1. 弥生株式会社
  2. 起業・開業ナビ
  3. 起業・開業お役立ち情報
  4. 個人開業の準備
  5. 開業届の提出に必要なものは?必要書類から出し方までの流れも解説

開業届の提出に必要なものは?必要書類から出し方までの流れも解説

更新

個人事業主として事業を開始したときは、税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書(以降、開業届)」の提出が必要です。

この開業届を提出する際には、事前に準備が必要なものもあります。提出時に必要なものが揃っていないと、再提出で二度手間になってしまうため、開業届と一緒に提出しておいた方がよい書類などと共に、あらかじめ確認しておきましょう。

ここでは、開業届の提出時に必要なものや、開業届と併せて提出しておくとよい書類、開業届の提出方法のほか、開業届を提出するメリットや注意点についても解説します。

【利用料0円】はじめてでもカンタン・安心な「開業届」の作成はこちらをクリック新規タブで開く

開業届を提出する際に必要なもの

開業届を提出する際には、以下のものが必要です。スムーズに提出できるように、事前に準備しておきましょう。

開業届を提出する際に必要なもの

  • 開業届
  • マイナンバーカード(またはマイナンバーがわかるもの)
  • 本人確認書類(マイナンバーカードがない場合)

個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)

開業届を提出する際に必要なものは、開業届を提出する際に必要なものは、作成済みの開業届です。正式な書類名は「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。
開業届の提出方法には、税務署の窓口、郵送、オンライン(e-Tax)の3種類があります。税務署の窓口や郵送で提出する場合には、開業届の用紙が必要です。開業届の用紙は、税務署の窓口で入手するか、国税庁のWebページ「個人事業の開業届出・廃業届出等手続新規タブで開く」からダウンロードできます。また、オンライン提出の場合は、e-Tax上で開業届を作成しましょう。

マイナンバーカード(またはマイナンバーがわかるもの)

開業届を提出する際に必要なものは、マイナンバーカード(またはマイナンバーがわかるもの)です。
開業届はマイナンバーを記載するため、マイナンバーカードなど、マイナンバーを確認できる書類も必要です。マイナンバーカードがない場合は、通知カードやマイナンバーの記載がある住民票などを用意しましょう。これらの書類は、次に解説する本人確認書類としても認められます。

本人確認書類(マイナンバーカードがない場合)

開業届を提出する際に必要なものは、本人確認書類です。
開業届の提出時にマイナンバーカードがない場合には、身元確認のために、本人確認書類の提示またはコピーの提出も必要です。

ただし、マイナンバーカードがあれば番号確認と身元確認の両方を兼ねられるため、他の本人確認書類は不要です。窓口提出の場合はマイナンバーカードの原本を提示し、郵送提出ならマイナンバーカードの両面をコピーして同封します。オンライン提出の場合にも、マイナンバーカードを利用した電子署名などで本人確認を行うため、別途、本人確認書類を用意する必要はありません。

マイナンバーカードがない場合は、以下の通知カードやマイナンバーの記載がある住民票などの「番号確認書類」と、運転免許証、パスポートなどの「身元確認書類」の両方が必要になります。窓口提出なら提示を、郵送提出ならコピーを同封します。

その他、書類への押印は不要になりましたが、税務署の窓口で直接開業届を提出する場合には、万が一書き直しが発生した際の訂正印として使用することがあるため、印鑑も持参しておくといいでしょう。

※個人事業主が開業時にやることについては以下の記事を併せてご覧ください

開業届と併せて提出しておくとよい書類

開業する際には、開業届と併せて提出しておいた方がよい書類があります。何度も税務署へ足を運んだり郵送したりするのは手間がかかるため、書類の種類や、どのような場合に提出が必要なのかを確認しておきましょう。

開業届と併せて提出しておくとよい書類

書類名 必要なケース 提出期限 提出先
所得税の青色申告承認申請書(青色申告承認申請書) 確定申告で青色申告を行う場合 青色申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内) 税務署
青色事業専従者給与に関する届出書 青色事業専従者の要件を満たす家族従業員への給与を経費にしたい場合 青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した場合や、新たに専従者を雇用することになった場合は、開業または雇用した日から2か月以内) 税務署
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 従業員を雇う場合 事務所の開設日から1か月以内 税務署
適格請求書発行事業者の登録申請書 インボイス制度に対応するために適格請求書発行事業者になりたい場合 登録希望日の15日前まで 税務署
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 従業員数が10名未満で、源泉所得税の納付を年2回にまとめたい場合 期限の定めなし(原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用) 税務署
事業開始等申告書 個人事業主として事業を始めるすべての人 自治体によって異なる 都道府県税事務所

所得税の青色申告承認申請書(青色申告承認申請書)

