パーチェスオーダー)」です。「PO」という略語が、よく使われます。
Purchaseは「購入」、Orderは「指示、注文票」という意味があるので、直訳すると「購入指示書、購入注文書」といった意味になります。
「Purchase Order(PO)」は、購入者(Buyer)と販売者(Vendor)の間で、正式に取引を行うための、法的な効力を持つ公式文書です。
取引の信頼性と透明性を確保する重要な役割を果たします。
とくに企業間取引(B2B)においては、POは契約違反のリスクを最小限に抑えるための基盤となります。
「Purchase Order」の目的
PO(Purchase Order)の重要な目的は、購入者と販売者間での誤解やトラブルを防ぐことです。
注文書が存在することで、取引の各側面が明確になり、のちのトラブルが少なくなります。
POの役割と目的
- 誤解の防止:商品の仕様、価格、納期、支払い条件などが明示されるため、双方の誤解を防ぎます。
- トラブル解決:納品遅延や品質問題が発生した場合、POが基準となります。これにより、違約金や修正措置が速やかに決定されます。
- コンプライアンス:多くの国や業界では、POの交付が法的に義務付けられています(※)。POには違法行為や不正取引を防ぐ側面もあります。
- ※日本の場合、下請法で親事業者は下請事業者に発注書面の交付義務があります(参考:公正取引委員会「下請法 知っておきたい豆情報 その1」
)
とりわけ、高額取引や大量発注の際には、POなしではビジネスが始まらないケースが多く見られます。
英語の注文書の基本フォーマット
英語の注文書はどのようなフォーマットで、何を記載すべきか、見ていきましょう。
Purchase Order(PO):注文書のテンプレート

[Purchase Order Template]といった語句で検索すると、数多くヒットします。自社にとって使いやすいテンプレートをダウンロードし、必要に応じてカスタマイズしながら活用しましょう。以下で基本構成を確認しておきます。
-
1.ヘッダー
-
2.本文
-
3.備考欄
1. ヘッダー

まず、ヘッダーには、発行者・発行日・注文番号・注文先・発送先といった基本情報を記載します。
2. 本文

本文には、注文内容を記載しますが、納期や(品物の場合は)発送方法などの情報も記載します。
3. 備考欄

最後に備考欄を設けて、コメントや特記事項を記載するのが一般的です。
英語の注文書の記載項目

続いて、各項目の書き方を見ていきましょう。
-
1.発行者の情報
-
2.発行日と注文番号
-
3.販売者
-
4.発送先
-
5.注文内容
-
6.配送と条件
-
7.備考欄
-
8.署名
1. 発行者の情報
1つめは「発行者の情報」です。「注文を入れているのは誰か?」の情報を明らかにするために、文書の左上部に自社の社名やビジネスネームなどを明記します。テンプレートでは、「Issuer(発行者)」や「Buyer、Purchaser(購入者)」といった項目名になっていることがあります。
たとえば、
「◯◯◯株式会社 営業部 鈴木
〒123-4567 東京都 XX 区 XX 0-0-0
電話番号:03-XXXX-XXXX メール:mailinfo@ XXX.co.jp」であれば、以下のとおりです。
- 記載例
-
◯◯◯Co., Ltd.
Sales Department, Suzuki
0-0-0 Ginza, Chuo-ku, Tokyo, 123-4567, Japan
Tel: +81-3-XXXX-XXXX
Email: mailinfo@ XXX.co.jp
2. 発行日と注文番号
2つめは「発行日と注文番号」です。これらの情報を英語の注文書に明記しておくことは、非常に重要です。注文書の発行日(注文日)は、納期や支払期限の基準日となることがあります。また、のちに問題が発生して、正確な注文日を証明する必要性が生じた場合、注文書が証拠となります。注文番号は、注文管理に必要です。注文番号がないと、注文の追跡が効率的にできません。「PO #(Purchase Order Numberの略)」という表記が、よく使われます。
「発行日 2024年11月10日、注文番号 12345」の場合、以下となります。
- 記載例
-
Date: November 10, 2024
PO #: 12345
なお、上の日付の書き方は、アメリカで広く採用されているものです。必要に応じて、カスタマイズしてください。たとえば、イギリスでは「DD/MM/YYYY」(アメリカとは月と日が逆)が一般的です。また、月を数字で省略せずに書く(例:November)と、よりフォーマルな印象となります。
- 記載例
-
アメリカ式:11/10/2024(月日年の順)
イギリス式:10/11/2024(日月年の順)
アメリカ式:November 10, 2024(月を省略しないバージョン)
イギリス式:10 November 2024(月を省略しないバージョン)※イギリスはカンマ不要
慣れない表記なので戸惑いやすいポイントといえます。どう書くか迷ったら、「November 10, 2024」または「10 November 2024」の書き方がおすすめです。月と日を取り違えるリスクを減らせます。
3. 販売者
3つめは「販売者」です。販売者は「Vendor」といいます。注文書の宛名である、相手方企業の正式名称や住所を記載しましょう。「誰宛の注文か?」を明確にします。位置は、発行者の下に記載するのが一般的です。

