見積書の断り方は?断る際のマナーやメールでの例文をご紹介
監修者:市川 裕子(ビジネスマナー監修)
2024/09/25更新
ビジネスでは見積書をやり取りする機会が数多くあります。
しかし、先方から見積もりをもらっても必ずしも購入や契約に至るとは限りません。こうした場面で相手との関係を壊さないように、マナーを守って断る方法を知っておくことは非常に重要です。
そこで本記事では、見積もり・相見積もりを断る際のマナーや具体的な例文をご紹介します。
見積書(見積もり・相見積もり)を断る際のマナー
見積書(見積もり/相見積もり)を受領したとしても、必ず購入・契約をしなければならないという決まりはありません。そうは言うものの、労力や時間をかけて見積書を作成してくださった先方へ感謝や敬意を示すことは社会人として当然のマナーです。
以下では、先方へ極力不快感を与えずに断るためのマナーを解説します。
相手を気遣った言葉遣いを徹底する
見積書まで作成し出していただいた提案を断る際には、先方の提案とその労力を無駄にしてしまうことへの心苦しさを前面に出し、相手を気遣った丁寧な言葉遣いを心がけましょう。齟齬がないように断る意思を明確に伝えなければなりませんが、その場合も、「誠に残念ながら」といったクッション言葉を使用するなど表現をやわらげることが大切です。
このクッション言葉はビジネスシーンで頻繁に使いますので、以下のように代表的なものを覚えておくことをおすすめします。
クッション言葉の例
- 「大変申し訳ございませんが~」
- 「誠に恐縮ではございますが~」
- 「恐れ入りますが~」
- 「せっかくのご提案ですが~」
- 「残念ながら~」
- 「大変ありがたいお話なのですが~」
- ※クッション言葉は「断る場面」以外でも、申し出・依頼・反論など、さまざまなシーンで使用することがありますので、シーン別に理解をしておくとよいでしょう。
断るときほど早めに連絡する
先方の心情に気兼ねして、断りの連絡を後回しにしたくなることもあるかもしれません。
しかし、断りの連絡こそ迅速に行うことが大切です。なぜならば、見積もりの依頼を受けた相手は、その見積もりが受注につながると期待しています。場合によっては、商品の調達といった具体的な対応を始めているかもしれません。
そのため、断ると決めたら相手が不要な業務や手配などを行わずに済むように、できるだけ早く連絡することが重要です。相見積もりの場合なら、断りの連絡は依頼したすべての会社へ速やかに行いましょう。
相見積もりでは他の企業の情報を漏らさない
ビジネスでは、複数の会社に同時に見積もりを依頼し比較検討する「相見積もり」がよく行われます。一社を採用したら他の会社の提案は断ることになりますが、その際に「別の会社を選んだから」と正直に伝えることは避けましょう。
これはビジネスマナーの基本であり、他社との関係に悪影響を与える可能性があります。具体的な社名や見積もり内容・金額などはもちろん、相見積もりであること自体を伝える必要はありませんが、案件や状況によっては相見積もりであることを伝える場合もあります。その場合は、慎重に判断し相手との信頼関係やビジネスマナーを十分に考慮することが重要です。状況判断を誤らないように注意しましょう。
また、他社の見積もりを引き合いに出して値引き交渉をすることも厳禁です。このような行為は先方に対して無礼な行為であり、信頼を損なうことになります。相見積もりを断る際は、他社と比較した理由を伝えることはせず、「予算が折り合わなかった」のように、その企業のみに焦点を当てた理由を伝えるようにしましょう。
見積書をメールで断る際の文章の流れ
近年は、一般的に見積書を断る連絡はメールで行うことが多くなりました。メールは便利な連絡手段ですが、表情や声色などが伴わない分、無味乾燥な印象にならないように丁寧な文章にすることが大切です。以下では、見積書を依頼した商談についてメールで断る際のポイントを解説します。
1.見積書の作成依頼に対して感謝を伝える
まず初めに、記載すべきは見積書を作成してくれた先方への感謝の言葉です。見積書の作成や送付には時間や労力が必要であり、提案を受けるか否かに関係なく先方の尽力に対して感謝を示しましょう。例えば、「見積書をご送付いただき、誠にありがとうございます」といった言葉です。こうした一文を添えることで、先方に対する感謝や敬意を示すことができます。
2.断る理由を伝える
感謝の意を伝えた後は見積書を依頼した商談を断ることと、その理由を伝えましょう。せっかく見積書を提出してくれた先方に対して、理由も告げずに一方的に断るのは失礼にあたります。
「予算の都合が合わないため」「納期の関係で」など理由を簡潔に示すことで相手に納得してもらいやすくなります。また、言いにくい理由であっても、「検討を重ねましたが、諸般の事情により今回の案件は見送らせていただきます」といった表現で、あくまでもこちらの都合であることを強調することが望ましいです。
3.今後の関係を考えたフォローの言葉を添える
最後に、今後の関係を考えたフォローの言葉を添えましょう。今回の案件で取引が成立しなくても、将来的には新たな案件で見積もりを含めた提案を依頼する可能性はあります。したがって、そうした将来的な可能性も踏まえた言葉を添えることで、次回声をかけやすくなります。
具体的には、「この度はご縁がありませんでしたが、今後またご提案をお願いする機会がございましたら、ぜひよろしくお願いいたします」といった一文を添えることで、相手に対する配慮を示し、良好な関係を保つことが可能となります。
見積書の断り方|メールで断る際の例文
続いては、見積書を依頼した商談について、メールで断る際の具体的な例文をシーン別にご紹介します。前章でお伝えしたポイントを意識しながらご覧ください。
スケジュールの都合がつかない場合
件名:見積書のお礼と結果のお知らせ
本文:
○○株式会社
××部 △△様
