週末起業とは?成功させるポイントや選ばれやすい起業アイデアを解説
監修者: 森 健太郎(税理士)
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本業を続けながら、週末の空いた時間を使ってビジネスを立ち上げることを「週末起業」と呼びます。
最近では、副業を認める会社が増えたり、起業が盛んになってきたりしたことで、本業とは別に複数の事業で起業する人も珍しくなくなりました。週末起業であれば、会社員としての安定収入を確保したうえで自らのビジネスを立ち上げたり、事業の実績を積んだうえで完全独立を目指したりすることが可能です。
ここでは、週末起業のメリットや注意点、週末起業を成功させるためのポイントのほか、選ばれやすい週末起業のアイデアも解説します。
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週末起業とは、会社を退職せずに週末を利用して行う起業
週末起業とは、会社を退職せずに本業の仕事を続けながら、週末の空いた時間を利用して起業することです。法人を設立するだけでなく、週末だけ個人事業主・フリーランスとして働くことも、週末起業にあたります。
ただし、本業が公務員の場合、副業することは法律で禁じられています。会社員の場合には、副業を禁じられていないか就業規則を確認するようにしましょう。
週末起業をするメリット
週末起業を行うと、本業とは別に自分のビジネスを持つことでキャリアに幅を持たせ、視野を広げることにつながるでしょう。週末起業には、主に次のようなメリットがあります。
週末起業をするメリット
- 本業以外に収入を得られる可能性が高まる
- リスクを抑えて起業ができる
- スキルアップを図れる
- 将来的に独立も目指せる
本業以外に収入を得られる可能性が高まる
週末起業のメリットには、本業以外に収入を得られる可能性が高まることがあります。
会社員が短期間で給与を大幅に上げるのは、なかなか難しいものです。その点、週末起業であれば、事業内容や自分の営業努力次第で、大きな収入源にできるかもしれません。
将来的に収入が増えれば生活にゆとりが生まれ、週末起業で手掛ける事業のさらなる成長を目指すことも可能です。
リスクを抑えて起業ができる
週末起業のメリットには、リスクを最小限に抑えてビジネスを始められることも挙げられます。
一般的に、起業にはリスクがつきものです。どれほど優れたビジネスアイデアだと思っても、思うように売上が上がらなかったり、想定外の損失が生じてしまったりすることは珍しくありません。
しかし、週末起業であれば本業を継続しながら行うので、事業で多少の失敗があっても大きなダメージを負わずに済むでしょう。
スキルアップを図れる
週末起業のメリットには、本業とは別にスキルアップを図れる点もあります。
会社勤めをしていると、やりたい仕事ばかりができるわけではありません。また、会社の規模が大きくなるほど、事業全体を把握するのは難しくなります。
週末起業なら、安定収入を得ながら、本業では経験できないビジネスの実践力を身につけることができます。ビジネスに対する視野が広がり、将来的なキャリアにも変化をもたらすかもしれません。
将来的に独立も目指せる
週末起業のメリットには、週末起業で事業が軌道に乗ったら、将来的に独立を目指すことができる点も挙げられるでしょう。
会社を退職してから独立する場合とは異なり、週末起業であればリスクの少ない状態から始めて、ある程度売上の見込みが立ってから独立することも可能です。「起業したいけれど、いきなり会社を辞めるのは不安」という方でも、独立するチャンスが広がります。
※独立開業については以下の記事を併せてご覧ください。
週末起業をするうえでの注意点
一方、週末起業を始める際には、注意したい点もあります。このような点を把握せずに始めてしまうと、週末起業で失敗してしまうかもしれません。次のような点に注意が必要です。
週末起業をするうえでの注意点
- 勤務先で禁止されている場合は処分の対象になることもある
- 確定申告が必要になる場合がある
- 長時間の労働によって心身の健康を損ねるおそれがある
- 本業に対して利益相反にならないよう、ビジネスの選択に制約がある
勤務先で禁止されている場合は処分の対象になることもある
週末起業の注意点には、始める前に本業の勤務先の就業規則を確認しておかないと、思わぬ処分の対象となってしまう可能性があることがあります。