開業届と併せて提出しておくとよい書類は、所得税の青色申告承認申請書(以降、青色申告承認申請書)新規タブで開くです。
青色申告承認申請書は、確定申告で青色申告を行う場合に提出が必要な書類です。

青色申告承認申請書を提出すると、最大65万円の青色申告特別控除をはじめ、さまざま節税メリットのある青色申告ができるようになります。青色申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内)に青色申告承認申請書を提出しないと、その年は青色申告ができなくなってしまいます。忘れないように、開業届と併せて提出しておきましょう。

青色事業専従者給与に関する届出書

開業届と併せて提出しておくとよい書類は、青色事業専従者給与に関する届出書新規タブで開くです。
青色申告をしている個人事業主には、一定の条件を満たせば、家族に支払った給与を経費として算入できる青色事業専従者給与の特例を利用できます。上記の「所得税の青色申告承認申請書」と併せて、この「青色事業専従者給与に関する届出書」も提出しておかないとこの特例が適用されないため、忘れないようにしましょう。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

開業届と併せて提出しておくとよい書類は、給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書新規タブで開くです。
「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」は、従業員を雇用する場合に税務署へ提出する書類です。この届出書を提出することで、従業員の給与から源泉徴収した所得税を納付書などが送付されます。
なお、開業届の「給与等の支払の状況」欄に記載している場合には、従業員を雇用する場合でもこの書類の提出が不要になるため、覚えておきましょう。

適格請求書発行事業者の登録申請書

開業届と併せて提出しておくとよい書類は、適格請求書発行事業者の登録申請書新規タブで開くです。
「適格請求書発行事業者の登録申請書」は、適格請求書等保存方式(インボイス制度)に対応し適格請求書発行事業者になる場合に提出が必要です。
ただし、開業時にこの申請書を提出して適格請求書発行事業者になると、開業1年目から消費税の申告・納付義務が生じるため、提出する前によく検討しましょう。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

開業届と併せて提出しておくとよい書類は、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書新規タブで開くです。
雇用する従業員が10名未満で、源泉所得税の納期の特例を申請する場合に提出が必要な書類です。

従業員の給与から源泉徴収した所得税は、原則として、支払った月の翌月10日までに税務署に納付しなければなりません。しかし、給与を支払う従業員が常時10名未満の場合は、この申請書を提出すれば、源泉徴収した所得税の納付を半年に1回にすることができます。これが源泉所得税の納期の特例です。源泉所得税を毎月納付するのは手間がかかるため、従業員が10名未満なら提出しておいた方がよいといえるでしょう。

事業開始等申告書

開業届と併せて提出しておくとよい書類は、事業開始等申告書新規タブで開くです。
「事業開始等申告書」は、都道府県に個人事業の開始を知らせるために必要な書類です。自治体によって正式名称は異なり、「個人事業開業届出書」や「事業開始届」などと呼ばれることもあります。
提出先は、基本的に都道府県税事務所ですが、市区町村への提出が必要な場合もあります。また、提出期限も自治体によって異なり、例えば、東京都は事業の開始の日から15日以内が期限です。申告書の書式、提出期限、提出先などは、開業を予定する各自治体のWebページで確認してください。

※事業開始等申告書については以下の記事を併せてご覧ください

開業届を作成し提出するには手順がある

開業届を提出する際には、以下のような手順があります。スムーズに進めるためにも、提出までの流れをあらかじめ確認しておきましょう。

開業届を提出するまでの手順

  • STEP 1.
    開業届を入手する
  • STEP 2.
    必要項目を記載する
  • STEP 3.
    税務署に提出する

STEP 1. 開業届を入手する

まずは、開業届の用紙を入手します。開業届の用紙は、国税庁のWebページ「個人事業の開業届出・廃業届出等手続新規タブで開く」からダウンロードできるほか、税務署窓口でも入手可能です。

STEP 2. 必要項目を記載する

開業届を入手したら、項目に沿って、必要事項を記載します。記載項目は、納税地の住所や氏名、生年月日、マイナンバー、職業、所得の種類、開業日などです。屋号を付けたい場合は、屋号欄に記入しましょう。

※開業届の書き方や提出の仕方については以下の記事と動画を併せてご覧ください

STEP 3. 税務署に提出する

作成した開業届は、窓口で直接提出する以外にも、郵送やオンラインでの提出といった、3つの方法があります。提出先は納税地を所轄する税務署で、提出期限は事業を開始した日から1か月以内(提出期限が土日祝日にあたる場合は翌平日)です。

なお、e‐Taxを利用してオンラインで開業届を提出するには、インターネット環境に加えて、パソコンとマイナンバーカード、さらにマイナンバーカードを読み取るためのICカードリーダー/ライター(またはマイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォン)が必要です。また、e-Taxを初めて利用する際には、事前に利用者識別番号と電子証明書の取得が必要になります。