例として、
「米国 郵便番号 10001 ニューヨーク州 ニューヨーク市 123 メインストリート サンプル400号室
△△△社 営業部 ジョン・スミス様」
であれば、以下のとおりとなります。
- 記載例
-
To:
△△△ Corp
Sales Department, John Smith
123 Main St, Sample 400
New York, NY 10001
USA
4. 発送先
4つめは「発送先」です。テンプレートでは「Ship To: 」といった項目名になっている部分が、発送先です。商品が配達される場所(納品先)を指します。発送先の記載位置は、通常、販売者(Vendor)の左横や下に記載されます。テンプレートによっては、別の場所に記入欄が設けられているケースもあります。
たとえば、
「◯◯◯株式会社 大阪支社 製造部 山田
〒123-4567 大阪府堺市堺区0-0-0 サンプルビルディング 3F
電話番号:072-XXXX-」
であれば、以下のとおりです。
- 記載例
-
◯◯◯ Co., Ltd., Osaka Branch
Manufacturing Department, Yamada
Sample Building, 3F
0-0-0 Sakai-ku, Sakai City
Osaka, 123-4567
Japan
Tel: +81-72-XXXX-XXXX
5. 注文内容
5つめは「注文内容」です。注文内容をどう表記するのが適切かは、注文する商品・サービスの性質や業界ごとの商慣習などによって、変わります。
以下は、一般的な注文書でよく見られる用語です。
用語の意味
- Item#:商品番号、型番
- Description:商品やサービスの説明
- Qty:数量(Quantityの略語)
- Unit Price:単価
- Discount:割引
- Line Total:行合計
- Subtotal:小計
- Tax :税
- Shipping:送料
- Other:その他費用
- Total:総額

- ※上記はドル建て決済の場合の表記例で、通貨は「ドル」となっています。通貨が明確にわかるように表記することが大切です。
決済通貨の選択は、相手方の指定に従うか、希望があれば交渉します。また、税金に関しては、取引の性質や企業の所在によって異なります。ケースごとに顧問税理士などの専門家にご相談ください。たとえば、消費税(Consumption Tax)の場合、国内取引では課税されますが、輸出取引にあたる場合は免税措置があります。
6. 配送と条件
6つめは「配送と条件」です。

上記のほかに、「納期」の指定も必要であれば追加します。
- Ship Via:配送手段(航空便、海上便、陸送など)
- F.O.B.:貨物引渡条件(Free On Boardの略。貨物の所有権と責任がどの地点で引き渡されるか)
- Shipping Terms:配送条件(リスク負担地点、保険など)
- Delivery Date:納期(いつまでに納品してほしいか)
それぞれの記載例として、以下があります。
Ship Viaの記載例
- Sea Freight:海上便
- Ground:陸送
- Express:急行
- Courier:宅配便
F.O.B.の記載例
- FOB Origin:発地点引渡し
- FOB Destination:目的地引渡し
- FOB Shipping Point:出荷地点引渡し
- FOB Delivered:配達後引渡し
Shipping Termsの記載例
- CIF(Cost, Insurance, Freight):運賃・保険料込み
- EXW(Ex Works):工場渡し価格
- CPT(Carriage Paid To):指定地点まで運賃込み
- DAP(Delivered At Place):指定場所引渡し
Delivery Dateの記載例
- ASAP(As Soon As Possible):できるだけ早く
- Within 30 days:30日以内に
- No later than MM/DD/YYYY:MM/DD/YYYYまでに
- Week of MM/DD/YYYY:MM/DD/YYYY週のうちに
- TBD(To Be Determined):未定
7. 備考欄
7つめは「備考欄」です。注文書の既存の入力欄でカバーし切れていない、特別な要件や相手方へのコメントを記載します。
- 記載例
-
We will pay you by check.
小切手でお支払いします。Delivery must be coordinated with our warehouse team.
配送は弊社の倉庫チームと調整してください。Invoice must be sent to accounts@company.com.
請求書はaccounts@company.comに送ってください。Late delivery will incur a penalty of 5% per day.
遅延した場合、日割りで5%の違約金が発生します。All items must pass quality inspection before shipping.
出荷前にすべてのアイテムは品質検査を通過している必要があります。
備考欄を活用することで、双方の認識を一致させ、スムーズな取引を実現していきましょう。
8. 署名
8つめは「署名」です。注文書の末尾に、署名(Signature)を行います。日本の商取引では押印が一般的ですが、国際ビジネスでは、押印ではなく署名が一般的です。注文書が正式なものであると証する役割を、署名が担います。ボールペンや万年筆など、あとから消すことのできない筆記用具を使い、フルネームで署名し、その隣または下に日付を記入します。

