青色申告はe-Taxがおすすめ!申告方法や利用するメリットを解説

2024/01/18更新

この記事の監修齋藤一生(税理士)

青色申告をしている個人事業主は、e-Tax(電子申告)を利用することで、青色申告特別控除65万円の適用ができるだけでなく、多くのメリットを得られます。従来の郵送提出や税務署への持ち込みといった方法で確定申告を行っている人にはハードルが高く感じられるかもしれませんが、一度慣れてしまえば、e-Taxは非常に簡単で便利な申告方法です。

ここでは、e-Taxでの確定申告方法や、e-Taxの利用によって得られるメリットについて解説します。この機会に、e-Taxでの確定申告を検討してみましょう。

青色申告とは確定申告の方法の1つ

個人事業主の確定申告方法は、青色申告または白色申告です。青色申告も白色申告もe-Taxでの確定申告が可能ですが、青色申告事業者の場合は、e-Taxでの確定申告でより多くのメリットを得られます。

なお、法人の確定申告にも青色申告と白色申告がありますが、本記事では個人事業主の青色申告について解説します。

青色申告と白色申告の違い

青色申告と白色申告は、手続き方法と得られるメリットに違いがあります。それぞれどのような違いがあるのか見ていきましょう。

手続きに関する違い

青色申告をするためには、申告する年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を管轄の税務署に提出する必要があります(その年の1月16日以降に開業した場合には、開業日から2か月以内)。なお、申請書の提出はe-Taxで行うこともできます。白色申告は届出不要です。

所得税の青色申告承認申請書

国税庁「[手続名]所得税の青色申告承認申請手続新規タブで開く

また、青色申告では原則として複式簿記をはじめとした正規の簿記の原則にもとづく記帳が求められますが、白色申告は単式簿記での記帳が可能です。ただし、青色申告でも特別控除額が10万円でかまわないのであれば単式簿記で記帳できます。

メリットの違い

青色申告には、白色申告では利用できない多くのメリットがあります。具体的なメリットの違いは下記のとおりです。

青色申告特別控除

青色申告特別控除とは、青色申告事業者が利用できる控除制度です。65万円、55万円、10万円の3種類があります。65万円控除は、55万円控除の要件を満たす事業者のうち、e-Taxで申告を行うか「優良な電子帳簿保存」を行っている事業者が適用できます。55万円控除は複式簿記での記帳、期日までの申告などの要件を満たす事業者、10万円控除はそれ以外の青色申告事業者の控除額です。

「優良な電子帳簿保存」は、すぐにはできないため、確定申告時に青色申告特別控除の65万円控除を適用したい場合、e-Tax一択となります。

青色事業専従者給与

青色申告事業者が配偶者などに事業を手伝ってもらって給与を支払っている場合、給与を経費計上できます。一方、白色事業の場合は、給与額にかかわらず一定額の控除のみが認められています。

貸倒引当金

青色申告では、売掛金などのうち5.5%以下(金融業は3.3%以下)の金額を貸し倒れの損失見込み額として必要経費にできる貸倒引当金を適用できます。ちなみに白色申告ではこの一括評価の5.5%の貸倒引当金は適用できませんが、個別評価の貸倒引当金は計上できます。

純損失の繰越しと繰戻し

青色申告では、赤字を3年間の繰越し、繰戻しが可能です。白色申告でも損出の繰越しはできますが、その適用範囲は青色申告に比べてかなり狭くなります。

少額減価償却資産の特例

青色申告では、30万円未満の減価償却資産を一括計上できる少額減価償却資産の特例を適用できます。白色申告の場合は選択できません。

青色申告の書類を提出する3つの方法

青色申告書類は、e-Tax、税務署窓口、郵送の3種類の方法で提出できます。どれを選ぶかは任意ですから、都合の良い方法を選択してください。それぞれの提出方法は下記のとおりです。

e-Taxで提出する

電子データで作成した確定申告書や青色申告決算書を、e-Taxで電子的に送信して提出します。「65万円の青色申告特別控除を利用できる」「自宅から提出してその場で送信結果を確認できる」「24時間いつでも提出できる」といったメリットがあります。

e-Taxとは、そもそも国税の電子申告・納税システムのこと。e-Taxを利用できる環境を整えておくことで、開業届や所得税の青色申告承認申請書、インボイス制度の適格請求書(インボイス)発行事業者の登録申請書など、さまざまな届出を電子的に行うことができます。事業に関する各種届出を自宅で手軽に行えるのは、e-Taxの魅力の1つです。

