副業でアンケートモニターが人気?種類やメリット・デメリットを紹介
監修者:齋藤一生(税理士)
2024/08/01更新
自分の都合の良い時間に取り組んで報酬を得られるアンケートモニターは、副業の初心者でも手軽に始められる仕事の代表格です。報酬はポイントで支払われるケースが多いため、「ポイ活」の一環として始める人も多いでしょう。
この記事では、副業でアンケートモニターを始める際に押さえておきたいアンケートモニターの種類や、副業で行う際のメリット・デメリットを紹介。副業でアンケートモニターを始める流れや、注意点も詳しく解説します。
アンケートモニターは、手軽に始められる副業の代表格
アンケートモニターには、さまざまな種類があります。依頼内容や依頼形式は案件により異なりますが、共通しているのは、「企業から依頼されたアンケートに答える仕事」といえるでしょう。
アンケートモニターは、企業から提示されたアンケートにスマートフォンやパソコンで回答し、その作業の謝礼として現金やポイント・商品券などをもらう仕事です。自分の都合の良い時間に取り組むだけで副収入を得られるため、手軽に始められる副業の代表ともいえます。
アンケートモニターの種類
一口にアンケートモニターといっても、協力する調査の方法はさまざまです。副業に人気のアンケートモニターには、どのような種類があるのか見ていきましょう。
Webアンケート:最も気軽に始められるが、単価は低め
Webアンケートは、スマートフォンで手軽に始められるアンケートモニター案件です。インターネットを使って好きな時間に取り組めるため、副業の初心者におすすめの仕事といえます。
ただし、誰でも気軽に取り組める仕事のため、単価は1件あたり数円~数十円程度の案件が大半です。多くの報酬を稼ぐことは難しいでしょう。
商品モニター:Webアンケートより単価は高い傾向
商品モニターは、企業の商品を一定期間試用し、評価や感想を回答する仕事です。企業は消費者のリアルな言葉を求める傾向があるため、気を遣わずに始められる点が特徴です。
商品モニターは、企業の対象商品を買い取る場合と、アンケート回答後に返送する場合があります。単価は企業の予算や求められる回答数により異なりますが、おおよそ500~5,000円程度と捉えて良いでしょう。
会場調査:拘束時間が長いため、単価は商品モニターよりも高い傾向
会場調査は、企業から指定された会場へ赴き、実際に商品やサービスを体験したうえで、評価や感想などを回答するモニター調査です。対象商品が食品や飲食店の場合、実際にサンプル食品を食べたり店の雰囲気を感じたりしたうえで、味や魅力の感想を回答します。
実際に会場まで足を運ぶ必要があるため、時間や手間はかかりますが、単価は前述の商品モニターよりも比較的高い傾向があり、おおよそ3,000~5,000円程度になることが多いです。
個別インタビュー:参加するには企業から選ばれる必要があり、単価も高価
個別インタビューは、企業が指定した会場に赴き、インタビュアーからの質問に応えるアンケートモニター案件です。
実際に会場へ赴く時間はかかりますが、拘束時間60~90分程度で、交通費を含み5,000~8,000円くらいの報酬を得られることもあります。電話やLINEなどの個別インタビューなどもありますが、コロナ禍からZoomなどを使用する環境が一般的になり、会場に行かずにオンラインでの個別インタビューも増えています。参加条件が合えば、全国どこからでも参加できます。単価は、会場訪問形式よりも若干安価の傾向があります。
グループインタビュー:回答内容に期待されている側面があり、単価も高価
グループインタビューは座談会モニターとも呼ばれ、座談会方式で行われるアンケートモニター案件です。企業は、その場で初めて会う人たちの会話を通して、商品の長所や短所をつかむ目的でグループインタビューを実施します。
グループインタビューの報酬は、調査の内容や拘束時間などによって異なりますが、90~120分程のグループインタビューの場合、おおよそ7,000~1万円程度になり、アンケートモニター案件としては高額といえます。
訪問インタビュー:移動の手間や時間が不要でありながら、単価は高価な傾向
訪問インタビューは、企業の調査員が自宅を訪れてインタビューを行うアンケートモニター案件です。案件により単価は異なりますが、数千円程度は支払われることが多いため、移動の手間や時間を加味すると、他のアンケートモニター案件や一般的なアルバイトよりも稼ぎやすい側面があります。
アンケートモニターを副業で行うメリット
アンケートモニターは気軽に始めることができるため、副業初心者にもおすすめの仕事といえます。アンケートモニターにはどのようなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。
スマートフォンで気軽にできるものが多い
