2022/4/15更新 合同会社とは?合同会社の特徴や役職、メリット・デメリットを解説

合同会社は、2006年5月施行の会社法によって新しく生まれた法人形態です。株式会社と比べると新しい法人形態ですが、会社設立の際に合同会社が選ばれるケースも増えてきています。しかし、「合同会社とはどのようなものなのかよくわからない」という方はいるかもしれません。ここでは、合同会社の特徴や、株式会社とは異なる役職、メリット・デメリットについて解説します。

2006年施行の会社法で設けられた合同会社

合同会社とは、2006年5月の会社法施行で新しく設けられた会社形態で、日本版LLC(Limited Liability Company)とも呼ばれています。現在、日本で新しく設立できる会社の形態は、「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4種類で、合同会社はそのうちの1つです。
合同会社は、日本ではまだ新しい会社形態ですが、設立件数は年々増加しており、法務省「登記統計 商業・法人 年次 2020年」(2021年5月公開)によると、2020年に初めて3万3,000件を超えました。

合同会社と株式会社の年間設立件数 2020年 合同会社 28%(3万3,236)株式会社 72%(8万5,688) 2019年 合同会社 26%(3万0,566)株式会社 74%(8万7,871) 2018年 合同会社 25%(2万9,076)株式会社 75%(8万6,993) 2017年 合同会社 23%(2万7.270)株式会社 77%(9万1,379) 2016年 合同会社 21%(2万3,787)株式会社 79%(9万0,405)

法務省「登記統計 商業・法人 年次 2020年」(2021年5月公開)をもとに作成

出資者と経営者が同一の会社形態

合同会社の特徴は、出資者と経営者が同一の会社形態だということです。株式会社の場合は、出資者である株主と会社を経営する経営者の役割が切り離されています。対して、合同会社は、「出資者(社員)=会社の経営者」です。合同会社の場合、出資者のことを社員といいますが、この場合の社員は従業員という意味ではなく、経営者を指しています。出資者(社員)は原則として、経営も行う必要がありますが、出資のみ行うケースについては後述します。また、合同会社は、出資者が経営を行うため所有と経営が一致しており、事業を行ううえで迅速な意思決定が可能です。

合同会社は持分会社の1つ

合同会社の特徴として、「持分会社」の会社形態をとっていることも挙げられます。株式会社以外の合同会社、合名会社、合資会社の3つを持分会社といい、持分会社は出資者自身が経営に対する決定権を持って業務を執行します。
合同会社と他2種類の会社との大きな違いは、社員の責任です。合名会社は会社の負債に対してすべて責任を負う無限責任社員のみで構成された会社で、合資会社は無限責任社員と限られた範囲の責任を負う有限責任社員からなる会社です。一方で合同会社は、株式会社と同様に、社員は全員有限責任社員となります。
また、合名会社、合資会社の新規設立数は減少傾向で、法務省「登記統計 商業・法人 年次 2020年」(2021年5月公開)によると、2020年度の合名会社、合資会社の新規設立数は合わせて年間100件をきっています。このことから、これからのトレンドは株式会社または合同会社といえるかもしれません。

合同会社の役職

合同会社と株式会社では異なる点がいくつかありますが、そのうちの1つが役職です。合同会社の役職を表すものには「社員」「業務執行社員」「代表社員」の3つがあります。それぞれ詳しく解説しましょう。

合同会社における社員

合同会社では出資者のことを社員といいますが、従業員という意味ではありません。合同会社は「出資者(社員)=会社の経営者」であり、原則としてすべての社員が会社の代表権と業務執行権を持っています。ただし、一般的には後述する代表社員が代表権を持っています。また、決定権の強さも、原則として出資金の額に左右されませんが、定款で出資金の額に応じるように定めることも可能です。

