「掛売方式」と「都度方式」とは?請求書発行のタイミングや方法を解説
監修者: 中川 美佐子(税理士)
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請求書の発行方式としては主に「掛売方式」と「都度方式」とがあります。本記事では、それぞれがどのような内容で、どのような取引先に適しているのか、請求書発行のタイミングや発行に関して注意しておきたい点、請求書を効率良く発行する方法などについて解説します。ぜひ、参考にしてください。
請求書発行の方式は2つ
請求書を発行するタイミングは、取引先との取り決めによって定められますが、発行方式としては主に掛売方式と都度方式の2種類があります。掛売方式の場合には、月ごとの締め日にあわせて作成します。都度方式では、掛売方式のような一定のサイクルはありません。取引相手先と協議したうえで設定します。
掛売方式とは?
取引相手先と事前に期間を定めておき、その間の取引分の金額を合計して一括で請求する方式です。この方式での請求方法は「締め請求」と呼ばれ、通常1か月単位で取引が行われることが一般的です。毎月、何回も取引を行っている企業に対して、その都度請求書を発行していては作業上の負担が大きくなるうえに、経理処理も煩雑になるため、月ごとの取引をまとめて請求します。締め日を設定し、前月分の締め日の翌日から当月分の締め日までの取引に対して請求書を作成します。例えば「月末締め、翌月末払い」の請求書であれば、前月分は前月末で締められているので、当月分には当月1日から当月末までの取引および請求金額を記載します。
都度方式とは?
取引が発生するたびに請求書を発行するのが都度方式です。主に、初めて取引を行う新規の相手先や、取引実績が少なく、次月以降も継続されるかどうかわからない相手先の場合に用いられます。この方式での請求方法は「都度請求」と呼ばれ、取引ごとに発行するため、経理処理は煩雑になりますが、請求書の送付(送信)日や支払日などは取引ごとに取り決められるため、信用度の低い相手との取引も可能にします。取引開始直後は都度方式で始めて、一定期間、継続して問題なく取引が行われるようであれば、掛売方式に移行することもあります。
掛売方式・都度方式に当てはまらないケースもある
掛売方式ではもちろん、都度方式の場合でも一般的に請求書が発行されるのは取引完了後です。しかし、なかには商品やサービスの納品・提供前に発行されることもあります。初めて取引をする相手に対して、先に請求書を発行して全額(または半額など)の入金を確認してから納品を行うような場合で、都度方式の運用を柔軟にしている形だといえます。一般的ではありませんが、双方が合意のうえで運用しているのであれば、納品前に発行してもなんら問題はありません。
掛売方式と都度方式の請求書発行タイミング
掛売方式と都度方式では、請求書の発行タイミングに違いがあります。掛売方式では、締め日になれば当月分の請求金額が確定するため、請求書を作成できます。都度方式の場合には、納品ごとに発行することが一般的です。請求書には、取引年月日なども忘れずに記載するようにしてください。
掛売方式と都度方式における請求書の発行に関する注意点
掛売方式と都度方式のいずれにおいても、請求書を発行する際には、いくつか注意すべき点があります。特に気をつけておきたい点を以下で詳しく解説します。
掛売方式では発行日が土日祝日でも取り決めた日付を記載する
掛売方式で請求書の日付が休業日である土日祝日になってしまった場合でも、発行日は特に変更することなく、事前に取り決めた日付をそのまま記載して問題はありません。
発行日が会社の休業日に当たってしまった場合、気を利かせて前後の営業日(通常は前倒しした営業日)に変更している例をよく見ますが、そのようなことをする必要はありません。もし、日付をずらして発行・送付(送信)してしまった場合には、正しい日付に修正して再発行し、取引相手先に連絡を入れて、請求書を差し替えてくれるよう依頼してください。
いずれの方式でも請求書のミスが発覚した時は再発行する
請求書に発行日や金額などのミスがあった場合には、原則として訂正印を押印して修正するのではなく、再発行してください。特に日付や金額などを訂正した場合には、書類の改ざんが疑われることにもなるため、新しく正しい請求書を作成した方が、間違いがありません。
特に掛売方式では、複数の取引をまとめて請求するため、ミスの影響範囲が大きくなりやすいです。このため、再発行時には取引内容全体を慎重に確認することが求められます。都度方式は取引ごとに請求書を発行するため、ミスが発覚した場合は特定の取引に限定されますが、迅速に対応することが望まれます。
再発行する請求書は、金額や数量、取引内容などを正確に記載し、タイトルに(再発行)と付け加えるなど、改めて作成した請求書だとわかるようにしてください。誤りのあった請求書は、謝罪してから回収または破棄するよう依頼します。請求書の訂正方法について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
掛売方式と都度方式で請求書を効率良く発行する方法は?
掛売方式と都度方式のいずれにおいても、請求書を慌てて作成してしまうと、ミスが発生する原因になります。効率良く作成して発行するポイントとしては、以下があげられます。
- 各発行タイミングに合わせて準備・調整を行う
- 請求書作成ソフトを活用する
各発行タイミングに合わせて準備・調整を行う
掛売方式の場合は1か月分の取引をまとめて請求しますが、締め日前にある程度までは作成しておくことが可能です。締め日になったら不足している取引分だけを追加・修正して確認・作成すれば、送付(送信)までをスムーズに行えます。
都度方式では発行タイミングによっては、請求書の発行や送付(送信)までの期限が短い場合もあります。さらに、実際に発行する際には、商品・サービスの納品内容を確認し、発行後に担当者の承認を受けなければならないこともあります。発行フローをあらかじめ決めておけば、効率的に作業を進められるようになります。
請求書作成ソフトを活用する
掛売方式と都度方式のいずれにおいても、請求書作成ソフトを活用することで、作業の効率化が図れます。手書き・表計算ソフトで請求書を作るよりも、請求漏れや誤入力などの人的なミスの可能性が大幅に低減します。
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掛売方式・都度方式の違いを理解しよう
請求書を発行するタイミングは、取引先との事前の取り決めによって定められます。掛売方式の場合には締め日に応じて、また都度方式の場合には取引ごとに発行します。請求書には、発行日や金額、取引内容などを正しく記載しなければなりません。手間をかけずに正確な請求書を発行するには、事前の準備や請求書作成ソフトなどのツールを活用することをおすすめします。
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この記事の監修者中川 美佐子(税理士)
税務署の法人税の税務調査・申告内容の監査に29年勤務後、令和3年「
たまらん坂税理士法人」の社員税理士(役員)に就任。法人の暗号資産取引を含め、法人業務を総括している。
