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電子マネー利用時の仕訳方法は?個人事業主向けに勘定科目を解説

更新

キャッシュレス決済が浸透しつつある現在、個人事業主の方にとって支払いを電子マネーで決済したり、電子マネーで売上が立ったりすることは珍しくありません。このような場合、どのように仕訳をすればいいのか迷ったことがある方も多いのではないでしょうか。

ここでは、個人事業主の方向けに、電子マネーで支払ったり、売り上げたりした際の仕訳の方法や勘定科目について解説します。

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電子マネーの支払方式によって仕訳の方法が異なる

電子マネーと一口にいっても、支払方式はさまざまです。電子マネーの支払方式と、支払方式ごとの領収書の扱いについて解説します。

電子マネーの支払方式は3種類

電子マネーの支払方式は、大きく分けて以下の3種類です。

電子マネーの支払方式ごとの特徴

支払方式 特徴
プリペイド式 前払い。あらかじめ現金をチャージして使用
ポストペイ式 後払い。主にクレジットカードと紐づけて使用
デビットカード 決済と同時に銀行口座から引き落とし

電子マネーによっては、プリペイド式とポストペイ式の両方の方式が使えるサービスもあります。例えば、現金でのチャージや銀行口座から引き落としならプリペイド式、クレジットカードからの引き落としならポストペイ式の仕訳となります。
主な電子マネーの支払方式を以下の表にまとめました。

主な電子マネーの支払方式

支払方式 電子マネーの主な例
プリペイド式 au PAY新規タブで開く
楽天Edy新規タブで開く
nanaco新規タブで開く
Suica新規タブで開く
PASMO新規タブで開く
ポストペイ式 Apple Pay新規タブで開く
Google Pay新規タブで開く
プリペイド式・ポストペイ式 PayPay新規タブで開く
楽天ペイ新規タブで開く
デビットカード 三菱UFJデビット新規タブで開く
SMBCデビット新規タブで開く
みずほJCBデビット新規タブで開く

電子マネーの支払方式によって変わる領収書の扱い

電子マネーの支払方式によって、領収書の扱いが異なります。

プリペイド式とデビッドカードはその場で決済が処理されるため、レシート(電子レシートを含む)や領収書の発行が可能です。一方、ポストペイ式では領収書が発行されない場合もあります。ポストペイ式での領収書発行の有無は電子マネーの種類によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

領収書は民法486条に定められている受取証書に当たります。代金を支払った方は領収書の発行を請求でき、発行を請求された側にはその場で領収書を発行する義務があるというのが基本的な考え方です。これを「同時履行の原則」といいます。

一方で、クレジットカード会社などの決済サービス事業者が間に入る場合、決済サービス事業者が間接的に代金の支払いを受けることになるため、同時履行の原則は適用されません。クレジットカードと紐づけて使用するポストペイ式の電子マネーにおいて、領収書が発行されないケースもあるのはこのためです。

なお、領収書は、個人事業主では所得税法、法人は法人税法で、保存が義務付けられています。個人事業主の白色申告の場合は原則5年、青色申告の場合は原則7年の保存期間が領収書には定められています。

ただし、青色申告者は、前々年分の所得が300万円以下の場合は保存期間が5年となります。このルールは電子マネーによる取引にも適用されるため、その他の領収書と共にきちんと保存しておくことが大切です。

なお、消費税の課税事業者で領収書が、適格請求書等(インボイス)に該当する場合は、保存期間は7年間になります。

さらに領収書が電子的に提供された場合には、電子帳簿保存法の「電子取引のデータ保存」の要件に従ってデータ保存が必要です。領収書の保存期間と電子取引のデータ保存についての詳細は、以下の記事を合わせてご覧ください。

個人事業主が電子マネーで支払ったときの仕訳

個人事業主が電子マネーで支払いをした場合、どのように仕訳をすればよいのでしょうか。電子マネーの支払方式ごとに仕訳例を見ていきましょう。

プリペイド式の場合

プリペイド式の電子マネーの仕訳の方法には、現金から預け金に振り替える方法と支払いのときのみ仕訳を行う方法の2種類があります。

原則的には現金から預け金に資産を振り替える方法が正しいものの、簡易的に支払いのときのみ仕訳を行う方法で処理を行っても差し支えありません。それぞれの仕訳について、具体例をあげて解説します。

現金から預け金に振り替える方法

プリベイド式電子マネーで支払い、現金から預け金に振り替える方法を、交通系ICカードを例にして解説します。チャージしたとき、支払いを行ったときの仕訳を考えてみましょう。

