郵便料金の値上げは2024年10月1日(火)から!早見表やビジネスへの影響と対策を紹介
監修者:名取 弘美(税理士)/市川 裕子(ビジネスマナー監修)
2024/09/25更新
郵便料金の値上げは、2024年10月1日(火)から実施されます。請求書や納品書を郵送している企業やECサービスを運営している企業など、郵便料金の値上げにより影響を受ける企業は少なくありません。郵送コストが増えれば純利益にも影響するため、郵送物の多い企業ほど影響を受けると考えられます。
本記事では、郵便料金はいつから値上げされるのか、どのくらい値上げされるのかなど、気になる方に向けて早見表を活用して値上がり幅を比較しながら解説します。郵便料金の値上げによるビジネスへの影響や、郵便料金のコストを抑える方法など、デジタル化の重要性についても説明しますので参考にしてください。
郵便料金の値上げはいつ行われるのか?
郵便料金は、2024年10月1日(火)から値上げされます。通常はがき・定型郵便物・定型外郵便物などのほか、レターパックや速達などのサービスも大幅に値上がりします。郵便料金の値上げは、消費税増税による値上げをのぞいては1994年以来、およそ30年ぶりです。値上げの背景には、電子メールやSNSの普及によってペーパーレス化が進み郵便物の需要が減少したこと、また、2001年度をピークに大きく減少する一方で、人件費や燃料費などの上昇、協力会社への適正な価格転嫁、その他の調達コストの増加などが見込まれること説明されています。10月1日(火)0時以降に窓口へ差し出した郵便物から新料金が適用され、ポストに投函した郵便物については、10月1日(火)の最初の取り集めまでに投函されたものは旧料金で取り扱われます。
【早見表】郵便料金の値上げ幅はどのくらい?
実際にどのくらい値上げされるのか、現在の料金(9月30日まで)と値上げされた後の料金(10月1日以降)を比較します。
種類 | 重量 | 現在の料金 (9月30日まで) |
値上げ後の料金 (10月1日から) |
---|---|---|---|
定形郵便物 | 25g以内 | 84円 | 110円 |
50g以内 | 94円 | ||
通常はがき | 63円 | 85円 | |
定形外郵便物 規格内※ |
50g以内 | 120円 | 140円 |
100g以内 | 140円 | 180円 | |
150g以内 | 210円 | 270円 | |
250g以内 | 250円 | 320円 | |
500g以内 | 390円 | 510円 | |
1kg以内 | 580円 | 750円 | |
速達 | 250g以内 | 260円 | 300円 |
1kg以内 | 350円 | 400円 | |
4kg以内 | 600円 | 690円 | |
特定記録郵便 | – | 160円 | 210円 |
一般書留および現金書留 | – | 480円 | |
簡易書留 | – | 350円 | |
レターパックプラス | – | 520円 | 600円 |
レターパックライト | – | 370円 | 430円 |
スマートレター | – | 180円 | 210円 |
日本郵便:2024年10月1日(火)から郵便料金が変わります。
- ※規格内とは、長辺34cm以内、短辺25cm以内、厚さ3cm以内、および重量1kg以内の郵便物です。定型郵便物は25g以内と50g以内とで料金に違いがありましたが、10月の料金改定から重量区分は統合され、50gまで一律110円に変更されます。書留は2023年に値上げされたため今回は値上げされません。
郵便料金が値上げされる理由
値上げされる主な理由は、郵便物の減少、燃料費などの高騰、安定した郵便事業の継続の3つです。
総務省の調査によると、郵便物数は年々減少していることが明らかになっています。インターネットの普及によって、新年のあいさつも電子メールやSNSで行う方が増え、年賀状の配達数もひと昔前に比べて大きく低下しています。ゆうパックやゆうメールなどの荷物は増加しているものの、年賀状を含む郵便物数は右肩下がりとなっており、今後もさらに減少していくであろうことは想像に難くありません。
郵便物を届けるには人件費や集配運送委託費など大きなコストがかかるため、郵便物が減ると1通当たりにかかるコストは増加します。近年の、人手不足による人件費の高騰や、世界情勢の影響を受けての燃料費高騰もコスト増加の一因です。
総務省:郵便事業の課題について
郵便料金の値上げで影響を受ける企業やサービス
郵送業務の多い企業やサービスは郵便料金の値上げによる影響を受けるため、必要なコストが増加します。地方公共団体、金融機関やカード会社、公共料金事業者など、影響を受ける企業やサービスは多々ありますが、中でも影響の大きい民間企業とECサイト運営サービスについて取り上げます。
民間企業
