請求書番号とは?ナンバーの決め方やインボイス制度の登録番号も解説
監修者:辻・本郷税理士法人/辻・本郷ITコンサルティング
2024/08/06更新
請求書にはさまざまな記載項目がありますが、そのひとつに「請求書番号」があります。請求書番号の付与は義務ではありませんが、記載することで業務効率化や取引先との円滑なやりとりにつながるため、請求書を発行する多くの事業者が活用しています。
そこで本記事では、請求書番号の役割やつけ方のほか、つけるときの注意点などについて詳しく解説します。また、2023年10月1日からスタートするインボイス制度に伴う、請求書発行に関する変更点も見ていきましょう。
請求書番号とは各請求書に付与する番号のこと
請求書番号とは、その名のとおり請求書につける番号のことをいいます。例えば「001-20230410-0001」といった請求書固有の番号を、請求書の右上などに記載します。
請求書番号をつけることは、義務ではなく任意です。また、番号のつけ方にルールや規定はなく、自由です。そのため、請求書番号を記載しなくても、請求書の効力などに影響はありません。
しかし、請求書番号をつけることは、請求書を管理しやすくなることをはじめ、さまざまなメリットがあります。そのため、複数の取引先に請求書を発行する事業者や、販売管理システムを導入している事業者のほとんどが、請求書番号をつけた請求書を発行しています。
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請求書番号をつけるメリット
前述のとおり、請求書番号をつけることは任意ですが、記載することで業務効率化につながるさまざまなメリットが期待できます。具体的には、下記のような効果があります。
見積書や納品書と番号を合わせて管理がしやすくなる
請求書番号は、見積書や納品書と合わせてつけることが多いです。こうした書類と番号を合わせてつけることで、特定の取引に関する関連書類をまとめて管理しやすくなります。
関連書類に同じ番号をつけておけば、相互に内容を確認する際や、書類同士を関連つけながら処理するときの作業がスムースになるでしょう。見積書や納品書とセットで管理すれば、請求漏れや請求忘れ、書類の記載ミスの防止にもつながります。
取引先とやりとりがスムースになる
請求書番号をつければ、請求書を送付する取引先(請求先)とのやりとりやアフターフォローもスムースになります。請求先の担当者から請求書に関する確認や問い合わせがあったときも、請求書番号から、お互いに共通の認識を持って、該当する請求書の特定や内容の確認を迅速に行うことが可能です。
問い合わせに対してスピーディーかつ正確に対応できれば取引先からの信頼も得られ、良好な関係を構築しやすくなるでしょう。
請求書番号をつける方法
請求書番号のつけ方や書き方に決まったルールはないため、事業者独自の方法で番号を振って問題ありません。しかし、請求書を正確に管理するためにも、請求書番号は重複を避けたほうが良いでしょう。
ここでは、請求書番号を重複させずにつける2つの方法を見ていきましょう。
顧客番号・日付・取引番号の3つの要素で請求書番号をつける
請求書番号は、顧客番号・日付・取引番号の3つの要素を組み合わせてつける方法が一般的です。
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顧客番号
「A社は001」「B社は002」というように、取引先ごとに番号を振ります。顧客番号は、取引先コード、得意先番号、得意先コード、請求先番号、請求先コードなどの呼び方もありますが、請求書の発行先を指すものとして同じ意味です。自社での呼び方や使用しているものに読み替えてください。
例えば、3桁でつけていけば、最大999件までの顧客番号を振って管理することができます。顧客数が1,000件を超える場合、1,000件目で番号が振り出しに戻って重複する可能性があるため、取引先の数に合わせて桁を決めましょう。 -
請求書を発行する日付
請求書の発行日付に合わせて、番号を附番します。例えば、請求書の発行日が2023年4月10日であれば「20230410」を入れるといったつけ方です。 -
取引番号(請求書を発行した回数)
その顧客へ請求書を発行した回数を、取引番号として振ります。例えば、初めて発行する請求書の場合は「0001」、再発行の場合は「0002」という番号を振ります。
請求書番号の例
上記3つの要素を組み合わせることで、重複しない請求書番号をつけられます。
顧客番号が「001」のA社に対して、2023年4月10日に初めて請求書を発行する請求書番号は、「001-20230410-0001(顧客番号-請求書発行日-取引番号)」です。
請求書発行システムを利用する
請求書発行システムを利用すれば、請求書番号のルールを設定することで請求書作成時に自動的に番号をつけることができます。
例えば、請求書作成ソフト「Misoca」なら、日付や取引先管理コードなどを使って、好きな形式で請求書番号のルール設定ができます。任意の文書番号ルールを設定すれば、自社が管理しやすい番号をつけることも可能です。
請求書の発行システムについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
請求書番号をつける際の注意点
