個人事業主・フリーランスの確定申告の必要性とやり方、青色申告のメリット

2023/03/01更新

この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

個人事業主やフリーランスにとって、年度末の一大行事といえば、確定申告です。しかし、今年初めて個人で事業を興した人や、確定申告をした経験がない人にとっては、「自分は確定申告をする必要があるのか」「どういった準備が必要なのか」など、わからないことも多いのではないでしょうか。

ここでは、確定申告の必要性や、節税の効果が高い確定申告方法のほか、注意点について詳しく解説します。

確定申告とは?

確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間の収入や経費を申告して、納めるべき税金を確定させることをいいます。所得税や住民税などの金額は、個々の所得によって決められるため、しっかりと確定申告を行い、いくら納税しなければならないのかを算出する必要があるのです。
会社員で給与所得がある人のほとんどは、給与や賞与から税金が天引きされていて、会社で行われる年末調整により所得税などが精算されるため確定申告は不要ですが、一定の収入を得ている個人事業主やフリーランスは自分で確定申告を行う必要があります。
確定申告をする必要があるのに確定申告をしないということは、本来納めるべき税金を納めないことになるため、罰則を受けることもあるのです。

なお、「個人事業主やフリーランス」という言い方をしたとき、両者は異なっていると思いがちですが、実のところ、明確な違いはありません。個人事業主は税務上の区分を表す言葉であり、フリーランスとは働き方のスタイルを表す言葉です。フリーランスとして働く人の中には、開業届を提出して事業を営む個人事業主もいるのです。

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確定申告は青色申告と白色申告の2種類がある

確定申告には、青色申告と白色申告という2つの方法があります。青色申告と白色申告とでは、帳簿付けの方法が異なっていて、青色申告は原則として複式簿記で帳簿をつけることが必要とされていますが、白色申告は簡易帳簿で良いとされています。
青色申告は白色申告より、手間がかかると思う人もいるかもしれません。しかし、青色申告を行えば、最大65万円の青色申告特別控除といった節税メリットがあります。

青色申告と白色申告の違いについての詳細は、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

青色申告と白色申告の違いとは?メリット・デメリットを解説

個人事業主やフリーランスが確定申告をするメリット

個人事業主やフリーランスは、確定申告をすることで納税の義務を果たすだけでなく、メリットも享受することができます。個人事業主やフリーランスが確定申告を行うと、具体的にどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

確定申告の控えが役立つときがある

個人事業主やフリーランスは、住宅ローンを組むときや、新たに賃貸住宅を契約するとき、または子供を保育園に入れるときなどに、確定申告の控えを収入証明書の代わりとして使うことができます。
個人事業主やフリーランスは確定申告を行うことで、さまざまなシーンにおいて自身の収入状況を証明することができるようになるのです。

控除を利用して節税できる

個人事業主やフリーランスが確定申告を行うメリットとして、節税できる場合があることが挙げられます。
確定申告では、さまざまな控除を受けることができます。確定申告の際に、受けられる控除をしっかりと申告することで、納税額を軽減することが可能です。

確定申告で受けられる控除については別の記事で解説していますので、参考にしてください。

確定申告で受けられる所得控除とは?所得控除の種類や条件を解説!

還付金をもらえる

年の途中で会社を退職して、個人事業主やフリーランスに転向した場合、原則として会社は退職した年の年末調整をしてくれません。会社を辞めて独立した人は、確定申告を行うことで所得税の還付金をもらえる可能性があります。また、職種によっては売上から源泉所得税が差し引かれて入金されるケースがあり、確定申告を行うことで所得税が還付される可能性があります。

青色申告では赤字を3年間繰り越すことができる

確定申告のうち青色申告をした人は、赤字を3年間にわたって繰り越すことができる、「繰越控除」という制度を利用できます。個人事業主やフリーランスの場合、経営が安定しなかったり、初期投資に費用がかさんだりして、事業が赤字になってしまうこともあるでしょう。青色申告をすれば、翌年の所得から、その赤字分を相殺することができます。
例えば、事業で去年は100万円の赤字となり、今年は500万円の黒字になった場合、去年の赤字分を差し引き、400万円の黒字として税金を算出することができるため、所得税を減らすことができるのです。
青色申告ではほかにも、「繰戻し還付」という制度を利用できます。繰戻し還付が適用されると、赤字を前年などの儲け(黒字)から差し引いて、所得税の還付を受けることができます。
繰戻し還付を受けるには、「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」を提出する必要があります。

個人事業主やフリーランスで確定申告が必要な場合・不要な場合

個人事業主やフリーランスの場合、事業所得を得ていたら確定申告を行わなければなりません。ただし、所得が48万円以下の場合は、確定申告が不要です。確定申告においては、所得から基礎控除の48万円が差し引かれた金額に対して税金が課されるからです。

とはいえ、所得が48万円以下で確定申告を行う義務がない人でも、確定申告を行ったほうがいい場合もあります。
前述のとおり、個人事業主やフリーランスの場合、さまざまなシーンで確定申告の控えを収入証明書の代わりとして利用することが可能です。
また、国民健康保険や住民税は所得額をベースに算出されるため、確定申告していないと本来支払うべき金額よりも高い金額が課されてしまう可能性もあります。

確定申告が必要な人と不要な人についての詳細は、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

確定申告が必要な人とは?確定申告をした方がいい場合も紹介

個人事業主やフリーランスが確定申告をしないとどうなる?

