2022/02/28

青色申告には開業届が必要!開業届がない場合・出し忘れた場合はどうなる?

監修:
税理士法人 MIRAI合同会計事務所

個人事業主として事業を始めたとき、税務署に提出しなければならない書類が「開業届」(個人事業の開業・廃業等届出書)です。また、確定申告で青色申告を希望する場合は、あらかじめ「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
これら必要書類の書き方や提出方法がわからないと、確定申告直前になって慌てることになりかねません。また、提出を忘れてしまうと、青色申告ができず、青色申告ならではのメリットを受けられなくなります。
ここでは、白色申告と比較したうえでの青色申告のメリット・デメリットや、開業届や所得税の青色申告承認申請書といった青色申告に必要な提出書類などについて詳しく解説します。

開業したら青色申告と白色申告、どちらがいい?

確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。個人事業主は、1年間の所得をとりまとめて税金の計算をするために、必ずどちらかの方法で確定申告を行わなければなりません。

青色申告と白色申告の大きな違いは、税制上の優遇措置です。青色申告は、複式簿記による記帳などの適用要件を満たし、国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用して確定申告することで、最大65万円の控除が受けられます。一方、白色申告では、複式簿記で記帳をしたとしても、青色申告のような特別控除は受けられません。
また、青色申告を行う場合は、事前に所得税の青色申告承認申請書を税務署に提出する必要があります。期限内に青色申告承認申請書の提出を行わないと、その年は白色申告しかできません。

青色申告のメリット

青色申告は、控除額の大きさをはじめ、白色申告と比べて節税がしやすいという点が最大のメリットといえるでしょう。他にも次のようなメリットとデメリットがあります。

最大65万円の青色申告特別控除

青色申告では、白色申告にはない「青色申告特別控除」が適用できるメリットがあります。複式簿記による記帳をすることと、貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付し、控除適用金額を記載のうえ、確定申告期限(3月15日)までに申告書を提出することで、55万円の特別控除が受けられます。さらにe-Taxでの申告か電子帳簿保存を行えば、控除額が10万円増え、控除額は最大で65万円になります。

3年にわたって赤字を繰り越しできる

事業で赤字を出してしまったとき、青色申告では赤字を翌年以降3年にわたって繰り越すことができ、黒字と相殺して税負担を軽減することが可能です。白色申告では、過去の赤字を繰り越せないため、黒字と相殺することはできません。

家族への給与を経費にできる

白色申告では、家族に支払う給与は、原則として経費にはなりません。しかし青色申告では、あらかじめ「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出して一定の要件を満たせば、家族への給与を経費に計上することが可能です。

30万円未満の固定資産を一括経費計上できる

10万円以上の固定資産(パソコン、冷蔵庫、エアコンなど)を経費計上する場合は、基本的に法定耐用年数に従って分割して計上する必要があり、これを「減価償却」といいます。青色申告では、購入した30万円未満の減価償却資産を一度に経費にできる特例があり、節税につながるというメリットがあります。これは白色にはない制度です。

自宅の家賃や光熱費などを按分して経費にできる条件が、白色申告よりやさしい

自宅で事業をしている個人事業主の場合、家賃や光熱費、電話代など、事業用とプライベート用に明確に分けることが難しいケースがあります。青色申告ではこのような場合、各料金のトータル金額から事業に使用している割合を算出し、経費に計上できます。これを「家事按分」といい、例えば自宅の30%のスペースを事業に使っていたとすると、家賃の30%が経費と認められます。白色申告でも家事按分は可能ですが、「事業用と個人用が明確に区別できること」など、条件が厳しくなっています。

推計課税がない

白色申告は帳簿が簡易であるため、税務調査が入った際に、一部の資料をもとに経費が推計され、課税金額が実態よりも多くなる可能性があります(推計課税)。青色申告は、税務調査でも帳簿にもとづいた確認が行われるため、経費が推計されて実態よりも課税金額が高くなるというリスクがありません。

青色申告のデメリット

青色申告にもいくつかデメリットはあります。大切なのは、メリットだけでなくデメリットについてもしっかり把握することです。前述のメリットと対比したうえで判断することをおすすめします。

