請求書の必着日とは?締め日・支払日との違いも解説
監修者: 中川 美佐子(税理士)
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請求書の必着日とは、請求書が取引相手先に確実に届く期限日を指します。本記事では、締め日・支払日との違いを交えて必着日の概要を解説します。請求書の必着日が取引相手先によって異なることや、メールで送付(送信)する際の注意点などもわかりやすくまとめています。ぜひ、参考にしてください。
請求書の必着日とは
請求書の必着日とは、取引相手先に請求書が物理的に届く期限日のことです。これは、支払日(取引相手が支払いを行う日)とは異なり、請求書が取引先に到達する日を指します。例えば、月末締め請求書で必着日が10日の場合は、1か月の売り上げが記載された請求書を翌月10日までに相手先に必ず届くように送付(送信)しなければなりません。必着日と支払日は異なる概念であり、請求書の必着日は支払日を迎える前に請求書が取引先に届く日を指します。なお、請求書の必着日は取引相手先の担当者との間で事前に確認します。
締め日との違い
締め日とは、取引の支払いを請求する期間の最終日を示します。締め日を定めることにより、期間内の支払いを一括して管理できるようになります。例えば、1か月を請求の区切りとして月末を締め日に設定した場合には、月の初めから月末までの取引額をまとめて請求することになります。
請求書の締め日には、特に定めが設けられているわけではありません。一般的には、請求書を受け取る側(取引相手先)が締め日を定めます。月末締め以外にも、10日締めや15日締め、20日締めなどで設定されることもあります。
支払日との違い
支払日とは、取引の対価を支払う日であり、これは必着日とは異なる概念です。必着日は請求書が相手に届く期限であり、支払日はその請求に基づいて実際に支払いが行われる日です。支払日は、取引相手先と合意のうえで設定し、締め日と同様、請求書に記載されます。ただし、業務を下請けに発注した場合には、成果物を受領した日から60日以内に支払日を設定しなければならないことが「下請代金支払遅延等防止法」で定められています。支払日は「月末締め翌月末払い」または「月末締め翌々月末払い」で設定されることが一般的です。
こちらの記事も参考にしてください。
請求書に必着日が必要な理由
必着日を決めておくとよい理由は、主に以下の2つです。
- 月次の数字を確定する必要があるため
- 自社の資金繰りにも影響するため
それぞれについて詳しく見ていきます。
月次の数字を確定する必要があるため
毎月の経営状況を把握するため、などの目的で、多くの企業では月次決算を行っています。月次決算に必要な数字を確定させるためには、取引相手先から送付または送信される請求書が必要です。必着日を取り決めておかないと、取引相手先によって到着日がバラバラになり、最悪の場合、月次決算に間に合わなくなる可能性もあります。請求書の必着日を取り決めておくことによって最終到着日が確定し、月次の数字を確定できるようになります。
自社の資金繰りにも影響するから
取引相手先の必着日を確認しておかないと、当月分の支払い対象の売上を、当月分として計上できなくなってしまう可能性があります。請求書の遅延だけでなく、入金そのものが翌月以降にずれ込んでしまうかもしれず、会社の規模によってはキャッシュフローが悪化して、自社の資金繰りが大きな影響を受けることもあります。キャッシュフローが悪化すれば、例えば従業員に対する給与の支払いが遅延したり、新規投資を行えなくなったりなど、さまざまな面で悪影響が出てしまいます。したがって、請求書は必ず必着日までに届くよう送付または送信し、記載された支払日までに取引相手先に入金してもらうことが重要です。
請求書の必着日は先方によって異なる
請求書の必着日は、取引先相手の企業ごとに異なります。相手先企業の当月必着日を過ぎてしまえば、入金はその次のサイクルとなってしまいます。これでは入金が遅れてしまい、資金繰りに影響が出てしまうおそれがあります。先方の請求書必着日は必ず事前に確認するようにしてください。
請求書はいつまでに発送すればよいか
取引相手先の必着日は事前に確認し、その日に間に合うように、請求書を作成・発送(または送信)できるよう準備しておきます。例えば、月末締め翌10日必着の場合、翌月の1週目前半を目安に請求書を発送または送信できるよう準備します。ただし、その間に必ず週末の休業日が入るため、月によっては請求書の作成が非常に慌ただしくなることがあるかもしれません。