注文書を紙で発行するのではなく、デジタルでやり取りする場合、電子署名の方法があります。なお、注文書に対する署名の必要性の度合いは、注文内容や金額などによっても異なります。少額あるいは短期的な取引では、署名が不要なケースもあります。ケースごとにご判断ください。
英語で注文書を作成する際の注意点
最後に、英語で注文書を作成する際、トラブル回避のために注意したい点をお伝えします。
注文内容を明確かつ正確に書く
1つめは「注文内容を明確かつ正確に書く」です。注文内容の誤解・認識違いが起きないように、商品名・型番・単価・数量などを明確に記載しましょう。
注文記載のポイント
- 商品名:商品名は短縮形や略称ではなく、正式名称を使用します。
- 型番:製品に型番(商品番号)がある場合は、それも記載します。製品の特定が容易になります。
- 単価:単価は通貨単位も明記し、税抜・税込の判別もつくようにします。
- 数量:注文する数量を明確にし、単位(個、箱、パックなど)も記載します。
- 色・サイズ:製品に色やサイズのバリエーションがある場合、指定を明確に記載します。
- オプション・追加品:オプションや追加品がある場合、それもリストに加えます。
- 合計金額:各項目の金額を合計し、その金額も記載します。
本体価格以外の費用を確認する
2つめは「本体価格以外の費用を確認する」です。本体価格以外にも、さまざまな費用が加算される可能性があります。事前に、相手方とコミュニケーションを取って、明確にしておくことが大切です。
本体価格以外に生じる可能性のある費用(一例)
- Shipping Cost(送料):配送にかかる費用です。距離や配送方法によって変動する場合があります。
- Handling Fee(取扱手数料):一部の商品やサービスには、取扱手数料が加算される場合があります。
- VAT(付加価値税):商品やサービスに課される税金です。国や地域によって異なります。
- Consumption Tax(消費税):商品やサービスに課される内国税です。国によってはVATと同じ意味で使われることもあります。
- Customs Duty(関税):国際取引において発生する可能性があります。
- Insurance(保険料):高価な商品や長距離の配送で必要な場合があります。
- Installation Fee(設置費):機器やソフトウェアの設置にかかる費用です。
- Service Fee(サービス料):追加のサービスが付随する場合、その費用が別途発生することがあります。
支払方法を明確にする
3つめは「支払方法を明確にする」です。注文時に、支払方法も明確に伝えておくと、その後のやり取りがスムーズとなります。
支払方法の例
- Bank Transfer(銀行振込):銀行口座へ振込をします。通常、振込手数料が発生します。
- Credit Card(クレジットカード):各種クレジットカードによる支払いです。手数料がかかる場合もあります。
- Cash(現金):直接、現金で支払います。小額の取引や店頭での購入に適しています。
- Check(小切手):銀行が発行する小切手での支払いです。現金化まで時間がかかる場合があります。
- PayPal(ペイパル):オンラインでの支払いが可能です。手数料や通貨の制限がある場合があります。
- Wire Transfer(電信送金):国際取引でよく用いられます。高額な手数料がかかる場合があります。
各支払方法にはメリットとデメリットがありますので、取引の性質に応じて選ぶことが重要です。
英語表現は翻訳ツールや添削ツールで校正する
4つめは「英語表現は翻訳ツールや添削ツールで校正する」です。誤解のない明確な英語で、ビジネスにも適した表現を選ぶためには、翻訳ツールや英文添削ツールを活用しましょう。
まとめ
本記事では「英語の注文書」について解説しました。要点をまとめておきましょう。注文書は英語で「Purchase Order(PO)」といい、購入者と販売者間での誤解やトラブルを防ぎ、健全な取引を行うための重要な文書です。
英語の注文書の記載項目を、以下の8つのパートに分けて解説しました。
-
1.発行者の情報
-
2.発行日と注文番号
-
3.販売者
-
4.発送先
-
5.注文内容
-
6.配送と条件
-
7.備考欄
-
8.署名
英語で注文書を作成する際には、以下のポイントにご注意ください。
- 注文内容を明確かつ正確に書く
- 本体価格以外の費用を確認する
- 支払方法を明確にする
- 英語表現は翻訳ツールや添削ツールで校正する
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