アンケートモニターはインターネット環境やスマートフォンさえあれば初期費用がほとんどかからず、副業として始めやすい点がメリットです。仕事やプライベートの隙間時間に副業としてお金を稼げるのは、アンケートモニターのメリットです。
特別な知識やスキルがいらない
アンケートモニターの多くは、回答者のリアリティのある声を求める傾向があります。市場調査の側面があるため、特別な準備がいらない点は始めるうえでのメリットです。時には一定の職歴や資格などが必要なアンケートもありますが、案件の多くは特別な知識やスキルが求められないといえます。
労働時間が短いため、大きな負担にならない
アンケートモニターの多くは、拘束時間が短い傾向があります。本業がある場合も身体的・心理的に大きな負担にならない点はメリットです。
回答数が多く、時間がかかるアンケートモニターの場合は報酬の単価が上がる傾向もあるため、自分に適した案件を選べる点もメリットいえるでしょう。
アンケートモニターを副業で行うデメリット
アンケートモニターは副業として気軽に始めることができる点がメリットですが、デメリットもあります。具体的にどのようなデメリットがあるのかを見ていきましょう。
報酬が多くはない
アンケートモニターは誰でも簡単にできる点がメリットです。一方で、最低報酬の相場は数百円程度と、単価は安い傾向があり、多くの報酬を得ることは期待できません。案件を数多く請け負えば、月に数万円稼ぐことも不可能ではありませんが、効率の面で難しいともいえます。
また、アンケートモニターの報酬は、現金ではなくポイントで支払われることもあります。ポイントを多く貯めれば現金と同じように使い勝手が向上しますが、自身が普段使用しているポイントでない場合は、使い道に困る点はデメリットです。
継続的に案件を獲得する必要がある
アンケートモニターの特徴としては、単発案件が多い点が挙げられます。そのため、アンケートモニターの案件は、自発的かつ継続的に探し続ける必要があります。
前述の座談会や個別インタビューなどは単価が高い傾向にありますが、その分ライバルも多くなり、すぐに募集が締め切られてしまうこともあるでしょう。継続的に案件を獲得していくことに労力がかかる点は、副業としてはデメリットといえます。
本業の企業で、副業禁止の可能性もある
副業は法律や憲法では禁止されていません。2018年1月には、厚生労働省公開の「モデル就業規則」が改定され、労働者の遵守事項の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定削除と副業・兼業について規定を新設しました。さらに、2020年9月の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の改定に伴い、副業・兼業についての記述が改訂されています。
ただし、企業が副業禁止としている場合や制限を設けていることはあります。企業によっては就業規則に「副業を行う際は届出をすること」と記載されていることもあります。
また、労働基準法第38条第1項において「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と規定されています。
法律や憲法では副業が禁止されていなくても、本業の企業が従業員の副業を容認していない場合、トラブルとなる可能性は捨てきれません。副業を始める際には、本業の就業規則をしっかりと確認しておくことと労働時間を管理することが重要といえます。
- 【参考】厚生労働省:副業・兼業
副業でアンケートモニターを始める流れ
実際に副業でアンケートモニターを始める際は、どうすれば良いのでしょうか。ここからは、副業でアンケートモニターを始める流れを紹介します。
1. 発注者となるアンケート会社やリサーチ会社に個人情報を登録する
まずは発注者に登録します。登録はインターネットで完結することが大半です。登録内容としては、自身の名前・連絡先といった個人情報や、趣味、得意分野、家族構成、資産情報などが挙げられます。
個人情報を登録することに戸惑いがある場合は、事業者による個人情報の取り扱いが適切であると評価されている「プライバシーマーク」取得済みのWebページを優先的に選んでも良いでしょう。プライバシーマークを取得している事業者は、大手の優良サイトである傾向にあります。
2. 発注者から送られてくるアンケートに回答する
登録済みの発注者のアンケートモニター案件に応募すると、アンケートが送られてきます。アンケートの回答の所要時間は企画によりさまざまです。短時間で完了する簡単なアンケートは報酬が低く、回答に時間がかかる、もしくは専門的な知識が必要な場合は高くなる傾向があります。
3. 謝礼を受け取る