前述のとおり、請求書番号のつけ方には決まったルールがありません。しかし、重複を避けるためにも、番号をつけるメリットを活かすためにも、独自の番号のつけ方を決めて、それにもとづいて番号を振ることが重要です。
請求書番号をつける際には、ほかにもいくつか注意すべきポイントがあるため、ここで確認しておきましょう。
見積書や納品書など関連する書類には同じ番号をつける
請求書を送付する取引先には、請求書だけでなく見積書や納品書なども発行することがあります。こうした請求書の関連書類に同じ番号をつければ、請求書発行時にその書類同士を関連付けて確認したり管理できるようになります。
例えば、見積書の「見積書番号」と同じ番号を請求書番号として振れば、請求書発行時に取引先に発行した見積書の金額と請求書の金額に違いがないか、確認しやすくなるでしょう。
さらに、見積書に加えて、商品やサービスの納品時に発行する納品書にも「納品書番号」として同じ番号を振り、請求書番号も共通で同じ番号を使用すれば、見積書・請求書・納品書の3つの書類をまとめて管理できるようになります。
請求書番号を重複させない
請求書番号は、請求書ごとに固有の番号を付与することで、請求書の特定ができるようになります。そのため、請求書番号は必ず重複しないものをつけることが大切です。
請求書番号が重複すると、内容は異なるものの請求書番号が同じ請求書が複数存在することとなり、請求書番号だけでは確認したい請求書を特定できなくなってしまいます。
特に注意したいのが、請求書番号の付け方がルール化できていない場合やルールがあっても簡易的な場合です。例えば、請求書番号の桁数が1桁や2桁と少ないと、番号を付与できる数も限られるため、請求書を発行し続けるうちに重複する可能性があります。重複を防ぐためにも、桁数は余裕を持たせて3桁や4桁など、多めに設定することがポイントです。
また、複数の取引先に同じ請求書番号が発行されていないかどうかにも注意しましょう。複数の取引先に同じ請求書番号が発行されていると、請求先や請求内容を間違えたことに気づかないまま、請求書を発行してしまう可能性があります。
請求書番号の重複防止には、請求書発行システムが役立ちます。設定した番号付与のルールにもとづいて、自動的に重複を防ぎながら番号をつけられるためです。
インボイス制度開始に伴う請求書の記載項目の変更点
2023年10月1日からインボイス制度が開始されます。インボイス制度は、消費税の仕入税額控除の方式の一つです。売手側が買手側に対して、「適格請求書(インボイス)」を発行することで正確な適用税率や消費税額等を伝え、買手側は、これを保存することにより仕入税額控除ができます。
なお、適格請求書には記載要件があり、請求書をはじめとして適格請求書に該当する証憑書類は、その記載要件を満たしている必要があります。
インボイス制度開始後、適格請求書を発行する適格請求書(インボイス)発行事業者は、請求書を作成する際に、次の2つの点に対応する必要があります。
適格請求書(インボイス)発行業者の登録番号を記載する
適格請求書発行事業者の登録番号は、適格請求書の記載要件のひとつです。登録番号の記載がなければ適格請求書として取り扱うことができません。
登録番号は、マイナンバーや法人番号と重複しない、事業者ごとの番号です。請求書番号と混同しないように気をつけましょう。
適格請求書発行事業者の登録番号を取得するには、詳細は「適格請求書発行事業者になるには?手順や必要書類について解説」の記事をご覧ください。
税率ごとに区分して合計した適用税率と消費税額を記載する
インボイス制度では、適格請求書発行事業者が発行した「適用税率」(10%、8%)と「税率ごとに区分した消費税額等」が記載されたものが適格請求書となります。
請求書番号を活用して業務効率化につなげよう
請求書番号をつけることで、請求書や関連書類の管理業務が効率化されるうえ、取引先からの問い合わせにもスムースに対応しやすくなります。数ある書類の中でも請求書は特に重要度の高い書類のため、重複しない番号のつけ方を定めたうえで、発行・管理していきましょう。
また、インボイス制度の開始に伴い、請求書の記載内容にも変更があります。特に、登録番号は記載が必須となるため、請求書番号と混同しないよう注意しつつ、正確な請求書を作成することが大切です。
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この記事の監修者辻・本郷税理士法人
国内最大規模の税理士法人。専門分野に特化した総合力を活かし、一般企業の税務顧問をはじめ、医療法人、公益法人、海外法人など多種多様なお客様へサービスを提供。開業支援から事業承継、相続・贈与対策、オーナー向けの資産承継など、法人・個人問わずお客様のニーズに柔軟かつ的確に応えるべく、幅広いコンサルティングを行っている。Webサイト:https://www.ht-tax.or.jp
この記事の監修者辻・本郷ITコンサルティング
国内最大級の税理士法人である辻・本郷 税理士法人のグループ会社として2014年に創業。実践した数多くのDX化ノウハウをグループ内外に展開。バックオフィスに課題を抱える組織のコンサルティングから導入までをワンストップで行う。電子帳簿保存法やインボイス制度対応等、最新のコンサルティング事例にも精通。「無数の選択肢から、より良い決断に導く」をミッションとし、情報が多すぎる現代において、お客様にとっての「より良い」を見つけるパートナーを目指す。