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個人事業主は携帯・スマホ代を経費にできる? 注意点やケース別の計上方法を解説

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個人事業主の携帯電話・スマホ代は経費にすることができます。ただし、携帯代を経費に計上する際にはさまざまな注意点やルールを守る必要があり、正しい知識がないと不正を疑われるリスクもあります。

そこで、携帯電話・スマホの本体代・通信費などの経費計上方法を解説します。「携帯代はいくらまで経費にできるか」や「領収書がないときはどのように対処するか」など、よくある疑問への回答も紹介するので参考にしてください。

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個人事業主の携帯電話・スマホ代は経費にできる

そもそも経費とは、事業主が事業を営むために支出した金額のことです。たとえば、打ち合わせに行く際の交通費、事務所の賃料や水道光熱費、業務で使用する備品の購入費などが経費にあたります。個人事業主・法人を問わず、私的な用途で生じた事業に直接関係のない支出は経費になりません。

個人事業主が携帯電話やスマホを事業に使用している場合には、以下のような費用を経費として計上できます。

  • 携帯電話・スマホの本体代
  • 月額基本料金+通話・通信料金
  • 周辺機器代(ACアダプター代)
  • 携帯の修理代 など

上記はすべて、帳簿へ記載する際に使用する勘定科目や経費計上方法が異なります。私的利用のある端末では上記の費用に関して「家事按分(かじあんぶん)」と呼ばれる処理を行い、プライベートにあたる部分の費用を除外する必要があることにも注意しましょう。

仕事用と私的利用する端末を分け、2台所持している人は、事業専用の携帯電話に関する費用のみを経費にすることができます。

プライベート兼用の携帯・スマホの場合は「家事按分」すること

個人事業主は携帯電話やスマホを法人契約せず、プライベート兼用にすることも珍しくありません。プライベート兼用の端末に関係する費用は家事按分したうえ、適切な金額を経費に計上します。

家事按分とは、プライベートと仕事で兼用しているさまざまなものに関する費用を、事業用と私的利用に区分することです。家事按分する際に使用する割合は、家事按分比率と呼ばれます。

携帯電話に関する費用の家事按分方法に明確なルールはないものの、通常は以下の通り、稼働時間や稼働日数を基準にして家事按分比率を計算します。

  • 1日の携帯電話の使用時間が16時間。その内の8時間は事業に関する使用、残り8時間は私的利用とみなした場合、家事按分比率は「50%」
  • 1か月を30日として、その内の20日を稼働日数とみなした場合、家事按分比率は「66.6%」

家事按分比率の適正水準は、取り組んでいる事業の内容や携帯電話・スマホの使い方によっても変化します。税務署から不正を疑われる状況に備えるためにも、家事按分比率の計算の根拠となる資料は大切に保管しましょう。これ以降の解説では、わかりやすさを考慮して家事按分比率を「50%」として例示していきます。

家事按分について詳細を知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。

「10万円未満」の携帯・スマホ本体を購入した場合の経費計上の方法

本体代を帳簿に記載する際のルールは、「取得価額が10万円以上か・10万円未満か」によって変化します。本体代が10万円未満の端末を購入した場合の経費計上方法は、以下の通りです。

事業専用(法人契約)の場合は?

10万円未満で事業専用の端末を購入した際には、「消耗品費」という勘定科目で全額を経費計上します。たとえば8万円のスマホを現金一括購入した場合の仕訳方法は、以下の通りです。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 80,000円 現金 80,000円

仮に従業員を雇用している個人事業主が複数台の端末を現金購入した場合も、1台当たりの本体代が10万円未満であれば、同様に「消耗品費」として計上でききます。以下は8万円のスマホ3台を購入した場合の仕訳方法です。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額 摘要
消耗品費 240,000円 現金 240,000円 8万円のスマホ3台分

台数や単価は、帳簿の摘要(てきよう)欄に記載しておく必要があります。

プライベート兼用の場合は?