記帳に手間がかかる

最大65万円の青色申告特別控除を受けるためには、複式簿記で記帳する必要があります。会計ソフトを使えば簡単に帳簿を作成できますが、手作業で記帳する場合は簿記の知識がないと難しいでしょう。

青色申告承認申請書の事前提出が必要

青色申告をするには、青色申告承認申請書を所轄の税務署に提出しておく必要があります。この申請書は、原則として開業日から2か月以内に提出しなければなりません。期限内に提出できなかった場合は、青色申告ができるのは翌年以降になり、提出した年は白色申告を行うことになります。

白色申告のメリット

継続的な事業ではなく少額かつ一時的な副業といったケースなど、青色申告より白色申告の方が適している場合もあります。続いては、白色申告のメリットを見ていきましょう。

経理作業がシンプル

白色申告は単式簿記というシンプルな記帳方式で良いとされているため、青色申告に比べて手間がかからないのがメリットです。単式簿記は複式簿記に比べて経理作業が簡易であるとはいえ、会計ソフトを使えば手間はあまり変わらないため、あえて白色申告を選択するメリットは少ないかもしれません。

事前の申請が不要

青色申告と異なり、白色申告では事前に書類を提出する必要がありません。青色申告承認申請書を提出しなければ、自動的に白色申告を行うことになります。青色申告を行いたい、あるいは白色申告から変更したい場合には、所得税の青色申告承認申請書を提出しましょう。

白色申告のデメリット

経理作業に手間や時間がかからないのは白色申告の大きなメリットですが、白色申告にもデメリットがあります。ここからは白色申告のデメリットについて紹介します。

特別控除がない

青色申告では所定の条件を満たせば最大65万円の控除が受けられますが、白色申告にはそのようなメリットはありません。青色申告に比べて、白色申告の場合は控除できる金額が少ないという点がデメリットです。

赤字の繰り越しができない

青色申告では赤字を3年間繰り越すことができますが、白色申告では赤字の繰り越しができません。黒字の翌年に赤字になったり、赤字が続いた後に黒字になったりした場合、繰り越しによる相殺ができないため税負担が増えてしまいます。

節税効果のある青色申告の方がメリットは大きい

事業収入が少なかったり、経理作業が苦手だったりすると、手続きが面倒なので白色申告にしようと考える方もいるでしょう。しかし、青色申告で必要な帳簿の作成は、会計ソフトを使えば白色申告とあまり手間は変わりません。
また、青色申告をするために提出する青色申告承認申請書も、書き方や提出期限を守って税務署に提出するだけです。節税効果を考えれば、青色申告の方がメリットは大きいといえるでしょう。

青色申告に必要な開業届とは?

白色申告よりもメリットの大きい青色申告を行うには、個人事業を開始したときに所轄の税務署に開業届を提出する必要があります。開業届の提出方法や必要書類について見ていきましょう。

事業を開始したら提出する開業届

開業届とは、正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、個人で新しく事業を開始したことを税務署に届け出る書類のことです。青色申告、白色申告にかかわらず、事業を始めたときには開業届の提出が必要です。

開業届の提出期限日

開業届の用紙は、税務署の窓口か国税庁のWebサイトで入手できます。事業を開始した日から1か月以内に、所轄の税務署に提出しましょう。期限を過ぎてしまっても罰則はありませんが、開業届を提出しないと確定申告で青色申告を選択できません。そのため、開業したら忘れずに、期限までに届け出るようにしてください。

開業届を記入する際の注意点

開業届を記入する際に気をつけたいのが「納税地」です。自宅と事務所、店舗などの場所が異なるときは、どこを納税地にするかを決めましょう。開業届をはじめ、確定申告など税に関連する書類は、この納税地を管轄する税務署に提出することになります。どこを納税地にするか迷った場合は「税務署からの連絡を受けやすいのはどちらか」で考えると良いかもしれません。
また、「開業日」も迷いやすいポイントです。開業日を決めるための厳密なルールはありません。店舗などの場合は開店日を開業日とすることが多いですが、自分が開業したと認識した日や、開業届を提出する日にしても良いでしょう。