税務署に提出しに行く暇はないけれど、機器の準備や証明書の取得などの手間をかけたくないという方は、紙の開業届を郵送で提出することも検討してみましょう。

※開業届をe-Taxで提出する方法については以下の記事を併せてご覧ください

開業届を提出するとメリットがある

開業届を提出する主なメリットとしては、確定申告で青色申告を選べるようになることです。青色申告を行い、複式簿記による記帳やe-Taxによる申請などの要件を満たせば、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。

青色申告で複式簿記による記帳は大変だと感じる方もいるかもしれませんが、「やよいの青色申告 オンライン」などの確定申告ソフトを使えば、簿記の知識がなくても、スマホやパソコンで自動での複式簿記による帳簿の作成が可能です。

また、開業届を提出すると、赤字を最大3年間繰り越せたり、30万円未満の備品などを一括で経費計上できたりする(減価償却の特例)といった節税メリットもあります。さらに、事業者名義の銀行口座を開設できる、小規模企業共済に加入できる、事業の証明ができるなどもメリットといえます。

なお、青色申告は開業届を提出しただけではできないため、「青色申告承認申請書」も忘れずに提出するようにしましょう。

開業届を提出する際には注意点もある

開業届を提出する際には注意点もあります。
配偶者や親など、家族の健康保険の被扶養者になっていた場合は、開業届を提出すると扶養から外れる可能性があるため注意が必要です。被扶養者の条件は健康保険組合によって異なるため、開業届を提出する前に、家族の勤務先の健康保険組合などに確認しておいてください。また、会社を退職して、雇用保険の失業手当を受け取っている場合は、開業届を提出すると受給できなくなります。

なお、2025年1月以降は、開業届の控えの提出が不要になります。従来は、紙の開業届を窓口または郵送で提出する場合、控え(コピー)に受領印を押してもらえました。しかし、2025年1月以降、開業届や確定申告書など、税務署へ提出する申告書等の控えへの収受日付印の押捺が廃止となります。そのため、開業届を提出する際には、自身で控え(コピー)を保管・管理するようにしましょう。

※開業届を出すメリットやデメリットについては以下の記事を併せてご覧ください

開業の手続きを手軽にする方法

今回ご紹介してきたように、開業時には開業届の作成以外にも、さまざまな書類の作成や手続きを行わなくてはなりません。煩雑な個人事業主の開業手続きを手軽に行いたい場合は、「弥生のかんたん開業届」がおすすめです。

「弥生のかんたん開業届」は、画面の案内に沿って必要事項を入力するだけで、個人事業主の開業時に必要な書類を自動生成できる無料のクラウドサービスです。パソコンでもスマホでも利用でき、開業届をはじめ、「所得税の青色申告承認申請書」や「給与支払事務所等の開設届出書」などもスムーズに作成することができます。

また、開業後は、日々の帳簿付けや毎年の確定申告が必要になります。事業が本格的に動き出してから慌てることのないように、開業のタイミングで会計ソフトや確定申告ソフトを導入しておくといいでしょう。
クラウド確定申告ソフト「やよいの青色申告 オンライン」なら、簿記や会計の知識がなくても、最大65万円の青色申告特別控除の要件を満たす青色申告の必要書類が簡単に作成できます。

必要なものを揃えて開業届をスムーズに提出しよう

税務署へ開業届を提出する際には、開業届の用紙以外にも、マイナンバーカードや本人確認書類が必要です。また、開業にあたっては、開業届と併せて提出しておいた方がいい書類もあります。準備不足で余計な手間をかけないためにも、必要なものや提出する書類をあらかじめ確認しておくようにしてください。

また、「弥生のかんたん開業届」を利用すれば、開業届だけではなく、「所得税の青色申告承認申請書」や「給与支払事務所等の開設届出書」なども手間なく作成できます。特に、青色申告承認申請書は、期限までに提出しないと、その年は青色申告ができなくなってしまいます。便利なクラウドサービスを活用して、開業時に必要な提出書類をスムーズに準備しましょう。

この記事の監修者森 健太郎(税理士)

ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
起業相談から会社設立、許認可、融資、助成金、会計、労務まであらゆる起業の相談にワンストップで対応します。起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネル会社設立サポートチャンネル新規タブで開くを運営。

URL:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_mori/新規タブで開く

カテゴリ一覧

    人気ランキング

      初心者事業のお悩み解決

      日々の業務に役立つ弥生のオリジナルコンテンツや、事業を開始・継続するためのサポートツールを無料でお届けします。

      • お役立ち情報

        正しい基礎知識や法令改正の最新情報を専門家がわかりやすくご紹介します。

      • 無料のお役立ちツール

        会社設立や税理士紹介などを弥生が無料でサポートします。

      • 虎の巻

        個人事業主・法人の基本業務をまとめた、シンプルガイドです。

      事業のお悩み解決はこちら