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給与所得控除とは?計算方法や早見表、申告方法などをわかりやすく解説

従業員の所得が一定額を超えると、所得税がかかります。また、所得税には税額負担を抑えられる控除制度があります。給与収入にかかる所得税の算定に用いる控除の1つが、給与所得控除です。

給与所得控除により差し引かれる金額は、給与収入金額で決まります。給与所得控除は税制改正により変更され、所得税額の計算に影響が発生するなど、その計算の煩雑さに頭を悩ませている担当者も少なくないでしょう。

本記事では、会社員などの給与所得控除に関する基本事項や計算方法について、担当者が注意するべきポイントをわかりやすく解説します。基礎控除との違いや、特定支出控除の概要、給与所得控除についてよくある質問についてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。

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給与所得控除とは

給与所得控除は、会社員やパート、アルバイトなどの給与所得者が受けられる所得税の控除制度の1つです。1年間の給与収入額に応じ、一定額を控除して給与所得額を算出します。給与所得者は、仮に文房具やコンピューターなどのように仕事上で使用するための支出があったとしても、税制上は経費として計上できません。そのため、給与所得控除という制度が存在しています。

給与所得控除と所得控除の違い

所得控除は配偶者控除、扶養控除、寡婦控除、障害者控除、生命保険料控除、医療費控除など個人的な事情によって税の負担を軽減する制度です。所得税を算出する式は「課税所得{給与所得(給与収入-給与所得控除)-所得控除}×税率(-控除額)=所得税額」となります。

給与所得控除と基礎控除の違い

給与所得控除は、給与収入がある人が対象です。その一方で基礎控除は、全納税者が対象者となる控除制度です。つまり、給与所得者であれば、給与所得控除と基礎控除の両方を受けられることになります。

基礎控除額には95万円、58万円、48万円、32万円、16万円の5種類があり、所得金額によって異なります。さらに2025年と2026年に関しては時限措置として88万円、68万円、63万円の3種類が設定され、計8種類がある状態です。基礎控除額は「令和7年度税制改正案」によって、納税者本人の合計所得金額に応じて以下のとおりに変更されます。

  • 132万円以下:95万円(従来の58万円に37万円上乗せ・恒久的措置)
  • 336万円以下:88万円(2年間の時限措置)
  • 489万円以下:68万円(同上)
  • 665万円以下:63万円(同上)
  • 2,350万円以下:58万円(特例の適用外)
  • 2,350万円超2,400万円以下:48万円
  • 2,400万円超2,450万円以下:32万円
  • 2,450万円超2,500万円以下:16万円
  • 2,500万円超:0円

なお、200万円超850万円以下は、現行の基礎控除額に2年間限定で30万円~5万円が上乗せされます(所得に応じ3段階で適用)。この改正で控除額が増えて、課税対象となる所得が減り、所得税の負担が軽減されます(「令和7年度税制改正案」に基づく)。

給与所得控除額と給与所得の計算方法

給与収入金額に応じて、給与所得控除で差し引かれる金額には計算基準が定められています。

給与所得控除の最低保障額は65万円ですが、令和7年度税制改正案によって、働き控えを防ぐことを目的として、収入(所得)に応じて基礎控除が大きく増額されます。これにより控除額は最大160万円(給与所得控除の最低保障額65万円+基礎控除額同95万円)になります。これが「160万円の壁」と呼ばれるものです。手取り収入が減ることを懸念し、パートやアルバイトで働く人が自ら働く時間を調整する要因となっていた控除額の合計103万円が、160万円まで引き上げられることになります。

特定支出控除とは

特定支出控除は業務に必要な支出を自身で負担した場合に受けられる控除のことを指します。支払った額が給与所得控除額の1/2を超える場合に、超えた分について適用されます。特定支出控除の対象となる支出は、所得税法で定められている特定の場合に対して、給与支払者が「特定支出」であると証明したものに限定されます。国税庁によると、特定支出控除の対象となる支出は以下の7項目です。