平素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
株式会社□□営業部の●●です。
この度は、見積書をご送付いただき誠にありがとうございました。
ご提案内容を慎重に検討いたしました結果、納期の面で社内の計画と折り合わず、今回はお取引を見送らせていただくことになりました。
誠に恐縮ではございますが、弊社の事情をご賢察のうえ、ご了承くださいますと幸いです。
この度はご縁がありませんでしたが、別の機会にぜひまたお声がけさせていただきたく存じます。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
----------------------
株式会社□□
営業部 ●●
TEL:000-000-000
メールアドレス:xxxx@xxxxxx.com
この例文では、最初に見積もりに対する感謝の意を示し、その後に納期の都合で取引が難しいことを明確に伝えています。そして最後に、今後も良好に関係を続けたい旨を示す言葉を添えた形にしています。
予算が合わない場合
件名:見積書のお礼と結果のお知らせ
本文:
○○株式会社
××部 △△様
平素より格別のお引き立てをありがとうございます。
株式会社□□営業部の●●です。
この度は、見積書をご送付いただき誠にありがとうございました。
ご提案内容を慎重に検討いたしました結果、誠に恐縮ながら今回はお取引を見送らせていただくことになりました。ご提案の費用が弊社の予算条件に合致しなかったためでございます。
せっかくご提案をいただきながら、このような結果となりましたことを心よりお詫び申し上げます。
また別の機会がございましたら、改めてご依頼をさせていただきたく存じます。
その際は何卒よろしくお願い申し上げます。
----------------------
株式会社□□
営業部 ●●
TEL:000-000-000
メールアドレス:xxxx@xxxxxx.com
少し言葉は変えていますが、文章の構成や流れ自体は先の例文と共通しています。予算の都合とは、要するに先方の商品・サービスの料金が自社にとって高すぎることを示しており、直接的に伝えるのではなく「こちらの予算設定に合わなかったから」と婉曲に表しています。
提案内容を理由に断る場合
件名:見積書のお礼と結果のお知らせ
本文:
○○株式会社
××部 △△様
いつも大変お世話になっております。
株式会社□□営業部の●●です。
先日は、見積書をご送付いただき誠にありがとうございました。
せっかくご提案いただいたにもかかわらず、誠に心苦しいのですが、ご提示いただいた納期では現場の作業進捗に間に合わず、計画に支障が出るため、今回はお取引を見送らせていただくことになりました。
今後、別の機会がございましたら、ぜひ再びご依頼させていただきたく存じます。
まずはお詫びかたがた、ご返事申し上げます。
----------------------
株式会社□□
営業部 ●●
TEL:000-000-000
メールアドレス:xxxx@xxxxxx.com
この例文では、提案内容が現場の作業スピードに合わないために断ることを明確に伝えています。断る理由と謝罪を丁寧な言葉で伝え、相手への配慮を示しています。
相見積もりを断る場合
件名: 見積書のお礼と結果のお知らせ
本文:
○○株式会社
××部 △△様
平素より格別のお引き立てをありがとうございます。
株式会社□□営業部の●●です。
この度は、お見積もりをいただき誠にありがとうございました。
ご提案内容を社内で慎重に検討しましたが、ご提案いただいた費用の予算を確保するのはどうしても困難であり、残念ながらこの度はお断りさせていただく運びになりました。
また別の機会がございましたら、ぜひご依頼させていただきたく存じます。
まずはお詫びかたがた、ご返信申し上げます。
----------------------
株式会社□□
営業部 ●●
TEL:000-000-000
メールアドレス:xxxx@xxxxxx.com
先述の通り、相見積もりを断る際は他社の提案を採用したことを理由に出す必要はありません。そのため、この例文では単に予算が確保できないことを理由に断ることを伝えています。
見積書の断り方|電話で断る際のポイント
場合によってはメールではなく、電話で見積書を断る機会もあるかもしれません。例えば、メールだけで断るのが憚られるほど関係の深い取引先の場合などです。電話は声のトーンや抑揚などがわかる分、メールよりこちらの感情が相手に伝わりやすくなるため、誠意が感じられないと先方に思われないように気持ちを込めて話をするようにしましょう。
先方に伝える内容や基本的なマナーは電話でもメールの場合と変わりません。ただし、電話の場合はメールのように後から内容を確認することは不可能なため、伝えるべき内容に漏れや混乱が起きないように、伝える内容をメモしておくことをおすすめします。
まとめ:見積もりを断る際は丁寧かつ迅速に行う
見積もりを断る際は、相手への感謝と配慮を忘れず迅速に対応することが重要です。電話やメールでの断り方は基本的に同じですが、電話では特に丁寧な言葉遣いや態度が求められます。断る理由を明確に伝え、今後の関係を考えたフォローの言葉を添えることで相手に対する敬意を示すことができます。そして、丁寧に会話をすることで誠意を伝えることができ、今後も良好な関係を維持しやすくなります。
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この記事の監修者市川 裕子(ビジネスマナー監修)
マナーアドバイザー上級、秘書検定1級、ビジネス実務マナー、硬筆書写検定3級、毛筆書写検定2級、収納アドバイザー1級、など。 出版社や人材サービス会社での業務を経験。秘書業務経験よりビジネスマナーとコミュニケーションの重要性に着目し、資格・スキルを活かし、ビジネスマナーをはじめとする各種マナー研修や収納アドバイザー講師として活動。