請求書の送り方は?3種類の送付方法とおすすめを解説
監修者:市川 裕子(ビジネスマナー監修)
2024/09/09更新
請求書は、郵送・メール・FAXの3通りの送付方法があります。それぞれ送付手順や送付時のマナーや注意点などが異なるため、自社の送付方法に合わせて手順や注意点、ポイントを確認しておくことが大切です。
そこで、本記事では請求書を送る手順や注意点などを、送付方法別に詳しく解説します。併せて、請求業務を効率化する方法や、電子請求書の取り扱い方についても見ていきましょう。
請求書の送付方法は3種類
冒頭で述べたように、請求書の送付方法は、「郵送する」「電子データで送る」「FAXで送る」の3種類に大きく分けられます。それぞれ手順や管理方法が異なるため、自社で採用する送付方法に応じてきちんと押さえておくことが大切です。
また、2022年1月に施行された電子帳簿保存法の大幅改正では「電子取引のデータ保存」が義務付けられました。2024年1月1日以後の電子取引からは、要件に沿ってデータで保存することが完全義務化されています。
今後、電子化への移行はますます進むと予想されるため、データの保存方法のみならず、請求書の送付方法や保存方法についても正しく理解しておく必要があります。
請求書を送る前に確認するべきこと
請求書を送る際は、事前に請求書の内容に間違いがないかをきちんと確認しておくことが大切です。
特に、請求先の会社名や部署名、担当者名のほか、請求金額が間違えていないかを念入りに確認し、ミスによる支払いの遅延や請求書の再送などが発生しないようにしてください。
なお、2023年10月1日にスタートしたインボイス制度では、適格請求書発行事業者が発行する適格請求書(インボイス)は、必須項目が漏れなく記載されているかどうかを確認することも重要です。
記載するべき項目を満たさない適格請求書では、買手先は仕入税額控除の適用を受けられません(買手側が一般課税の場合)。必須要項目を満たさない場合、適格請求書にはならないため、適格請求書の再発行が必要です。二度手間にならないよう、入念に確認を行いましょう。
また、請求書の送付先も、きちんと確認しておきましょう。送付先に間違いがあると、当然ながら買手先は請求書を受け取れません。住所変更があったり、請求書の送付先が他の書類と異なる窓口だったり、メールアドレスが変更されたり、FAX番号を間違ってしまったりすることもあるため、間違いのないように事前に確認する必要があります。
請求書を郵送する方法
続いては、請求書を郵送する手順について解説します。なお、請求書は信書に該当するため、宅配便では送ることができないことを押さえておきましょう。
1. 封筒を用意する
最初に、請求書を郵送する封筒を用意します。請求書を入れる封筒は、一般的には白か薄い青、茶色のクラフト封筒などを使います。
ビジネス用の窓付き封筒であれば封筒に宛名を記入する必要がないため、コストは高くなるものの便利です。
封筒のサイズは長形3号(120mm×235mm)か、角形2号(240mm×332mm)が一般的です。
長形3号はA4サイズの請求書が三つ折りにして封入でき、角形2号ならA4サイズの請求書を折らずに入れることができます。なお、自社の専用封筒があればそれを使います。
2. 添え状(送り状)を用意する
請求書を郵送する際は、添え状(送り状)をつけるのがマナーです。請求書だけを送るのはマナー違反とみなされる可能性があるため、添え状も忘れず同封してください。
添え状には、下記の項目を記載します。
添え状に記載する主な項目
- 宛先
- 送付日
- 差出人の情報
- 挨拶文と本文
- 書類内容
添え状(送り状)については、以下の記事を参照ください。
3. 宛先を記入する
封筒の表面に、宛先の所在地、会社名、部署名、役職名、担当者の氏名を記載します。
担当者の氏名が不明の場合は「ご担当者様」と記載してください。会社や部署などの組織に送付する場合は、「様」ではなく「御中」を付けます。
会社名や部署名、役職名、氏名を間違えたり、略称で記載したりすることは失礼にあたるため、正式名称で略さず記載することが大切です。
また、封筒の表面の左下には、「請求書在中」と添え書きを入れます。これにより、請求書が封入されていることがひと目で受取先が確認できます。添え書きはスタンプでも手書きでも問題ありません。インクは黒か青が無難です。
表面の記載例(縦書き)
表面の記載例(横書き)
封筒の裏面には、差出人の所在地、会社名、部署名、氏名を記載します。下記のように、封筒上部に送付日を記載し、封じ目(〆)も入れてください。×印にならないよう注意しましょう。
封じ目は、宛名の本人しか開封できないようにするために必要なものです。本人以外が開封すると「信書開封罪」になります。
裏面の記載例(縦書き)
裏面の記載例(横書き)
4. 請求書を折り、封入する
請求書の折り方や封入する際にもビジネスマナーがあります。請求書が一般的なA4サイズの場合は、紙を横向きにして三つ折りにしましょう。均等に折りたたむことがポイントです。
また、書類を開いたときに、最初に「請求書」の文字が見えるように折りたたみます。添え状を同封する場合も、同様に三つ折りにしてください。添え状は、開いたときに最初に「拝啓」の文字が最初に見えるようにします。