製造業、建設業、卸売業、不動産業などの民間企業では、契約書や請求書の送付に郵便を利用している企業が少なくありません。郵便料金の値上げにより、コストが増加することが見込まれます。定形郵便物は84円または94円から110円に値上げされるため、ひと月当たりの郵送数が1,000通の企業の場合、郵便料金は8.4万円または9.4万円/月から11万円/月に増加します。大量郵送を行う企業はより影響が大きく、年間数十万円〜数百万円増加する可能性もあり、郵送コストの増加が経営に影響を与えかねません。
ECサイト運営サービス
オンラインショッピングの商品には配送コストがかかるため、ECサイト運営企業や通販業者は、郵便料金の値上げの影響を大きく受けるといえます。請求書や納品書のほか、ダイレクトメール、パンフレット、カタログなどを定形郵便物として郵送している場合、値上げによるコストの増加は約30%です。郵便物はサイズや重量によって料金が変わるため、大きさや重さのある郵送物は、より大きな影響を受けます。そのため、送付物をコンパクトにしたり、軽量化したり、といった対策が求められます。
郵送料金の値上げによるビジネスへの影響
郵送料金の値上げは、さまざまな企業やサービスに影響を与えます。郵送コストの増加は避けられないため、影響の大きさによっては、送付・配送方法の見直しが必要になります。
郵送コストが増加する
郵送料金の値上げによる、郵送コストの増大は純利益に影響を与え、大量の郵送物を送付している企業ほど受けるダメージは大きくなります。特に大きな影響を受けるのは、重量500g超1kg以内の定形外郵便物を頻繁に使用していた企業です。1通当たり170円値上げされるため、月に1,000通送る場合は17万円もコストアップします。値上げによる影響は、1通あたりで見れば小さくても、月間や年間で見ると、決して小さいものとはいえません。
企業によっては郵送方法の見直しが必要となる
郵便料金の値上げによる影響が大きい場合は、業務体制の見直しが必要です。郵送コストを抑えるには、配送方法を変更したり、郵送物のサイズを見直したりすることも有効ですが、根本的な解決のためには、デジタル化を進めることもひとつの方法といえます。請求書などは郵送ではなく電子データで送付することによって、郵便料金の値上げによる影響を回避できます。また、カタログなど重量がかさむことも、デジタル化によってコスト削減が可能です。デジタルカタログにして、はがきや定形郵便物に二次元バーコードを添付することで郵送コストを抑えられます。
郵便料金のコストを抑えるにはデジタル化が効果的
郵便物のデジタル化は、郵便料金のコストを抑えるのに効果的です。特に、紙の帳票類を発行して郵送している企業は、この機会にデジタル化することをおすすめします。例えば請求書の場合、請求書を作成するところから始まり、印刷、封入、封かん、宛名書き、切手貼付をしてから郵送するのでは、多くの工程を踏む必要がありコストも手間もかかります。しかし、デジタル化してPDFをメールで送信する方法に変更すれば、このようなコストや手間の削減が可能であり、効率的にもなります。
また、2024年1月には「電子帳簿保存法」によって電子取引のデータ保存が完全義務化されました。電子帳簿保存法は、法人・個人事業主に関係なく、国税関係帳簿書類の保存義務のある事業者すべてが対象であり、該当する事業者は電子取引データがある場合、必ず電子データで保存しなければなりません。紙の請求書ではなく、電子データとして送付することで、双方のファイリングの手間や書類の管理が不要になり、過去の帳簿や書類も簡単に検索できるようになるという利点もあります。
郵送物のデジタル化を進めるメリット
郵便物をデジタル化すると郵送にかかるコストを削減できるだけでなく、業務効率化やセキュリティリスクの低減など、多くのメリットが得られます。
さまざまなコストを抑えられる
大きなメリットは、郵送代、封筒代、封入などの作業にかかる人件費を抑えられることです。印刷にかかるインク代や用紙代、書類を維持管理するためのファイル、キャビネット、棚などのコストもかかりません。
また、書類の追加発行が必要になった場合では、紙で送付していると、用紙代や郵送代といったコストが追加でかかってしまいます。しかし、デジタル化にすることでデータさえあればすぐにメールで送付できるため、紙での送付に比べてほとんどコストがかかりません。
すぐに書類を送付できる
郵送の場合、請求書や契約書の提出、修正を求められた際に、送付するまでに時間がかかります。しかし、デジタル化の対応をしていれば、その日に再送できるため迅速な送付が可能です。郵送と比較すると発行から受領までの時間が短縮されるため、受取先の担当者も余裕を持って帳票処理を行うことができ、利便性や効率性が向上するでしょう。
業務効率化を図れる