1台6万円のプライベート兼用スマホを現金で購入し、家事按分比率を50%で処理する場合の仕訳は、以下の通りです。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額 摘要
消耗品費 30,000円 現金 60,000円 スマホ本体代
(事業用途:50%)
事業主貸 30,000円

事業とプライベートで兼用しているため家事按分していることがわかるよう、必ず摘要欄に家事按分比率を記載しておきましょう。

「事業主貸」とは事業用資金をプライベートに使った場合の勘定科目で、「事業主がプライベートの自分用にお金を貸してもらった」ことを意味します。事業主貸についてより詳細を知りたい場合には、以下の記事を参考にしてください。

「10万円以上」の携帯・スマホを購入した場合の経費計上の方法

本体代として10万円以上を支払い、経費計上する際には原則、耐用年数に応じた減価償却が必要です。一定の条件に該当していれば一括償却資産や少額減価償却資産の特例を利用して節税できる可能性もあるため、詳細を確認しておきましょう。

耐用年数に応じて減価償却が必要になる

本体代が10万円以上の場合は「備品」の勘定科目を使用して帳簿へ記載し、減価償却することが必要です。減価償却とは、長期に渡って使用する資産の取得価額を耐用年数で分割し、一定期間をかけて経費に計上することを指します。

耐用年数とは、固定資産が利用に耐える年数であり、減価償却の対象資産を何年かけて経費計上するかを示す年数でもあります。資産ごとの耐用年数は、国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表新規タブで開く」で確認できます。

携帯電話端末の耐用年数は国税庁の表に明記されていないものの、購入額が10万円以上であれば、「電話設備その他の通信機器」に該当する固定資産として耐用年数10年で減価償却します。スマホの場合はパソコン同様の「電子計算機」と解釈し、耐用年数4年とすることも可能です。

ただし、スマホ端末の寿命は一般的に長くても5年程度であるため、「電子計算機」として耐用年数4年を採用したほうが、実態に沿った形で計上できます。

また、減価償却費の計算方法には「定率法」「定額法」の2種類があり、法人と個人事業主では基本ルールが異なることに注意しましょう。個人事業主の場合、毎年同じ金額を計上する定額法で計算するのが原則です。ただし、一部の固定資産を除いては税務署に届出ることで定率法でも計算可能になります。

以下は、ある年の7月に18万円のスマホを現金で一括購入したときの減価償却費の計算式と仕訳例です。※会計期間は1月〜12月、耐用年数は4年とします。

◯減価償却費の計算
1年目:18万円×1/4×(6か月/12か月)=22,500円
2年目:18万円×1/4×(12か月/12か月)=45,000円
3年目:18万円×1/4×(12か月/12か月)=45,000円
4年目:18万円×1/4×(12か月/12か月)=45,000円
5年目:18万円×1/4×(6か月/12か月)=22,500円

◯購入時の仕訳

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
備品 180,000円 現金 180,000円

◯1年目の決算時の仕訳

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額 摘要
減価償却費 22,500円 備品 22,500円 減価償却1回目

なお、上記は、事業専用スマホを購入したときの仕訳です。プライベート兼用のスマホを購入したときには、家事按分したうえで経費計上する必要があります。

減価償却については以下の記事で詳しく解説しています。

一括償却資産として処理

本体代が10万円以上20万円未満の端末は個別に減価償却せず、一括償却資産とみなして処理できます。一括償却資産は、減価償却が必要な資産の取得価額を3年で均等に分割し、3分の1ずつ償却することが可能です。

参照:国税庁|一括償却資産とは新規タブで開く

一括償却資産は、白色申告・青色申告のいずれを選択している個人事業主にも利用が認められています。一括償却資産として処理すると年度のどのタイミングで端末を購入しても月割計算せずに3等分で処理できることから、事務作業の負担軽減が可能です。一括償却資産は通常の減価償却よりも短期間で取得価額の全額を経費計上できるため、早期の減価償却によって節税効果を狙えるメリットもあります。

18万円のスマホをその年の7月に現金購入した場合の仕訳例は、以下の通りです。

◯購入時の仕訳

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
一括償却資産 180,000円 現金 180,000円

◯決算時の仕訳

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
減価償却費 60,000円 一括償却資産 60,000円

個人事業主が一括償却資産を活用する場合には、青色申告決算書収支内訳書の「減価償却費の計算」欄に必要事項を記載する必要があります。

青色申告の場合は少額減価償却資産の特例を活用できる

確定申告で青色申告を選択している人は、「少額減価償却資産の特例」も活用できます。これは10万円以上30万円未満の固定資産の取得価額全額を一括で経費に計上できる特例です。

18万円のスマホを現金で購入し、少額減価償却資産の特例を利用する場合の仕訳方法は、以下の通りです。

◯購入時の仕訳

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
備品 180,000円 現金 180,000円

◯決算時の仕訳

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
減価償却費 180,000円 備品 180,000円

少額減価償却資産の特例については、以下の記事で詳しく解説しています。

携帯の月額基本料金と通話・通信料金の経費計上の方法

個人事業主が納税負担を軽減するためには、定期的に発生する経費を適切に計上し、課税所得を減らす工夫が必要です。毎月発生する携帯電話やスマホの月額基本料金や通話・通信料金は、以下の方法で経費に計上しましょう。