請求書と添え状を封入する際は、三つ折りの開いている部分が封筒の表面の左側、折れている部分が右側になるように入れます。
5. 切手を貼る
封筒に貼る切手は、全部の重量が25g以内なら84円です。25gよりも重くなると金額が変わります(2024年8月現在)。
なお、2024年10月1日から郵便料金が変更されます。
2024年10月1日以降は重量区分が統合されて、定形郵便物は50gまで110円の郵便料金です。
郵送にかかる料金を間違えると、受取人が不足分を支払うことになる可能性があります。受取先の迷惑とならないよう、重さと厚み、サイズをきちんと確認し、切手が不足していないか確かめてください。
また、切手を使用せずに郵便局の窓口で送付する場合は、切手を貼る場合より少し広くスペースをとっておくように心がけましょう。
書類枚数が多く50gを超える場合や、1㎝を超える厚さになってしまった場合は、追加料金が必要です。
不安な場合は、郵便局の窓口で確認してから送付しましょう。
郵便物の種類 | 2024年9月30日まで | 2024年10月1日から | ||
---|---|---|---|---|
重さ | 郵送料金 | 重さ | 郵送料金 | |
定形郵便物※1 | 25g以内 | 84円 | 50g以内 | 110円 |
50g以内 | 94円 | |||
定形外郵便物 (規格内※2) |
50g以内 | 120円 | 50g以内 | 140円 |
100g以内 | 140円 | 100g以内 | 180円 | |
150g以内 | 210円 | 150g以内 | 270円 | |
250g以内 | 250円 | 250g以内 | 320円 | |
500g以内 | 390円 | 500g以内 | 510円 | |
1kg以内 | 580円 | 1kg以内 | 750円 |
- ※1定形郵便物:縦23.5cm以内・横12cm以内・厚さ1cm以内・重さ50g以内の郵便物
- ※2規格内:縦34cm以内・横25cm以内・厚さ3cm以内・重さ1kg以内の郵便物
なお、ある程度の重さがある場合や、追跡サービスが必要な場合は、レターパックなどを活用することで、コストを抑えられます。
6. 投函する
上記のすべてが完了したら投函します。投函後は、販売先に請求書を郵送した旨を連絡しておくことをおすすめします。
請求書をメールで送る方法
請求書をメールで送るには、請求書をPDFファイルにする方法と、電子データをダウンロードするアドレス(URL)を送付する方法の2つがあります。
なお、請求書を電子データで送付した場合は、電子帳簿保存法の「電子取引のデータ保存」の要件に従い適切に保存する必要があります。請求書ファイル作成後の送信手順は、下記のとおりです。
電子帳簿保存法の「電子取引のデータ保存」についての詳細は、以下の記事を参照ください。
1. 件名と本文を書く
メールの件名は、「◯月分請求書送付のご案内」など受信する取引先がわかりやすいものにしてください。
本文の書き方には決まりはありませんが、請求書ファイルが添付されていることが相手に伝わるようにします。
また、本文には請求書番号や金額、支払期限も記載しておくと、ファイルを開かなくても請求書の内容がわかるため親切です。下記はメール本文のテンプレートです。
請求書送付メールのテンプレート
◯◯株式会社
◯◯部 ◯◯課
◯◯様
いつも大変お世話になっております。
●●株式会社の◎◎です。
~~~の件について、添付にて請求書をご送付いたします。
ご査収のうえ、下記事項をご確認いただき、お振込み対応をお願い申し上げます。
なお、振込先などの詳細は請求書にも記載してございます。
請求番号:0000-00000
請求金額:◯◯〇円
支払期限:2024年1月31日
不明点等がございましたら、◎◎までお問い合わせください。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
—————————————————-
●●株式会社
◯◯部 ◎◎
TEL:000-000-000
メールアドレス:xxxx@example.com
2. 宛先を確認する
メールの宛先は間違いのないようきちんと確認しましょう。宛先を間違えると、情報漏洩にもつながりかねません。CCに入れる宛先も併せて確認します。
3. PDFを添付する
メールで請求書のPDFを送る場合は、そのファイルを添付します。添付すべきファイルを間違えないように注意してください。
請求書をワードやエクセルで作成した場合は、そのまま送らずにPDF形式に変換してから送付することが重要です。取引先がワードを使用できなかったり、バージョンが違ってファイルを開けなかったりする場合でも対応できるようにするためです。
また、ワードで編集不可にするのを忘れてしまうと、相手が請求書の内容を書き換えられるようになってしまいます。書き換えを防ぐためにも、PDFに変換することを忘れないようにしてください。
PDFの添付ではなく、請求書の電子データをダウンロードしてもらう場合は、メール本文にダウンロードアドレス(URL)を記載します。ダウンロードアドレス(URL)を間違えないよう十分注意しましょう。