郵送する際は、郵送物を準備し、切手を貼り、郵便局もしくは郵便ポストを訪れるか、集荷を依頼する必要があります。しかし、デジタル化を行えば、わざわざ所定の場所に出向き集荷依頼をする必要はありません。また、印刷や封入する手間も減り、出社しなくても作業を行えるため、テレワークの推進も可能です。取引先も電子データであれば請求書をすぐに参照できるため、問い合わせ対応にかかる手間を軽減でき、双方の業務を効率化できます。
書類の管理が容易になる
紙の資料を保管するには、棚やキャビネットなどの保管スペースが必要です。倉庫や資料室に保管している場合は維持管理コストも生じます。手作業では必要な書類を探し出すのに時間を要しますし、書類が乱雑にならないように、定期的に時間と人手をかけて整理しなければなりません。しかし、デジタル化すれば書類をデータとして保管できるため、倉庫や棚といった保管スペースは不要です。さらに、書類を探す際は検索で簡単に見つけられるようになるため管理がしやすくなります。
セキュリティリスクを低減できる
紙の資料は紛失のリスクが付き物です。大事な書類を社外に置き忘れる、誤って廃棄するといった、トラブルの生じるおそれがあります。デジタル化することにより、このようなセキュリティリスクの低減が可能です。例えば、パスワードを設定し、閲覧もしくはダウンロードする際に入力するように徹底すれば、閲覧者を制限できます。万一の紛失リスクに備えるため、バックアップを取っておくこともおすすめです。
デジタル化を進める際の注意点
デジタル化には多くのメリットがありますが、注意点もあります。デジタル化できない書類がある、移行までに時間を要するという2点です。デジタル化を進める前に確認しておくことが必要です。
デジタル化をしてはいけない書類も存在する
法律では紙での保管が義務付けられている書類があり、すべての書類をデジタル化するのは難しいケースがあります。デジタル化してよい書類、してはならない書類については、e-文書法や電子帳簿保存法に定められています。これらの2つの法律についての知識を深め、電子保存が認められていない書類は紙で保管しましょう。
電子帳簿保存法や書類のデータ保存についてはこちらもご覧ください。
完全に移行するまでに時間がかかる
従来のやり方を変更することで、従業員間で混乱が起こることがあるかもしれません。円滑に移行を進めるためには、ある程度時間を確保することが必要です。また、作業方法を従業員へ周知させるための人件費もかかります。スムーズに移行させるには、単にツールを取り入れるだけでなく、デジタル化する目的を明確にした上で的確に周知することが大切です。いつ、どのような対応をするのか、移行する際は計画的に行えるように準備をしましょう。
請求書や納品書のデジタル化には「Misoca」がおすすめ
Misoca(ミソカ)とは、弥生会計が提供している請求書作成ソフトです。シンプルな操作で、請求書・見積書・納品書などを簡単に作成することができます。Misocaで発行した請求書は、取引先へワンクリックで送信できるため、印刷代、封筒代、切手代、ポストへの投函にかかるコストや手間を大幅に削減できます。請求金額や税額は自動で計算されるため、計算の手間が省けるだけでなく固定の取引を自動作成にすることで請求漏れの防止も可能です。請求業務や経理業務のデジタル化・効率化に、ぜひ「Misoca(ミソカ)」の活用を検討してはいかがでしょうか。
郵便料金が値上げされる前にデジタル化への移行を検討しよう
2024年10月1日(火)から、はがき・定形郵便物・速達・レターパックなど多くの郵便料金が値上げされます。値上げによって郵送コスト増の影響を受ける企業は少なくありませんが、郵送コストはデジタル化することによって抑えられます。郵送物をデジタル化することで、郵送コスト以外に印刷費や書類の維持管理費なども抑えられ、業務効率化やセキュリティリスクの低減など多くのメリットが得られます。
デジタル化をする際は、請求書作成ソフト「Misoca」を活用することをおすすめします。簡単かつ迅速な対応が可能です。ぜひ、「Misoca」の導入をご検討ください。
この記事の監修者名取 弘美(税理士)
税理士法人ベリーベスト 税理士
事業会社の経理業務に長年従事しており、2017年に税理士法人ベリーベストに入所。主に法人税務を担当し、2年前からTax audit and service部門にて税務案件のリサーチ、社内研修、申告書のレビュー等を行っている。数多くの企業案件に携わる中で得た専門知識を活かし、精確な情報提供を心掛けている。
この記事の監修者市川 裕子(ビジネスマナー監修)
マナーアドバイザー上級、秘書検定1級、ビジネス実務マナー、硬筆書写検定3級、毛筆書写検定2級、収納アドバイザー1級、など。 出版社や人材サービス会社での業務を経験。秘書業務経験よりビジネスマナーとコミュニケーションの重要性に着目し、資格・スキルを活かし、ビジネスマナーをはじめとする各種マナー研修や収納アドバイザー講師として活動。