開業届の提出方法

開業届は、税務署の窓口に直接提出する方法や、郵送で提出する方法の他、e-Taxで提出することもできます。e-Taxで提出する場合は、マイナンバーカードとICカードリーダー/ライターが必要です。また、スマートフォンで「マイナポータルアプリ」をインストールして、マイナンバーカードを読み込むことも可能です。

なお、郵送で開業届を提出する場合は、マイナンバーカードの写しと切手を貼った返信用封筒を同封し、開業届の控えを返送してもらうようにしましょう。

開業届を出し忘れると不便なこと

開業届は、事業を開始した日から1か月以内という提出期限がありますが、開業届を提出しなくても特に罰則はありません。しかし、青色申告をするのに必要な所得税の青色申告承認申請書には開業日を記載する箇所があり、開業届の提出が前提となっています。開業した年から青色申告を希望するのであれば、開業届は必須といえるでしょう。
また、開業届の控えは、屋号で銀行口座を開設するときや補助金・助成金の申請、許認可手続きなど、さまざまな場面で提示を求められる可能性があります。期限が過ぎてしまっても提出は可能なので、必ず届け出るようにしましょう。

青色申告には青色申告承認申請書も必要

開業届を税務署に提出しただけでは、青色申告はできません。開業して青色申告を希望する方や、白色申告から青色申告に変更したい方は、納税地を管轄する税務署に所得税の青色申告承認申請書を提出しましょう。青色申告承認申請書を提出しないと青色申告を行うことができず、白色申告を行うことになります。

青色申告承認申請書の提出期限

青色申告承認申請書の用紙は、税務署の窓口または国税庁のWebサイトからダウンロードして入手できます。
開業した年から青色申告をしたい場合は、開業日から2か月以内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。原則として、開業日から2か月を過ぎると、開業1年目は青色申告ができません。
また、すでに事業を行っていて、白色申告から青色申告に変更する場合は、青色申告をしようとする年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出しなければなりません。原則として、3月15日を過ぎると、青色申告ができるのはその翌年からになってしまいます。
なお、相続によって事業を承継したケースでは、相続の開始を知った日などによって青色申告承認申請書の提出期限が異なるので注意が必要です。

青色申告承認申請書を提出する際の注意点

青色申告承認申請書に記入する際には、いくつかの注意点があります。
まず、その年から青色申告をしたい場合は、青色申告承認申請書に記載する開業日が提出前2か月以内である必要があります。開業届で記載した開業日を確認し、2か月以内に忘れずに青色申告承認申請書を提出してください。提出漏れを防ぐために、開業届と一緒に提出するのがおすすめです。その際の納税地は開業届と揃えて記入しましょう。
また、青色申告特別控除を受けたい場合は、申請書下部の「簿記方式」で「複式簿記」を、「備付帳簿名」では「総勘定元帳」と「仕訳帳」を選択します。

青色申告承認申請書の提出方法

青色申告承認申請書の提出方法は、税務署の窓口への提出、郵送、e-Taxの3種類の方法があります。郵送の場合は、青色申告承認申請書の控えと、切手を貼った返信用封筒を忘れずに同封しましょう。

開業届と青色申告承認申請書を出して青色申告をしよう

開業届と青色申告承認申請書は、書き方を知っていればすぐに記入でき、提出にあたって費用もかかりません。節税メリットの大きい青色申告を行うためにも、事業を開始したら忘れずにこれらの書類を提出しましょう。
青色申告と白色申告の違いを簡単にまとめると、「青色申告は記帳に手間がかかるが節税メリットが大きく、白色申告は記帳が簡単だが税負担が大きい」ということになります。青色申告で最大65万円の控除を受けるには、複式簿記での記帳が必要です。手作業では難しい帳簿付けも、会計ソフトを使用すれば簡単にできます。青色申告の手間を省き、賢く節税を目指しましょう。

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確定申告書類を自動作成。e-Taxに対応で最大65万円の青色申告特別控除もスムースに

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監修 税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。