合同会社における業務執行社員

業務執行社員は、株式会社でいうと取締役兼株主にあたる役職です。合同会社では複数の社員がいる場合、業務執行権を持つ「業務執行社員」と、執行権を持たない「社員」を定款で定めます。定款で業務執行社員を定めると、それ以外の社員は経営に関わることができなくなります。ただし、業務執行社員以外の社員も、業務の遂行状態や財産状況の調査・監視を行うことは可能です。
なお、定款に業務執行社員と社員についての記載がなければ、すべての社員が業務執行社員ということになります。

合同会社における代表社員

代表社員は、株式会社での代表取締役にあたります。社員が複数人いる合同会社でそれぞれが代表権を持っていると、対外的な混乱を招いたり、会社の意思決定に時間がかかったりすることがあるかもしれません。そのため、合同会社では、社員の中から代表権を行使できる「代表社員」を定款で定めることが可能です。定款によって業務執行社員と社員を分けている場合は、代表社員は業務執行社員の中から選出します。
役員報酬の金額は定款で定めるか、毎年の定時社員総会で決定されます。ただし、事業年度開始日から3か月以内に決定しないと役員報酬の損金計上ができません。

代表社員の肩書き

合同会社の代表社員は、登記上では「代表者」となりますが、呼び方や肩書きに特に決まりはありません。そのため、名刺や自社のWeb上では「社長」などと自由に名乗ることができます。
一般的には、社長の他、「代表」「最高経営責任者」「CEO」「代表執行役員」といった肩書きが多く使われています。例えば、定款に「代表社員を社長とする」と明記しておくことで、他の社員が社長を名乗ることもなくなり、混乱を防げるでしょう。
なお、「代表取締役」は会社法により株式会社の代表者とされていますが、合同会社の代表者も名乗ることが可能です。ただし法律上、登記簿に記載される名称は代表社員となります。

合同会社のメリット

会社を設立する際に合同会社の形態にすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、合同会社のメリットを詳しく見ていきましょう。

株式会社よりも設立費用が抑えられる

合同会社の大きなメリットは、株式会社よりも設立費用が抑えられることです。会社を設立するには、法務局で登記する必要があります。株式会社の登録免許税は「資本金額×0.7%」となり、算出される金額が15万円に満たないときは15万円です。合同会社では「資本金額×0.7%」で、6万円に満たない場合は6万円となります。
さらに、株式会社は公証役場で定款の認証を受ける必要があり、その費用が3万円から5万円程度かかります。合同会社は定款の認証が不要なので、この認証費用もかかりません。つまり、株式会社では最低でも18万円程度かかる設立時の費用が、合同会社の場合は6万円程度で済むということになります。
少しでも支出を抑えたい創業時において、この差は大きいといえるでしょう。

設立にかかる時間が短い

会社のルールをまとめた定款は、合同会社も株式会社も作成することが義務付けられています。しかし、合同会社は公証役場で定款の認証を受ける必要がありません。定款認証は公証役場に出向いて手続きをする必要があるため、このプロセスを省ける分、株式会社に比べて設立にかかる時間が短くなります。

  • 合同会社の設立手順については、こちらの記事を併せてご覧ください。

所有と経営が一致しているため、会社経営の自由度が高い

株式会社の場合、会社の方針や重要事項を決定する際には、株主総会を開催する必要があります。対して、合同会社では株主総会の開催は必要ありません。合同会社の会社方針や重要事項の決定は、原則として全出資者(社員)の過半数の同意によって行われます。意思決定のフローは定款で定めることもできますので、よりスピーディーな仕組みにすることが可能です。
また、合同会社は不特定多数の第三者からの出資を想定していないため、会社経営に第三者が介入しづらいというメリットもあります。

決算公告の義務がない

合同会社には決算公告の義務がなく、決算公告に関する費用がかからないというメリットがあります。
一方で株式会社には、毎年必ず決算公告を行う義務があります。決算公告は、会社の成績や財務状況を出資者(株主)や債権者に明らかし、取引の安全性を保つために行うものです。また、一般的に、決算公告は官報に掲載するため7万円程度の費用がかかります。電子公告の場合であっても1万円程度の費用は必要です。