4. 送信する
宛先、件名、本文、添付ファイルやダウンロードアドレス(URL)にそれぞれ間違いがないかを確認できたら、メールを送信します。
請求書をFAXで送る方法
請求書をFAXで送るケースは、最近はまれになりました。取引先がFAXでの送付を希望した場合のみ活用することをおすすめします。
なお、請求書をFAXで送る場合は事前に取引先の了承を得ておくことが大切です。これは、FAXは紛失しやすい性質があり、放置されてしまう怖れがあるためです。
また、請求書をFAXで送付したら、後日請求書の原本も郵送したほうが良いでしょう。原本を郵送する際は、事前にFAXで送付していることを添え状(送り状)に記載してください。請求書をFAXで送る手順は下記のとおりです。
1. FAX送付状を用意する
最初に、FAXの送付状を用意します。送付状には下記の項目を記載します。
FAX送付状の主な記載項目
- 送付日
- 宛先
- 送付者の連絡先
- 送付者
- 送付者の所属部署名
- 件名
- 書類の概要
- 送付枚数
また、取引先は送られた請求書を確認するだけで良いのか、返信が必要なのか、至急の対応が必要なのかもわかるように記載しましょう。
2. FAXを送信する
送付状の準備ができたら、送付状、請求書の順で送信します。送信が完了したら、到着の確認をしていただくために、その旨を電話で取引先に伝えると親切です。紛失や放置を防ぐことにつながります。
電子取引のデータ保存における請求書の取り扱い
前述のとおり、請求書を電子データで作成した場合は電子帳簿保存法の「電子取引のデータ保存」の要件に則り、電子データで保存する必要があります。
電子取引のデータ保存とは、メールやクラウドなどで行われる電子取引で授受した請求書などを、電子データのまま保存する際の取り扱いについて定めたものです。
2024年1月1日以後の電子取引はデータ保存が完全義務化されました。そのため、電子的に作成した請求書は要件に従ってデータのまま保存することに加え、ダウンロードの求めがある場合は応じられるようにしておく必要があります。
電子取引のデータ保存は、ほぼすべての事業者が対応する必要があるため、電子帳簿保存法に対応できるシステムを検討するとよいでしょう。
電子取引のデータ保存の要件などの詳細についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
請求書の作成・送付を効率化する方法
請求書の作成と送付には、一定の手間と時間がかかります。こうした手間と時間を軽減したいと考える方は少なくないでしょう。
ここでは、請求書の作成・送信を効率化する方法をご紹介します。
請求書作成ソフトを使う
請求書作成ソフトを使えば、請求書の作成と送付を効率化できます。請求書作成ソフトには請求書のテンプレートがあります。インボイス制度で必要な記載項目や要件を満たした適格請求書を効率的に作成可能です。
電子データのまま保存して、メールやクラウドで送付することもできます。もちろん、紙に出力して郵送したり、FAXで送ったりと、取引先のニーズに合わせて送ることも可能です。
また、請求書データを一括管理できるソフトを使えば、過去の請求書も検索しやすくなり、請求書関連業務の効率化が期待できるでしょう。
郵送代行サービスを利用する
郵送代行サービスは、請求書の印刷から封入、宛名の記載、郵送までの一連の業務を代行するサービスです。コストはかかりますが、担当者の負担を軽減することができます。
クラウド請求書管理サービス「Misoca」では、オンラインから簡単に請求書を郵送することができます(有償)。請求書の印刷、封入、封かん、郵送をすべて自動化しております。
それぞれの作業は機械が行うため、請求書の中身を人が見るということや人為的なミスはありませんので、安心・安全です。
請求書作成システムを導入し、請求業務を効率化!
請求書の送付方法は、郵送、メール、FAXの3種類です。手順や送付方法はそれぞれ異なりますが、どの方法で送付する際も請求先や請求内容などに間違いがないか、事前に確認しておくことが大切です。
また、請求書を送る際は、それぞれの送付方法に注意点やマナーがあります。請求書そのものの体裁だけでなく、添え状や封筒、メールの書き方などにも配慮して、取引先とのトラブルを防ぎましょう。
今回ご紹介したように、電子帳簿保存法やインボイス制度の開始といった背景もあり、要件に従った適格請求書の発行や請求書の電子化に対応する事業者は今後も増えると考えられます。請求業務をより効率化したい場合は、請求書作成システムの導入を検討することをおすすめします。
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この記事の監修者市川 裕子(ビジネスマナー監修)
マナーアドバイザー上級、秘書検定1級、ビジネス実務マナー、硬筆書写検定3級、毛筆書写検定2級、収納アドバイザー1級、など。 出版社や人材サービス会社での業務を経験。秘書業務経験よりビジネスマナーとコミュニケーションの重要性に着目し、資格・スキルを活かし、ビジネスマナーをはじめとする各種マナー研修や収納アドバイザー講師として活動。