就業規則で副業が禁止されている場合には、原則として週末起業はできません。勤務先に許可なく起業してしまうと就業規則違反とみなされ、処分の対象になる可能性があります。なお、公務員の場合は、副業が法律で禁止されています。
確定申告が必要になる場合がある
週末起業の注意点には、給与所得者は副業で年間20万を超える所得を得ると、所得税の確定申告が必要になることも挙げられます。
これは週末起業も例外ではなく、事業によって得た年間所得が20万円を超えたら確定申告が必要です。何もしなくても会社が手続きしてくれる年末調整とは異なり、確定申告では自分で所得や税額を計算して、期日までに申告書を提出しなければなりません。
ビジネスの事業内容によっては、飲食費や日用品などを経費にできるため、確定申告すれば節税することが可能です。
また、週末起業で継続的な収入がある場合は、税務署に開業届を提出しましょう。
※開業届については以下の記事を併せてご覧ください。
長時間の労働によって心身の健康を損ねるおそれがある
週末起業の注意点には、ビジネスが忙しくなった場合は本業に加えて長時間労働せざるをえず、心身の健康に支障をきたしてしまうリスクもあります。
本来休日である週末に事業を行うということは、同僚などが休んでいる間も働き続けている状態です。疲労や寝不足、ストレスによって健康に悪影響を及ぼさないように、無理のないスケジュールで週末起業に取り組む必要があります。
本業に対して利益相反にならないよう、ビジネスの選択に制約がある
週末起業の注意点には、本業に対して利益相反にならないようにしなければならないため、ビジネスの選択に制約がある点も挙げられます。
副業や兼業を認めている勤務先でも、利益相反行為は禁じていることがほとんどです。
利益相反とは、自分が週末起業によって出した成果が、本業の勤め先の不利益につながるような場合をいいます。
利益相反につながるような、本業で付き合いのある取引先に営業をかけたり、勤務先の情報を持ち出したりすることは絶対にやめましょう。本業と似た業種で週末起業をする場合には、特に注意が必要です。
週末起業を成功させるポイント
週末起業は少ないリスクで始められるとはいえ、できるだけ失敗を避ける工夫も必要です。また、本業を平日に行いながら空いた時間で業務を行わなければならないため、少ない時間を効果的に使うことが求められます。週末起業を成功に導くには、以下のようなポイントを意識するといいでしょう。
週末起業を成功させるポイント
- 本業の仕事と両立できる事業規模で起業できる業種を選ぶ
- 目標を立てて計画的に実行する
- 集中できる環境を確保する
本業の仕事と両立できる事業規模で起業できる業種を選ぶ
週末起業を成功させるポイントには、本業の仕事と両立が可能となる小規模の事業(スモールビジネス)からスタートすることがあります。
少額の資金で事業を始めれば、その分利益率も向上しますし、万が一事業に失敗したときのリスクも最小限に抑えられるはずです。
実際に、日本政策金融公庫の「2023年度起業と起業意識に関する調査」によれば、パートタイム起業家のうち46.3%が起業費用ゼロ、39.4%が50万円未満で事業を開始しています。
※スモールビジネスについては以下の記事を併せてご覧ください。
目標を立てて計画的に実行する
週末起業を成功させるポイントには、週末起業に限らずですが、事業を立ち上げる際には目標を立てて計画的に実行することが挙げられます。
特に週末起業の場合は、本業と無理なく両立させるため、時間配分などのバランスをよく考えなければなりません。同時に、取引先との打ち合わせ、プロモーション活動などを、限られた時間内でどのように実行していくか、現実的な事業計画を立てることも必要です。
短期的な目標と中長期的な目標の2つを定めたうえで、プライベートや本業の時間を圧迫しないような、無理のない実現可能な計画を立てましょう。
集中できる環境を確保する
週末起業を成功させるポイントには、働く環境が会社とは違うため、いかに集中できる環境を確保するかも挙げられます。
会社員の場合、週末起業で働く場所は、自宅中心になることが多いでしょう。「2022年度起業と起業意識に関する」でも、パートタイム起業家の60%近くが自宅の一室、または自宅に併設した場所で仕事をしています。
しかし、自宅で事業に取り組むとなると、周りの雑多なものが目に入ったり、電話や来客があったりして、なかなか集中できない方もいるかもしれません。集中力の低下は業務の質に直結するため、できるだけ集中できる環境を作ることが大切になります。