  1. 1.
    一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出(通勤費)
  2. 2.
    勤務する場所を離れて職務を遂行するための直接必要な旅行のために通常必要な支出(職務上の旅費)
  3. 3.
    転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出(転居費)
  4. 4.
    職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出(研修費)
  5. 5.
    職務に直接必要な資格を取得するための支出(資格取得費)
  6. 6.
    単身赴任などの場合で、その者の勤務地または居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出(帰宅旅費)
  7. 7.
    次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。)(勤務必要経費)
  1. (1)
    書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための支出(図書費)
  2. (2)
    制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための支出(衣服費)
  3. (3)
    交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)

引用:国税庁「No.1415 給与所得者の特定支出控除新規タブで開く

なお、この特定支出控除を受けるには、確定申告を行わなければなりません。確定申告書を提出する際には、項目ごとに内容や金額を記入した「給与所得者の特定支出に関する明細書」と、給与の支払者かキャリアコンサルタントが発行した証明書の添付が必要です。

また、特定支出のそれぞれの項目について、支出の事実と支出した金額を証明する領収書や「搭乗・乗車・乗船に関する証明書」などの書類を申告書に添付するか、申告書の提出時に提示することも求められます。

年末調整における給与所得控除の申告方法

「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」にて申告することで、給与所得控除を受けられます。その際、従業員自身が給与所得控除額を計算して自身の所得金額を算出する必要があります。

参照:国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和6年分)新規タブで開く

給与所得控除についてよくある質問

給与所得控除についてよくある質問をまとめました。給与所得控除についてわからないことがある方はぜひ参考にしてください。

給与所得控除の控除額はどのくらい?

給与所得控除の控除額は給与額によって異なり、最低額は65万円(※1)、最高額は195万円(※2)です。給与所得控除の控除額を計算する際は、控除額や対象などが変更になっていないか、随時確認しましょう。

  • 1令和7年税制改正案より
  • 2給与収入が850万円超で23歳未満の扶養親族を有する等一定の要件を満たす場合は、給与所得控除に所得金額調整控除(最高額は15万円)を加算して計算します。

給与所得控除の控除額を算出する方法について、詳しくは以下の記事もご参照ください。

所得税の計算の仕方は?

所得税の計算方法は以下のとおりです。

  1. 1.
    年間の「収入合計額」を計算する。
  2. 2.
    収入合計額から経費を引き、「所得」を算出する。
  3. 3.
    所得から所得控除額を引き、「課税所得」を算出する。
  4. 4.
    課税所得に所得税の税率を掛けて「所得税額」を算出する。

2025年3月4日に可決された改正案により、次の変更が適用されることになりました。

  • 年収200万円以下の人は恒久的に基礎控除をさらに37万円上乗せして95万円(160万の壁に引き上げ)
  • 年収200万円から850万円の人は2年間限定で所得により3段階で基礎控除を30万円から5万円上乗せ

これにより幅広い年収帯で税負担が今より2万円程度軽減される見込みです。控除制度や対象については、随時確認することが必要です。

所得税の計算方法について、こちらの記事で解説しています。

給与所得控除の基本を押さえて年末調整をスムーズに

給与収入にかかる所得税の算定に用いる控除の1つが、給与所得控除です。給与所得控除を行うには、基礎控除との違いや、給与収入金額、給与所得控除の計算方法などを正しく理解していなければならず、手間がかかります。また、令和7年度税制改正案は2025年3月時点で控除額について話し合いが続いている状態であり、変更点はないか、都度新しい情報を確認することが必要です。給与所得控除の基本をしっかり押さえて年末調整をスムーズに行いましょう。

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  • 2025年3月16日時点の情報を基に制作しています。

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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人古田土人事労務

中小企業を経営する上で代表的なお悩みを「魅せる会計事務所グループ」として自ら実践してきた経験と、約3,000社の指導実績で培ったノウハウでお手伝いさせて頂いております。
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