アンケートに回答すると、謝礼を受け取ることができます。案件内容によりますが、謝礼は現金ではなく、ポイント報酬という形で送られてくることが大半です。1ポイント1円の場合は、500ポイントなど一定額に達すると現金として振り込む会社もあるため、コツコツと貯めていきましょう。Amazonギフトカードなど、利用したいサービスのポイントに交換できることもあります。現金やほかのポイントに換金・交換できる場合も1ポイント=1円で換金・交換できるとは限りません。比率が設定されていたり、100ポイント単位などポイントがまとまらないと使用できないなどもあるので、そのあたりも認識しておきましょう。
アンケートモニターを行う際の注意点
アンケートモニターは初期費用や特別な準備が不要であり、副業として気軽に始められますが、いくつか気をつけておきたい点もあります。アンケートモニターを始めるにあたっての注意点を紹介します。
仕事を受ける前に報酬額は必ず確認する
仕事を受ける前には、必ず報酬を確認するようにしてください。アンケートの企画内容や回答期限までのスケジュールなどを確認し、報酬が見合っていると判断してから引き受けましょう。
前述のように座談会や個別インタビューなどは報酬が高額になることもあります。しかし、決められた日に指定会場へ赴く必要があるため、手軽さには欠けます。
一方、Webアンケートは気軽に始められますが、報酬は1つのアンケートにつき数円~数十円程度であることがほとんどです。まとまった収入にはならないため、「少しでも稼げるならやろう」といった気持ちで請けてみてはいかがでしょうか。
Webアンケートで手軽に稼ぎたい場合は、複数のアンケート会社やリサーチ会社に登録する方法もあります。検討できる案件数が多くなると稼げる機会も多くなり、少額案件でもまとまった金額を手にすることが期待できます。
良い案件がないかチェックは怠らない
報酬額が比較的高額で人気のある案件は、モニター募集開始後すぐに終了することが予想されます。どのような案件が募集されているか、毎日のチェックは怠らないようにしましょう。
企業から送られてくるメールやアンケートサイトの確認を定期的に行っていれば、報酬額の高いアンケートにも素早く対応することができます。
回答は誠意を持って行う
気軽に行えるアンケートであっても、回答は誠意を持って行いましょう。アンケートの運営会社によっては、登録された個人情報とアンケート内容との齟齬をチェックしている可能性もあります。個人情報と回答内容に矛盾があると、それ以降はアンケートの案件情報が送られてこなくなるリスクもあるのです。
また、質問内容を明らかに読んでいないような回答であったり、内容に一貫性がない回答をしていたりすると、登録抹消といったペナルティが課せられる可能性もあります。
秘密保持に同意したことを忘れない
アンケート内容で知った情報を第三者に漏らすなど、秘密保持に違反する行為には気をつけましょう。アンケートモニターに登録した際や、案件のアンケートに回答する前には、秘密保持への同意が求められているはずです。
例えば、商品モニターの場合、公表前の商品やサービスの内容に触れることもあります。案件を通じて得た情報を他人に話すのは契約違反です。SNSなどに案件で知った内容を書き込むのも絶対に避けてください。
ポイント(報酬)には有効期限があることがある
アンケートモニターの案件で獲得したポイントには、有効期限が定められていることがあります。地道に貯めてきたポイントが、有効期限切れで失効となったら、費やした時間と労力が無駄になってしまいます。
ポイントはできるだけ早めに換金するか、ネットショッピングなどで利用しましょう。保有ポイントの有効期限の確認は、必ず定期的に行ってください。
アンケートモニターの安全性
アンケートモニターは、発注者の顔が判別できないため、不安を覚える人がいるかもしれません。
確かに、「簡単に稼げます」などとアンケートモニター募集を装い、実際には詐欺の案件だったという可能性がないとは限りません。モニターとして指定された商品を購入したにもかかわらず、その購入額や報酬が支払われないといった被害の例もあるようです。いかなる形であれ、自分が先に支出をしなくてはならないような案件にはか変わらない方が無難でしょう。
アンケートモニターを募集している企業を選別する際に重要となるのは、個人情報の取り扱いです。前述しましたが、プライバシーマークを取得している企業であれば安全性は高いといえます。プライバシーマークは、日本産業規格(JIS)が定める「JIS Q 15001 個人情報保護マネジメントシステム―要求事項」に適合して、個人情報保護の基準を満たしていると認定された企業が使用できるマークだからです。
また、インターネットで該当企業の口コミを検索し、問題となった事例や被害に遭った人、危険な目に遭った人はいないかを確認することも有効です。
アンケートモニターは、副業として誰でも簡単に行えます。だからこそ危険なWebページや詐欺案件が紛れ込む可能性があることは否定できません。アンケートモニターを始める際には、発注者が安全な会社かどうか、注意を払ってください。
副業でアンケートモニターをすると確定申告が必要?