「自宅では気が散って仕事がはかどらない」という場合は、レンタルオフィスやコワーキングスペースなどを活用するのも1つの方法です。
弥生の起業支援パッケージ「起業・開業応援パック」を利用すれば、全国展開するシェアオフィスサービスのコワーキングスペースを、初回は無料で利用できます。不在中でも郵便物の受け取りや電話対応を代行するシェアオフィスや、登記する住所を借りられるバーチャルオフィスも活用できるので、週末ビジネスの業務効率化やコスト削減を図れるでしょう。
選ばれやすい週末起業アイデア
これから週末起業に挑戦したいという方に向けて、週末起業で選ばれることの多い業種についてご紹介します。どんなビジネスを始めるかを検討する際の参考にしてみてください。
選ばれやすい週末起業アイデア
- ブログ運営
- 技術提供
- ネットショップの運営
- コンサルタント
ブログ運営
選ばれやすい週末起業のアイデアには、自身で立ち上げたブログを運営し、広告収入を得る方法もあります。
代表的なものが、アフィリエイト(成果報酬型)やアドセンス(クリック報酬型)といった広告サービスを利用する方法です。
自分のWebサイトやブログ、SNS、メルマガなどで商品・サービスの紹介を行い、広告のクリックまたは商品・サービスが購入されることで、成果に応じた報酬を受け取ることができます。
安定した収入を得るには、ブログの定期的な更新に加え、検索で上位に表示するための対策(SEO)や文章スキルを学ぶ必要もありますが、仕入れや設備費がかからない分、起業リスクは低いといえます。
技術提供
選ばれやすい週末起業のアイデアには、プログラマーやエンジニア、ライター、デザイナー、イラストレーターなど、スキルを活かした技術提供も挙げられます。
自分が持っている技術を提供して収入を得るビジネスなので、起業資金がそれほどかからない点もメリットでしょう。営業活動をして企業などから直接受注する他、クラウドソーシングサイトを利用する人もいます。
ネットショップの運営
選ばれやすい週末起業のアイデアには、ネットショップの運営もあります。
インターネット上で商品を販売するネットショップなら、実店舗に比べて低い起業資金でショップ運営を始められる可能性が高いといえます。
最近では、Amazonのようなモール型ECサイトやかんたんにネットショップが作れるサービス、フリマアプリ、オークションサイトといったインターネット上の販売チャネルが多様化し、パソコンスキルがない方でもネットショップ運営を行いやすい環境が整いました。
アクセサリーや洋服といった商品の販売では、店舗に個性を出すことやターゲットの絞り込みを行うことで、他店との差別化が可能になります。
ハンドメイドが得意であれば、自分の作品をネットショップで販売するのもいいでしょう。
※ネットショップの始め方については、こちらの記事も併せてご覧ください。
コンサルタント
選ばれやすい週末起業のアイデアには、コンサルタントも技術を提供するビジネスの1つとして挙げられますが、より専門性の高い週末起業といえるでしょう。
専門知識やスキルを活かして問題解決に向けたサポートを行うコンサルタントは、場合によってはオフィスを構えなくても活動できます。マーケティングや財務、IT、金融、投資から恋愛、子育てまで、さまざまな分野で活動するコンサルタントがいます。
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週末起業なら少ないリスクで事業をスタートできる
本業を続けながら事業を立ち上げる週末起業には、生活基盤を心配することなく挑戦できることや、起業のリスクを最小限にできる、スキルアップを図れるなどのメリットがあります。「起業に興味はあるけれど会社を辞めるのは不安」という場合は、まずは小規模な週末起業で、自分のやりたいビジネスを試してみてはいかがでしょうか。
週末起業で実際にビジネスを始めてみると、それまで気付かなかった課題や市場ニーズが見つかるかもしれません。注意すべきポイントを抑えながら、週末起業でビジネスの成功を目指しましょう。
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この記事の監修者森 健太郎(税理士)
ベンチャーサポート税理士法人 代表税理士。
毎年1,000件超、累計23,000社超の会社設立をサポートする、日本最大級の起業家支援士業グループ「ベンチャーサポートグループ」に所属。
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