ただし、e-Taxを利用するためには、マイナンバーカード、またはID・パスワードが必要です。ID・パスワードは、管轄の税務署に本人確認書類を提示して発行してもらいます。

税務署の窓口に提出する

手書きで作成した確定申告書や、パソコンなどで作成して印刷した確定申告書を、管轄の税務署窓口に直接持ち込んで提出することもできます。控えを用意しておけば、その場で収受印を押してもらえます。

税務署の開庁時間は、平日午前8時半から午後5時までですが、時間外でも「時間外収受箱」に投函することで提出が可能です。ただし、時間外収受箱に投函した場合は控えをその場で受け取れません。控えが必要な場合には、切手を貼付した返信用封筒と申告書の控えを同封します。

書類を税務署または業務センターに郵送する

紙で作成した確定申告書類を、税務署または業務センターに郵送して提出することも可能です。管轄の税務署の内部事務がセンター化している場合は、対応する業務センターに送ります。業務センターの一覧は国税庁の「書面の申告書等の郵送による提出先となる業務センターの所在地新規タブで開く」で確認できます。

確定申告書を郵送する場合は、控えの確定申告書と、切手を貼った返信用封筒を同封しておくと、収受印を押した控えが返送されてきます。必須ではありませんが、収入の証明に利用できるため、返信用の封筒を同封しておいた方が安心です。

e-Taxで青色申告をするメリット

青色申告事業者にとって、e-Taxは多くのメリットがある申告方法です。どのようなメリットがあるのか、1つずつ見ていきましょう。

最大65万円の青色申告特別控除を適用できる

65万円の青色申告特別控除は、e-Taxまたは「優良な電子帳簿」の要件を満たす帳簿の保存が条件になっています。優良な電子帳簿の要件には、専用システムの導入と要件に従っての記帳、一定の事項を記載した届出書を法定期限までに提出することが必要です。特に個人事業主の場合は、e-Taxの方が要件をクリアしやすいでしょう。

上記を満たせない場合でも、55万円または10万円の控除を適用することは可能です。しかし、65万円と55万円でも、控除額が10万円の差がありますから、e-Tax利用のメリットは大きいといえるでしょう。ただし、65万円の青色申告特別控除を適用するためには、以下の55万円の控除要件についてもすべて満たす必要があります。

55万円の青色申告特別控除を適用する要件

  • 事業規模の不動産所得または事業所得がある
  • 正規の簿記の原則に則って複式簿記で記帳をしている
  • 帳簿に基づく貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添えて期限内に提出する

上記を満たさない場合は、e-Taxで確定申告をしても控除額が最大10万円になります。

インターネットで24時間申告できる

e-Taxなら、インターネット上から曜日や時間を問わずいつでも申告が可能です。確定申告の期限最終日ぎりぎりでも、23時59分に間に合えば期限内提出として受理されます。もちろん、申告手続きのために税務署に行ったり、郵便物を出しに行ったりする必要はありません。自宅から、思い立ったときに手続きができて、間違えたときの修正も簡単です。

提出書類を省略できる場合もある

確定申告では、申告書類に加えて、添付書類も提出しなければいけないことがあります。しかし、e-Taxでは、一部の添付書類の省略が可能です。また、電子データで提出できる書類もあります。

以前のe-Taxでは、添付書類のみ別途税務署に提出しなければいけないといったケースがありました。しかし近年では、省略や電子添付が拡大されており、e-Taxで添付書類の提出に手間取ることは少ないでしょう。省略できる書類の詳細は、国税庁の「所得税及び復興特別所得税についてよくある質問新規タブで開く」で確認が可能です。