所得が48万円以上あり、確定申告を行う義務がある個人事業主やフリーランスが確定申告しなかった場合、本来納めるべき税金のほかに延滞税や無申告加算税、重加算税などが徴収される場合があります。

延滞税とは期限までに税金を納めなかった場合に課される税金です。無申告加算税は申告期限を過ぎたり無申告だったりした場合に課される税金であり、納付すべき税額に対して原則として15~20%が加算されます。なお、税務署の調査の事前通知前に自主的に申告した場合は5%に軽減されます。
重加算税は所得を故意に隠蔽したり、確定申告をしなかったりした場合に課される税金です。重加算税は納付すべき税額の35~40%と非常に重い徴税となります。
これらのリスクを回避するためにも、個人事業主やフリーランスは忘れずに確定申告を行いましょう。

確定申告をしない場合に生じるリスクについての詳細は、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

確定申告をしないとどうなる?リスクや遅れたときの対処法を紹介

確定申告の必要書類

続いては、確定申告で必要になる書類をご紹介します。なお、確定申告の書類の提出期間は、原則として、2月16日~3月15日までの1か月間です。

確定申告書B

個人事業主やフリーランスなどで事業所得を得ている方は、確定申告書Bを作成して提出します。確定申告書Bには、所得や控除金額などの申告内容を記入します。

確定申告書Bの書き方については別の記事で解説していますので、参考にしてください。

確定申告書Bの書き方と入手方法について

支払調書

取引先から源泉徴収された状態で報酬が支払われた場合は、1月頃に支払調書が送付されます。支払調書は確定申告のときに提出する義務はありませんが、確定申告書を作成するときに便利な場合もあるので、保管しておくのがおすすめです。

青色申告決算書

青色申告を行う場合は、青色申告決算書の提出が必要です。青色申告決算書は、損益計算書とその内訳、貸借対照表を記載する書類で、帳簿の内容をもとに記入します。
青色申告決算書には一般用様式と不動産所得用様式、農業所得用様式、現金主義用様式の4種類がありますが、事業所得を得ている個人事業主は一般用様式を使用します。

青色申告決算書の書き方については別の記事で解説していますので、参考にしてください。

青色申告決算書とは?書き方と提出方法を解説

収支内訳書

白色申告を行う場合は、収支内訳書の提出が必要です。売上や経費、仕入などの情報を、帳簿をもとに記入して、所得金額を算出します。
収支内訳書には、一般用用紙、農業所得用用紙、不動産所得用用紙の3種類があり、事業所得を得ている個人事業主やフリーランスは一般用用紙を使用します。

確定申告の期限に遅れたり、内容を間違えたりした場合はどうする?

確定申告の書類は、提出期限内であれば、万が一確定申告の内容に誤りがあった場合でも修正して提出し直すことが可能です。しかし、期限に遅れたり、内容を間違えたりした場合はどうしたら良いでしょうか。
続いては、確定申告の期限に遅れたり、内容が間違っていたりした場合の対処法をご紹介します。

確定申告の期限に遅れた場合の対処法

確定申告の期限に遅れてしまった場合、すみやかに税務署に申告することが重要です。期限後に確定申告すると無申告加算税が課されることになりますが、法定申告期限から1か月以内に自主的に申告したときや、期限内申告する意思があったと認められるときなどは、課税されない場合があります。

確定申告の内容が間違っていた場合の対処法

続いては、確定申告の提出書類の内容が間違っていた場合の対処法を、ケース別にご紹介します。

納める税金が多すぎた場合や還付される税金が少なすぎた場合

納める税金が多すぎた、もしくは還付される税金が少なすぎた場合は、更正の請求書を税務署長に提出することで税金が還付されます。請求できる期間は原則として、法定申告期限から5年以内となります。

納める税金が少なすぎた場合や還付される税金が多すぎた場合

納める税金が少なすぎた、もしくは還付される税金が多すぎた場合は、迅速に修正申告を行ってください。税務調査の通知を受ける前に自主的に修正申告すれば、原則として過少申告加算税を追加徴収されることはありません。しかし、税務調査の通知を受けた後で修正申告したり、税務署から申告税額の更正を受けたりすると、過少申告加算税を課される場合があります。誤りに気づいたら、すみやかに税務署へ申告しましょう。

確定申告の流れやポイントについては別の記事で解説していますので、参考にしてください。

確定申告のやり方は?基本的な流れとポイントを紹介

個人事業主やフリーランスはきちんと確定申告をしよう!

個人事業主やフリーランスは、確定申告を行う必要があります。納めるべき税金を正しく算出して納税するためにも、早めに確定申告の準備を進めておきましょう。
確定申告には、節税できるなどのメリットもありますし、確定申告を行うことで、経営状況を正確に把握して事業を安定、成長させることができるでしょう。

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この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
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