副業でアンケートモニターを行う場合、確定申告が必要になるケースはあります。確定申告が必要となるのは、副業で得た雑所得が年間で20万円を超える場合です。
アンケートモニターで得た収入から経費を差し引いた雑所得が「年間20万円を超えている」人は、本業の会社で行われている源泉徴収とは別に、自身で確定申告を行う必要があります。なお、アンケートモニター以外の副業も行っていて、雑所得のトータルが20万円を超えていた場合も、同様に確定申告が必要です。
なお、20万円以下で所得税の確定申告をしない場合には住民税の申告が必要となるので注意しましょう。
副業で20万円を超える所得を得た際の確定申告についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
アンケートモニターの副業所得が20万円超の場合は確定申告を
アンケートモニターは、誰でも気軽に始めやすい副業です。高収入を得るのは難しいものの、隙間時間に稼ぐことができ、難易度も低いため副業をスタートするきっかけとしては最適な仕事かもしれません。
本記事で紹介したように、案件によっては詐欺などに巻き込まれる可能性がないとはいえないため、注意すべきポイントはしっかり押さえておきましょう。
なお、副業の所得が20万円を1円でも超える場合は、所得税の確定申告を行う必要があります。副業の所得が20万円以下であっても、医療費控除の適用などで確定申告をすることが必要な場合は、副業の所得を含めて正確に申告することが必要です。確定申告書の作成は知識も必要です。副業の場合、帳簿作成は義務ではありませんが、売上から経費を差し引いて計算するなどでは帳簿をつけておいた方が管理や集計がしやすいので、帳簿をつけておくことをおすすめします。また、帳簿があると収入規模によっては事業所得として申告できるケースもあるでしょう。
また、アンケートモニターなどで貯めた現金やポイントは、役務の対価となります。したがって、ポイントを現金化した際に、普通に働いて報酬を得たのと同じです。
一方、モニターの募集費用や提供する商品の代金、謝礼金などを企業側は広告宣伝費として処理します。
広告宣伝費の消費税を仕入税額控除するために消費税の課税取引として処理する必要があります。
2023年10月からインボイス制度が開始されています。消費税の扱いがどのようになっているかもを各モニターサイトで確認をしておきましょう。
バックオフィス業務は弥生のクラウドソフトで効率化
事業所得になる副業の確定申告は会計ソフトを使って楽に済ませよう
会社員などが副業をした場合、副業の所得が20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。副業の収入や報酬から源泉徴収をされているなら、確定申告をすれば納めすぎた税金が返金される可能性が高いでしょう。ただ、所得税の確定申告をするには、書類の作成や税金の計算など面倒な作業が多いため、負担に感じる方もいるかもしれません。
事業所得になる副業は、帳簿付けが必要です。そんなときにおすすめなのが、弥生のクラウド確定申告ソフト『やよいの白色申告 オンライン』です。『やよいの白色申告 オンライン』はずっと無料で使えて、初心者や簿記知識がない方でも必要書類を効率良く作成することができます。e-Tax(電子申告)にも対応しているので、税務署に行かずに確定申告をスムースに行えます。
副業の所得区分を事業所得・雑所得どちらにするか迷っている場合、まずは帳簿付けをしておきましょう。事業所得で確定申告する場合は帳簿が必要です。雑所得の場合、帳簿付けの義務はありませんが、売上や仕入・経費などの集計に帳簿がある方が便利です。
なお、『やよいの白色申告 オンライン』では、雑所得の収支内訳書と所得税の確定申告書は作成できません。もし、『やよいの白色申告 オンライン』で作成した収支内訳書から確定申告書を作成すると自動で「事業所得」に集計されます。国税庁の確定申告コーナーで、自分で収支内訳書と確定申告書に転記して申告をしてください。
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