ただし、確定申告アプリからe-Taxを行う場合、アプリによっては、添付書類が省略できない場合もあります。その場合、メッセージボックスの受付結果通知「申告書等送信票(兼送付書)」を印刷の上、添付書類と共に所轄の税務署に提出します。

なお、添付を省略できる書類も確定申告の法定期限から5年間は保管しておく必要があります。税務署から提示や提出を求められる可能性もありますから、破棄してしまわないようにしてください。

青色申告をe-Taxで行う方法

青色申告をe-Taxで行う方法は、決して難しくはありません。一つひとつ手順を踏んでいけば、自宅からいつでも好きな時に確定申告ができます。具体的な方法についてご説明します。

確定申告書等作成コーナーで青色申告決算書を作成する場合

確定申告書等作成コーナーとは、国税庁が用意している確定申告書や青色申告決算書を作成できるWebサイトです。確定申告書はe-Taxで作成できますが、青色申告決算書は作成できません。そのため、青色申告をする場合には、確定申告書等作成コーナーで青色申告決算書を作成する必要があります。

また、確定申告書等作成コーナーで確定申告書や青色申告決算書を作成しようとすると、最初に提出方法を聞かれます。このときに上部に表示される、「スマートフォンを使用してe-Tax」「ICカードリーダーライターを使用してe-Tax」「ID・パスワード方式でe-Tax」の選択肢のいずれかを選択すると、作成したデータをe-Taxで送信できます。

確定申告書等作成コーナー

国税庁「確定申告書等作成コーナー新規タブで開く

なお、マイナンバーを持っていない人の「ID・パスワード方式」も、事前にID・パスワードを発行してもらう必要があります。マイナンバーカードもID・パスワードもない場合は、e-Taxを利用しての確定申告ができません。

e-Taxで確定申告をする場合

確定申告書等作成コーナーで青色申告決算書を作成したら、e-Taxで確定申告書を作成します。e-Taxには、e-Taxソフトとe-Tax(WEB版)があります。なお、確定申告だけでなく、相続税申告や贈与税申告などの申告も、e-Taxを使えば電子的に行うことが可能です。

e-Taxソフトを利用する

e-Taxソフトを利用する場合は、まず、国税庁の「e-Taxソフトのダウンロードコーナー新規タブで開く」からe-Taxソフトをダウンロードします。その後、ソフトの案内に従ってマイナンバーカードの電子証明書登録を行い、確定申告データを送信します。電子申請用の確定申告データは、確定申告書等作成コーナーなどで作ることができます。

e-Tax(WEB版)を利用する

e-Tax(WEB版)を利用する場合は、国税庁の「e-Taxソフト(WEB版)を利用するに当たって新規タブで開く」から、「事前準備セットアップ」ツールなど必要なツールをダウンロードし、画面の案内に従って電子証明書の登録などの利用手続きを行ってください。

利用手続きが完了すると、e-Tax(WEB版)にログインして、確定申告書等作成コーナーで作成・保存したデータを送信できるようになります。

スマートフォンを利用する場合

2022年分から、スマートフォンでも青色申告決算書や確定申告書を作成、申告できるようになりました。確定申告書等作成コーナーにスマートフォンからアクセスすると、スマートフォン専用ページが表示されます。専用ページでも、パソコンからアクセスした場合と同じように、申告書類の作成が可能です。その後、e-Taxアプリを利用して申告書を電子的に送信します。

しかし、青色申告決算書や所得税の確定申告書に記載する数字は、帳簿から転記する必要があります。転記ミスなどが起こる可能性もあるため、青色申告事業者の確定申告にはパソコンがおすすめです。帳簿作成からe-Taxまで一貫して対応できる確定申告アプリなどの活用が便利でしょう。

スマートフォンで確定申告する方法についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

スマホで確定申告するやり方は?申告方法や手順、必要なものを解説

e-Taxで青色申告をする際に必要なもの

e-Taxで青色申告をする場合、事前に準備しておきたいものがあります。代表的なものとして、e-Taxのマイナンバー方式を利用する際に準備しておきたいものについてご説明します。