役員の任期がない

株式会社で通常2年、最長10年と定められている役員の任期は、合同会社では無期限です。そのため、役員の任期が終了するたびに発生する重任登記の登録免許税(1万円または3万円)が不要となる点も、合同会社のメリットです。

利益配分が自由に決められる

株式会社の利益は、出資者に配当という形で、出資比率に応じて出資者(株主)への利益配分が決まります。つまり、出資金が多い方ほど、多くの利益を受け取る仕組みになっています。
対して合同会社では、出資比率にかかわらず、定款によって利益配分を自由に決めることができます。技術力や業績など、出資額だけではない要素で利益配分を決められるのは、合同会社のメリットの1つです。

合同会社のデメリット

合同会社にはメリットがある一方、いくつかのデメリットもあります。合同会社の設立を検討する際には、メリットとデメリットの両方を知っておくことが大切です。

株式会社よりも知名度が低い

合同会社の数が増えてきているとはいえ、日本では会社といえば、株式会社のイメージが強いのが実情です。株式会社以外の会社形態との具体的な違いを理解している方は、それほど多いとはいえないでしょう。合同会社の知名度の低さから、取引先に「資金があまりない会社なのでは」と誤った先入観を持たれたり、採用の際に人材が集まりにくかったりすることがあるかもしれません。

出資者(社員)同士が対立すると意思決定が困難になる

定款で変更することは可能ですが、原則として合同会社は、「出資者(社員)=経営者」であるため、すべての出資者が同じ議決権を持っています。そのため、経営において迅速な意思決定ができるというメリットがある一方、出資者(社員)同士が対立すると、経営や業務に悪影響を及ぼす可能性があります。
出資者(社員)の意見がまとまっている場合や代表権を持った出資者(社員)が1人の場合は問題ありませんが、代表権を複数の出資者(社員)が持ち、意見が食い違ってしまうと、収拾がつかず、営業活動に支障が出ることもあるでしょう。

株式上場はできない

合同会社には株式という概念がないため、上場することができません。株式上場を目指すのであれば、最初から株式会社にするのか、株式上場をするタイミングで、株式会社に変更するのかも検討しておきましょう。

  • 合同会社から株式会社へ変更する手順については、こちらの記事を併せてご覧ください。

資金調達の方法が株式会社よりも限られる

株式会社とは異なり、合同会社では株(出資金)を売却することによる資金調達は困難です。合同会社の資金調達方法は、金融機関からの借り入れ(融資)の他、国や自治体の補助金や助成金が主な手段となり、株式会社よりも資金調達の方法が限定されます。

会社設立の手続きを手軽にする方法は?

合同会社は株式会社に比べて設立にかかる時間が短く、経営の自由度が高いというメリットがあります。最近では、会社を設立する際に合同会社を選ぶ経営者も増えてきました。しかし、初めて会社を設立する方が実際に手続きをしようとすると、それなりに労力はかかります。合同会社設立の手間をできるだけ省きたい場合は、無料のクラウドサービス「弥生のかんたん会社設立」がおすすめです。

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合同会社の特徴を知って起業の検討に役立てよう

合同会社には「出資者(社員)=会社の経営者」という特徴があり、合同会社で使用される役職も株式会社とは違います。会社経営の自由度が高いというメリットもあるため、迅速な判断が求められる創業期には、合同会社の方が適しているケースは多いかもしれません。株式会社に比べれば少ないものの、合同会社の設立件数も徐々に増えてきています。会社設立を検討する際には、合同会社の特徴やメリット・デメリットを把握したうえで、自身の事業に合った会社形態を選ぶといいでしょう。

著者:森 健太郎(もり けんたろう)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル 新規ウィンドウで開くを運営。
URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/ 新規ウィンドウで開く

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