(1)交通系ICカードに1,000円を現金でチャージしたとき

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
預け金 1,000 現金 1,000

電子マネーにチャージしたときに、現金から電子マネーに資産が振り替わったと考えて仕訳を行います。この段階ではまだ実際に経費の決済を行っていないため、必要経費にはできません。

この例では預け金という勘定科目を利用していますが、電子マネー、交通系ICカードといったわかりやすい勘定科目を設けてもOKです。

(2)交通系ICカードで電車賃150円を支払ったとき

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
旅費交通費 150 預け金 150

交通系ICカードで電車賃を支払ったときに、預け金から費用勘定に振り替える仕訳です。実際に費用を電子マネーで支払ったこの段階で費用の勘定科目として処理できます。

なお、交通系ICカードは買い物の支払いにも使えますが、勘定科目は使用目的に合わせて選んでください。例えば、交通系ICカードを使ってボールペンを購入したのであれば勘定科目は消耗品費です。

なお、決算時には仕訳の必要はありませんが、帳簿上の預け金の残高が実際の残高と合っていることを確認しましょう。

支払いのときのみ仕訳を行う方法

プリベイド式電子マネーで支払ったときのみ仕訳を行う方法を解説します。この方法では、交通系ICカードにチャージしたとき、支払いを行ったときの2段階で考えます。

(1)交通系ICカードに1,000円を現金でチャージしたとき

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
仕訳なし

交通系ICカードに現金をチャージしただけでは、費用は発生していないと考えて仕訳をしません。

(2)交通系ICカードで電車賃150円を支払ったとき

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
旅費交通費 150 現金 150

交通系ICカードで電車賃を支払ったときに、現金で支払ったときと同じように旅費交通費として仕訳します。

電子マネーへのチャージは、一般的にそれほど大きな金額にはならないと考えられます。事業規模に対して明らかに多額の取引を電子マネーで行わない限り、チャージした時点で仕訳を行わなくても問題になることはほとんどありません。

電子マネーにチャージするたびに仕訳をしていては、実務上は手間がかかりすぎます。上記は簡易的な仕訳ですが、利用する都度行うのであれば会計上も差し支えないでしょう。

現金から電子マネーに資産を振り替える方法に比べて、実務上はこちらのほうがシンプルに運用できるため現実的です。いくらまでなら簡易的な記帳でも支障をきたさないのか判断が難しい場合には、税理士や会計士に相談してみてください。

ポストペイ式の場合

電子マネーとクレジットカードなどを紐づけて使用するポストペイ式では、電子マネーを使用した時点でクレジットカード会社に未払金の負債が発生します。クレジットカードが事業用の場合と個人用の場合について、それぞれの仕訳を解説します。

事業用のクレジットカードを紐づけた場合

事業用のクレジットカードをポストペイ式の電子マネーに紐づけている場合の仕訳は、以下のとおりです。電子マネーで購入したときと、口座から引き落とされたときの2段階で考えます。

(1)電子マネーで500円の文房具を購入したとき

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 500 未払金 500

ポストペイ式の電子マネーで支払いをした時点で、クレジットカード会社に対する未払金が発生したと考えて仕訳します。

(2)クレジットカード払い分が口座から引き落とされたとき

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
未払金 500 預金 500

クレジットカード会社からの口座引き落としがあった時点で未払金の負債勘定が消え、預金が減ります。

個人用のクレジットカードを紐づけた場合

個人用のクレジットカードを電子マネーに紐づけている場合には、事業主借の勘定科目を使用して仕訳します。

(1)電子マネーで500円の文房具を購入したとき

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 500 事業主借 500

ポストペイ式の電子マネーで支払いをした時点で、事業主から費用を借りた扱いとする仕訳です。

(2)クレジットカード払い分が口座から引き落とされたとき

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
仕訳なし

クレジットカード会社からの引き落としは個人用の口座にて行われるため、仕訳はありません。

デビットカードの場合

デビットカードで支払った場合、決済と同時に銀行口座から引き落としが行われます。したがって、仕訳は以下の1回のみです。

文房具300円を購入してデビットカードで支払ったとき

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 300 預金 300

電子マネーのポイントで支払いをしたときの仕訳

電子マネーのサービスの1つに、支払額に応じたポイントが付与され、決済時に利用できるというしくみがあります。ポイントで支払った場合には、雑収入として仕訳をすることになります。