パソコンまたはスマートフォンとネット環境

e-Taxを行うためには、パソコンまたはスマートフォンとネット環境が必須です。また、e-Tax(WEB版)を利用する場合には、対応するOSやブラウザについても確認が必要です。必要な環境については、「e-Taxソフト(WEB版)を利用するに当たって新規タブで開く」に記載されています。

なお、パソコンを利用する場合も、マイナンバーカードを読み取れるスマートフォンを使います。マイナンバーカードの読取に対応したスマートフォンを持っていない人は、ICカードリーダーライターを用意しましょう。

利用者クライアントソフトのインストール

e-Taxソフトを利用するためには、専用のソフトやアプリのインストールが必要です。なお、確定申告書等作成コーナーを利用する場合は、トップページの「作成」をクリックして質問に答えていくと、インストール手順等の案内が表示されます。画面に従って操作をすれば問題ありません。

マイナンバーカード

電子証明書が格納されたマイナンバーカードが必要です。電子証明書の期限は、発行の日から5回目の誕生日で切れます。原則的に有効期限の2~3か月前を目途に自治体から有効期限通知書が送付されます。通知が来たら、マイナンバーカードと有効期限通知書を持って、自治体窓口で電子証明書の更新手続きを行ってください。

マイナンバーカードの取得方法

マイナンバーカードがあると、スムーズにe-Taxを利用できます。未所持の人は、下記の手順でマイナンバーカードを取得しておきましょう。なお、申請から取得までには1~2か月程度かかります。申請書類に不備などがあるとさらに時間がかかってしまいますから、確定申告に利用したい人は余裕を持って申請しましょう。

1.マイナンバーカードの取得を申請する

まずは、マイナンバーカードの取得申請を行います。パソコンやスマートフォン、郵送、証明写真機のいずれかで申請手続が可能です。

なお、申請方法は自治体によって異なる場合があります。自治体窓口で本人確認を行って申請する、企業などを通し手申請する、特設会場などで申請するといった方法もあるため、詳細はお住まいの自治体の案内を確認してください。

申請に必要な書類

  • マイナンバーカード交付申請書
  • 本人の写真(郵送以外の申請方法ではその場での撮影が可能)

2.マイナンバーカードの交付通知が届く

マイナンバーカードの申請から交付までは、1か月程度です。自治体や混雑状況によっては、それ以上時間がかかる可能性があります。マイナンバーカードの交付が可能になると、自治体からマイナンバーカードの交付通知書が届きます。通知書には、マイナンバーカードの受け取り方法等が記載されていますから、必ず内容を確認してください。

3.マイナンバーカードを受け取る

マイナンバーカードの交付通知書に記載された方法で、マイナンバーカードを受け取ります。自治体によって、市役所窓口での受け取りや、指定のセンターなどでの受け取りなど、方法が異なります。
また、事前予約が必要な場合もあるため、注意が必要です。

青色申告はe-Taxでスムーズに行おう

青色申告をe-Taxで行うことで、最大65万円の青色申告特別控除をはじめとした多くのメリットを得られます。これまで紙で申告をしていた人も、この機会にe-Taxに挑戦してみてはいかがでしょうか。

青色申告のe-Taxを簡単に行うためには、帳簿の作成からe-Taxの申告まで一貫して対応できる「やよいの青色申告 オンライン」が便利です。自動仕訳機能が搭載されているので、日々の記帳にかかる手間を大幅に削減できるうえ、ステップが多いe-Taxの手続きも簡単に行えますから、ぜひご活用ください。

この記事の監修者齋藤一生(税理士)

東京税理士会渋谷支部所属。1981年、神奈川県厚木市生まれ。明治大学商学部卒。

決算書作成、確定申告から、起業(独立開業・会社設立)、創業融資(制度融資など)、税務調査までサポート。特に副業関連の税務相談を得意としており、副業の確定申告、税金について解説した「副業起業塾 新規タブで開く」も運営しています。

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