どうしても郵送での請求書の発送が必着日までに間に合いそうもない場合には、そうとわかった時点で速やかに取引相手先に連絡してください。書面が必要という取引相手先には、まずはメールやFAXなどの電子的通信手段で送信し、後日、書面を送付する形でも了承してもらえるかを交渉してみてください。
請求書をメールで送付する際の注意点
請求書をメールで送付(送信)できれば、迅速かつ効率的に取引相手先に届けられますが、その際に注意しなければならないことが2つあります。
- メールでの請求書送付は事前に了承を得る必要がある
- 押印形式を確認する
以下で、それぞれ詳しく見ていきます。
メールでの請求書送付は事前に了承を得る必要がある
請求書をメールで送付(送信)したからといって、何か法的な問題が発生するようなことはありません。ただし、メールで送る場合には、事前に取引先から了承を得る必要があります。その際には文書やメールなど、証跡が残るもので了承を取っておくことが重要です。口頭だけでは話が伝わっていなかったり、担当者が忘れてしまったりといったことも考えられます。のちのちトラブルにつながってしまわないよう、必ず証跡が残る手段で取引相手先から了承を取るよう心がけてください。
押印形式を確認する
請求書への押印には一般的に角印(会社角印)が使われます。請求書は押印なしでも法的には有効で、押印のあるなしで支払い義務に影響が出るわけではありません。しかしながら、ビジネス上の慣習や、万が一紛争になった場合に証拠書類としての有効性を高めるためには、請求書に押印があった方が望ましいと考えられます。
押印形式には、押印されている紙の請求書をスキャナーで取り込んでPDFファイルにする方法と、電子印鑑を用いる方法との2種類があります。紙の請求書は作成に手間とコストがかかるというデメリットがあり、利用できる環境が整っている場合には、電子印鑑の方が手軽です。ただし、どちらの押印形式を選ぶかは、請求書をメールで送付(送信)する場合と同様に、事前に取引相手先に確認を取っておくことが重要です。
メールで請求書を送付する場合に必要な項目
請求書には、法律で定められた記載項目やフォーマットがあるわけではありません。テンプレートなどでよく記載されている項目は以下の通りです。
- タイトル:一般的に「請求書」と記載します。
- 請求番号:請求書を管理するための番号を記載。
- 宛先:請求先の事業者名を記載。
- 発行日:請求書を発行した日を記載。
- 請求者の氏名:法人名に加え、住所や連絡先も記載。
- 取引年月日:商品やサービスを引き渡した日を記載。
- 取引内容:引き渡した商品などを全て具体的に記載。
- 取引金額:合計額を税込みで記載。
- 振込先:法人名などを記載。
- 振込手数料:負担者を記載。
- 支払期限:取引相手先と合意した期限を記載。
インボイス(適格請求書)を発行する場合には、上記の項目に加え、国税庁が推奨する以下の項目を記載する必要があります。
- インボイス(適格請求書)発行事業者の登録番号:法人の場合は「T+13桁の法人番号」、個人事業主は「T+13桁の数字」を記載。
- 軽減税率の対象品目であること:取引の品目が軽減税率の対象の場合、取引内容にその旨を記載。
- 税率ごとに区分して合計した税込み対価(または税抜対価)の額および適用税率を記載。
- 税率ごとに区分した消費税額などを記載。
引用:国税庁「No.6625 適格請求書等の記載事項」
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請求書の必着日は忘れずに!すばやく対応しよう
請求書の必着日とは、取引相手先に請求書が届く期限日です。締め日は取引の支払いを請求する期間の最終日、支払日は取引の対価を支払ってもらう期日です。請求書の必着日は事前に取引相手先に確認し、余裕を持って送付または送信できるよう準備しておくことが重要です。
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この記事の監修者中川 美佐子(税理士)
税務署の法人税の税務調査・申告内容の監査に29年勤務後、令和3年「
たまらん坂税理士法人」の社員税理士(役員)に就任。法人の暗号資産取引を含め、法人業務を総括している。