1,500円の文具を購入し、電子マネーのポイントで支払ったとき

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 1,500 雑収入 1,500

ポイントを付与された時点では仕訳をせず、ポイントを使用した際に決済と同額の収入と見なし、雑収入として扱う方法です。

なお、全額をポイントで支払っていることを値引きがあったとして考えれば、仕訳なしとすることもできます。ただし、ポイントで購入した物品が10万円以上の場合は、減価償却が必要な固定資産となり、取得価額について税務調査などで指摘される可能性があるため注意しましょう。

個人事業主が電子マネーで売り上げたときの手数料の仕訳

電子マネーで売り上げた場合、売上金に対して手数料がかかることに注意が必要です。手数料が一括して引き落とされる場合と、売上ごとに手数料が差し引かれて入金される場合の2つについて解説します。

手数料が一括して引き落とされる場合

電子マネーによる売上の手数料が一括して引き落とされる場合、売上時、決済分の振込時、手数料の引き落とし時の3段階で仕訳を行います。

(1)商品の売上5,000円が電子マネーで決済されたとき

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
売掛金 5,000 売上 5,000

商品を売り上げた時点ではまだお金を受け取っていないため、借方科目は売掛金です。

(2)電子マネーでの決済分が振り込まれたとき

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
預金 5,000 売掛金 5,000

電子マネーの決済分が入金されたら、売掛金が回収されたと考えて仕訳をします。

(3)決済手数料500円が口座から引き落とされたとき

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
支払手数料 500 預金 500

電子マネーの手数料が引き落とされたときには、支払手数料などの費用科目を使用して仕訳を行います。

手数料が差し引かれて入金される場合

電子マネーによる売上から手数料が差し引かれて入金される場合の仕訳は2通りです。振り込まれたときに支払手数料として計上する方法と、売掛金の計上時に支払手数料を計上する方法について解説します。

振り込まれたときに支払手数料として計上する方法

電子マネーによる売上が振り込まれた時点で、支払手数料として計上する場合の仕訳は以下のとおりです。売上時と振込時の2段階で見ていきます。

(1)商品の売上5,000円が電子マネーで決済されたとき

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
売掛金 5,000 売上 5,000

商品を売り上げた時点ではまだお金を受け取っていないため、売掛金として仕訳を行います。

(2)決済手数料500円を差し引いた金額が振り込まれたとき

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
預金 4,500 売掛金 5,000
支払手数料 500

電子マネーの運営元から決済手数料を差し引いた金額が振り込まれた時点で、上記のように仕訳します。売上分の金額を売掛金の回収として貸方金額に記載しますが、借方金額には振り込まれた金額を記載してください。

売掛金の計上時に決済手数料を計上する方法

電子マネーによる売上を売掛金として計上するときに、決済手数料を計上する方法もあります。記帳するのは、売上時と振込時の2段階です。

(1)商品の売上5,000円が電子マネーで決済されたとき

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
売掛金 4,500 売上 5,000
支払手数料 500

商品の売上が電子マネーで決済された時点では、売上からあらかじめ決済手数料を差し引いた金額を売掛金として借方に記載してください。

(2)決済手数料500円を差し引いた金額が振り込まれたとき

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
預金 4,500 売掛金 4,500

売上から決済手数料を差し引いた金額が振り込まれたとき、売掛金を回収できたという扱いで処理します。
なお、売掛金の入金時に決済手数料を計上するか、売掛金の計上とともに決済手数料を計上するかにかかわらず、売掛金が入金されたらきちんと消込を行う必要がある点に注意してください。

電子マネーを効率良く仕訳して、確定申告に備えよう

電子マネーによる支払いを仕訳する際には、電子マネーの支払方式によって進め方が異なります。また、ポイントでの支払いや、売り上げたときの決済手数料の扱いなど、現金による取引とは異なる注意点があるため、基本的な仕訳の仕方を知っておくことが重要です。

電子マネーの支払いは事業用と個人用を分けておくと、取引履歴から月末にまとめて仕訳をしたい場合などに便利です。上記で紹介した簡易的な仕訳方法を選択することで、経理処理を効率良く進め、本業に専念しやすくなると考えられます。

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この記事の監修者齋藤一生(税理士)

東京税理士会渋谷支部所属。1981年、神奈川県厚木市生まれ。明治大学商学部卒。

決算書作成、確定申告から、起業(独立開業・会社設立)、創業融資(制度融資など)、税務調査までサポート。特に副業関連の税務相談を得意としており、副業の確定申告、税金について解説した「副業起業塾 新規タブで開く」も運営しています。

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