事業専用(法人契約)端末の場合

事業専用端末の月額基本料金と通話・通信料金は、「通信費」の勘定科目で経費に計上できます。以下は、2024年8月の月額基本料金と通話・通信料金の合計1,980円を銀行口座から支払ったときの仕訳例です。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額 摘要
通信費 1,980円 普通預金 1,980円 スマホ通信費2024年8月分

「通信費」は固定電話の料金やインターネットの使用料などを計上する際にも使用します。混乱を避けるため、スマホの通信費であることや利用年月などを摘要欄に明記しましょう。

プライベート兼用端末の場合

プライベート兼用端末の経費処理を行う際には本体代と同様、家事按分が必要です。以下は、家事按分比率50%でスマホを使用し、事業用の預金口座から料金全額を引き落とししている場合の仕訳例を示します。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額 摘要
消耗品費 990円 普通預金 1,980円 スマホ通信費
(事業用途:50%)
事業主貸 990円

摘要欄には忘れずに、スマホの通信費であることと家事按分比率を記載してください。

携帯・スマホの周辺機器などを購入した場合の経費計上の方法

事業に利用する携帯・スマホの周辺機器を購入した際にも、経費として処理できます。
経費計上できる周辺機器には以下のようなものがあります。

  • ACアダプター(充電器)
  • USBスタンド
  • スマホ保護フィルム
  • スマホカバーなど

これらの周辺機器はおおむね10万円未満で取得できることが想定されるため、経費計上する際には「消耗品費」の勘定科目を使用します。たとえば、1,000円のスマホ保護フィルムを現金で購入した場合の仕訳は、以下の通りです。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 1,000円 現金 1,000円

プライベート兼用の場合は同率で家事按分し、事業用分のみを計上してください。

携帯・スマホ修理費用の経費計上の方法

携帯電話やスマホが使用中に故障し、修理代が発生した際にも、経費として計上できます。修理代は「修繕費」の勘定科目で処理することが多いものの、「通信費」もしくは「消耗品費」の使用も可能です。

以下は、1万円の修理代を現金で支払った場合の仕訳例です。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額 摘要
修繕費 10,000円 現金 10,000円 スマホ修理代

従業員のいる個人事業主が従業員に貸与している携帯電話やスマホを修理した際の費用も、上記の方法で経費計上が可能です。

携帯・スマホの経費処理でよくある質問

以下では、携帯電話やスマホの経理業務についてよくある質問への回答をまとめました。

領収書がない場合はどうすれば良い?

個人事業主が経費を計上する際には基本的に領収書やレシートが必要です。端末購入代や通信費のレシート・領収書を紛失した際には、状況に応じた代替書類を証明書類として活用してください。

本体代の領収書:クレジットカードの明細書・入手金履歴を把握できる通帳のコピーなどで代用
月額基本料金や通話・通信料金の領収書:電子請求書などで代用

クレジットカードの明細書や通帳のコピーを使用する際には、必要に応じて支払い先や内訳などの詳細を追記しておきましょう。

携帯代はいくらまで経費にできる?

個人事業主やフリーランスが計上できる経費には上限が存在しません。仕事に必要な支出であること、事業内容に見合う適切な頻度や金額であることなどの前提条件を満たせば、全額を経費として計上できます。

事業に使う端末の費用も、前提条件を満たしていればすべて経費として計上が可能です。私的利用がある端末の携帯代も家事按分の計算根拠を明確にすれば、全額を経費として計上できます。

携帯・スマホ関連の経費は正しく経費計上しよう

携帯電話やスマホの本体代、通信費や周辺機器代などは適切な勘定科目を使用して経費に計上できます。ただし、事業に関係する支出のみが経費にあたることから、私的利用もある端末に関する費用は、家事按分が必要です。本体代が10万円を超える場合には、減価償却が必要になる点にも注意しましょう。

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この記事の監修者奥 典久(奥典久税理士事務所)

奥典久税理士事務所 代表

簿記専門学校で税理士講座講師として勤めたのち、会計事務所で勤務。その後独立し、奥典久税理士事務所を開業。相続(贈与)対策や事業承継コンサルティング経営、財務コンサルティングから各種セミナーなど、幅広く税理士業務に従事。

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